2013.11.30
 

 




「第5回アジア男子ジュニア選手権大会」を直前に控え、
男子U19日本代表が第1次国内強化合宿を実施!



短期間の合宿で最大限の効果を上げるべく、強化に励む!



大学男子ソフトボールの「名門」であり、「強豪」日本体育大が強化に協力!



強豪相手に懸命に食らいつくが……はじめは歯が立たず



日ソ協選手強化本部会・西村信紀男子強化委員長が、
「世界を相手にいかに戦うべきか」を具体的にアドバイス



徐々に本来の力を発揮しはじめた男子U19日本代表
強豪・日本体育大と互角の試合を展開するまでに……



前回大会の準優勝の原動力となり、今回も「投打の柱」として
活躍が期待される岡阜囀l投手。今度こそ……世界一を!

  打線も多士済々のメンバーが揃い、「世界」を相手にどう戦う!?

  勝ち獲れ! 全員の力で「世界一」

  11月29日、日付が変わる頃、大会開催地・タイへ出発!

男子U19日本代表レポート

男子U19日本代表
第1次国内強化合宿を実施!




2013 男子U19日本代表 第1次国内強化合宿

 去る11月26日(火)〜29日(金)の4日間、静岡県伊豆市・天城ドーム・野球場で、男子U19日本代表が(代表選手名簿はこちら)第1次国内強化合宿を実施。8月28日(水)〜30日(金)、同じく静岡県伊豆市・天城ドーム・野球場で行われた選手選考会で選び出された17名が集結。開催を直前に控えた「第5回アジア男子ジュニア選手権大会(兼第第10回世界男子ジュニア選手権大会アジア地区予選)」(大会スケジュールはこちら)に向け、強化に励んだ。

 11月26日(火)午後、静岡県伊豆市・天城ドームに集合した男子U19日本代表は、早速精力的に汗を流し、約2時間の練習。翌日から大学男子ソフトボールの名門・日本体育大(東京)の胸を借り、テストマッチを行うとあって、「日本代表」という一つの「チーム」となるべく1分1秒を惜しむように一投一打に集中し、濃密な時間を過ごした。

 翌27日(水)、28日(木)は日本体育大とテストマッチ。しかし、ほとんどの選手が革ボールを初めて経験するような状態とあって、慣れない革ボールの扱いに苦慮し、パニック状態に陥り、「どうしよう、どうしよう……」と迷い、もがくばかりで本来の力をまったく発揮することができず、大差で3連敗。
 男子U19日本代表チームの指揮を執る山口義男ヘッドコーチは、「革ボールを使って練習できる環境がなかなかなく、多くの選手が『革ボールに慣れる』という段階。今日の試合では打つ、打たない、といったレベルではなく、『カスリもしない』といった方がいいような状態で」と苦笑いを浮かべるしかなかった。

 それでも、翌28日(木)になると、早くもそれに対応。選手個々のポテンシャルの高さと適応力・順応性の早さを見せつけ、強豪・日本体育大と互角にわたり合う場面も見られ、この日の第1試合でようやく初得点を挙げた。

 チームの激励に駆けつけ、試合を観戦していた日ソ協選手強化本部会・西村信紀男子強化委員長は、第1試合終了後に選手たちを集め、「まず備え・準備ができていない。このレベルになると、何でもかんでも打ちにいって打てるほど、甘くはない。狙い球を絞り、それをしっかりと狙い打つ。少々ボールでも、狙い球であれば打ちにいく姿勢が必要だし、打ちにいったボールは決してミスショットしないという集中力が必要になる。狙い球を打ち損じてファウルにしてしまえば、相手投手を助け、有利にするだけ。そのためには、何の準備も備えもなく打席に入り、打席に入ってから『何を打とうか』『何を狙うか』などと考えているようでは話ならない。打席が回ってくる前に相手投手を観察し、相手の得意とする球種は何か、配球パターンに特徴はないか、しっかりとアンテナを張り巡らし、情報を集め、自分の狙いを定めておかなければならない。その上で、狙い球をどう打つのか、バットをどう出し、どのような軌道で、打つべきポイントに運び、どこでとらえるのか、すべてのイメージを描いておく必要がある」と、「世界の舞台」での戦いを見据えた具体的なアドバイスを送ると同時に、選手たちに「喝」を入れた。

 この一喝で選手たちも目覚めたのか、プレーに迷いが消え、第2試合、第3試合では互角の試合を展開。最終戦となる第3試合では、ついに強豪・日本体育大を相手に「金星」を挙げ、勝利をつかむまでになった。

