2013.11.18
 

 

第42回日本男子ソフトボールリーグ決勝トーナメント

ダイワアクト、2年ぶり3回目の頂点へ!



ダイワアクトが2年ぶりの王座返り咲き!


東西両リーグの上位4チームが
「真の日本リーグチャンピオン」の座をかけ、熱戦を繰り広げた



【準決勝】ダイワアクト 対 平林金属
7回表、「投打の柱」アンドリュー・カークパトリックが決勝ツーラン!
2年ぶりのリーグチャンピオンへ王手



平林金属の決勝トーナメント連覇はならず……



【準決勝】デンソー 対 岐阜エコデンSC
デンソーが延長8回タイブレーカーにおよぶ接戦を制す



岐阜エコデンSCも粘り強く戦ったが、準決勝敗退。
序盤の失点がなければ、試合はまた違った展開になっていたかもしれない



【決勝】ダイワアクト 対 デンソー
この試合もアンドリュー・カークパトリックが試合を決めるスリーラン!
「世界トップレベルの実力」を見せつけた



地元の熱い声援に応え、デンソーも懸命に応戦
最終回には1点差に詰め寄り、会場を大いに沸かせた



ダイワアクト、2年ぶり3回目の優勝!
田中紘一郎監督をはじめ、「生え抜き選手」たちの存在も大きかった

 


第42回日本男子リーグ決勝トーナメント/愛知県豊田市

 今シーズンの日本男子ソフトボールリーグの王者を決める「第42回日本男子ソフトボールリーグ決勝トーナメント」が、11月16日(土)・17日(日)の両日、愛知県豊田市・豊田市運動公園ソフトボール場において開催された。

 この決勝トーナメントには、今シーズンの東西両リーグ上位4チーム(計8チーム)が出場。真の日本リーグチャンピオンの座をかけて「最後の決戦」が繰り広げられた。
 今回、東日本リーグからは、リーグ戦を14勝0敗と圧倒的な強さで駆け抜け、全勝優勝を飾ったホンダエンジニアリングをはじめ、2位・デンソー、3位・トヨタ自動車、4位・岐阜エコデンの4チームが出場。
 西日本リーグからは、リーグ戦を12勝4敗、リーグ加盟5年目にして初の西日本リーグ制覇を果たした大阪桃次郎をはじめ、2位・ダイワアクト、3位・Neo長崎、4位・平林金属の4チームが出場し、覇が競われた。

 大会初日は1回戦4試合が行われ、まず第1試合でトヨタ自動車(東3位)とダイワアクト(西2位)が対戦。ダイワアクト・アンドリュー・カークパトリック、トヨタ自動車・木原道哲の「両エース」が一歩も譲らぬ投手戦を繰り広げ、迎えた5回裏、ダイワアクトが相手守備の乱れと2番・吉田和史のタイムリーで2点を先制。このリードを「世界一の左腕」アンドリュー・カークパトリックが被安打1、奪三振10の快投で最後まで守り抜き、完封。ダイワアクトが2−0で勝利し、まずは準決勝進出を決めた。

 第2試合では、ホンダエンジニアリング(東1位)と平林金属(西4位)が対戦。昨年の決勝トーナメント・ファイナルと同じ顔合わせとなったこの対戦では、平林金属が3回裏、ホンダエンジニアリングの先発・浜口辰也を攻め、二死一・三塁のチャンスから3番・松田光の一・二塁間を破るタイムリーで1点を先制。この先制点で試合の流れをつかむと、続く4回裏にも、一死から6番・平本拓朗が左中間へ弾丸ライナーで突き刺さるソロホームランを放ち、2点目を追加。勢いに乗る平林金属は、終盤6回裏にも二死一塁から6番・平本拓朗がバックスクリーン右へ2打席連続となる豪快なツーランを叩き込み、ダメ押しの2点を追加。今シーズンここまで圧倒的な強さを見せてきた東日本リーグ王者を見事撃破し、4−0で快勝した。

