アテネオリンピック |
開催地:ギリシャ・アテネ
大会期日:2004年8月3日〜8月26日
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■2004 アテネオリンピック 予選・決勝計 投手の記録
■2004 アテネオリンピック 予選・決勝計 打撃・守備の記録 注) L は左打ち
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予選リーグ |
8月14日(土) |
日本 |
vs |
オーストラリア |
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アメリカ |
vs |
イタリア |
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チャイニーズ・タイペイ |
vs |
カナダ |
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中国 |
vs |
ギリシャ |
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8月15日(日) |
日本 |
vs |
チャイニーズ・タイペイ |
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中国 |
vs |
イタリア |
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アメリカ |
vs |
オーストラリア |
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カナダ |
vs |
ギリシャ |
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8月16日(月) |
中国 |
vs |
カナダ |
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アメリカ |
vs |
日本 |
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イタリア |
vs |
ギリシャ |
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オーストラリア |
vs |
チャイニーズ・タイペイ |
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8月17日(火) |
中国 |
vs |
アメリカ |
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カナダ |
vs |
日本 |
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ギリシャ |
vs |
チャイニーズ・タイペイ |
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イタリア |
vs |
オーストラリア |
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8月18日(水) |
チャイニーズ・タイペイ |
vs |
イタリア |
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中国 |
vs |
オーストラリア |
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カナダ |
vs |
アメリカ |
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ギリシャ |
vs |
日本 |
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8月19日(木) |
チャイニーズ・タイペイ |
vs |
中国 |
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アメリカ |
vs |
ギリシャ |
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日本 |
vs |
イタリア |
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カナダ |
vs |
オーストラリア |
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8月20日(金) |
イタリア |
vs |
カナダ |
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アメリカ |
vs |
チャイニーズ・タイペイ |
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ギリシャ |
vs |
オーストラリア |
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日本 |
vs |
中国 |
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8月21日(土)/予備日 |
決勝トーナメント |
8月22日(日) |
準決勝 |
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準決勝 |
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3位決定戦 |
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8月23日(月) |
決勝 |
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■日本、まさかの逆転負け! 初戦飾れず……
8月14日(土) ギリシャ・アテネ
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
計 |
オーストラリア |
0 |
1 |
0 |
2 |
1 |
0 |
0 |
4 |
日 本 |
2 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
2 |
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(日本)●上野(4回)・高山(3回)−山路
日本は大事な初戦に若きエース・上野を立て、必勝を期した。上野はその立ち上がりをサードゴロ、ファーストゴロ、サードゴロと三者凡退に抑え、無難に試合をスタートさせた。
オーストラリアの先発は左腕・ウィルキンス。荒れ球が持ち味のピッチャーだが、簡単に二死を取った後、3番・伊藤に粘られ四球を出すと、まったくストライクが入らなくなり、2つのワイルドピッチで一塁走者・伊藤が三塁まで進み、4番・斎藤、5番・宇津木が四球を選び、満塁。さらに6番・内藤、7番・山路も連続の押し出し。思わぬ形で2点を先制した。<br>
先発が上野で2点のリードとなれば、「これで決まり」と誰もが思った。しかし、MAX117kmを記録した好調・上野にオーストラリア打線が襲いかかる。2回表、一死から連打を浴び、一・二塁。7番・アレンを三振に打ち取ったが、8番・モローにチェンジアップをしぶとく一・二塁間に運ばれ、9番・クロフォードの当たりはボテボテのサードゴロ。サード・宇津木が懸命に処理したが一塁送球は間に合わず、1点を返された。4回には、5番・エデボーンがピッチャーゴロエラーで出塁すると、6番・ティッカムが値千金の逆転ツーラン。5回にもこの回から代わった高山が1点を失い、2点をリードされた。<br>
日本も必死の反撃を試みるが、1回途中からロングリリーフしたハーディングにノーヒットに抑えられ、万事休す。初回に押し出しで2点をもらいながら、よもやの逆転負けを喫した。<br>
試合後、宇津木監督は、「オーストラリアの先発・ウィルキンスはコントロールに難があるので、ああいう形での得点は予想していた。上野は調子自体は悪くなかったが、オーストラリア打線に配球を読まれ、狙い打ちされた感じだった。打線も初回にあまりにも簡単に2点をもらったことで、かえって積極性をなくしてしまった。こちらは逆にデータを重視しすぎ、自分のバッティングを見失っていた。とにかくもう一度気合いを入れ直し、切り替えて明日からの戦いに臨みます。まだオリンピックは、はじまったばかりですから」と、明日からの巻き返しを誓った。<br>
先発の上野は、「調子自体は悪くなかったし、ホームランを打たれたボールも決して失投ではなかったと思うのですが……。オリンピックだという緊張感はありませんでしたが、かえってそれが悪い方に出たというか、何となく試合がはじまり、気がつけば終わってしまっていたという感じで……。まだはじまったばかりですから、気持ちを切り替えて頑張ります」と悔しさを押し殺しながら語った。<br>
「初戦がヤマ」と臨んだオーストラリア戦だったが、初回に2点を先制しながら逆転を許す最悪の試合展開で落としてしまった。しかも頼みのエース・上野が打ち込まれての敗戦は誰も予想し得ない結果であった。当面のライバル・オーストラリアに敗れたことで、予選リーグの2位以上の通過は早くも苦しくなった。しかし……戦いはまだはじまったばかりだ。シドニーでのファイナルの悔しさ。それを晴らすためにアテネまでの4年間を過ごしてきたはずだ。日本の力はこんなものではないはずだ。苦しいスタートにはなったが、このまま終わっていいはずがない。明日のチャイニーズ・タイペイ戦でスカッと勝ち、日本の強さを見せつけてほしい。頼むぞ! ニッポン!!
