2015.6.30
 

 


第14回世界男子ソフトボール選手権大会(カナダ・サスカツーン)

日本、世界トップレベルに屈す……。ベネズエラに0−3の完封負け



ここまで予選リーグ2勝1敗の日本
1位・2位通過をめざし、負けられない戦いが続く



重要な一戦を前に、入念な打ち込みが行われた



予選リーグ第4戦の相手は前回準優勝の強豪・ベネズエラ
「大会屈指の好投手」ラモン・ジョネスを先発に起用してきた


日本の先発投手はオーストラリア戦で好投した岡阜囀l
この試合も得意のライズボールで真っ向勝負を挑んだが……


これが「世界トップレベル」の実力か……
4回裏にツーラン、5回裏にソロホームランを浴び、3点を失う


日本打線はラモン・ジョネスのドロップ、球威に翻弄され12三振
最後はその速球に根元からバットをへし折られた


このままではメダルどころか予選リーグ通過も危ない
試合後、西村信紀ヘッドコーチから再度選手へ檄が飛ばされた


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 第14回世界男子選手権大会(※大会スケジュールはこちら※大会オフィシャルサイトはこちら)第4日。前日アメリカに5−4で競り勝ち、予選リーグ2勝1敗とした日本は、この日第4戦に臨み、ベネズエラと対戦した。

 ベネズエラは、前回の第13回大会(ニュージーランド・オークランド)で予選リーグ・セクションAをオーストラリアに続く5勝2敗の2位で通過。決勝トーナメント初戦はカナダを3−1で破り、続くセミファイナルではオーストラリアに0−2の完封負けを喫し、敗者復活戦へと回ったが、ブロンズメダルゲーム(3位決定戦)でそのオーストラリアを逆に2−0と撃破し、見事「リベンジ」。ファイナルではホスト国・ニュージーランドの前に1−4で敗れ、「世界一」にはあと一歩届かなかったものの、「準優勝」の成績を収めた「中南米の強豪」である。今大会は、ここまでオランダに11−1(4回コールド勝ち)、メキシコに6−1と連勝した後、前回三度対戦した「因縁の相手」オーストラリアには1−5で敗戦。日本と同じく予選リーグ2勝1敗でこの第4戦を迎えることになる。

 決勝トーナメントを有利に戦うことができる予選リーグ1位・2位(一度負けても敗者復活戦に回る権利を有する)通過をめざす日本にとっては、まさにここが「正念場」。前回準優勝の強豪、「世界の頂点を争うチーム」とどのような戦いを繰り広げるのか、注目が集まった。

・大会第4日/6月29日(月)
《予選リーグ第4戦》
  1 2 3 4 5 6 7
日  本 0 0 0 0 0 0 0 0
ベネズエラ 0 0 0 2 1 0 x 3
バッテリー:●岡阜囀l(4回)、森勇紀(2回) − 片岡大洋、平本拓朗

 ベネズエラの先発は、今大会屈指の好投手でもある「エース」ラモン・ジョネス。先攻の日本は初回、1番・澤田優生がそのラモン・ジョネスの130km/h近い速球を外野まで運ぶが、センターフライ。2番・西山幸助は膝元に鋭く落ちるドロップについていけず、三振。3番・米良孝太もセンターフライに打ち取られ、三者凡退で終えた。

 日本の先発投手は、初戦のオーストラリア戦で自己最速となる「MAX130km/h」を叩き出し、5回を投げ1失点と好投した岡阜囀l。西村信紀ヘッドコーチは、この大一番に迷わず「今後の男子ソフトボール界を背負って立つ男」を起用し、勝負に出た。その岡阜囀lは立ち上がり、1番、2番打者を得意の「ライズボール」で連続三振。3番打者にはセンター前にはじき返され、出塁を許したものの、続く4番打者に対しても敢えて「力勝負」を挑み、見事三振。ジュニアで輝かしい実績を残し、この日本代表でも二十歳にして早くも「エース」の座をつかみつつある「次代を担う剛腕」が、持ち前の「気迫」を前面に出し、初回を無失点に抑えた。

