第42回日本男子ソフトボール東日本リーグの最終節となる第3節が、去る10月19日(土)〜21日(月)の3日間(雨天のため1日順延)、福井県福井市/福井フェニックススタジアム、福井市きららパーク多目的グラウンドを会場に開催された。
最終節となった今節は、東日本リーグ制覇、そして決勝トーナメント進出をかけ、全8チームが激戦を展開。ここまで無傷の10連勝を飾り、「首位を独走」していたホンダエンジニアリングが、最終節も唯一“全勝”で突っ走り、圧倒的な強さで王座奪還。2位・デンソーに勝ち星3つ差をつける文句なしの内容で、全勝優勝を飾った。また、決勝トーナメント進出をかけた争いは、優勝・ホンダエンジニアリング(14勝0敗)、2位・デンソー(11勝3敗)、3位・トヨタ自動車(9勝5敗)、4位・岐阜エコデンSC(7勝7敗)、以上の4チームの決勝トーナメント進出が決まった。
前節終了時点で、未だ負けなし、無傷の10連勝と首位を独走するホンダエンジニアリングは、初日、まず埼玉県庁クラブ戦に、浦本大嗣の2打席連続ホームラン、保坂真樹、佐藤輝のタイムリーなどで8−7と打ち勝つと、ここから再び勢いを加速させ、続くYKK戦にも、浦本大嗣、黒田友也のスリーランホームランなど「一発攻勢」で10−2の圧勝。最終日も、まず大阪グローバル戦に、糸瀬勇助、佐藤輝、浦本大嗣のホームランなど12安打を浴びせて11−1の6回コールド勝ち。最終戦となったトヨタ自動車戦では、脇田良博、永吉孝臣、浅野公太、浜口辰也と4人の投手をつぎ込む総力戦の末、3−2で勝利を収め、4戦全勝。今シーズンの戦いを無傷の14連勝で終え、圧倒的な強さで東日本リーグを制覇。見事「王座奪還」を果たした。
選手兼任として未だ“抜群の存在感”を示す浜口辰也監督をはじめ、打線では、主砲・黒田友也、浦本大嗣が健在。また、「若い力」も着実に育ってきており、闘争心溢れるムードメーカーとしてチームを引っ張るキャプテン・加藤一秀、長打力と勝負強さを兼ね備えたバッティングが魅力の切り込み隊長・糸瀬勇助らの活躍が今シーズンは際立っている。昨年の決勝トーナメントでは、ファイナルで平林金属に敗れ、惜しくもリーグチャンピオンには手が届かなかったが、今年はその「頂点」も十分に期待できると言っていいだろう。
2位はデンソー。今節初戦のトヨタ自動車戦では、先発を任された山脇佑也がつかまり、2−6の敗戦。この黒星で、最終日を待たずホンダエンジニアリングの優勝が決まってしまったが、続く大阪グローバル戦では、「スーパールーキー」岡阜囀lが好投を見せ、2−0の完封勝利。この勝利で息を吹き返すと、最終日は、まず岐阜エコデンSC戦に、松井徹也のツーランホームラン、西森成のソロホームランなどで着々と得点を重ね、6−1の快勝。最終戦となったYKK戦でも、長岡孝、梶原和樹、松井徹也のホームランを含む19安打の猛攻で14−5と圧勝し、今節3勝1敗。通算11勝3敗で全日程を終了した。
今シーズン注目を集めたのは、やはり「スーパールーキー」岡阜囀l。世界ジュニア選手権準優勝の実績をひっさげ、ルーキーながら第1節、第2節と防御率ではbP。その“大物ぶり”を結果で証明して見せた。まだまだ「完成された投手」とは言い難い部分もあるが、そのピッチングには確かに何かをやってくれそうな期待感がある。山脇佑也との継投も含め、決勝トーナメントではどのような投手起用で臨むのか。注目したいところだ。
3位はトヨタ自動車。今節初戦のデンソー戦に、初回、1点を先制されながら、「売り出し中の若手」田中慎太郎の3打数3安打の活躍などで6−2の鮮やかな逆転勝ち。この勝利で勢いをつけ、続く豊田自動織機戦にも、田中慎太郎、戸塚健斗のスリーランホームランなど11安打を浴びせて11−1の5回コールド勝ち。最終日も、まず埼玉県庁クラブを、田中慎太郎の2本のタイムリー、濱口寿二のツーランホームランなど10安打を浴びせ、13−1の5回コールド勝ちで一蹴。しかし、最終戦となった首位・ホンダエンジニアリングとの対戦では、エース・木原道哲が2回表に先制点、7回表に追加点を奪われ、2−3の惜敗。全勝のホンダエンジニアリングに土をつけることはできなかったが、最終節を3勝1敗と勝ち越し、通算9勝5敗で全日程を終えた。「伸び盛りの左腕」エース・木原道哲が、昨年に続き決勝トーナメントの舞台でどのようなピッチングを展開するのか。また、今節見事な“固め打ち”を見せた「注目の若手」田中慎太郎のバッティングにも期待が高まる。
