7月2日(月)、東京・品川プリンスホテルで結団式・壮行会を行った女子日本代表は、その日、カナダへ出発。直前に迫った「第13回世界女子選手権大会」の「最終調整」を兼ね、カナダ・サレーで開催された「2012カナダカップ(カナディアンオープン)」に出場。宿敵・アメリカに予選リーグでは敗れたものの、決勝で「リベンジ」を果たし、「42年ぶりの世界女子選手権優勝」へ向け、弾みをつけた。
女子日本代表は、大会初日(7月4日/水)、大会のオープニングゲームでニュージーランドと対戦。2回裏、「切り込み隊長」河野美里が豪快なツーランを放ち、先手を取ると、5回裏には、「主砲」山田恵里の安打と相手守備の乱れから、無死満塁のチャンスをつかみ、二死後、坂元令奈、河野美里、大久保美紗が3連続四球で労せずして3点を追加。6回裏には、岩渕有美、坂元令奈のタイムリーで2点を加え、7点のリードを奪うと、藤田倭、栗田美穂の投手リレーでニュージーランド打線を無得点に抑え、7−0の6回コールド勝ちを収め、初戦を飾った。
大会2日目(7月5日/木)は、ダブルヘッダーとなり、まずオーストラリアと対戦。先発・藤田倭が初回に2点を失い、苦しい試合展開になるかと思われたが、その直後の2回表、山田恵里の四球、岩渕有美の安打などで一死二・三塁の反撃機をつかみ、鈴木美加がタイムリー。続く相馬満利の内野ゴロの間に三塁走者が還り、同点。西山麗が故意四球で歩かされ、二死一・二塁とし、関友希央、大久保美紗、山田恵里の3連打で4点を追加し、逆転に成功。さらに坂元令奈が四球で歩き、岩渕有美がタイムリーを放ち、この回7点目。打者13人を送る猛攻で一気に試合をひっくり返した。
その後は先発・藤田倭が8安打を打たれながらも追加点を許さず、完投勝ち。7三振を奪う力投で2勝目を挙げた。
続くカナダ戦は、初回に河野美里の二塁打からチャンスをつかみ、峰幸代の犠牲フライで先取点を挙げ、2回表にも、藤野遥香、坂元令奈の長短打で無死二・三塁と追加点のチャンスがありながら、後続なく無得点。これで試合の流れが変わったか、先発・栗田美穂が2回裏に3本の長短打を浴びて同点とされ、3回裏にも一死から三塁打を浴び、次打者に四球を与えたところでピッチャー交代。染谷美佳をリリーフに送ったが、犠牲フライで1点を失い、逆転を許し、試合はそのまま終盤7回表を迎えた。
しかし、女子日本代表は土壇場で「勝利への執念」を見せ、この回先頭の大久保美紗が安打で出塁。続く峰幸代が手堅く送り、一打同点のチャンスを作ると、「主砲」山田恵里は故意四球で歩かされ、一死一・二塁。逆転の走者を出し、藤野遙香がライトフライに倒れ、二死となったが、坂元令奈が起死回生のタイムリーツーベース。「あと一人」と追い込まれた状況から、試合をひっくり返し、3−2の逆転勝ちを収めた。
大会3日目(7月6日/金)、予選リーグ第4戦はプエルトリコと対戦。満を持して登板した上野由岐子が「貫禄」のピッチングで試合をスタートさせると、打線もこれに応え、2回表、峰幸代、古田真輝の連打とワイルドピッチで無死二・三塁のチャンスをつかむと、鈴木美加が二者を迎え入れるタイムリーを放ち、2点を先制。さらに四球、内野ゴロで一死二・三塁とし、一塁走者が盗塁を仕掛け、その間に三塁走者が生還。この回3点を先制した。続く3回表には、坂元令奈、峰幸代、古田真輝の3連打で無死満塁とし、鈴木美加が再びタイムリーを放ち、1点を追加。一死後、西山麗にもタイムリーが飛び出し、この回2点を追加。4回表には、この試合大当たりの鈴木美加のタイムリーツーベースを含む6長短打を集中。4点を加え、5回表にも、坂元令奈、古田真輝の長短打などで2点を追加。17安打・11得点と打ちまくり、プエルトリコを圧倒した。
守っては、先発・上野由岐子が3回をノーヒット、4奪三振と完璧なピッチングを披露し、染谷美佳が4回裏、5回裏に1点ずつを失ったものの、打線の援護もあり、余裕の試合運びで11−2と大勝。5回コールド勝ちを収め、4連勝を飾った。
大会4日目(7月7日/土)、ここまで全勝同士の対戦となった「宿敵」アメリカ戦は、女子日本代表が2回表に先制。今シーズン、日本女子リーグ1部・デンソーの上位躍進の「立役者」となっているアメリカの先発・ジョーダン・テーラーを攻め、峰幸代、岩渕有美の長短打で無死一・三塁のチャンスをつかむと、古田真輝の内野ゴロの間に三塁走者を迎え入れ、まず1点を先制。二死後、河野美里にもタイムリーが飛び出し、この回2点を奪い、このまま有利に試合を進めるかと思われた。
しかし、その裏、先発・栗田美穂が1点を失い、早くも染谷美佳にスイッチ。続く3回裏にも、染谷美佳が3安打を浴び、2点を失い、逆転を許すと、アメリカは5回裏にも、安打、送りバント、四球で一死一・二塁とし、サマンサ・フィッシャーがタイムリーツーベースを放ち、1点を追加。このピンチはリリーフした藤田倭が踏ん張り、追加点を許さず、味方打線の反撃に望みをつないだ。
女子日本代表は6回表、峰幸代の安打を足掛かりに二死三塁とし、ワイルドピッチで1点を返したが、反撃もここまで。あと一歩及ばず、今大会初黒星を喫した。
大会5日目(7月8日/日)、女子日本代表は予選リーグ最終戦でベネズエラと対戦。初回、大久保美紗の先制タイムリーで猛攻の口火を切ると、3安打・3四球で3点を奪い、試合の主導権を握り、続く2回表にも大久保美紗、坂元令奈の二塁打を含む3本の長短打を集中。3点を追加し、序盤で大差をつけた。5回表には、岩渕有美、古田真輝の連打からチャンスをつかみ、相手守備の乱れと西山麗のタイムリーで4点を追加。二桁得点で5回コールド勝ちを収め、予選リーグを5勝1敗の2位で通過。決勝トーナメントへ駒を進めた。
この日の第3試合から決勝トーナメントに入り、予選リーグ2位の女子日本代表は、予選リーグ3位のカナダと対戦。初回、相手守備の乱れに乗じて1点を先制すると、5回表に同点に追いつかれたものの、その裏、すぐに反撃。代打・相馬満利の安打を口火に、犠打失策などで一死一・二塁とし、「切り込み隊長」河野美里が勝ち越しのタイムリー。続く西山麗が手堅く送り、二・三塁とすると、大久保美紗にもタイムリーが飛び出し、この回2点目。カナダを突き放した。