日本、快勝! 本来の力を発揮!!
8月15日(日) ギリシャ・アテネ
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1 |
2 |
3 |
4 |
5
| 6 |
7 |
計 |
台 湾 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0
| 0 |
0 |
0 |
日 本 |
1 |
4 |
0 |
0 |
1 |
0 |
X |
6 |
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(日)○坂井−山路
〔二塁打〕宇津木、山路
昨日、嫌な形で初戦を落とした日本は、“二枚看板”の坂井が先発。「もう一人のエース」の快投がチームを救った。
坂井は初回を三者凡退に切って取る快調な滑り出しを見せると、打線もすぐにこれに応え、鮮やかな先制攻撃を見せた。初回、1番・山田が四球を選ぶと、2番・内藤が確実に送り、二死後、4番・斎藤が三・遊間突破安打。この打球の処理をもたつく間に二塁走者・山田が俊足を飛ばしてホームイン。待望の先取点を挙げた。これで勢いに乗った日本は2回裏、この回先頭の6番・山路が中前安打。7番・三科の絶妙な送りバントは自らも生きるバント安打となり、8番・岩渕のところでヒットエンドラン。これは空振りとなったが、台湾守備陣の挟殺プレーのミスにも助けられ、無死二・三塁。岩渕のセカンドゴロで三塁走者・山路が本塁タッチアウトで一死一・三塁となった後、9番・佐藤由希が今度はキッチリとヒットエンドランを決め、三塁走者が生還。なお二死二塁から1番・山田が中前にタイムリー。すかさず盗塁を決め、2番・内藤、3番・伊藤の連打でたたみかけ、この回一挙4点を加えた。5回には4番・斎藤、5番・宇津木、6番・山路の3連続長短打でダメ押しの1点を追加。勝負を決めた。
守っては、先発・坂井が丁寧なピッチングで台湾打線に最後まで得点を許さず、被安打2の完封勝ち。前日の嫌なムードを一掃し、金メダルへの一歩を踏み出した。
試合後、宇津木監督は、「とにかく気持ちを切り替えて、目の前の一戦一戦に集中するように選手たちには言い聞かせました。勝つことを宿命づけられた、金メダルだけが目標というチームだけに、初戦は緊張感もプレッシャーもあって本来の力を出し切ることができませんでしたから……。もう一度、自分たちがやってきたことを信じて戦おうと、それだけに集中して試合に臨みました。内容的にはまだまだ課題もありますが、予選リーグに調子のピークを合わせるつもりはないし、決勝トーナメントを見据えて徐々にチーム全体の調子を上げていくつもりですから、むしろ現段階では少しぐらい課題や反省点があった方がいいとも思っています。坂井には昨日の上野のピッチングを踏まえて、緩急を交え、一本調子にならないよう高低や内外角を広く使ったピッチングをするように指示しました。どんなに速くても配球が相手に読まれていたり、そればかり続けていれば打たれてしまうわけですから……その意味では今日の坂井は慎重に丁寧に投げてくれたと思います」と、この試合を振り返った。
明日のアメリカ戦については、「あまりアメリカだとか何だとか意識しすぎることなく、普段着の自分たちのソフトボールをやりたいと思います」とだけ語った。
完封勝利を挙げた坂井は、「この試合の先発はもうすでに申し渡されていました。内容的にはまだまだで、合格点とはいきませんが……。とにかく勝てたことが一番です」と大事な試合での好投に安堵の表情を見せた。
2番に内藤を入れたことで打線につながりが生まれ、斎藤、宇津木、山路のベテラン勢が、勝負どころで貴重な一打を放った。斎藤が「自分が何とかしなければ……と思っていた」といえば、内藤は詰めかけた報道陣に囲まれ、記者たちの質問がベテラン勢の活躍に話が及んでも、「誰かを頼ろうなんて思いは一切ありません。チーム全員が“自分がやるんだ”と強い気持ちを持っているはずです。そうでなければ……勝つことなどできるわけがないのですから」と、偉大な先輩たちにすがるのではなく、自らの手で新しい時代を築いていこうという強い決意を滲ませていた。
絶対的な信頼を寄せていたエース・上野が打ち込まれ、期待の山田が抑え込まれてノーヒットで敗れたオーストラリア戦。しかし、この屈辱がチームの目を覚まさせた。金メダル候補と騒がれ、浮き足立つのではなく、金メダルのプレッシャーに押し潰されるのでもなく、今までやってきたことだけを信じ、一人ひとりが「自分がやるんだ」と強い気持ちを甦らせた。他の誰でもない自分自身の力で金メダルを手にするのだと……。
日本は明日、「最大のライバル」アメリカと対戦する。
またしても……延長の末、アメリカに屈す。
8月16日(月) ギリシャ・アテネ
