第42回日本男子ソフトボール西日本リーグの最終節となる第4節が、去る10月26日(土)・27日(日)の両日、広島県尾道市/御調ソフトボール場を会場に開催された。
最終節となった今節は、西日本リーグ制覇、そして決勝トーナメント進出をかけ、全9チームが激戦を展開。前節終了時点で通算10勝3敗と単独首位に立っていた大阪桃次郎が、最終節を2勝1敗で乗り切り、念願の「西日本リーグ制覇」を果たした。また、決勝トーナメント進出をかけた争いは、各チームが最終日の最終試合まで手に汗握る熱戦を繰り広げ、優勝・大阪桃次郎(通算12勝4敗)、2位・ダイワアクト(通算11勝5敗)、3位・Neo長崎(通算10勝6敗)、4位・平林金属(通算10勝6敗 ※3位・4位はリーグ規程により、同率チーム同士の直接対決の勝敗で順位を決定)、以上の4チームの決勝トーナメント進出が決まった。
前節終了時点で通算10勝3敗と単独首位を走る大阪桃次郎は、初日、まずオール福岡戦に、ドニー・ヘイルのツーラン、今井光太郎、筒井拓友のスリーランを含む13安打を浴びせて14−4の5回コールド勝ち。続くジェイテクト戦では、一転、打線が散発5安打に抑えられ、1−2と競り負けたが、ここから再び集中力を高め、“底力”を発揮。最終日のNeo長崎戦では、初回に1点を先制されたものの、その裏、中村健二、今井光太郎のタイムリーですぐさま逆転に成功すると、4回裏には、一死三塁のチャンスで植田貴也がしぶとく二遊間を破り、試合を決める3点目を追加。このリードを先発・クリス・ケイフルが最後まで守り抜き、最終戦に3−1で勝利。念願の「西日本リーグ制覇」を果たした。
今シーズンは、開幕から6連勝を飾るなど“スタートダッシュ”に成功。第2節でNeo長崎に単独首位の座を一度奪われたが、第3節で4連勝を飾り、再びその首位を奪取。最終節でも終始安定した戦いぶりで勝ち越し、優勝を勝ち取った。チームの強みは何と言っても攻撃力。現役日本代表、現役ニュージーランド代表、元U19日本代表をズラリと揃えた打線は、どの打順からでも「一発」が期待でき、たとえ劣勢に立たされても、一気に試合をひっくり返すことができる。決勝トーナメントの舞台でも、この破壊力抜群の打線が爆発するのか。また、投手陣においても、現在「国内最速」を誇る中島幸紀、オーストラリアからの「助っ人」クリス・ケイフルがどのようなピッチングを展開するのか。豪華タレント軍団の活躍が期待される。
2位はダイワアクト。初日、まず旭化成戦に3−0の完封勝利を飾ると、続く平林金属戦にも2−1と競り勝ち、連勝。最終日も、まずNeo長崎戦に、「投打の柱」アンドリュー・カークパトリックの勝ち越しのソロホームランで2−1と勝利したが、最終戦となったジェイテクト戦では7−10と打ち負け、今節3勝1敗。最終順位は通算成績で大阪桃次郎に勝ち星1つおよばず、2位となった。
前節終了時点で通算8勝4敗。首位・大阪桃次郎とは勝ち星2つ差でこの最終節を迎え、逆転優勝を狙うという部分では非常に難しい状況(仮に大阪桃次郎と同率で並んでも、直接対決で2敗しているため、順位を上回ることはできない)にあったが、最終節もしっかりと勝ち越し、2位の座を確保。「要所を心得た戦いぶり」で決勝トーナメント進出を決めた。かつて西日本リーグ、決勝トーナメントを「連覇」した実績を持つチームなだけに、決勝トーナメントでは、やはり“不気味な存在”になると言えるだろう。チームの「投打の柱」であり、「世界bPの左腕」であるアンドリュー・カークパトリックの活躍にどうしても目がいきがちだが、このチームは決してそれだけではない。決勝トーナメントでは、日本代表の経験もあり、監督兼任でチームを引っ張る田中紘一郎。“日本リーグ連覇”の味を知る福井庸祐、石嵜祥吾、田代順平らのプレーにも注目したいところだ。