決勝トーナメント進出「残り一枠」をかけた争いを制し、4位に滑り込んだのは岐阜エコデンSC。今節も、嶋田智希、坂本俊行の不安定なピッチングに左右され、終始“打ち合い”となる試合展開を強いられたが、現役日本代表、元日本代表を揃える「打線の力」で何とか決勝トーナメント進出を決めた。だが、一つ気にかかったのは、上位チーム(ホンダエンジニアリング、デンソー、トヨタ自動車)との対戦で、今シーズン1勝も挙げられなかったということ。決勝トーナメントに進出するだけではなく、さらにその上を、「頂点」を狙おうというのであれば、やはり「打線の力」だけでは厳しい。チームの「二枚看板」でもある嶋田智希、坂本俊行は、現役日本代表、元U19日本代表の実績があるだけに、決勝トーナメントでは、ぜひ“輝き”を放ってもらいたいものである。
岐阜エコデンSCとの「4位争い」に敗れた埼玉県庁クラブ、大阪グローバルは、ともに通算5勝9敗で全日程を終了。互いの直接対決の勝敗により、最終順位は5位・埼玉県庁クラブ、6位・大阪グローバルとなった。
埼玉県庁クラブは今節1勝3敗。初戦のホンダエンジニアリング戦、続く岐阜エコデンSC戦に続けて7−8と競り負け、連敗を喫したことで、4位の可能性が完全に消滅した。岐阜エコデンSC同様に、打線にはタレントを揃えているが、現時点では投手陣が不安材料と言わざるを得ない状況にある。
大阪グローバルは、最終日まで何とか4位滑り込みの可能性を残したが、埼玉県庁クラブ戦に4−7で敗れ、8敗目を喫したことにより、決勝トーナメント進出の可能性が消滅。今年は昨年を上回る5勝を挙げるなど上位進出の兆しを見せただけに、「名門復活」へ、来シーズンどのような戦いを見せてくれるのか楽しみである。
豊田自動織機は今節元気なく4連敗。最終順位は通算4勝10敗の7位と沈んだ。選手個々の顔ぶれを見れば、上位争いを展開しても決しておかしくないチームなのだが……。今ひとつ何かが噛み合わない。勝負へのこだわり、勝利への執念。選手それぞれの能力を最大限に引き出す戦術・戦略など、来シーズンに向けて何か具体的な策を打ち出さなくてはならない時期にきているのではないだろうか。
YKKは最終戦となった豊田自動織機戦に7−5で勝利し、何とか「1勝」を挙げたものの、通算1勝13敗の最下位で今シーズンを終了。チームの核となるエースがおらず、現時点では毎試合二桁失点を喫してしまう非常に厳しい状況に立たされている。「新戦力」を補強するなど、明るい兆しが見えれば状態も上向いてくるかもしれないが、このままでは今後も苦しい戦いは続きそうである。
第42回日本男子ソフトボール東日本リーグ、各チームの最終成績は下記の通り。西日本リーグの上位4チームとともに「真の日本リーグチャンピオン」の座が争われる第42回日本男子ソフトボールリーグ決勝トーナメントは、11月16日(土)・17日(日)の両日、愛知県豊田市・豊田市運動公園ソフトボール場において開催される。
今シーズンの決勝トーナメントでは、東西両リーグの8強がどのような戦いを繰り広げてくれるのか。男たちの「最後の決戦」に注目したい。
第42回 日本男子ソフトボール東日本リーグ 最終順位 |
順位 |
チーム名 |
勝 |
敗 |
優勝 |
ホンダエンジニアリング |
14 |
0 |
2位 |
デンソー |
11 |
3 |
3位 |
トヨタ自動車 |
9 |
5 |
4位 |
岐阜エコデンSC |
7 |
7 |
5位 |
埼玉県庁クラブ |
5 |
9 |
6位 |
大阪グローバル |
5 |
9 |
7位 |
豊田自動織機 |
4 |
10 |
8位 |
YKK |
1 |
13 |
※5位・6位はリーグ規程により、同率チームの直接対決の勝敗で順位を決定
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