日本の初戦は、この日の第1試合でチャイニーズタイペイに12-5で打ち勝った中国。中国は今年度は中国全土から選手を募る選抜方式をとらず、今回、来日している南京工業大学を「今年度の中国代表チーム」としている。
その中国と日本が第3試合で激突した。
先攻の日本は初回、1番・河野美里が内野安打で出塁。2番・大久保美紗が手堅く送り、先制のチャンスを迎えたが、3番・林佑季がセンターフライに倒れ、タッチアップで二死三塁。4番・峰幸代が四球を選び、一・三塁としたものの、5番・国吉早乃花が空振り三振。無得点に終わった。
日本の先発は「エース」上野由岐子。1番、2番を連続三振に斬って取ると、3番打者には安打を許したものの、4番打者を三振に打ち取り、「貫禄」の立ち上がりを見せた。
日本は3回表にも、この回先頭の9番・市口侑果が二・遊間をゴロで抜く、ヒットを放ち、出塁。1番・河野美里の送りバントで一死二塁としたが、後続がサードゴロ、ショートゴロに終わり、またしても先制のチャンスを逃した。
中国先発のワン ラン(WANG Lan)を攻めあぐねていた日本は、ようやく5回表、この回先頭の7番・永吉理恵が絶妙なセーフティーバントで出塁。8番・渥美万奈が送りバント失敗で走者を送れず、9番・市口侑果のセンター頭上を襲う当たりも好捕され、二死となり、またしてもチャンスを潰したかと思われたが、ここで宇津木麗華ヘッドコーチが動き、まず盗塁で揺さぶり、二死ながら得点圏に走者を進めると、1番・河野美里が左中間を深々と破るタイムリーツーベースを放ち、待望の先取点。さらに2番・大久保美紗が意表を突くセーフティーバントで相手守備陣を揺さぶり、これが一塁への悪送球を誘い、二塁走者が一気にホームイン。この回2点を挙げた。
2点をリードした日本は、栗田美穂、森真里奈、山根佐由里と小刻みな投手リレーで中国打線の反撃を1点に抑え、最後は「切り札」上野由岐子を再出場させる盤石の試合運びを見せ、何とか1点差で逃げ切った。
序盤、チャンスを作りながら、「あと一本」が出ず、5回表、業を煮やした宇津木麗華ヘッドコーチの「仕掛け」で得点は奪ったものの、「世界チャンピオン」らしいスカッとした勝ち方には程遠く、特に投手陣は、「エース」上野由岐子頼みから脱却できず、最後には「エース」の再出場を仰ぐ始末。
失点した6回裏の二死一・三塁の場面でも、得点差を考え、一塁走者の盗塁を刺しにいったところまではよかったが、結局、その盗塁を刺すことができず、三塁走者の生還を許した上に、一打同点のピンチを招くという、およそ「日本らしからぬ」プレーで失点を招いた。さらに次打者にショート内野安打を許し、ピンチが広がるところを、ファースト・大久保美紗の好判断で三塁へ転送、正確無比な矢のような送球で二塁走者の三塁進塁を許さず、タッチアウトにした場面に唯一「日本らしさ」が見えた程度で、「世界チャンピオン」のプレーをこの目で見ようと詰めかけた観客の期待を大きく裏切る試合内容であった。
今シーズンの日本代表は、2020年のオリンピック競技復帰を見据え、異例の長期的視野に立って編成されたチームであり、若手が多く、また、アメリカのプロリーグに参戦した選手たちもいることから、チームがまだまだ未完成なのは致し方のないところだ。
しかし、「日本代表」として、ひとたび「JAPAN」のユニフォームを身にまとったならば、いかなる言い訳も許されない。「日本代表」の一員として戦うことの「意味」をもう一度自らに問いかけてみる必要がある。
勝ち続けることによって、世界の「頂点」に立つことによって、築かれてきた「日本代表」の伝統とプライド。その伝統とプライドにかけて、明日以降、「日本代表」の名にふさわしいプレーを見せてくれることを期待したい。