3位はNeo長崎。前節終了時点で通算9勝3敗と「勝ち星1つ差」で首位・大阪桃次郎を猛追していたが、今節は初戦のジェイテクト戦に0−1の痛い完封負けを喫し、失速。続く高知パシフィックウェーブ戦では2−0の完封勝利を飾ったものの、最終日、ダイワアクト戦を1−2で落とし、痛恨の5敗目。最終戦となった大阪桃次郎戦にも1−3で敗れ、結局1勝3敗と負け越し、通算10勝6敗の3位(平林金属と同率で並んだが、直接対決の勝敗で上回り3位)で決勝トーナメントに進出することになった。
今シーズンは、第1節から大阪桃次郎に続く2位グループにつけ、第2節では3連勝を飾り、単独首位に浮上。来年に迫った「長崎国体」に向け、気合に満ちた戦いを展開し、確かにその“勢い”を感じさせてくれた。投手陣ではエースの森勇紀、打線では楠本圭、山田圭介、平山靖、濱田慎吾らが中心となり、攻守に活躍。個々の顔ぶれを見れば、決勝トーナメントでも「頂点」を狙える力を十分に有しているだけに、リーグ戦とは違う一発勝負の舞台で、ぜひ「ミラクル」を起こしてもらいたい。
4位に滑り込んだのは平林金属。前節終了時点で通算8勝5敗と、決勝トーナメント進出に向け、負けが許されない状況の中、今節の戦いに臨んだが、初日のダイワアクト戦では息詰まる接戦に持ち込みながらも、1−2で惜敗。この負けで6敗目を喫し、決勝トーナメント進出を決めるためには、最終日の残り2試合に勝つことが絶対条件とされるギリギリの状況まで追い込まれた。最終日は、まずウエストSBC戦に、松田光のソロホームラン、木谷謙吾のタイムリーなどで逆転に成功し、3−1で勝利。勝てば4位決定となるジェイテクト戦では、2回表に一度逆転を許したが、ここから「粘り強さ」を見せ、3回裏、松田光の2打席連続となるソロホームランで同点。さらに2−2のまま迎えた終盤6回裏、相手守備の乱れと難波聖輝のタイムリーで2点を勝ち越し、4−2で手に汗握る接戦に勝利。最後まで苦しみながらも、「自力」で何とか決勝トーナメント進出をつかみとった。
エース・松田光を中心に、昨年は西日本リーグ、決勝トーナメントを制覇。しかし、今シーズンは他のチームが「打倒・平金!」、「打倒・松田!」を掲げ、対策を練ってきたこともあり、結果的には予想以上に苦戦を強いられたシーズンとなった。決勝トーナメント「連覇」を成し遂げるためには、昨年の勢いを取り戻すと同時に、今年の戦いを総括した上で、何か新たな戦術・戦略を立てる必要があるようにも感じる。昨年の王者が、今年の決勝トーナメントではどのような戦い方を見せるのか。吉村啓監督の采配、選手起用にも注目したい。
平林金属との「4位争い」に敗れた旭化成は、今節2勝2敗。通算9勝7位の5位で今シーズンを終了。最終日の最終試合、平林金属がジェイテクトに敗れ、同率で並べば、平林金属との直接対決の失点差で“逆転4位”となるところだったが、平林金属がジェイテクト戦に勝利したことで、その可能性も消滅。「あと一歩」のところで決勝トーナメント進出を逃した。初日はダイワアクト戦に0−3の完封負けを喫したものの、続くウエストSBC戦では壮絶な打撃戦の末、13−9で勝利し、1勝1敗。最終日も、まずオール福岡戦に、米良孝太(2打席連続)、川田直諒、小野昌康、夏田陽平、松岡真央の6本のホームランを含む20安打の猛攻で21−1の5回コールド勝ちを収めるなど、果敢に戦ったが、最終戦となった高知パシフィックウェーブ戦に2−3で敗れ、痛恨の黒星。最終的に「ここ一番!」の戦いで競り負け、星を落としたことが上位を逃す要因となってしまった。