 第3試合、大阪桃次郎(西1位)と岐阜エコデンSC(東4位)の一戦は、ともに「強力打線」を売りにする両チームが激しい打ち合いを展開。3回終了時点で大阪桃次郎が5−4と1点をリードしたが、迎えた5回裏に岐阜エコデンSC打線が爆発。この回先頭の3番・横山拓がショートへの内野安打で出塁すると、ここから4番・枦山竜児、5番・嶋田智希、6番・山崎優が鮮やかな3連打を浴びせ、逆転に成功。なお、一死後、四球で満塁と攻め立て、9番・島袋光太のレフト前タイムリーで1点を追加。さらに1番・前裕也が三遊間を破る安打で続き、一死一・三塁とした後、2番・鈴木周平がセンターへキッチリと犠牲フライを打ち上げ、この回一挙6点。元日本代表、現役日本代表を揃える自慢の「強力打線」がその実力をいかんなく発揮し、大阪桃次郎・クリス・ケイフル、中島幸紀に計11安打を浴びせ、大量10点を奪い、10−6で乱打戦を制した。

 第4試合では、Neo長崎(西3位)とデンソー(東2位)が対戦。デンソー・岡阜囀l、Neo長崎・森勇紀、両先発投手が見応えのある投げ合いを繰り広げ、序盤は両チーム譲らず0−0。迎えた4回裏、デンソーは5番・松井徹也、6番・川田寛明の連打で無死一・二塁のチャンスを作ると、7番・稲木香介が走者一掃のタイムリースリーベースを放ち、2点を先制。さらに、続く代打・中村和也にもバックスクリーン直撃の鮮やかなツーランホームランが飛び出し、大きな2点を追加。「長打攻勢」でこの回一挙4点を奪い、試合の主導権を握った。勢いに乗ったデンソーは、5回裏にも一死から4番・川崎智秋、5番・松井徹也の長短打でダメ押しの5点目を追加。守っては、先発・岡阜囀lが4回を投げ、被安打2の好投。最後は5回表からリリーフした山脇佑也が最終回に1点を返されたものの、このリードを守り抜き、5−1の快勝。地元の熱い声援に応え、準決勝へ駒を進めた。

 大会2日目は準決勝・決勝の3試合が行われ、まず準決勝第1試合でダイワアクト(西2位)と平林金属(西4位)、準決勝第2試合でデンソー(東2位)と岐阜エコデンSC(東4位)が、それぞれ決勝進出をかけ、激突した。

 準決勝第1試合、ダイワアクト(西2位)対平林金属(西4位)の対戦は、昨年この決勝トーナメントを制した平林金属・松田光と、2年ぶりの王座返り咲きを狙うダイワアクト・アンドリュー・カークパトリックが、息詰まる投手戦を展開。両チームともにチャンスを作りながらも得点に結びつけることができず、試合は0−0のまま最終回に入った。迎えた7回表、ダイワアクトはこの回先頭の3番・福井庸祐がフルカウントから四球を選び、出塁すると、4番・アンドリュー・カークパトリックがツーボール・ワンストライクからの4球目を豪快に振り抜き、これが右中間スタンドへ矢のように突き刺さるツーランホームランとなり、先制。立ち上がりから多彩な球種と緩急を使い分け、粘り強いピッチングを続けてきた松田光を、ここでついに“投打の柱”がとらえ、喉から手が出るほどほしかった先制点を奪った。守っては、そのアンドリュー・カークパトリックが7回裏の平林金属の攻撃を三者凡退に抑え、初日に続いてこの試合も完封。2試合続けて投手戦をモノにし、一足先に決勝進出を決めた。

 準決勝第2試合では、デンソー(東2位)と岐阜エコデンSC(東4位)が対戦。デンソーは2回表、この回先頭の4番・川崎智秋がセンターバックスクリーンに直撃する特大のソロホームランを放ち、1点を先制。一死後、6番・川田寛明にもライトオーバーのソロホームランが飛び出し、この回2点を挙げると、続く3回表にも、2番・西森成のタイムリーで3点目を追加し、このまま有利に試合を進めるかと思われた。
 しかし、岐阜エコデンSCも黙ってはいない。3回裏、デンソーの先発・山脇佑也を攻め、一死一・二塁から2番・鈴木周平、3番・横山拓の連続タイムリーで2点を返し、1点差に詰め寄ると、迎えた5回裏には、代わった岡阜囀lにプレッシャーをかけ、連続四球と3番・横山拓のレフト前に落ちる安打で一死満塁。ここで4番・枦山竜児がしぶとくセンター前にタイムリーを放ち、同点。勝利への執念を見せ、試合を振り出しに戻した。
 6回、7回と互いに得点を奪うことができず、試合は3−3のまま延長タイブレーカーに突入。迎えた8回表、デンソーはタイブレーカーの走者を二塁に置き、1番・槙田直也の一・二塁間を破るタイムリーで1点を勝ち越すと、なお一死三塁のチャンスで3番・長岡孝もしぶとく一・二塁間を破り、勝利をグッと引き寄せる大きな5点目を追加。守っては、その裏の岐阜エコデンSCの攻撃を、「スーパールーキー」岡阜囀lが“渾身のピッチング”で三者凡退に切って取り、5−4で手に汗握る接戦に勝利。決勝進出を果たした。

