男子日本代表レポート
 第12回世界男子選手権大会
(2009.7.26) 


日本はこの日、再び「世界最強の王者」
ニュージーランドと激突

昨日のオーストラリア戦に敗れ、
日本と同じく「もう後がない」
ニュージーランドは、ハカで気合いを入れる

日本の先発はエース・飯田

ソフトボール大国の「威信」を
かけたニュージーランドの猛攻に
立ち上がり、リードを奪われる

ニュージーランドの先発は、左腕・シャヌーン

2回裏、4番・原田のソロホームランで
日本が反撃の狼煙を上げる!


4回裏、鈴木が同点スリーランを放ち
日本がついに同点に追いつく

王者の「意地」か……
8回表、ニュージーランドに4点を勝ちこされる


最後まで懸命に戦った日本
この借りは、4年後に必ず返す!


日本、死闘の末、王者・ニュージーランドに惜敗
大会5位で終戦

 第12回世界男子選手権大会は、この日決勝トーナメント2日目に突入。昨日の初戦(3位・4位戦)でグループB4位のアルゼンチンに7−6の逆転勝利を飾った日本は、再び世界最強の王者・ニュージーランドと激突。ニュージーランドは、昨日の決勝トーナメント初戦でオーストラリアに0−7の屈辱の6回コールド負けを喫しており、日本と同じく「負ければ終わり」となる崖っぷちの状態。試合は、互いの“国の威信”をかけた壮絶な死闘を展開した。

〈7月25日(土)/決勝トーナメント2回戦〉

  1 2 3 4 5 6 7 8
ニュージーランド 1 3 0 1 0 0 1 4 10
日      本 0 1 0 4 0 0 1 0 6
(延長8回タイブレーカー)
  飯田(2回)・村里(2回)・中村(3回)・浜口(2/3回)・●照井(0/3)・飯田(1/3)−小野
〔本塁打〕原田、鈴木

 日本にとって、「負ければその時点で終わり」となる勝負の決勝トーナメント。日本はチーム一丸となり、再び世界最強の王者・ニュージーランドに挑んだ。
 日本の先発はエース・飯田。日本投手陣の「柱」として、今大会並々ならぬ“思い”でチームを牽引してきた右腕が、この試合すべての投手をつぎ込む覚悟で臨む日本の先陣を切った。
 その飯田は初回、ニュージーランドの1番・マケアを四球で歩かせ、2番・キャスリーのピッチャーゴロで一死二塁とされると、打席には、3番・マーティン。ショートゴロに打ち取ったかと思われたが、体勢を崩したショート・枦山の一塁への送球が悪送球となる間に、先制点を奪われた。2回表には、この回先頭の6番・ロナをまたしても四球で歩かせると、ワイルドピッチ、犠打、四球などで二死一・三塁とされ、1番・マケアに弾丸ライナーのスリーランを叩き込まれ、日本は立ち上がりに4点を失ってしまう。
 日本は2回裏、ニュージーランドの先発・シャヌーンから、この回先頭の4番・原田がライトスタンドに完璧な当たりのソロホームランを叩き込み、反撃の狼煙を上げると、1点を追加され、再び4点差とされた4回裏には、一死から4番・原田が四球で出塁。二死後、6番・小野がレフト前ヒットを放ち、二死一・二塁とすると、7番・松岡のショート右を鋭く破るタイムリーで1点を返し、さらに二死一・三塁から8番・鈴木が、センターへ打った瞬間それと分かる「会心」のスリーラン。この回4点を挙げ、一気に試合を振り出しに戻した。
 試合は、まさしく一進一退。7回にもニュージーランドが勝ち越せば、日本も取り返すといった展開で、6−6の同点のまま、延長タイブレーカーへと突入した。
 迎えた8回表、日本は5回から登板した中村から浜口に投手交代。浜口は、死球を一つ与えたものの、二者を打ち取りツーアウト。ここでニュージーランドが、この日先発を外れていたヌクヌクを代打で起用。左打者ということから、日本もすぐさま浜口から左腕・照井へとつなぎ、総力戦で対抗したが、ヌクヌクの放った打球は無情にも懸命に追いかけたレフト・鈴木の前に落ち、1点を勝ち越された。これ以上得点を与えたくない日本は、ここで再びエース・飯田が登板。何とかこのピンチを切り抜けようとすべてのカードを切ったが、1番・マケアの痛烈な当たりがショート・枦山の前で大きくイレギュラー。打球が外野へ抜ける間に二者が一気に還り、痛すぎる追加点を奪われ、この後ワイルドピッチも重なり、この回大きな3点を奪われてしまった。
 この試合に全精力をつぎ込み、懸命な戦いを続けてきた日本だったが、8回裏はニュージーランドの2番手・グラントの前に三者凡退。「世界最強の王者」を二度にわたり、ギリギリのところまで追い詰めながら、あと一歩およばず、日本の「世界一」への挑戦は前回大会と同じく、5位という形で幕を閉じることになった。
 前回大会の雪辱を誓って臨んだ今大会。日本は、予選リーグで4勝3敗と思わぬ苦戦を強いられながらも、ギリギリのところで幾度となく踏み止まり、世界の強豪と熾烈な戦いを繰り広げた。「世界最強の王者」ニュージーランドをも苦しめた日本の“技術”“機動力”は、目の肥えたカナダのソフトボールファンを唸らせ、そこから「勝機」「活路」を見出す日本のスタイルが間違いでないことを証明できたことは、今後の強化において大きな収穫であったといえるだろう。しかし、現状にある世界との“差”は、厳正な「事実」として受け止めなくてはならない。今大会、世界のソフトボールは驚くべきスピードで進化していた。投手では、130km/hを超えるライズ・ドロップが当たり前。それどころか世界の一線級は135km/h超のぶつかり合い。そして、それをいとも簡単に打ち返す打者の技術。ワンヒットでも必ず次を狙いにくる隙のない走塁。そこにはただひたすらに、貪欲に、勝利を追い求める世界の強豪たちの姿があった……。日本がこの厳しい現実から目を背けてしまえば、一瞬にして「世界のレベル」から取り残されてしまうだろう。またしても届かなかった「世界一」の座。今回の敗因がどこにあり、何が足りなかったのかを正確に分析・評価することがまずは必要になるだろう。この借りは、必ずや4年後に返す!新たな“挑戦”は、もうすでにはじまっている。