高知パシフィックウェーブは今節を2勝2敗で終え、通算7勝9敗の6位(ジェイテクトと同率で並び、直接対決の勝敗も1勝1敗であったが、直接対決の失点差で6位)。今シーズン、この日本リーグでは「不安定な戦い」に終始し、第1節から最終節までどこか波に乗り切れないまま、シーズンを終えてしまった。去る「東京国体」では、“ソフトボール王国”の名にふさわしい戦いを展開し、優勝を飾ったチームなだけに、正直なところ、どこか物足りなさが残る。「国体で燃え尽きてしまった……」と言えばそれまでだが、本来の実力からすれば、この日本リーグでも常に優勝、上位を争うはずのチーム。来年はぜひ、シーズンを通して安定した結果を残してほしいものである。
ジェイテクトは今節果敢な戦いを見せ、3勝1敗。最終順位は7位となったが、この最終節では、Neo長崎、大阪桃次郎、ダイワアクトを立て続けに撃破するなど、来シーズンにつながる大きな3勝を挙げた。今回の結果が示したように、上位チームとの対戦でも「戦い方」次第で勝ち星を積み重ねていくことができる。エース・北添政樹を中心とした「粘り強さ」で、来シーズンも攻守に積極的な戦いを展開し、貪欲に上位を狙ってもらいたい。
ウエストSBCは今節を1勝2敗で終え、通算5勝11敗の8位。若い選手が中心となり、溌剌としたプレーでチームを引っ張るようになってきてはいるが、なかなか結果がついてこない。上位チーム相手にも常に接戦に持ち込み、食らいつくが、「あと一歩」のところで勝ち切れない状況が続いている。打線は、主砲・菅野達也を中心に、長打、一発が期待できるようになり、厚みを増してきた。あとは投手陣がいかに踏ん張り、ロースコアの試合展開に持ち込めるかどうか。エース・客野卓也に続く存在として期待される、「若手」秋本聖也の成長が待たれる。
前節ようやく今シーズン「初勝利」を挙げたオール福岡は、今節3連敗。通算1勝15敗の最下位で今シーズンを終了した。昨年に比べ、今年は「実績のある若い選手」を積極的に補強し、上位チーム相手にも、3点、4点と得点を重ねる試合展開を見せるなど、攻撃面ではまずまずの結果を残したと言えるかもしれない。しかし、頼みの投手陣に今のところ計算が立たず、毎試合大量失点を避けられない状態。この状況を打開しない限り、今後も戦いは厳しいと言わざるを得ない。来シーズンはぜひ、上位を争えるチームへと生まれ変わった姿を見たいものである。
第42回日本男子ソフトボール西日本リーグ、各チームの最終成績は下記の通り。東日本リーグの上位4チームとともに「真の日本リーグチャンピオン」の座が争われる第42回日本男子ソフトボールリーグ決勝トーナメントは、11月16日(土)・17日(日)の両日、愛知県豊田市・豊田市運動公園ソフトボール場において開催される。
第42回 日本男子ソフトボール西日本リーグ 最終順位 |
順位 |
チーム名 |
勝 |
敗 |
優勝 |
大阪桃次郎 |
12 |
4 |
2位 |
ダイワアクト |
11 |
5 |
3位 |
Neo長崎 |
10 |
6 |
4位 |
平林金属 |
10 |
6 |
5位 |
旭化成 |
9 |
7 |
6位 |
高知パシフィックウェーブ |
7 |
9 |
7位 |
ジェイテクト |
7 |
9 |
8位 |
ウエストSBC |
5 |
11 |
9位 |
オール福岡 |
1 |
15 |
※3位・4位は同率チームの直接対決の勝敗で順位を決定
※6位・7位は同率チームの直接対決の失点差で順位を決定
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