去る6月10日(火)〜13日(金)の4日間、岡山県岡山市において男子U19日本代表が第1次国内強化合宿を実施。来月(7月)に開催の迫った「第10回世界男子ジュニアソフトボール選手権大会(カナダ・ホワイトホース)」に向けて、本格的な強化に励んだ。
今回の第1次国内強化合宿には、昨年12月にタイ・チャイヤプームで開催された「第5回アジア男子ジュニアソフトボール選手権大会」で完全優勝を飾り、この世界ジュニア選手権への出場権を勝ち取ったメンバーを、平成26年度男子U19日本代表として再び招集。地元・岡山の強豪、環太平洋大学、平林金属の全面的なバックアップにより、4日間で計4試合のテストマッチを行うなど、迫る「本番」に備え、実戦主体の強化に取り組んだ。
合宿冒頭では、まず山口義男ヘッドコーチから選手たちへ「こうやってチームとして集まるのは、昨年のアジア選手権以来となるが、今回、世界選手権に臨むにあたって、もう一度、私の考え、思いを君たちに伝えておきたい。これまでも話をしてきたが、今回の目標はもちろん、このチームで『世界一』になるということ。しかし、今後のソフトボール人生において、この世界選手権で『優勝』することがすべてではないことを、改めて心に留めておいてもらいたい。このU19日本代表はあくまでも通過点。まずは、現状に満足することなく、常に先を見据えながら、継続して己を高めていくことができる人間になってもらいたいし、どちらかと言えば、この『ジュニア』のカテゴリーを、それぞれが『飛躍の場』として捉えてほしいと考えている。我々の一番の願いは、このチームの中から、今後『ナショナルチーム』へとステップアップし、未来の男子ソフトボール界を牽引していくような選手がたくさん出てくること。この世界選手権をゴールとして設定するのではなく、全員ここから『新たなスタート』を切るぐらいの意気込みで臨んでもらいたい」と、熱い思いが伝えられると、「今回の合宿でも、環太平洋大学、平林金属という『トップレベル』のチームの胸を借り、大会『本番』を想定した実戦主体の強化を図っていく。その中で課題もたくさん出ると思うが、まずは、その課題に一人ひとりが正面から向き合ってもらいたい。監督やコーチに指示されて動くのではなく、まずは自分たちで考え、実践する。それぞれがこのチームを引っ張っていくんだ!という気概を持って、充実した、中身の濃い強化合宿にしていこう」と、今回の合宿の目的・方針を具体的に説明した。
また、高橋流星コーチからも「大会に向けて、チームが集まり、本格的な強化を図れる場はこの国内合宿が最後となる。1分、1秒、1球、ワンプレー、貴重な時間を大切にし、現地に入ってから、もっとこのプレーを練習しておけばよかった……、もっとこの場面を確認しておけばよかった……、ということが決してないように、一人ひとりがこれまで以上に集中力を研ぎ澄ませ、今回の合宿に臨んでほしい」と、合宿に臨む上での心構えが説かれ、チーム全体の士気が高められた。
合宿初日は、環太平洋大学(男子ソフトボール部専用グラウンド)において、ウォーミングアップ、キャッチボール、トスバッティングで軽く汗を流した後、シートノックで守備の連係を確認。この後、バッティングマシンを利用したフリーバッティングが行われ、実戦に備えた準備が進められると、早速ナイターで環太平洋大学とテストマッチを実施。投手陣を含め、まずは選手全員がそれぞれのポジションでプレーし、個々のコンディション、そして各ポジションへの適応性が再度チェックされた。
合宿2日目は、会場を平林金属(ソフトボール専用グラウンド/HIRAKINライズ球場)へと移し、2試合のテストマッチを実施。現在、日本男子ソフトボール西日本リーグで首位を走る「日本リーグの強豪」平林金属の胸を借り、“真剣勝負”さながら“トップレベル”での実戦に臨んだ。
平林金属とのテストマッチでは、さすがに「日本リーグの強豪」を相手にするとあって、男子U19日本代表は苦戦の連続。攻守ともに、相手のスピードやパワー、また、一瞬の隙を突く「本気モードのプレー」に圧倒される場面が目立つ展開となったが、何よりこれまで体感することのできなかった「トップレベル」で揉まれることにより、選手個々が世界の強豪を想定した「経験」を積める貴重な機会となった。
合宿3日目は、再び会場を環太平洋大学(男子ソフトボール部専用グラウンド)へと移し、環太平洋大学・平林金属の混合チームとテストマッチを実施。合宿最終日は、今回の合宿で浮彫りとなった課題を具体的に洗い出し、それを克服するための「課題練習」に多くの時間が割かれた。
