第43回日本男子ソフトボール西日本リーグ第3節が、去る9月6日(土)〜8日(月)の3日間にわたり(※当初は2日間開催の予定であったが、初日の第4試合、愛媛ウエスト VS ダイワアクトが降雨ノーゲームとなり、8日(月)に順延された)、高知県高知市/春野総合運動公園において開催された。
今節は、前節終了時点で通算8勝1敗、平林金属と並び、同率首位に立っていた大阪桃次郎が無傷の3連勝。通算成績を11勝1敗まで伸ばし、平林金属の勝ち星(10勝)を上回り、単独首位に浮上した。
大阪桃次郎は、今節初戦で旭化成と対戦。序盤に1点を先制されながらも、迎えた5回表、代打・西川勝悟のレフトへのソロホームラン、2番・澤田優生のライト前タイムリーで逆転に成功。7回表にも、4番・ドニー・ヘイルにダメ押しのスリーランホームランが飛び出し、5−3で勝利を飾ると、続くオール福岡戦では、自慢の「強力打線」がその「破壊力」を見せつけ、中村健二(2本)、猪股要(2本)、植田貴也の計5本のホームランを含む18安打の猛攻で17−0の5回コールド勝ち。2日目、平林金属との“首位攻防戦”でも、2回表にソロホームランを浴び、先手を奪われはしたが、終盤6回裏、一死二塁のチャンスで3番・中村健二がライトへ逆転のツーランホームランを叩き込み、2−1で大一番に勝利。チームの「勢い」は依然衰えを知らず、今節も無傷の3連勝で通算成績を11勝1敗まで伸ばした。
今年7月、同じく高知県高知市/春野総合運動公園において開催された「第35回全日本クラブ男子選手権大会」では、決勝で岐阜エコデンSC(岐阜)に延長8回タイブレーカーの末、6−7で競り負け、惜しくも連覇を逃してしまったが、この西日本リーグでは相変わらず「盤石の強さ」を見せつけている。現役日本代表、現役ニュージーランド代表、元U19日本代表を揃える豪華タレント軍団の本来の実力からすれば、むしろこの成績は当然とも言えるかもしれないが、シーズンも終盤戦を迎え、チームはいよいよエンジン全開!といったところだ。「西日本リーグ連覇」のかかる今シーズン。最終節となる次節(第4節)で「王者」がどのような戦いぶりを見せてくれるのか、引き続き注目が集まる。
前節終了時点で通算8勝1敗、大阪桃次郎と並び、同率首位に立っていた平林金属は、今節2勝2敗と足踏み。初日のダイワアクト戦に、1番・木谷謙吾、2番・河合恵祐の活躍などで5−3と勝利を収め、続く高知パシフィックウェーブとの延長9回タイブレーカーに及んだ大熱戦も、最後は3番・松田光のライトへのツーランホームランで劇的なサヨナラ勝ち。前節同様、今節も粘り強い戦いで勝利を重ねるかと思われた。しかし、2日目、旭化成との一戦に、7回裏、サヨナラホームランを浴びて3−4で競り負けると、「首位攻防戦」となった大阪桃次郎戦でも、2回表に4番・小見山敦吏の特大のソロホームランで先手を奪いながら、終盤の6回裏にまたしても逆転を許す「一発」を浴び、1−2で惜敗。結果的には、エース・松田光を温存した試合で連敗を喫する形となり、通算10勝3敗で大阪桃次郎に首位の座を奪われることになった。
今シーズンは、「粘り強さ」が顕著に見られ、投・打の柱でもあるエース・松田光に頼るだけではなく、チーム一丸となった戦いぶりが印象的な平林金属。だが、このところは肝心のエース・松田光のピッチングの調子が今ひとつ上がってこないのが、どこか気がかりな部分でもある。バッティングでは、今節も高知パシフィックウェーブ戦のサヨナラツーランホームランに象徴されるように、相変わらず「豪快さ」と「勝負強さ」を随所に感じさせている。しかし、ピッチングでは、このところ「緩急主体」の投球へとシフトチェンジしたこともあり、まだまだ試行錯誤を繰り返す場面もしばしば……。一時の相手打者を圧倒する勢いや迫力は今のところあまり感じられない。最終節で逆転優勝を成し遂げるためには、この“エースの復調”に加え、もう一度チーム全体のギアを入れ直す必要がありそうだ。