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
計 |
アメリカ |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
3 |
3 |
日 本 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
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(日)●高山−山路
日本はこの日、金メダル争いの「最大のライバル」アメリカと対戦。アメリカの先発は若い左腕のオスターマン。日本はオリンピック通算8勝というオリンピックレコードを持つ経験豊富な高山を先発に立て、試合がはじまった。
高山はベテランらしい落ち着いた立ち上がりを見せ、強気の内角攻めとキレ味鋭いライズを武器に好投。ここまでの2試合、イタリア、オーストラリアにコールド勝ち。猛威を振るうアメリカ打線を向こうに回し、大胆不敵なピッチングで7回までノーヒットの快投で打線の援護を待った。
しかし、日本打線もオスターマンをとらえられず、わずか1安打。左腕特有のスライダーと逃げながら落ちるドロップ、同じような高さに配するローライズの組み合わせに手を焼き、三振の山。11三振を喫し、両チーム無得点のまま、試合は延長タイブレーカーに入った。
先攻のアメリカは8回、タイブレーカーの走者を5番・ヌーべマンが手堅く送り、6番・ジュンが高山のライズに食らいつき、ファウル、ファウルで粘る。13球目、三塁ファウルグラウンドに力なく小飛球が上がり、「やっと打ち取った」と思った瞬間、太陽が目に入ったか、サード・宇津木がこれを落球。これで試合の流れが変わってしまった。根負けした高山がジュンを四球で歩かせ、7番・クレッシュマンがセンターへ打ち上げる。日本はセンター・山田の強肩にすべてを託したが、本塁送球がわずかに逸れ、三塁走者が生還。待望の先取点を挙げると、8番・メンドーザ、代打・トッピング、1番・ワトリーの3連打でたたみかけ、決定的な2点を追加。この回3点を挙げ、試合を決めた。
試合後、宇津木監督は、「7回まではある程度こちらが思い描いていた試合展開に持ち込めたのですが……0点じゃ勝てない。左打者の多い日本打線に対し、オスターマンに左打者のアウトサイドにストライクからボールに逃げていくスライダー、ドロップを集められ、対応しきれませんでした。アメリカにしても、オーストラリアにしても、とにかくよく研究していると感じています。もちろんそれは当然予想されたことではありますが……。これで1勝2敗となってしまいましたが、残り試合を全勝して、もう一度アメリカとファイナルで対戦できるよう、一つひとつ勝ち星を積み重ねていきたい」と、巻き返しを誓った。
好投した高山は、「久しぶりのアメリカ戦で楽しんで投げることができました。自分のピッチング自体には満足しています。ただ……どんないいピッチングをしても勝たなきゃ意味がありません。7回までノーヒットということには意識もこだわりもありませんでした。こういった記録は自分一人の力でできるものではありませんし……。記録より何よりただ勝ちたかった」と悔しさを滲ませた。
その一方で、「今まであまり対戦したことのなかったアメリカの選手とも対戦することができ、収穫はあったと思います。アメリカとは決勝トーナメントで必ずぶつかるはずですから、そこでこの借りは返したい」と、リベンジへ意欲を燃やしていた。
これで日本の予選リーグ2位以上の通過は非常に厳しいものになった。アメリカ、オーストラリア、日本の「3強」とそれ以外の国の力の差は大きく、取りこぼしが考えられない以上、このままの順位を保ったまま、予選リーグを終える可能性が高いからである。
日本は残り4試合で「日本らしい戦い方」を再確認し、修正しなければならない。エース・上野の立ち直り、機動力の活用……アメリカにわずか1安打。オーストラリアに至ってはノーヒットでは、勝てという方が無理がある。また、目に見えない守りのミス、走塁ミスも多い。このままでは……金メダルはあまりに遠い。
ソフトボールを愛するすべての人の夢。オリンピックという舞台を夢見ながら、その場に立つことを許されなかった選手たちの思い。アテネで戦う15人にはそれを背負う使命と義務がある。選りすぐりの「最強の戦士」であるはずだ。
今こそ問いかけてほしい。自分にそれを背負うにふさわしい戦いができているか否かを。ナショナルチームは文字通り「日本の代表」なのである。その誇りにかけて……恥ずかしい戦いは許されない。まだ……できることがあるはずだ。戦え! 力の限り!! 燃えろ炎のごとく……。栄光は泥にまみれてつかみ取れ! 死力を尽くして戦うより他に道はない。
日本、3敗目。決勝トーナメント進出の危機!?
