去る8月28日(水)〜30日(金)の3日間、静岡県伊豆市の天城ドームを主会場に、「平成25・26年度男子U19日本代表チーム選手選考会(第5回アジア男子ジュニアソフトボール選手権大会、第10回世界男子ジュニアソフトボール選手権大会出場選手選考会)」が実施され、厳正な選考の結果、平成25・26年度男子U19日本代表17名が決定した。
選考会当日は、全国の実業団、大学生、高校生を含めた68名の選手が参加。前回に続き、男子U19日本代表の指揮を執る山口義男ヘッドコーチ(大村工業高)、(公財)日本ソフトボール協会選手強化本部会・西村信紀男子強化委員長をはじめ、(公財)日本ソフトボール協会選手強化本部会男子強化委員の面々が選考委員を務め、3日間にわたり厳しい選考が行われた。
選考会では、初日にまず選手全員の走力がチェックされ、50m走のタイムを測定。続いて、投手、内野手・外野手に分かれて、投手は球速測定、内野手・外野手はシートノックを行い、各ポジションに分かれての選考を実施。投手は、球速、変化球のキレ、コントロールがそれぞれチェックされ、野手は、シートノック、またゲームノックで、個々の基本的な守備の能力がチェックされた。
2日目、3日目は68名の選手を4つのグループに振り分け、紅白戦で対戦させる「実戦形式」の選考が行われ、選手それぞれの実戦での能力をチェック。“世界”との戦いを見据え、国際大会の舞台で通用する、また力を発揮することのできる選手か否かという部分に、選考委員の厳しい目が向けられた。
また、(公財)日本ソフトボール協会選手強化本部会・西村信紀男子強化委員長が中心となり、選手全員の個人面談も実施。選考委員から選手たちへさまざまな質問が投げかけられ、「@日本代表に選出された場合、強化合宿や国際大会への出場などすべての活動を優先できるか。A今回の選考会へ参加した動機。B自己PR。C具体的な希望進路、日本代表になるにあたっての心構え」といった内容がそれぞれ問われた。
選考にあたった男子U19日本代表・山口義男ヘッドコーチは、「前回の世界ジュニア選手権での経験を経て、『世界の舞台』での戦いを見据えた場合は、やはり『日本の特徴』、『良さ』を前面に押し出していく必要がある。攻撃面で日本の武器となるのは、やはり機動力。今回もセーフティーバントやスラップ、バスターやヒットエンドランを積極的に絡め、機動力で相手をかき回すことができるチームを作っていきたい」と、今回の選手選考のポイントを語ると、実戦形式の選考では、攻守に淡泊で大味なプレーが目立った選手たちに対して、あえて具体的な要求を出す場面も見られ、「こちらは決して派手なプレーばかりを求めているわけでない。今回の選考会でたくさん三振を奪った、たくさんホームランを打った、という目に見える結果はもちろん重要だが、“世界のトップレベル”は決してそう甘くはないということをまず心に留めておいてもらいたい。我々が評価しているのは『世界の舞台』で通用するプレーか否か、また可能性のあるプレーか否かということ。私は前回同様に、今回も『機動力』で相手をかき回すチームを作っていきたいと考えている。特に実戦形式の選考では、小技や足を絡めた攻撃をもっと見せてもらいたいし、一人ひとりが自分の特徴、得意とするプレーを積極的にアピールしてもらいたい」と、檄を飛ばした。
また、今回の選考会では、今年3月に男子日本代表を率いて世界選手権を戦った西村信紀男子強化委員長も積極的に動き、選手たちの動きを的確に評価。今後の男子ソフトボール界を担っていく選手たちへ期待を込め、ときには厳しく叱咤激励する場面も見られた。
西村信紀男子強化委員長は今回の選考会を通して、「日本代表をめざし、『世界の頂点』を狙おうと言うのであれば、日頃から常に『トップレベル』を意識してもらいたい。私も男子日本代表のヘッドコーチとして今年3月の世界選手権を戦ってきたが、今回改めて世界の『トップレベル』を思い知らされた。投手で言うなら、世界の一線級は今や130km/hを軽々と超えてくる。ジュニアでも120km/h超えは当たり前。国際大会の舞台ではそういうレベルの相手と勝負していかなければならない。今回の選考会でのプレーを見ると、まだまだ小手先でさばくだけの緩慢な守備や、ただ振り回すだけの淡泊なバッティングが目立つ。日本国内と同じ意識でプレーしていたのでは世界の『トップレベル』では戦えない。一人ひとりが常に高い意識の中で考え、工夫しながらプレーすることを心がけてほしい」と、改めて“世界で勝つ”ための意識を持つ重要性を説くと、参加選手たちの今後にもふれ、「この場が選考会である以上、結果として合否は出てしまうが、君たちには今後もぜひ、継続したチャレンジを続けてほしいと思っている。一人ひとりが今回の経験を糧に大きく成長してもらいたいし、今後、ジュニアの年代を経てさらに上のカテゴリーに進んでも、日本代表に再びチャレンジし、世界の舞台で勝つことをめざす選手であってほしい」と、今回の選考会に参加したすべての選手に対する期待を語った。