〔決勝トーナメント2回戦(ニュージーランド戦)/日本代表・スターティングラインアップ〕

1番・ライト     石村  寛(大阪ツヅキグローバル)
2番・センター    横山  拓(岐阜エコデンSC)
3番・ショート    枦山 竜児(岐阜エコデンSC)
4番・ファースト   原田 泰光(高崎市役所)
5番・DP      中村 健二(大阪桃次郎)
6番・キャッチャー  小野 洋平(高知パシフィックウェーブ)
7番・サード     松岡 真央(旭化成)
8番・レフト     鈴木 周平(大阪ツヅキグローバル)
9番・セカンド    塚本 正和(日新製鋼)
DEFO/ピッチャー 飯田 邦彦(日新製鋼)
▽選手交代
3回表 飯田 邦彦OUT→村里 和貴(デンソー)IN ※投手交代
5回表 村里 和貴OUT→中村 健二(大阪桃次郎)※投手交代(DPの中村 健二が投手の守備を兼務)
8回表 中村 健二→浜口 辰也(ホンダエンジニアリング)IN ※投手交代(中村 健二が投手の守備の兼務を解除してDPのみに戻り、浜口 辰也がDEFOとして投手の守備に入る)
8回裏 浜口 辰也OUT→照井 賢吾(大阪ツヅキグローバル)IN ※投手交代
8回裏 照井 賢吾OUT→飯田 邦彦(日新製鋼)IN ※投手交代(先発した飯田 邦彦がリエントリーで再びDEFOとして投手の守備へ入る)
5回裏 原田 泰光OUT→浦本 大嗣(ホンダエンジニアリング)IN ※代打(6回表、リエントリーで再び原田 泰光がファーストの守備へ)
8回裏 中村 健二OUT→亀井 博(豊田自動織機)IN ※代走


●予選リーグの試合結果・決勝トーナメントの試合結果はこちら
●代表選手名簿はこちら
●第12回世界男子ソフトボール選手権大会オフィシャルホームページはこちら