8月17日(火) ギリシャ・アテネ
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
計 |
カナダ |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
1 |
日 本 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
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(日)●上野−山路
予選リーグ序盤戦を終え、1勝2敗と黒星が先行してしまった日本は、必勝を期してエース・上野が登板。オーストラリア戦での途中降板の屈辱を晴らそうと気合い十分のピッチングを見せた。
上野はMAX117kmの快速球を武器に快調なピッチング。カナダ打線を寄せつけず、一人の走者も許さない「完全試合ペース」のピッチングを続けた。
早めに上野を援護したい日本打線は4回裏、この回先頭の3番・伊藤が四球を選び、4番・斎藤が手堅く送りバント。これが一塁手のエラーを誘い、無死一・三塁の絶好機をつかんだ。代走の佐藤(理)がすかさず盗塁で二・三塁とチャンスを広げたが、5番・山路のセカンドゴロで三塁走者・伊藤が本塁憤死。6番・宇津木が四球を選び、満塁と攻め立てたが、7番・三科のセカンドゴロで本塁フォースアウト。8番・岩渕が空振りの三振に倒れ、絶好のチャンスを逃した。7回裏にも、この回先頭の6番・宇津木が四球で出塁。7番・三科のバスターがファースト正面のゴロとなって走者が入れ替わり、8番・岩渕がセーフティーバントで一塁に生き、一死一・二塁とチャンスを広げた。9番・佐藤(由)もセーフティーバントで揺さぶるが、これは間一髪一塁でアウト。二死二・三塁で1番・山田が打席に入った。しかし、期待の山田は敬遠の四球(故意四球)。2番・内藤がチェンジアップを打たされ、どうしても得点することができない。
両チーム無得点のまま、延長タイブレーカーにもつれ込んだ8回、カナダはタイブレーカーの走者を手堅く送り、6番・ホワイトの打球は振り遅れのファーストゴロ。これがファースト・伊藤の前でイレギュラー(記録はエラー)し、カナダが先取点を挙げた。
日本はその裏、同じくタイブレーカーの走者を手堅く犠打で三塁へ進め、4番・斎藤、5番・山路のバットに期待がかかったが、あえなく連続三振。まさかの3敗目を喫してしまった。
試合後、宇津木監督は、「データに振り回され、自分のバッティングができていない。配球どうこうとか、狙い球を考えすぎて思い切りのよさが全然ない。今日はもう対戦相手のビデオも見ない。開き直ってやるだけ! 3連勝すればいいだけなんだから」と、絶体絶命の危機を迎えたチームに“喝”を入れた。
先発の上野は、「初戦と同じ失敗だけは繰り返さないように心がけました。味方が点を取ってくれるまで絶対に点はやらないつもりで投げたのですが……。厳しい状況になってしまいましたが、自分たちは金メダルを獲るためにここに来ました。その気持ちは今も変わっていません」と、気丈に言い放った。
いったい日本はどうしたのか……。高山、上野の好投に報いることができず、たった1点が遠い。ただ……まだチャンスは残されている。決勝トーナメントへ進むことさえできれば、もう一度チャンスはある。予選リーグ前半を終え、1勝3敗という結果を誰が予想しただろうか……。しかし、これが「現実」である。後は勝つしかない。全勝で行くしかない。残り3試合を全勝すれば自力で決勝トーナメントへの切符を手にすることができるのだ。決して諦めてはならない。
シドニーではアメリカが日本に敗れたのをキッカケに3連敗を喫し、予選リーグ敗退の窮地に立たされながら、地獄の底から這い上がり、金メダルを手にした。今度は日本がそれを再現しなければならない。絶体絶命の窮地に立たされた今こそ、日本代表の真価が問われる。金メダルに相応しいチームであるなら、必ずここから這い上がることができるはずである。日本代表の誇りにかけて……今こそ魂を揺さぶるプレーを! 諦めるのはまだ早過ぎる。
日本、ギリシャに快勝!予選2勝目
8月18日(水) ギリシャ・アテネ
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
計 |
日 本 |
0 |
3 |
1 |
0 |
0 |
0 |
2 |
6 |
ギリシャ |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
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(日)○坂井−山路
〔三塁打〕山田
〔二塁打〕山路
予選リーグ4試合を終え、まさかの1勝3敗……。ここまで全勝のアメリカ、そのアメリカに敗れて1敗のオーストラリアを除けば、3位・4位争いは混戦状態にあり、残り3試合を全勝でいけば自力で予選通過の道は残されているとはいえ、もう1敗も許されない状況にあることは変わりはない。シドニーのアメリカはここから這い上がった。日本の真価が問われるのはここからである。
先攻の日本は初回、1番・山田が三塁線を鋭く破る安打で出塁。しかし、送りバントが決まらない。結局、走者を進めることすらできず、先制機を逃してしまう。「またか……」嫌なムードになりかけたが、続く2回表、この回先頭の5番・山路がレフト線二塁打。ここで宇津木監督が早くも動く。二塁走者の山路に代わり、代走・佐藤(理)。初スタメンのDP・坂本が手堅く送り、一死三塁とすると7番・三科がスクイズ。何振り構わぬ攻撃で待望の先取点を手にした。こうなると試合の流れは日本。8番・岩渕のスラップがショートのエラーを誘い、9番・佐藤(由)がセーフティーバントを決め、二死一・二塁。1番・山田がこれまでの鬱憤を晴らすかのように初球を思い切り叩くと、打球はセンターのはるか頭上を越える走者一掃の三塁打。この回3点を先制した。続く3回表には、相手守備の乱れに乗じて1点を加えてリードを広げ、終盤7回表にも一死から4番・宇津木が三・遊間を破ると、5番・山路が確実に送り、代打・斎藤が一・二塁間突破安打。二死一・三塁とし、7番・三科のセンター前ヒットを放つと、この打球のセンターが後逸。ダメ押しの2点を加え、勝負を決めた。