 西日本リーグ、東日本リーグの2位対決となったダイワアクト対デンソーの決勝戦は、ダイワアクトが2回表に先制攻撃。二死から7番・田中紘一郎が四球を選び、出塁すると、8番・田中亮多の左中間を破るタイムリーツーベースで1点を先制。試合の流れをつかんだ。ダイワアクトは、続く3回表にも、一死一・二塁から4番・アンドリュー・カークパトリックが左中間へ特大のスリーランホームランを叩き込み、大きな3点を追加。この試合も“投打の柱”が“世界トップレベルの実力”を見せつけ、着々とリードを広げた。
 地元の熱い声援に応えるべく、何とか反撃に出たいデンソーも3回裏、8番・清水洸佑、9番・植松洋介の連打、内野ゴロで一死二・三塁のチャンスを作ると、二死後、3番・長岡孝のレフト線への走者一掃のタイムリースリーベースで2点を返し、反撃。2点リードされたまま迎えた土壇場の7回裏にも、この回先頭の5番・松井徹也が初球を豪快に振り抜き、センターオーバーのソロホームラン。1点差に詰め寄ると、さらに一死後、7番・西森成がレフトオーバーのツーベースを放ち、一打同点、一発が出れば逆転サヨナラという場面を作った。しかし、最後は「世界一の左腕」アンドリュー・カークパトリックが後続を連続三振。このピンチで再びギアを入れ直したかのように、最後は自慢の速球で空振り三振にしとめ、4−3で逃げ切り、ダイワアクトが2年ぶり3回目の優勝を飾った。

 ダイワアクトの2年ぶり3回目の優勝で幕を閉じた今年の決勝トーナメント。今回は、「世界一の左腕」アンドリュー・カークパトリックが、再びその“世界トップレベルの実力”を見せつけたトーナメントとなった。1回戦のトヨタ自動車戦では、被安打1、奪三振10のほぼパーフェクトに近いピッチング。準決勝の平林金属戦、そして決勝のデンソー戦では、その安定感抜群のピッチングはさることながら、バッティングでも自ら決勝点となるツーラン、スリーランを叩き込むなど、まさに“投打の柱”として優勝の立役者となって見せた。身長2mの長身から繰り出され、球速120km/h後半のライズ、ドロップで押しまくる従来のピッチングスタイルだけではなく、ここ数年は打者の特徴や試合の状況によって「緩急」も巧みに使い分けるようになってきている。また、常に「一発」が期待できる群を抜いたバッティングセンスもやはり素晴らしい。来シーズンも、各チームにとって「最大の難敵」となることは間違いないだろう。この“投打の柱”アンドリュー・カークパトリックを支えた経験豊富な「生え抜き選手」たちの存在も非常に大きかった。日本代表としての経験もあり、今シーズン監督兼任となった田中紘一郎を中心に、福井庸祐、白水啓太、田代順平、石嵜祥吾ら「日本リーグチャンピオン」を経験した選手らが、シーズンを通して絶対的エースをしっかりとバックアップ。個々が自らの役割に徹しながら、攻守に終始安定したプレーを見せ続けた。長期のリーグ戦、また短期のトーナメント、試合の勝負どころや勝ち方をチーム全体がしっかりと心得ている。アンドリュー・カークパトリックという絶対的な存在に隠れがちではあるが、そういった部分もこのチームの強みなのではないだろうか。

 惜しくも準優勝に終わったデンソーも、地元の熱い声援に応え、最後の最後まで見る者の心を打つプレーを見せてくれた。キャプテン・長岡孝を中心に、将来性があり、イキのいい若い選手たちが台頭してきており、今後が非常に楽しみである。準決勝・岐阜エコデンSC戦での激戦の末に指先の豆が割れ、決勝での登板こそなかったが、「スーパールーキー」岡阜囀lのピッチングにもやはり光り輝くものがあった。山脇佑也との“二枚看板”として、今後どのような成長を遂げてくれるのか、来シーズンのプレーがすでに待ち遠しくも思える。