今回の男子U19日本代表17名の顔ぶれを見ると、前回の大学生中心の顔ぶれに比べ、今回は日本リーグ在籍3名、大学生3名、高校生11名の内訳となり、若い高校生がチームの大部分を占める形となった。
中でも、前回(昨年)の第9回世界ジュニア選手権に続いて選出された岡阜囀l(デンソー)には、「投打の柱」として大きな期待が寄せられる。岡阜囀lと言えば、前回の第9回世界ジュニア選手権(アルゼンチン・パラナ)では、「日本に岡浮り!」とその名を世界にとどろかせる活躍ぶりで、日本の銀メダル獲得の“立役者”となったことは記憶に新しい。今回の選考会でも、MAX123km/hの速球と切れ味抜群のライズボールで、日本の投手陣の中では「頭一つ抜き出たレベル」にあり、今回もチームの「絶対的なエース」であることは間違いない。
この他、投手陣では春の高校選抜、夏のインターハイでともに「全国制覇」の経験がある平湯剛憲(大村工業高)、吉田尚央(佐世保西高)が“世界の舞台”でどのようなピッチングを展開していくか。野手では、実戦形式の選考で「光るバッティング」を見せ、豪快な一発、鋭い打球を連発していた尾赴M成(大村工業高)、梶原和樹(デンソー)、金城春紀(読谷高)らが打線の中心となりそうだ。また、U19のカテゴリーの場合は、可能性溢れる才能がより高いレベルで揉まれていくことで、短期間でも“大化け”する可能性が十分あるだけに、大会「本番」でどんな選手がチームの中心となっていくのか非常に楽しみである。
男子U19日本代表は、今後、11月に第1次国内強化合宿を行い、その直後、世界ジュニア選手権のアジア地区予選を兼ねる「第5回アジア男子ジュニア選手権大会(タイ・チャイヤプーム)」に出場。ここで世界ジュニア選手権への出場権を勝ち取れば、来年7月に開催される「第10回世界男子ジュニア選手権大会(カナダ・ホワイトホース)」へと臨むことになる。
前回の第9回世界ジュニア選手権では、大会5連覇を狙った王者・オーストラリアを2度にわたり撃破するなど大健闘を見せながら、ファイナルでホスト国・アルゼンチンに敗れ、惜しくも準優勝に終わった男子U19日本代表。前回大会の悔しさを胸に、今度こそ「世界の頂点」へと登り詰めてほしいものである。
さぁ、「世界の舞台」へ再チャレンジ!選ばれし17名の今後の戦いに期待したい!!
平成25・26年度男子U19日本代表選手 選手名簿 (第5回アジア男子ジュニアソフトボール選手権大会)
(第10回世界男子ジュニアソフトボール選手権大会)
選手 (ポジション別五十音順) |
人数 |
ポジション |
氏名 |
支部 |
所属 |
1 |
投手 |
岩松 右近 |
鹿児島 |
鹿屋農業高校 |
2 |
〃 |
岡普@建斗 |
愛知 |
デンソー |
3 |
〃 |
櫻田 侑也 |
長崎 |
大村工業高校 |
4 |
〃 |
平湯 剛憲 |
長崎 |
大村工業高校 |
5 |
〃 |
吉田 尚央 |
長崎 |
佐世保西高校 |
6 |
捕手 |
田口 英雄 |
埼玉 |
埼玉栄高校 |
7 |
〃 |
山普@純 |
福岡 |
オール福岡 |
8 |
内野手 |
宇根 良祐 |
沖縄 |
読谷高校 |
9 |
〃 |
尾普@貴成 |
長崎 |
大村工業高校 |
10 |
〃 |
永山 健仁 |
鹿児島 |
鹿屋農業高校 |
11 |
〃 |
日野 隼一 |
東京 |
日本体育大学 |
12 |
〃 |
盛田 英雄 |
熊本 |
熊本学園大学 |
13 |
〃 |
山本 明 |
高知 |
高知農業高校 |
14 |
外野手 |
尾本 心平 |
岡山 |
環太平洋大学 |
15 |
〃 |
梶原 和樹 |
愛知 |
デンソー |
16 |
〃 |
金城 春紀 |
沖縄 |
読谷高校 |
17 |
〃 |
細川 卓翁 |
千葉 |
千葉敬愛高校 |
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