2014.7.21
 

 

●男子U19日本代表レポート
第10回世界男子ジュニアソフトボール選手権大会(カナダ・ホワイトホース)


日本、延長9回に及ぶ死闘の末、サヨナラ負け......。第3位に終わる



いよいよ大会もクライマックス!
日本はブロンズメダルゲームで、再び「王者」アルゼンチンに挑む


アルゼンチンは満を持して、今大会「No.1」投手
エース・ウエムル・マタを先発に起用



日本が3回表に1番・宇根良祐の
幸運な内野安打で1点を先制するが......

  アルゼンチンも当然黙ってはいない
4回裏、6番・ウエムル・マタのタイムリーで同点に追いつく



試合は1−1のまま、延長タイブレーカーに突入
迎えた9回裏、アルゼンチンの7番・ゴンザロ・マスムが放った一撃は......



無情にもサヨナラツーランホームラン
日本の「世界一」への挑戦は、ここで終わりをつげた



この「悔しさ」、「経験」を必ず次の舞台へ!
彼らの本当のソフトボールはここからはじまる



「世界一」にはなれなかったが、堂々の第3位
これからも日本代表の挑戦は続いていく!

 
 


第10回世界男子ジュニア選手権大会
決勝トーナメント・ブロンズメダルゲーム
アルゼンチン戦



第10回世界男子ジュニア選手権大会
日本選手団帰国


 第10回世界男子ジュニアソフトボール選手権大会(■大会公式サイトはこちら)もいよいよ最終日。前日、決勝トーナメント3位・4位戦で、オーストラリアに12−3の6回コールド勝ちを収めた日本(■日本選手団名簿はこちら)は、この日、ファイナル進出をかけ、ブロンズメダルゲーム(3位決定戦)でアルゼンチンと対戦した(■大会結果はこちら)。

 前回大会の「王者」アルゼンチンは、予選リーグを9勝0敗の「無敗」で終え、圧倒的な強さで決勝トーナメントに進出。しかし、決勝トーナメント・セミファイナルでは、予選リーグ2位のニュージーランドに1−3の逆転負け。3回表にソロホームランで先手を奪いながら、その裏、守備の乱れにつけ込まれ、まさかの3失点。敗者復活戦へと回り、この日、ブロンズメダルゲーム(3位決定戦)で日本と対戦することになった。この試合をモノにしたチームが、ファイナルへ進出。待ち受けるニュージーランドへの挑戦権を得ることになる。負ければその時点で終わりの「究極のサバイバルゲーム」、互いに「勝負」をかけた一戦に臨んだ。

【大会最終日】
7月20日(日)/決勝トーナメント・ブロンズメダルゲーム
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
日 本 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1
アルゼンチン 0 0 0 1 0 0 0 0 2x 3
※延長9回タイブレーカー
日本: ●岡阜囀l(8回2/3)−田口英雄

 アルゼンチン・ウエムル・マタ、日本・岡阜囀l、「今大会屈指の好投手」が互いに先発。まさに立ち上がりから「力と力」がぶつかり合う「一騎打ち」となり、初回、2回と序盤は両チーム無得点。予想通り、両エースが一歩も譲らぬ投手戦となった。

 迎えた3回表、日本はこの回先頭の7番・梶原和樹が三遊間を鋭く破る安打で出塁すると、8番・日野隼一がしっかりと送りバントを成功させ、一死二塁。続く9番・田口英雄のファーストゴロの間に二塁走者・梶原和樹が三塁へ進塁し、二死三塁とチャンスを広げた。ここで、「リードオフマン」1番・宇根良祐が、ウエムル・マタの投じた速球を迷いなく強振。これがキャッチャー前で大きく跳ねる幸運な内野安打となり、この間に三塁走者・梶原和樹が本塁へ生還。日本の「積極的に打って出る!」姿勢が、この大事な一戦で先制点を呼び込み、まずは試合の流れをつかんだ。

 しかし、「王者」アルゼンチンも当然黙ってはいない。4回裏、一死から4番打者が三遊間を破り、出塁すると、二死後、この試合6番に入ったウエムル・マタがレフトへ「力」で運ぶタイムリーツーベース。一塁走者が一気に本塁へ還り、試合を振り出しに戻した。

 その後は、再び「両エース」の投げ合いとなり、息詰まる投手戦を展開。アルゼンチン・ウエムル・マタが、5回表に日本打線を三者三振に切って取れば、日本・岡阜囀lも負けじと自慢の「ライズボール」で押しまくり、その裏のアルゼンチンの攻撃をピシャリと三者凡退に抑える力投。日本は6回裏、安打と2つのワイルドピッチ、死球で二死一・三塁の絶体絶命のピンチを迎えたが、ここで6番・ウエムル・マタをライトフライに打ち取り、この回も無失点。ピンチになればなるほど「底力」を発揮する、“岡浮轤オい”ピッチングで、得点を許さず、試合は1−1のまま延長タイブレーカーにもつれ込むことになった。