 試合はこの後、日本・岡阜囀l、ベネズエラ・ラモン・ジョネスが一歩も譲らぬ「ハイレベル」な投げ合いを繰り広げ、2回、3回をともに無失点。岡阜囀lは相手打者の胸元をえぐるライズ、ラモン・ジョネスは打者の膝元へ「消える」ように鋭く落ちるドロップを武器に、得点を与えず、このまま息詰まる投手戦が続くかに見えた。

 しかし、迎えた4回裏、ついに試合が動く。ベネズエラはこの回先頭の4番打者が四球を選び、出塁すると、ここで5番打者が岡阜囀lのアウトコース高めに投げ込んだ渾身のライズを逆らわずおっつけ、右中間へ特大のツーランホームラン。球威も十分で、投げたコースも決して甘くはなかったが、これが「世界トップレベル」の実力か……絶対に与えてはいけない先取点を与えてしまった。

 ベネズエラはさらに5回裏にも、この回先頭の1番打者が岡阜囀lの投じたライズを見事にとらえ、センターへ完璧な当たりのソロホームラン。打球はスタンドのはるか向こうへと消え、力投を続けてきた岡阜囀lを打ち砕く「トドメの一撃」となり、この試合の命運を分ける大きな3点目が追加された。

 何とか反撃に出たい日本打線も、ベネズエラ・ラモン・ジョネスへ懸命にくらいつき、5回表に死球、盗塁、相手守備の乱れで一死三塁のチャンスをつかんだが、後続が連続三振。6回表にも代打・平本拓朗のセンター前ヒット、2番・西山幸助のレフト前ヒットなどで二死二・三塁のチャンスを作ったが、4番・松田光が三振に倒れ、「あと一本」が出ず、無得点。守りでは、5回途中から2番手として登板した森勇紀が2イニングをノーヒットに抑える好投を見せはしたが、「世界の頂点を争うチーム」相手に「3点のビハインド」はあまりにも大きく、結局0−3のまま12三振を奪われ、完封負けを喫した。

 日本はこれで予選リーグ2勝2敗。POOL・Bでは、この日オーストラリアがドミニカに3−5で敗れる波乱があり、現時点の勝敗としては、オーストラリア、アメリカ、ドミニカ、ベネズエラの4チームが3勝1敗で並ぶ混戦模様。日本はそれに次いで順位的には5位につける形となり、1位・2位通過どころか予選リーグ突破すら危うい状況へと追い込まれた。明日、予選リーグ第5戦の相手は、この日オーストラリアを破る大金星を挙げたドミニカ。再び「強力打線」を売りにする中南米勢と戦うことになる。もうここからは勝つしかない。勝たなければ、メダル獲得はおろか決勝トーナメントにすら進むことができない可能性も出てくる。今日のベネズエラ戦で思い知らされたように、男子ソフトボールの「世界のレベル」は各段に進歩し、中南米チームの目覚ましい躍進など「世界の勢力図」が変わりつつある。「世界の強豪」から日本はこのまま取り残されてしまうのか……。そうならないためには、「勝つ」しかないし、「勝つ」ことでしか道は拓けない。



予選リーグ第4戦
ベネズエラ戦 スターティングラインアップ
打順 守備位置 選手名 所属 UN
1 2B 澤田優生 大阪桃次郎 12
2 CF 西山幸助 平林金属 24
3 3B 米良孝太 旭化成 5
4 DP 松田光 平林金属 20
5 LF 筒井拓友 大阪桃次郎 8
6 SS 松岡真央 旭化成 10
7 1B 浦本大嗣 ホンダエンジニアリング 9
8 RF 木谷謙吾 平林金属 28
9 片岡大洋 高知パシフィックウェーブ 2
FP 岡阜囀l デンソー 19

※選手交代
5回裏 投手交代 岡浮nUT→森勇紀(Neo長崎)IN
6回表 代打 片岡OUT→平本拓朗(平林金属)IN
6回裏、そのまま捕手の守備に入る
澤田OUT→糸瀬勇助(ホンダエンジニアリング)IN
6回裏 再出場 糸瀬OUT→澤田優生(大阪桃次郎)IN
セカンドの守備で再出場
7回表 代打 筒井OUT→川田直諒(旭化成)IN
浦本OUT→中村健二(大阪桃次郎)IN