第43回日本男子ソフトボール東日本リーグ第2節が、去る6月7日(土)・8日(日)の両日、岐阜県羽島市/羽島市運動公園はしま清流スタジアム・多目的広場において開催された。
今節は第1節で5勝1敗と勝ち越し、好スタートを切っていたホンダエンジニアリング、デンソー、豊田自動織機の3チームの内、デンソーが無傷の4連勝。通算成績を9勝1敗に伸ばし、単独首位に立った。
今節単独首位に立ったデンソーは、初日、まずYKK戦に、西森成のソロ、川崎智秋のタイムリー、川田寛明のツーランホームランなどで着々とリードを広げ、11−0の圧勝。続く大阪グローバル戦にも、川崎智秋の特大のツーランホームランで「先手」を取ると、終盤の5回裏にも、西森成のツーランホームラン、6回裏には、川田寛明、稲木香介のタイムリーでリードを広げ、7−1の快勝。2日目、埼玉県庁クラブ戦では、先発した岡阜囀lが初回に先制点を奪われ、同点に追いついた後の3回裏にも、2点目を失い、勝ち越しを許す展開を強いられたものの、ここから「地力」の違いを見せ、4回表、槙田直也、西森成のスリーベースと相手守備の乱れで一挙3点を挙げ、逆転に成功。このリードを5回裏からリリーフした山脇佑也が1点差に詰め寄られながらも最後まで守り抜き、4−3で接戦に勝利。今節最終戦となったトヨタ自動車との一戦も、先発・山脇佑也の被安打3、奪三振12の力投で2−0の完封勝利を飾り、今節無傷の4連勝で単独首位に浮上した。
今節は、前節の6試合でわずか2勝に終わった「二枚看板」の一人、山脇佑也が復調し、3勝を挙げる活躍。好調を維持する打線の援護も見逃せないが、やはりこの投手陣の“安定”がそのまま結果に表われたと言える。「若き剛腕」岡阜囀lも、来月(7月)に「第10回世界男子ジュニア選手権大会(カナダ・ホワイトホース)」を控えており、U19日本代表として再び「世界の舞台」で揉まれ、さらに一皮剥けた姿で帰ってくれば、より一層投手力をアップさせることもできるだろう。5年ぶりの「王座奪回」に向けて、最終節となる次節(第3節)では、どのような戦いを見せてくれるのか楽しみである。
同じく第1節で5勝1敗と好調な滑り出しを見せた王者・ホンダエンジニアリングは、初日、トヨタ自動車との一戦で、エース・浅野公太がつかまり、2−5で敗れるなど今節は黒星スタート。しかし、続くYKK戦ではしっかりと気持ちを切り替え、「リードオフマン」糸瀬勇助の1試合3本塁打など長打攻勢で15−0の5回コールド勝ち。この勝利で息を吹き返すと、2日目、岐阜エコデンSCとの一戦にも、一度試合をひっくり返されながら、「粘り強さ」を発揮し、キャプテン・加藤一秀、石井悠太、富田洋介のタイムリーで、逆転、勝ち越しに成功し、5−4で熱戦に勝利。今節最終戦となった「好調」豊田自動織機との一戦も、浦本大嗣、加藤一秀のタイムリー、床井優介のツーランホームランなど14安打を浴びせる猛攻で10−3と圧勝し、今節3勝1敗。首位の座は「ライバル」デンソーに奪われる形になったが、通算成績8勝2敗と星1つ差で追走し、最終節となる次節(第3節)で逆転優勝を狙うことになった。
今節単独首位に立った「ライバル」デンソーには、第1節で4−5と競り負けており、次節の「直接対決」では、まず「勝利」が絶対条件となる。もちろん、この他の試合も落とすことはできないのだが、最終節では、この両者がぶつかり合う「事実上の優勝決定戦」に最大の注目が集まることになりそうだ。第1節の直接対決では、エース・浅野公太が初回にデンソー打線につかまり、3失点。その後リードを広げられ、終盤1点差まで追い上げながらも、4−5で敗れている。「連覇」、「逆転優勝」を狙う王者が最終節でどのような戦いを繰り広げるのか、注目したい。