2012年に開催された第9回世界男子ジュニアソフトボール選手権大会(アルゼンチン・パラナ)では、エース・岡阜囀l(当時・明徳義塾高校/現・デンソー)が投打にわたり大活躍。大会5連覇の偉業達成を狙った「難攻不落」の王者・オーストラリアを2度にわたり撃破するなど快進撃を続け、ファイナル進出を果たすと、ファイナルでは6000人を超える大観衆を味方につけたホスト国・アルゼンチンと熱戦を展開。「あと一歩」及ばず、惜しくも準優勝に終わったが、その「堂々たる戦いぶり」は会場に訪れた多くの人々の胸を打ち、改めて世界に日本の“実力”を示すものであった。
今回のチームも、この合宿で投手陣「最速」となるMAX123km/hを叩き出すなど、「剛腕」ぶりを見せた岡阜囀lが投打の柱。平林金属とのテストマッチでは、結果的に打ち込まれる形となったが、やはりその「ポテンシャルの高さ」には目を見張るものがある。前回大会の経験を含め、昨年は日本リーグ(東日本リーグ)でも、ルーキーながら最優秀投手賞、ベストナインの二冠に輝くなど、まさに「評判通りの活躍」を見せているだけに、今大会でもどのような活躍を見せてくれるのか、期待は膨らむ。また、大会「本番」では、「岡浮セけ」ではなく、「新たなスター」の出現にも期待したいところ。投手陣では、平湯剛憲(三菱重工名古屋)、櫻田侑也(大村工業高校)ら「右の実力派」が世界の舞台でどこまで通用するか。攻撃では、今回の合宿でシュアなバッティングを見せ、打線を牽引していた梶原和樹(デンソー)をはじめ、平林金属とのテストマッチでも、力負けすることなく、コンスタントに結果を残していた田口英雄(大阪グローバル)、盛田英雄(熊本学園大学)、宇根良祐(環太平洋大学)らに、期待が高まる。
今回の「第10回世界男子ジュニアソフトボール選手権大会」も、出場国は強者揃い。前回大会の「優勝投手」で、日本を3度にわたり苦しめた「エース」ウエムル・マタを擁する王者・アルゼンチン。「王座奪回」に向け、メラメラと熱き闘志を燃やすオーストラリア。「ソフトボール大国」としてお馴染みのカナダ、ニュージーランドも、前回に続き、個々に能力の高い選手を揃えてくることは間違いなく、侮ることはできない。その中で、前回準優勝の日本が「名将」山口義男ヘッドコーチのもと、どのような戦いぶりを見せてくれるのか……!大会「本番」が今から待ち遠しく思える。
男子U19日本代表は、今後、7月7日(月)に日本を出発。「決戦の地」カナダ・ホワイトホースへと入り、現地に入った後は、今大会の出場国と最終調整を兼ねたテストマッチを実施。11日(金)には、いよいよ「第10回世界男子ジュニアソフトボール選手権大会」の開幕を迎えることになる。
前回、「あと一歩」のところで優勝を逃した悔しさを胸に……!
今度こそ、つかみ取れ、「世界一」!!
■第10回世界男子ジュニアソフトボール選手権大会(カナダ・ホワイトホース)
試合スケジュールはこちら
平成26年度男子U19日本代表 (第10回世界男子ジュニアソフトボール選手権大会 出場選手) |
NO |
守備 |
氏名 |
支部 |
所属 |
1 |
投手 |
岩松 右近 |
鹿児島 |
鹿屋農業高校 |
2 |
〃 |
岡普@建斗 |
愛知 |
デンソー |
3 |
〃 |
櫻田 侑也 |
長崎 |
大村工業高校 |
4 |
〃 |
平湯 剛憲 |
愛知 |
三菱重工名古屋 |
5 |
〃 |
吉田 尚央 |
東京 |
早稲田大学 |
6 |
捕手 |
田口 英雄 |
大阪 |
大阪グローバル |
7 |
〃 |
山普@純 |
福岡 |
オール福岡 |
8 |
内野手 |
宇根 良祐 |
岡山 |
環太平洋大学 |
9 |
〃 |
尾普@貴成 |
岡山 |
平林金属 |
10 |
〃 |
永山 健仁 |
富山 |
YKK |
11 |
〃 |
日野 隼一 |
東京 |
日本体育大学 |
12 |
〃 |
盛田 英雄 |
熊本 |
熊本学園大学 |
13 |
〃 |
山本 明 |
岡山 |
環太平洋大学 |
14 |
外野手 |
尾本 心平 |
岡山 |
環太平洋大学 |
15 |
〃 |
梶原 和樹 |
愛知 |
デンソー |
16 |
〃 |
金城 春紀 |
岐阜 |
中京学院大学 |
17 |
〃 |
細川 卓翁 |
岡山 |
環太平洋大学 |
スタッフ
NO |
役職 |
氏名 |
支部 |
所属 |
1 |
団長 |
煖エ 清生 |
岐阜 |
(公財)日本ソフトボール協会 |
2 |
ヘッドコーチ |
山口 義男 |
長崎 |
大村工業高校 |
3 |
コーチ |
高橋 流星 |
東京 |
日本体育大学 |
4 |
コーチ兼総務 |
松繁 冬樹 |
高知 |
高知農業高校 |
5 |
トレーナー |
日高 彰人 |
|
|
6 |
広報 |
竹普@治 |
|
(株)日本体育社 |
7 |
帯同審判 |
上田 素市 |
福岡 |
(公財)日本ソフトボール協会 |
|