このリードを染谷美佳、栗田美穂、藤田倭とつなぐ投手リレーで守り切り、3−1で快勝。ファイナル進出を決め、同じく決勝トーナメント・セミファイナルでオーストラリアを2−0で破ったアメリカと優勝をかけ、対戦することになった。
大会最終日(7月9日/月)、予選リーグで唯一星を落としたアメリカと対戦。女子日本代表は先発・藤田倭が好投。前半4回まで両チーム無得点のまま、迎えた5回表、女子日本代表は代打・藤野遥香が安打を放ち、出塁。岩渕有美が再出場し、一塁走者となると、一死後、二盗を成功させ、相馬満利のサードゴロの間に三進。今大会絶好調の「切り込み隊長」河野美里がレフト前へ先制のタイムリー。この打球の処理を誤る間に二塁へ進み、ワイルドピッチで三塁へ。続く西山麗にもタイムリーが飛び出し、2点目。大久保美紗が四球を選び、一・二塁とすると、「主砲」山田恵里が走者一掃のタイムリーツーベースを放ち、この回大量4点を奪い、勝負を決めたかに見えた。
しかし、アメリカも黙ってはいない。6回裏、ここまで無失点の力投を続ける藤田倭を攻め、スリーランを含む4本の長短打を集中し、アッという間に同点に追いつき、試合は4−4の同点のまま、延長タイブレーカーへともつれ込んだ。
女子日本代表は8回表、タイブレーカーの走者を二塁に置き、三振、セカンドゴロで二死三塁とし、岩渕有美が四球で歩き、鈴木美加のサードゴロがエラーを誘い、1点を勝ち越し。続く相馬満利、河野美里、西山麗の3連打に相手守備の乱れも絡み、この回決定的な5点を奪った。
女子日本代表は、疲れの見える藤田倭が6点を失ったものの、9−6で勝利を収め、「世界女子選手権の前哨戦」ともいうべき、カナダカップ(カナディアンオープン)を制し、「42年ぶりの世界女子選手権優勝」へ弾みをつけた。
2012 カナダカップ(カナディアンオープン) 日本戦イニングスコア
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
計 |
ニュージーランド |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
日本 |
0 |
2 |
0 |
0 |
3 |
2x |
7 |
※大会規定により6回得点差コールド |
バッテリー:○藤田(5回)・栗田(1回)─峰・渡邉 |
長打:〔本塁打〕河野 |
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
計 |
日本 |
0 |
7 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
7 |
オーストラリア |
2 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
2 |
|
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
計 |
日本 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
2 |
3 |
カナダ |
0 |
1 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
2 |
バッテリー:栗田(2回1/3)・染谷(2回2/3)・○栗田(2回)─峰 |
長打:〔二塁打〕河野、坂元A |
|
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
計 |
日本 |
0 |
3 |
2 |
4 |
2 |
11 |
プエルトリコ |
0 |
0 |
0 |
1 |
1 |
2 |
バッテリー:○上野(3回)・染谷(2回)─峰 |
長打:〔二塁打〕鈴木、坂元 |
|
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
計 |
日本 |
0 |
2 |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
3 |
アメリカ |
0 |
1 |
2 |
0 |
1 |
0 |
0 |
4 |
バッテリー:栗田(1回1/3)・●染谷(3回)・藤田(1回2/3)─峰・渡邉 |
長打:〔二塁打〕峰 |
|
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
計 |
日本 |
3 |
3 |
0 |
0 |
4 |
10 |
ベネズエラ |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
バッテリー:○上野(5回)─峰 |
長打:〔二塁打〕大久保、坂元 |
※日本、予選リーグ5勝1敗の2位で決勝トーナメント進出 |
|
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
計 |
カナダ |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
1 |
日本 |
1 |
0 |
0 |
0 |
2 |
0 |
x |
3 |
バッテリー:染谷(4回)・○栗田(1回)・藤田(2回)─渡邉 |
長打:〔三塁打〕河野 |
※日本、決勝進出。決勝でアメリカと対戦 |
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
計 |
日本 |
0 |
0 |
0 |
0 |
4 |
0 |
0 |
5 |
9 |
アメリカ |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
4 |
0 |
2 |
6 |
バッテリー:○藤田(8回)─峰 |
長打:〔二塁打〕山田 |
※日本、優勝 |
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