守っては、先発・坂井が魔球・シュートを軸に両コーナーを丁寧に突くピッチングでギリシャ打線を散発2安打に抑え、見事な完封。日本はようやく2勝目を挙げた。
試合後、宇津木監督は、「ここからは負けることが許されない戦いが続くだけに、トーナメントのつもりで戦えと選手に“喝”を入れて試合に臨んだ。もともと力はあるのだから……やっと迷いが吹っ切れました。今日のようなゲームができるのなら、もっと早くやってくれって感じもしますが……やっと自分たちのゲームができました」と安堵の表情を浮かべた。また、「やはり8・9番が出てくれると、こちらの意図したゲーム展開に持ち込めるので、いい形が作れました。昨日まで緊張してガチガチだったから、“寝ないで素振りしてろ”なんて話もして(笑)。力がないわけじゃないし、オリンピックのために練習を積んできたのだから、後は自分を信じてやるしかない。残り試合も頑張ります」と、やっと笑顔を覗かせた。
先発の坂井は、「負けたら終わりという試合でいい緊張感を持って試合に臨めた。調子・投球内容はまだまだですが……とにかく丁寧に低め低めに集めて、打たせて取ることを意識しました。打たせて取るピッチングが攻撃のリズムにつながっているのなら嬉しいです。今日はチームが心を一つにして燃えていました。まだまだ気は抜けませんが、あと2試合頑張ります」と、謙虚に語った。
2回表に2点目・3点目を叩き出す三塁打を放った山田は、「ホント……今までまったくダメだったので(笑)。やっと仕事ができた感じです。今日からは本当に落とせない試合が続くので気合いが入りました。技術的には、背中が丸まって小さくなっていたので、背筋を伸ばして大きく構えるように意識しました。自分では緊張していないつもりでしたが、やっぱりオリンピックのプレッシャーを知らず知らずの内に感じていたのかもしれません。先輩からはオリンピックと意識しすぎないようにやれと言われていますが……明日からも気持ちを切り替えて、一戦一戦全力で戦いたいと思います」と語った。
3本のバント安打を決めた佐藤(由)は、「とにかく毎日毎日一戦ごとに気持ちを切り替えて……と思っていましたが、なかなか一本が出なくて。自分のやるべきことをしっかりやらなければと思います。今日はよかったですが、今日のことは今日のこと。相手云々ではなく、自分たちのソフトボールを貫く気持ちで行きます」と、早くも明日の戦いに思いを馳せていた。
ようやく宇津木監督が意図する「機動力」ソフトを発揮した日本。まだまだ「負ければ終わり」の厳しい状況は続くが、ようやく明るい兆しが見えはじめた。ダイヤモンド狭しと走り回り、ピッチャーを含めた守りにも溌剌としたリズムが生まれはじめた。後がない状況に追い込まれてはじめて、「日本らしさ」の片鱗がようやく見えはじめた。
日本、イタリアに辛勝! 明日、中国と“決戦”へ
8月19日(木) ギリシャ・アテネ
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
計 |
イタリア |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
日 本 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
X |
1 |
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(日)高山・○上野−山路
〔二塁打〕伊藤(2)
この日の第2試合で中国が台湾に1−0で勝ち、4位以上が確定。すでに2位以上を確定させているアメリカ、オーストラリアに続き、決勝トーナメント進出が決まった。ここまで2勝3敗の日本は、残り2試合を連勝すれば4勝3敗の3位となるが、今日のイタリア戦、明日の中国戦のどちらかでも落とした場合は、限りなく予選リーグ敗退の危機が近づく。ただ、幸いにもまだ自力での予選リーグ通過の道が残されている。残り2試合を勝ちさえすればいいのだ。
日本は百戦錬磨の高山を先発に立て、必勝を期したが、初回は1番・山田、2回には5番・山路と先頭打者が立て続けに安打を放つものの得点には至らず、嫌な雰囲気が漂った。 チャンスを逃した後にはピンチがくる。この格言通り、高山がイタリア打線に長短打を浴び、無死一・三塁。しかし、何度も修羅場をくぐり抜けてきた高山がここは踏ん張る。後続を三振、サードフライ、ピッチャーゴロに打ち取り、絶体絶命のピンチを切り抜けた。
こうなると今度は日本に流れがくる。3回裏、一死から1番・山田が三塁強襲安打で出塁。二死後、3番・伊藤の当たりが弾丸ライナーとなってセンターの頭上を襲う。懸命に差し出したグラブの先をすり抜け、アッという間に外野フェンスに達した。一塁走者・山田が俊足を飛ばして一気にホームイン。待望の先取点が日本にもたらされた。
4回表、日本は高山がこの回の先頭打者に痛烈なサードライナーを打たれたところで思い切りよく上野にスイッチ。早めの継投で勝負に出た。代わった上野はイタリア打線を寄せつけず、3回2/3をノーヒットに抑え、「虎の子」の1点を最後まで守り切った。
試合後、宇津木監督は、「球審の判定が辛いようだったので、コントロール重視の高山から力で勝負できる上野に早めに切り替えました。最初から継投でいくつもりでいましたし、あまり引っ張って取り返しのつかない状態になってしまったからでは遅すぎますから。とにかく後がなく、勝つしかないのだし、何ふり構ってはいられません。とにかく勝たなければ先へ進めないのですから……。内容的には満足できるものではありませんが、今は勝つという結果が何より大切です」と語った。