大阪桃次郎、平林金属に続き、通算8勝5敗で並んだのは旭化成と愛媛ウエスト。前節終了時点で通算6勝3敗の旭化成は、初日、大阪桃次郎戦で3−5の逆転負けを喫し、黒星スタート。続く愛媛ウエストとの対戦では、初回にいきなり5点を取り合う「壮絶な打撃戦」を繰り広げ、3回裏、4番・川田直諒のライトオーバーのソロホームランで勝ち越しに成功したが、迎えた6回表、先発の金丸昭太が痛恨の逆転スリーランホームランを浴び、痛い連敗。しかし、2日目はうまく気持ちを切り替え、Neo長崎との手に汗握る接戦に6−4で勝利。今節最終戦となった平林金属との一戦にも、3−3の同点で迎えた7回裏、二死から1番・米良孝太がセンターへ豪快なサヨナラソロホームランを叩き込み、熱戦に終止符。何とか今節の星を五分に戻し、決勝トーナメント進出圏内をキープした。
一方、前節終了時点で通算4勝5敗の愛媛ウエストは、今節無傷の4連勝を飾り、絶好調。初日、まず旭化成戦に、代打・前田征那の値千金の逆転スリーランホームランで8−6と競り勝つと、2日目も、まずジェイテクト戦に、4番・菅野達也、3番・遠藤大輔のタイムリーなど15安打を浴びせて8−1の快勝。続くオール福岡との一戦も、初回に4点を先制されながら、16安打を浴びせる猛攻で試合をひっくり返し、終わってみれば12−5の圧勝。今節最終戦となった3日目のダイワアクト戦(初日の第4試合として行われたが、途中降雨ノーゲームとなり、3日目(予備日)に順延された)でも、初回に先手を奪われはしたが、その後果敢に食らいつき、迎えた6回裏、一死二塁から4番・菅野達也の右中間を破るタイムリーツーベースで試合を振り出しに戻すと、続く7回裏には、この回先頭の7番・稲垣力哉が初球をとらえ、右中間へ試合を決める劇的なサヨナラソロホームラン。2−1と接戦をモノにし、旭化成と同じく通算8勝5敗で一気に決勝トーナメント進出圏内へと浮上した。
前節終了時点で通算3勝6敗。決勝トーナメント進出へ、もう「負けられない」高知パシフィックウェーブは、地元開催となった今節を3勝1敗と勝ち越し、通算6勝7敗まで星を回復。初日、まずオール福岡戦に、片岡大洋の3本のホームラン(個人1試合最多本塁打:西日本リーグタイ記録)を含む7本塁打を浴びせるなど怒涛の「一発攻勢」で11−0の6回コールド勝ち。続く平林金属戦では、延長9回タイブレーカーに持ち込む大熱戦の末、最後はサヨナラツーランホームランを浴び、3−5で競り負けたものの、2日目は、まずNeo長崎に、4番・岡本友章の5打点を挙げる活躍などで9−6と勝利。今節最終戦となったジェイテクトとの一戦にも、初回に5番・中西康太の右中間へのスリーランホームランで先手を取ると、3回裏にも6番・尾葺a登の満塁アーチなどでたたみかけ、一挙7点を奪取。14安打を浴びせる猛攻で12−5と圧勝し、連勝。通算6勝7敗と依然厳しい状況に置かれているのは変わりないが、決勝トーナメント進出に向けて、最終節へわずかながら希望をつないだ。
ダイワアクトとNeo長崎は、今節を終了し、ともに通算5勝7敗。昨年、決勝トーナメントを制した「日本リーグチャンピオン」ダイワアクトは、今節も1勝2敗と負け越し、依然波に乗れない状況が続いている。特に今節は、選手兼任でチームを引っ張る田中紘一郎監督が不在。「世界一の左腕」であり、チームの投・打の柱でもあるアンドリュー・カークパトリックとは別の立場で、チームの精神的支柱でもある指揮官の抜けた穴は予想以上に大きく、初日の平林金属戦では、2回表に6番・田中亮多のソロホームランで1点を先制したものの、終盤、やや単調なピッチングになったアンドリュー・カークパトリックが平林金属打線につかまり、まさかの5失点を喫するなど、あっさりと逆転負け……。2日目のオール福岡戦は7−4で勝利を収めはしたが、3日目、愛媛ウエストとの一戦では、初回に4番・アンドリュー・カークパトリックのタイムリーツーベースで1点を先制しながら、その後追加点を奪えず、迎えた7回裏、この回の先頭打者に初球を狙われ、これがサヨナラホームランとなり、今節手痛い2敗目。昨年の「日本リーグチャンピオン」が、決勝トーナメント進出すら危うい状況へと追い込まれてしまった。