第1節を4勝2敗で終え、首位を星1つ差で追いかけていたトヨタ自動車は、今節も3勝1敗と勝ち越し、通算成績7勝3敗。初日のホンダエンジニアリング戦では、初回に山本淳のタイムリー、江口真史のツーランホームランでいきなり3点を先制し、流れをつかむと、6回表にも江口真史のソロホームラン、7回表にはキャプテン・西森雄のタイムリーで1点ずつを追加し、5−2で快勝。続く豊田自動織機との一戦にも、3回裏、この回先頭の中村拓也がライトへフライを打ち上げ、これを捕球しようとした相手外野手が交錯し、打球が転々とする間に1点を先制。同点に追いつかれ、迎えた6回裏にも、濱口寿二のツーランホームラン、戸塚健斗のタイムリースリーベースなどで一挙5点を奪い、6−1で勝利。2日目、大阪グローバル戦も、山本淳のソロ、濱口寿二のツーランホームランで3−1とモノにし、快調に3連勝。「一気に首位浮上か!?」と期待されたが、続くデンソーとの首位攻防戦に0−2の完封負けを喫し、今節全勝とはいかず、優勝争いからは一歩後退する形となった。
デンソーとの大一番では、3安打完封負けを喫したものの、今節は濱口寿二、山本淳、江口真史らクリンナップが要所で活躍。初日にいきなり王者・ホンダエンジニアリングを撃破するなど「好調ぶり」を感じさせた。投手陣に関しては、今節、チームのエースであり、サウスポーの木原道哲を全試合に先発・完投させる試合運び。最終節も、おそらくこの戦い方で臨むことになりそうだが、果たしてその木原道哲がどこまで粘り強いピッチングを展開することができるか……!投打の歯車がガッチリと噛み合えば、「大逆転」もあり得る。
第1節をホンダエンジニアリング、デンソーと同じく5勝1敗で終え、快進撃を見せた豊田自動織機は今節2勝2敗。初日、まず岐阜エコデンSCに、池田謙太の先制タイムリー、ツーランホームランなどでリードを奪い、その後も着々と加点。9−1と圧勝し、前節からの「勢い」を感じさせたが、続くトヨタ自動車戦では、1−1の同点で迎えた6回裏、先発・田耕児郎が四球を足場に5本の長短打を集中されるなどつかまり、1−6の敗戦。この黒星でリズムを崩したか、2日目のホンダエンジニアリング戦でも、その田耕児郎が被安打12(内ホームラン1本)、失点10と序盤から一方的に打ち込まれ、KO。3−10で完敗し、痛い連敗を喫してしまった。今節最終戦となった大阪グローバルとの一戦では、「元気なルーキー」深津悠平が初回に先制点を奪われながらも、持ち前の「気迫」で粘り強く投げ抜き、5−1の完投勝利。今節負け越しという状況だけは防ぎ、トヨタ自動車と同じく通算成績7勝3敗で上位に踏み止まった。
第1節で快進撃を見せ、一気に単独首位への浮上が期待された豊田自動織機だったが、今節はエース・田耕児郎が上位を争うライバルとの対戦で“打ち込まれる”展開に終始し、優勝争いから後退。要所で勝ち星を挙げることができず、前節からの「勢い」に水をさす形となってしまった。今シーズンは「元気なルーキー」深津悠平の加入もあり、チームの雰囲気が良い意味で一変。亀井博監督のもと、選手個々の「戦う意識」も確実に高まっており、昨年とはまるで別のチームのような戦いぶりを見せている。最終節では、もう一度「原点」に還り、「織機らしく」、投打に積極果敢な戦いを見せてもらいたい。