見事なリリーフを見せた上野は、「初戦、2戦目の悔しさぶつけました。自分を信じ、バックを信じて投げましたが、正直一つ勝ててホッとしています。ただ、まだまだ後のない戦いが続きますから、気を緩めることなく、残り試合も頑張ります」と語った。
明日の中国戦、決勝トーナメントと連投が予想されることについて質問が飛ぶと、「いつでもいけるように準備だけはしています。行けと言われればいつでも行きます。連投は気にならないし、スタミナにも不安はありません」と、キッパリと言い切った。
貴重な先制打を放った伊藤は、「無心で来たボールを思い切り打つことだけを考えていました。とにかく何ふり構わず勝ちに行くだけです。チーム全員で心を一つにして戦いたいと思います」と、残り試合への決意を口にした。
ここまですでに3敗を喫し、予選リーグ敗退の危機にあることについては、「正直、このような状況は予想もしていませんでした。油断したわけではありませんが、アメリカにもオーストラリアにも勝てると思っていましたし、ましてやカナダに負けることなど考えてもいませんでした。後がないプレッシャーは確かにありますが……。勝たなければ先へ進めないのですから、最後まで勝ち続けるだけです」と、力強く語った。
明日の予選リーグ最終日を残し、ここまでの順位は6戦全勝のアメリカが1位。これに5勝1敗のオーストラリアが続き、3勝3敗の日本と中国が3位に並び、2勝4敗のカナダ、ギリシャ、台湾と続き、1勝5敗のイタリアが最下位という結果となっている。
日本は明日の中国戦に勝てば、4勝3敗で3位が確定する。しかし、もしこの試合に敗れるようなことがあれば、明日の第1試合のイタリア対カナダ戦でカナダが勝った場合には、3勝4敗の同率で並び、直接対決でカナダに敗れている日本の予選リーグ敗退が決まってしまう。もちろん第3試合でギリシャがオーストラリアに勝ち、3チームが同率に並べば、失点の少ない日本が4位の座を確保するケースもあり得るが、その可能性は極めて低く、現実的にはオーストラリアの敗戦は考えにくい。
日本には、もはや中国に勝つしか道はないと考えるべきだろう。プレッシャーのかかる一戦。金メダルへの道が再び開かれるか否か、すべては明日の中国戦で決まる。今こそ日本の“真価”が問われる。
上野、完全試合達成! 日本、3位で決勝トーナメント進出!!
8月20日(金) ギリシャ・アテネ
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
計 |
中 国 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
日 本 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
1 |
X |
2 |
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(日)○上野−山路
〔二塁打〕山田
この日の第1試合でカナダがイタリアに1−0で勝ち、通算成績を3勝4敗とし、第4試合の日本対中国で日本が敗れれば同率で並び、日本との直接対決で勝利しているカナダが決勝トーナメント進出の可能性を残した。敗れたイタリアは通算1勝6敗。最下位が決定した。
第2試合では、アメリカが台湾を3−0で下し、7戦全勝。予選リーグ1位通過を決め、敗れた台湾は通算成績を2勝5敗とし、予選リーグ敗退が決まった。
第3試合では、オーストラリアがギリシャに2点を先制されながら2本のホームランで3−2の逆転勝ち。オーストラリアが6勝1敗の2位で決勝トーナメント進出を決め、敗れたギリシャは地元の熱い声援も空しく、通算2勝5敗。予選リーグで姿を消した。
そして、第4試合に日本が登場。同じく3勝3敗の中国と対戦した。同率に並んでいるとはいえ、中国はこの試合に敗れても4位で決勝トーナメントに進めるのに対し、日本はカナダとの直接対決に敗れているため、この試合に敗れるようなことがあれば、カナダと3勝4敗の同率に並んでも大会規定で順位は5位となり、決勝トーナメント進出の道が閉ざされてしまうことになる。
日本の先発は上野。中国には'02年の世界選手権、このアテネ・オリンピック直前のカナダカップと2度も完全試合を達成している。「2度あることは3度ある」の格言があるとはいえ、まさかこの大事な一戦でその「3度目」の偉業達成を目の当たりにすることになろうとは……誰が予想しただろうか。
上野が快調なピッチングを続ける一方、打線は相変わらずチャンスは作るがあと一本が出ない。初回の無死二塁、2回の一死一・二塁、3回の一死二・三塁と立て続けにチャンスを逃す。ようやく5回、1番・山田がセンター前ヒット。続く2番・三科の送りバントが内野安打となり、無死一・二塁としたが、3番・伊藤、4番・山路が倒れて二死となり、「またしてもチャンスを逃したか……」と思われたが、5番・宇津木が執念のレフト前タイムリー。“主砲”のバットがようやく火を噴き、待望の先取点を挙げた。日本は6回にも、この回先頭の7番・内藤がセンター前ヒット。8番・岩渕が追い込まれながらもしぶとく内野安打でつなぎ、9番・佐藤(由)が手堅く送った後、1番・山田がキッチリ中犠飛を打ち上げ、貴重な2点目。勝利を決定づけた。
この日の上野には2点のリードは十分すぎた。MAX117kmの快速球が唸りを上げ、絶妙な間合いでチェンジアップを配していく山路の好リードにも導かれ、まさに「パーフェクト」なピッチング。最後の打者をセカンドゴロに打ち取り、完全試合を達成。絶体絶命の窮地に追い込まれ、「負ければ予選リーグ敗退」が決まる大事な一戦で事も無げに偉業を成し遂げ、決勝トーナメント進出を決めた。