Neo長崎も同じく今節1勝2敗と負け越し。エース・森勇紀を先発させるいつもの必勝態勢ではなく、若い大串泰生、堀田拓郎を積極的に起用したが、結果、これが裏目に出た形となり、大苦戦。初日のジェイテクト戦こそ、延長8回タイブレーカーの末、辛くも5−2で勝利を収めたが、2日目は相手に試合の主導権を握られる展開に終始し、旭化成戦は4−6、高知パシフィックウェーブ戦でも6−9で敗れ、連敗。最終節では4試合を残しており、上位チームの戦況次第では、まだ決勝トーナメント進出の可能性が残されているものの、高知パシフィックウェーブ、ダイワアクトとともに、もう「一つも負けらない」厳しい状況に追い込まれていることには変わりない。
ジェイテクトは今節3連敗。初日のNeo長崎戦で、土壇場の7回裏、3番・坂東伸昭のツーランホームランで試合を振り出しに戻し、延長タイブレーカーへと持ち込む熱戦を演じたが、結局8回表に決定的な3点を奪われ、2−5で惜敗……。この敗戦のショックが尾を引いたか、2日目の愛媛ウエスト戦で1−8、高知パシフィックウェーブ戦でも5−12と完敗し、通算3勝9敗まで星を落としてしまった。昨年、3勝1敗と勝ち越した「相性の良い」広島県尾道市/御調ソフトボール球場で、今年も「ミラクル」な戦いを見せることができるか。最終節の戦いぶりに注目したいところだ。
オール福岡は、今節も勝利を挙げることができず、4連敗。相変わらず状況は非常に厳しく、「1勝」が遠い……。4試合で計47失点。やはり、毎試合ほぼ二桁失点を喫してしまう苦しい投手事情に変わりはなく、この状況を打開する以外に、今のところ勝利への道はなさそうだ。投手陣は、北弘和、浦野将喜、武内耕平の3名をローテーションさせているのが現状だが、本来、投手が専門なのは、北弘和のみ。日本リーグの舞台で、野手が投手を務めなければならない……。冷静に考えても、このチーム事情で上位争いを演じるのはほぼ不可能である。しかし、決してタレントがいないわけではない。日本代表として前回の世界選手権に出場したキャプテン・佐伯忠昭、今年7月の世界ジュニア選手権に出場した山撫メA大学時代に中京学院大学(岐阜)のキャプテンとしてインカレ優勝を果たした川原光など、これまで実績を残してきた選手たちはいるのである。日本リーグに所属するチームとして、「恥じぬ戦い」を。最終節の戦いぶりに期待したい!
日本男子ソフトボール西日本リーグ第3節終了時点、全チームの成績は下記の通りで、最終節となる第4節は11月1日(土)・2日(日)の両日、広島県尾道市/御調ソフトボール球場において開催される。
第43回 日本男子ソフトボール西日本リーグ 第3節終了時点 全チーム成績 |
チーム名 |
勝 |
敗 |
大阪桃次郎 |
11 |
1 |
平林金属 |
10 |
3 |
旭化成 |
8 |
5 |
愛媛ウエスト |
8 |
5 |
高知パシフィックウェーブ |
6 |
7 |
ダイワアクト |
5 |
7 |
Neo長崎 |
5 |
7 |
ジェイテクト |
3 |
9 |
オール福岡 |
0 |
12 |
※同率の場合には、前年の順位が上のチームから順に表記しています。
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