この上位4チームに続くのは、今節地元開催となった岐阜エコデンSC。初日、「好調」の豊田自動織機に勝利し、勢いをつけたいところだったが、先発の坂本俊行がつかまり、1−9で完敗。続く埼玉県庁クラブ戦では、0−0で迎えた6回表、嶋田智希、鈴木周平のタイムリーなどで決勝点を奪い、3−1と勝利。2日目のホンダエンジニアリング戦でも、終盤まで手に汗握る攻防を繰り広げ、地元の熱い声援に応えたが、最終的には4−5で競り負けるなど、課題とされる「上位との対戦」で結果を残せず、痛い5敗目。今節最終戦となったYKK戦にも、坂本俊行、嶋田智希の投手陣がつかまり、5−9で敗れ、今節1勝3敗。通算成績でも4勝6敗と黒星が先行する状況となった。
頼みの「二枚看板」坂本俊行、嶋田智希の投手陣が伸び悩み、今節も4試合で24失点と苦戦の連続。課題に挙げられている「上位との対戦」はおろか、下位のチームとの対戦でも、現時点では取りこぼしてしまう不安定な状況にある。横山拓、前裕也、鈴木周平、枦山竜児らがクリンナップをかためる打線に「力」があることはすでに証明されている。「投手陣の奮起」なしで優勝争いや上位争いを演じ切れるほど、この日本リーグは甘くはない。元U19日本代表、現役日本代表としても実績のある投手陣が、最終節では何とか「意地」を見せたいところだ。
埼玉県庁クラブ、YKKは通算成績2勝8敗で並び、同率6位。埼玉県庁クラブは、2日目のYKK戦で6−1と勝利を収めたが、初日の大阪グローバル戦に3−12の大敗を喫するなど、その他の試合では投手陣が踏ん張れず、今節1勝3敗。YKKは、初日、デンソーに0−11、ホンダエンジニアリングに0−15と2試合続けて5回コールド負け。2日目も、埼玉県庁クラブに1−6で敗れるなど、前節同様に苦しい戦いが続いていたが、今節最終戦となった岐阜エコデンSCとの一戦では、気迫溢れる戦いを展開。下井倉優斗の2本のホームランを含む11安打を浴びせて9−5と打ち勝ち、埼玉県庁クラブと同じく今節も1勝3敗と負け越したが、何とか今シーズン2勝目を挙げた。
第1節で開幕6連敗と苦しんでいた大阪グローバルは、今節1勝3敗。初日の埼玉県庁クラブ戦に、ベテラン・小島郊正のソロホームランを含む11安打を浴びせて12−3と圧勝し、ようやく長いトンネルから抜け出したが、その後は再び苦戦の連続を強いられ、結果、3連敗を喫してしまった。経験豊富な「ベテラン」に加え、チームの将来を担う「若手」も徐々に成長してきている。特に若い選手の中には“磨けば光る”逸材もいるだけに、最終節でも決して下を向くことなく、前向きに、積極的な戦いを繰り広げてもらいたい。
日本男子ソフトボール東日本リーグ第2節終了時点、全チームの成績は下記の通りで、最終節となる第3節は11月1日(土)・2日(日)の両日、三重県亀山市/亀山市関総合スポーツ公園多目的グラウンド、亀山市西野公園野球場において開催される。
第43回 日本男子ソフトボール東日本リーグ 第2節終了時点 全チーム成績 |
順位 |
チーム名 |
勝 |
敗 |
1位 |
デンソー |
9 |
1 |
2位 |
ホンダエンジニアリング |
8 |
2 |
3位 |
トヨタ自動車 |
7 |
3 |
〃 |
豊田自動織機 |
7 |
3 |
5位 |
岐阜エコデンSC |
4 |
6 |
6位 |
埼玉県庁クラブ |
2 |
8 |
〃 |
YKK |
2 |
8 |
8位 |
大阪グローバル |
1 |
9 |
※同率の場合には、前年の順位が上のチームから順に表記しています。
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