試合後、宇津木監督は、「2回も3回も大事な試合で簡単に完全試合をやってのけるのだから……。相性のいい中国、上野の好きなナイトゲームと、条件は揃っていたのでやってくれるとは思っていましたが、まさかこれほどのピッチングを見せてくれるとは思いませんでした。今日は上野のピッチングに感謝したい気持ちでいっぱいです」と、安堵の表情で語った。
しかし、攻撃面に話が及ぶと、「送りバントが決まらない。初回に山田が二塁打を打って、三科が送ってさえいれば、もっと簡単に点は取れたはず。麗華、斎藤を筆頭に配球とか、絞り球とかをあれこれ考えすぎている。来た球を思い切り打てばいいんだから、もっとシンプルに考えないと。ただ、いい場面でやっと一本打ってくれましたから、これで乗ってくれるといいのですが」と、渋い表情。
4勝3敗の3位での予選リーグ通過については、「負けることはまったく考えていませんでした。崖っぷちであったことは確かですが、自分たちのソフトボールさえできれば、道は開けると信じていました。明日、一日試合がありませんので、心身共にリフレッシュさせて決勝トーナメントに臨みたいと思います」と、会見を締めくくった。
完全試合を達成した上野、山路のバッテリーは、「前半からチャンスがありながら得点できずにいたので、とにかくランナーを出さないよう、失点する確率を少なくするよう、細心の注意を払って慎重にピッチングを組み立てました。その積み重ねが知らず知らずのうちに完全試合につながっていったように思います」と、記録ではなく、あくまでも勝負に、勝つことにこだわった結果であることを強調した。
また、「どんなに苦しくても最後は勝つんだと強い気持ちで臨みました。ここまで確かに苦しみましたが、その中で何とか勝ち上がってこれたことが、また新たな自信になりますし、最初苦しんだ分、徐々にチームの調子も上がってきていると感じますし、これからが本当の勝負です。苦しんだ分だけ強くなれた気がします」と、決勝トーナメントへの決意を語った。
先制タイムリーを放った宇津木麗華は、「配球への読みや狙い球の絞り方に迷いがあり、これまで何度もチャンスに凡退していたので気合いが入りました。スタンドから、ベンチから、熱い声援をいただき、それが力になりました。これが最後の打席になるかもしれないという思いで打席に入り、今までやってきたすべてをこの打席でだそうと集中していました。こういう場面で打席が回ってくる、巡り合わせを持った選手なのだと自分でもつくづく思いましたし、神様はいるんだ……と感じました」と、決勝打を放った打席を振り返った。
日本は苦しみながらも4勝3敗の3位で予選リーグを通過。明日、21日(土)は試合がなく、翌22日(日)に再び中国と対戦。勝てばその時点でメダルが確定し、第1試合のアメリカ対オーストラリアの敗者とファイナル進出をかけて戦うことになる。
苦しみ、傷だらけになりながらも決勝トーナメント進出を果たした日本。金メダルへの望みは首の皮一枚つながっている。負ければ終わりのトーナメント。金メダルへの「本当の勝負」がこれからはじまる。
予選星取表
*予選リーグの勝敗が同率の場合の規定について
1. 同率チーム同士の対戦結果で決める
2. 同率チーム同士の失点で少ないチームが上位
3. 予選リーグ全試合の総失点で少ないチームが上位
上野、完封。宇津木、執念の決勝打! 日本、銅メダル以上が確定!!
8月22日(日) ギリシャ・アテネ
(決勝トーナメント 3位・4位戦〉
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
計 |
日 本 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
1 |
中 国 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
X |
0 |
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(日)○上野−山路
〔三塁打〕山田
〔二塁打〕宇津木
予選リーグを4勝3敗の3位で通過。一時は「予選リーグ敗退か……」と心配された日本だが、何とか決勝トーナメントの舞台まで辿り着いた。この日の第1試合、中国(予選リーグ3勝4敗の4位)に勝てばとりあえず銅メダル以上が確定し、今日の第2試合、アメリカ(予選リーグ7戦全勝の1位)対オーストラリア(6勝1敗の2位)の敗者と第3試合で対戦することになる。
日本は予選リーグの最終戦となった中国戦で完全試合を達成した上野が先発。中国相手には過去3度も完全試合('02世界選手権、'04カナダカップ、'04アテネ・オリンピック)を達成している相性のいい相手だけに、マウンドに立つ姿にも自信が感じられた。
3回表、日本は一死から1番・山田が左中間への三塁打を放つ。続く2番・内藤のところでスクイズを仕掛けるが、これがピッチャーの正面に転がり、三塁走者・山田が本塁憤死。惜しいチャンスを逃すと、その後も毎回のようにチャンスを作りながら決定打が出ない。重苦しい試合展開のまま、試合は延長タイブレーカーへともつれ込んだ。
日本は8回表、タイブレーカーの走者を二塁に置き、3番・伊藤がピッチャー前に強めのプッシュバントを転がし、一死三塁。4番・山路のバットに期待がかかったが、ピッチャーゴロに倒れて二死となり、またしてもチャンスを逃したかと思われたが、5番・宇津木が執念の決勝打。予選リーグ最終戦に続き、勝負どころで貴重な一打を放った。
その裏、中国も必死に反撃。タイブレーカーの走者を手堅く三塁へ送り、次打者がセンターフライを打ち上げる。「同点か……」と思われた次の瞬間、センター・山田の「レーザービーム」が炸裂した。ホームを死守するキャッチャー・山路のミットに糸を引くような送球が返り、本塁寸前タッチアウト。劇的な幕切れで日本が勝利を収めた。