 迎えた8回表、アルゼンチンは、エース・ウエムル・マタに代えて、2番手・ロマン・ゴドイを起用。日本は、タイブレーカーの走者を二塁に置き、9番・田口英雄の送りバントで三塁へ走者を進めたが、予選リーグで日本打線を苦しめたロマン・ゴドイの前に「あと一本」が出ず、この回も無得点。その裏、アルゼンチンに二死からヒットを浴び、一・三塁のピンチを背負ったが、岡阜囀lが最後の力を振り絞り、後続を三振に取り、またしても大きなピンチを脱した。

 まさに両チームの意地とプライドがぶつかり合う大熱戦は、とうとう延長9回へと突入。9回表も一死二・三塁のチャンスをモノにできなかった日本は、その裏、岡阜囀lが「魂の込もったピッチング」で二者を打ち取り、この回もツーアウトまでこぎつけた。ここで迎えるバッターは、7番・ゴンザロ・マスム。予選リーグでの対戦では「3打席連続本塁打」を放つなど、日本の息の根を止めた「要注意打者」が、岡阜囀lの投じたインコースのライズボールを迷いなく強振。打球はセンターへと大きなアーチを描き、伸びると、フェンスぎりぎりで懸命に腕を伸ばしたセンター・尾本心平のグラブのわずか先に落ちる値千金のサヨナラツーランホームラン......。ここまで我慢に我慢を重ねてきた、エース・岡阜囀lの力投を打ち砕く「一発」となり、アルゼンチンが歓喜のサヨナラ勝ち。前回大会から続いた「因縁の対決」は、延長9回に及ぶ「死闘」となりながらも、日本にとっては残酷ともいえる幕切れとなり、日本の「世界一」の夢はここで潰えることとなった。

 前回の「王者」にリベンジを果たすべく、「魂の込もったピッチング」で果敢に立ち向かった日本のエース・岡阜囀l。そのピッチングは、無情にも「一振り」で終焉を迎えた。日本を沈める一発を放った7番・ゴンザロ・マスムとの対戦も、まさに真っ向勝負。予選リーグで「3打席連続本塁打」の離れ技をやってのけた「要注意人物」を迎えても、迷わず勝負を選択。この戦いに決して悔いが残らぬよう、最後まで“力勝負”を挑み続けた。勝利の女神は残酷か......、岡浮ノは、そして日本には、最後まで微笑まなかった。だが、「日本のエース」岡阜囀lは、今大会「bP」の右腕・ウエムル・マタと真のライバルとして競い合い、互いに刺激し合いながら、この世界選手権を盛り上げた「ヒーロー」であったことは間違いなく、その活躍ぶりは大いに称賛されるものであったことは確かである。

 今大会、日本代表は「日本らしく」攻守すべてにおいてクオリティーの高いソフトボールを展開し、目の肥えたカナダのソフトボールファンを唸らせるプレーを数多く見せてくれた。その点に関しては、日本の進むべき道に間違いはなく、世界の舞台でも十分に通用することを証明したと言えるだろう。

 「負ける」ということはやはり悔しい......。だが、最も重要なことは、この「悔しさ」を、選手たちが自分の中でいかに受け止め、次なる舞台へつなげていけるかということである。彼らの「本当のソフトボール」はここからはじまる。今大会、身を持って経験したように、「世界の舞台」、また「勝負の世界」は厳しく、ときに残酷でもある。彼らには、このかけがえのない経験を必ず未来につなげてほしい。そして、この舞台で学んだこと、経験したことを、日本に持ち帰り、それぞれの場所で広く伝えてもらいたいと思う。その積み重ねが、日本の男子ソフトボールのさらなるレベルアップにつながると信じて......。

 「世界一」にはなれなかったが、世界で第3位。堂々と胸を張って帰ろう。この「悔しさ」は、次なる舞台にとっておけばいい。日本代表の挑戦は決して終わることはないのだから!


決勝トーナメント・ブロンズメダルゲーム

アルゼンチン戦 スターティングラインアップ
打順 守備位置 選手名 所属 UN
1 3B 宇根良祐 環太平洋大学 6
2 SS 永山健仁 YKK 20
3 1B 盛田英雄 熊本学園大学 28
4 LF 金城春紀 中京学院大学 5
5 岡阜囀l デンソー 17
6 DP 尾赴M成 平林金属 8
7 RF 梶原和樹 デンソー 7
8 2B 日野隼一 日本体育大学 24
9 田口英雄 大阪グローバル 14
FP CF 尾本心平 環太平洋大学 1

※選手交代
4回表 代走 岡浮nUT→山本 明(環太平洋大学)IN
4回裏 再出場 山本OUT→岡阜囀l(デンソー)IN ※投手で再出場


最終順位決定戦


優勝 アルゼンチン
2位 ニュージーランド
3位 日本
4位 オーストラリア