 合宿最終日(29日/金)、日本体育大とのテストマッチで浮き彫りとなった課題を克服すべく、最終調整。この日の夕方、強化合宿を打ち上げ、東京・羽田へと向かい、深夜のフライト便で大会開催地であるタイ・チャイヤプームへと旅立った。

 昨年11月1日〜10日、アルゼンチン・パラナで開催された「第9回世界男子ジュニア選手権大会」では、オーストラリアの大会5連覇を阻止しながら、ホスト国・アルゼンチンに敗れ、「あと一歩……」のところで逃した「世界一」の座。
 そのときのスタッフが全員留任。山口義男ヘッドコーチ、高橋流星コーチ、松繁冬樹コーチ兼総務のもと、「リベンジ」を誓う男子U19日本代表。大会の開催間隔が、従来の4年に一度から2年に一度の開催となったことで、奇しくも前回大会の「エース」岡阜囀lも2大会連続で出場することになった。
 持ち前の機動力と小技を駆使し、相手の隙を見逃さず、一瞬たりとも目を離すことのできないスピード感溢れる「ジャパニーズスタイル」のソフトボールで世界を震撼させた「山口JAPAN」。唸りを上げるライズボールで真っ向勝負! 世界の強打者をキリキリ舞いさせた「エース」岡阜囀l。今回は、チームの「屋台骨」「骨格」がハッキリとし、しかもかなりのレベルで計算できるだけに、1981年の第1回大会以来遠ざかっている「世界一」の座を取り戻す「絶好のチャンス」が到来しているといえるだろう。

 2008年の北京オリンピック、昨年の第13回世界女子選手権大会で、「世界の頂点」に立った女子日本代表に、上野由岐子という「スーパーエース」がいるように、今回のチームには、前回大会を経験し、「エースで4番」を任せられる岡阜囀lという「大黒柱」がいることは、大きな「アドバンテージ」になることは間違いない。
 しかし、ソフトボールはチームスポーツ。「一人の力」で勝てるほど、甘くはない。岡阜囀lとともにチームを牽引する投手の出現がなければ、そして、それを援護する打線、支える守備、すべてが揃って初めて「世界の頂点」に立てるのである。

 球に力があり、前回大会の岡阜囀lのように「大化け」が期待できそうな岩松右近。全国高校選抜、インターハイ、国体といった国内のビッグタイトルを自らの手で勝ち獲り、優勝経験のある櫻田侑也、平湯剛憲、吉田尚央は、「勝つことを知っている」投手であり、「勝運」を持った投手でもある。この錚々たる顔ぶれの投手陣が、「世界」を相手にどんなピッチングを見せてくれるか、今から楽しみである。

 打線も、「パワー」で世界と勝負できそうな岡阜囀l、田口英雄、尾赴M成と日本としては珍しい「右のパワーヒッター」が揃い、もちろん「日本らしい」小技と機動力を兼ね備えた選手たちがしっかりと脇を固めている。この多彩な顔ぶれの打線を、「名将」山口義男ヘッドコーチがどう組み立て、世界の強豪を相手に「マジック」を仕掛けていくのか、興味は尽きない。

 ただ……現時点では、日本の「生命線」であるべき、守備面でのミスが目立ち、このあたりをどう整備していくのか。もちろん、この段階では、選手個々の能力や特徴、ポジションへの適性など、様々な形で「テスト」を繰り返し、最適な組み合わせ、ベストの布陣を見出していく過程に過ぎないとは思うが、このあたりが唯一の気がかりか。

 今回のチームは、「世界の頂点」を狙えるチームであり、「世界一」になれる千載一遇のチャンスであるといえるだろう。それだけに、今回のアジア選手権での経験を経て、まずは世界選手権への出場権をしっかりと手にし、その先に見据える「世界の頂点」への「距離」を測る大会としなければならない。残念ながら、アジアには日本の相手となるようなチームは見当たらないが、「チーム」として過ごすこの時間、国際経験は、必ずやこのチームの「かけがえのない財産」になることだろう。「山口イズム」を浸透させ、「チーム」として「熟成」する時間を与えられたこと。このアジア選手権の「意味」はそこにあり、これを来年、「世界一」となるための確かな一歩としなければならない。

 この「第5回アジア男子ジュニア選手権大会」は来年7月、カナダ・ホワイトホースで開催される「第10回世界男子ジュニア選手権大会」(2014年7月11日〜20日開催予定)のアジア予選を兼ねており、上位3位以内に入れば、本大会への出場権を獲得することができる。世界選手権出場権獲得はもちろん、優勝は間違いないだろうが、ここが「世界一」へと続く長い道のりの「第一歩」となるだけに、よりよい形でその一歩を踏み出す必要がある。

アジアから世界へ……若き日本代表の「挑戦」が、今、はじまる!