試合後、宇津木監督は、「先発は中国に相性のよい上野と決めていた。スクイズの場面は、内藤が前の打席でも打っていたし、信じて打たせてもよかったかもしれない。少しこちらが動きすぎているのかも……。シドニーと違って、ここまで内容は決してよくないですし、苦しい試合が続いていますが、それでも何とか勝ち続けることで少しずつチームに逆境に負けないたくましさも生まれてきています。崖っぷちで踏みとどまり、綱渡りのような試合ばかりですが……とにかくあと一つ勝ってファイナルへ進みたい」と、語った。
中国打線を完封した上野は、「予選リーグの最終戦を100点とすれば80点ぐらいの出来。暑くてコントロールにも甘さがあって……。とにかく辛抱して投げよう、粘り強く投げようと心がけました。連投は気になりません。行けと言われればいつでも行きます。もう負ければ終わりなのですから……やるしかありません!」と気丈に語った。
最後の場面、中国のタッチアップを阻止した山田は、「飛んできたら“絶対に刺してやる”と思っていました。アメリカ戦では刺せなかったので、同じ失敗は絶対にしないと自分に言い聞かせながら守っていました。チャンスがあって取れない流れだと、どうしても苦しい試合展開になりますが、苦しみながらも何とか勝ち星を積み重ねてきたことで、チームの調子も少しずつ上向いてきていると感じています。予選リーグの前半戦は思うようなプレーができませんでしたが、3敗して後がなくなったことでかえって開き直り、強気で攻めよう、攻めるしかないという気持ちになれました。とにかくピッチャーが頑張ってくれていますので……少しでも援護できるよう頑張ります!」と、調子が上向いてきたこともあり、明るい表情を見せていた。
決勝打を放った宇津木麗華は、取り囲む報道陣を避けるように、ロッカールームに足早に消え、「ありがとうございます! 頑張ります!!」の一言だけを残した。勝負はまだ終わっていない。その厳しく引き締まった表情と見据える視線の先に、金メダルが見えた気がした。
決勝トーナメント セミファイナル
8月22日(日) ギリシャ・アテネ
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
計 |
オーストラリア |
0 |
0 |
0 |
0 |
3 |
0 |
0 |
3 |
日 本 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
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(日)●高山・坂井−山路
〔二塁打〕三科(2)
勝ってファイナルでアメリカと再び戦う。金メダルへの夢をかけ、日本はオーストラリアと対戦した。オーストラリアの先発は予選リーグの初戦で1回途中からリリーフに立ち、日本打線をノーヒットに抑えたハーディング。日本はベテラン・高山にすべてを託した。
高山はその立ち上がり、いきなり先頭打者・ワイボーンに一・二塁間を破られたが、落ち着いて後続を断ち、4回までオーストラリア打線を無得点に封じた。
しかし、日本打線もハーディングをとらえられない。2回裏、二死から7番・三科が左中間を破る二塁打を放つが後続なく、その後もいい当たりは野手の正面を突き、相手守備陣のファインプレーに阻まれ、得点できない。
迎えた5回表、オーストラリアはこの回先頭のモローがレフト線へ痛烈な当たり。レフトの佐藤(由)が回り込んでこれを抑えたかに見えたが、まさかのトンネル。無死三塁のピンチを招いてしまった。続く7番・カーパディオスが三振に倒れ、一死となった後、8番・ハーディングがファウルで粘って四球で歩き、9番・モズリーが死球で満塁。1番・ワイボーンに走者一掃の二塁打を浴び、3点を先制された。
日本もその裏、9番・佐藤(由)の死球、1番・山田のピッチャー強襲安打で二死一・二塁の反撃機を作ったが、2番・内藤がショートゴロで得点には至らず、7回裏にも7番・三科が二塁打を放って得点圏に走者を進めたが、8番・岩渕、代打・坂本が内野ゴロに打ち取られ、セミファイナルで力尽きた。
試合後、宇津木監督は、「この試合に勝って、もう一度アメリカと戦いたかった。そのための準備はしてきたつもりでしたし、ピッチャーのローテーションもそれを考えて回していました。シドニーのときには三拍子揃った選手ばかりではなかったけれども、その分、チーム全員が心を一つにして戦い、戦いに必要な運やツキまで呼び込むことができましたが、今回は最後までツキにも見放され、苦しい展開ばかり続いて……。ただ選手は本当によく頑張ってくれましたし、精一杯やってくれたと心から感謝しています。今はただ、監督としてこの敗戦の責任を重く受け止めるばかりです」と、こみ上げる涙をこらえながら絞り出すように語った。
敗戦投手となった高山は、「ルール改正の影響を受け、なかなかイメージ通りのピッチングができず苦労しましたが、このオリンピックでは結果は伴いませんでしたが、自分のピッチングができたと思いますし、自分の役割は果たせたと思っています。ただ……自分が頑張ってあと一つ勝てば、もう一度若いピッチャーに投げるチャンスを与えられたのにと思うと、それが悔しくて、申し訳ない気持ちでいっぱいです」と、涙ながらに語った。
キャプテンを務めた宇津木麗華は、「もう一度アメリカと戦いたかった。そのための練習を積み重ねてきたのに……。これで選手として日本代表のユニフォームを着ることはないと思います」と、静かな口調で語った。
世界の舞台で勝つことが並大抵のことでないことを、このオリンピックが教えてくれた。それと同時に日本には「金メダル」を獲るだけの力があるということも証明したはずである。簡単ではないが、今後の取り組み次第では、夢を実現することは可能である。
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