大会6日目(7月18日/水 ※日本時間・7月19日/木)、前日の雨のため、予定されていたイタリア戦が中止・順延を余儀なくされ、本日朝8時半からの第1試合に組み入れられることになった。 このため、日本はダブルヘッダーとなり、まずイタリアと対戦。前日の台湾戦同様、思わぬ苦戦を強いられたが、延長タイブレーカーにもつれ込む接戦を制し、6−3で競り勝つと、続くイギリス戦に7−0の5回コールド勝ち。無傷の6連勝を飾り、最終戦を待たずに予選リーグ・セクションBの1位通過が決定した(日本が最終戦のメキシコ戦に敗れ、1敗で追うカナダ、オーストラリアのいずれかが残り試合を連勝し、6勝1敗の同率で並んだとしても、日本はカナダ、オーストラリアの両チームに直接対決で勝利しているため、大会規定で順位は上となる)。 予選リーグ最終戦を残しているとはいえ、これで事実上、戦いは「次のステージ」決勝トーナメントへと進むことになる。 もう一方のセクション、セクションAはアメリカが中国との「全勝対決」を13−0の4回コールドで圧勝し、1位通過が濃厚。日本の決勝トーナメント初戦の相手は、セクションA2位の中国となりそうな気配だ。
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
計 |
日 本 |
0 |
1 |
0 |
0 |
1 |
1 |
0 |
3 |
6 |
イタリア |
0 |
2 |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
3 |
藤田(3回)・○染谷(5回)−渡邉 |
〔三塁打〕渡邉〔二塁打〕古田、鈴木 |
日本は2回表、一死から6番・坂元令奈が三遊間を破るヒットで出塁。7番・古田真輝が前日の台湾戦の反省をしっかり生かし、送りバント成功。二死ながら得点圏に走者を進めると、8番・鈴木美加がしぶとく二遊間を抜くタイムリーを放ち、1点を先制した。
これで試合の流れは「日本ペース」になるかと思われたが、その裏、先発・藤田倭がイタリア打線につかまり、先頭打者をセンター前ヒットで出塁させると、続く6番打者にセンター頭上を越えるタイムリーツーベースを浴び、あっさり同点。送りバントと決めつけたわけではないだろうが、不用意な一球を痛打され、同点に追いつかれた。
さらに次打者の内野ゴロの間に二塁走者が三塁へ進塁。8番打者にレフトへ犠牲フライを打ち上げられ、逆転を許してしまった。
日本は、先発・藤田倭が4回裏の先頭打者をフォアボールで歩かせたところで、染谷美佳にスイッチ。この回は、染谷美佳の落ち着いた投球と相変わらずの日本守備陣の堅守でダブルプレーに打ち取り、無失点で切り抜けた。
1点を追う日本は5回表、この回先頭の1番・河野美里が四球を選び、送りバントで一死二塁。3番・藤野遥香の三塁強襲安打で一・三塁とチャンスを広げ、4番・山田恵里の内野ゴロの間に、三塁走者がホームイン。同点に追いつくと、続く6回表には、7番・古田真輝の左中間を破る二塁打でチャンスをつかみ、送りバントで一死三塁とした後、9番・渡邉華月がライトオーバーの三塁打を放ち、1点を勝ち越し。続く1番・河野美里のレフトフライで三塁走者・渡邉華月がタッチアップから本塁突入を試みたが、レフトからの好返球で本塁寸前タッチアウト。ダメ押しの1点を奪うことはできなかったが、リリーフした染谷美佳の出来からして、このまま逃げ切ると思われた。
しかし、その裏、染谷美佳が自らのエラーからピンチを招き、イタリアの4番、5番に連打を浴び、同点。試合は3−3の同点のまま、延長タイブレーカーへ突入した。
日本は8回裏、7番・古田真輝が送りバントを失敗。タイブレーカーの走者を進められず、嫌なムードになりかけたが、8番・鈴木美加がレフトオーバーのタイムリーツーベースを放ち、まず1点を勝ち越し。二死後、1番・河野美里、2番・西山麗の連続タイムリーで2点を加え、この回計3点を挙げ、粘るイタリアを振り切った。
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
計 |
イギリス |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
日 本 |
0 |
1 |
4 |
1 |
1x |
7 |
○染谷(3回)・栗田(2回)−峰 |
〔二塁打〕坂元、峰 |
前日の台湾戦、この日の一試合目のイタリア戦と思わぬ苦戦が続いた日本は、ガラッと打順を組み替え、この試合に臨んだ。
日本は2回裏、この回先頭の6番・坂元令奈が三塁線を鋭く破る二塁打を放ち、7番・岩渕有美が確実に送り、一死三塁。8番・古田真輝がセンターへキッチリと犠牲フライを打ち上げ、それぞれがしっかりと「自分の役割」を果たし、「こうすれば得点できる」という「お手本」のような攻撃で先取点を挙げた。
勢いづいた日本は3回裏、一死から3番・河野美里、4番・峰幸代の連打と好走塁で二・三塁のチャンスをつかみ、敵失で満塁。二死後、7番・岩渕有美がセンター前にタイムリーを放ち、2点を追加。さらに得意の機動力を使った攻めで相手守備陣を揺さぶり、2点を奪い、この回4点を挙げ、有利に進めた。
守っては、先発・染谷美佳が3イニングを内野安打1本に抑える好投。緩急自在のピッチングでイギリス打線を翻弄し、5三振を奪うなど、持ち味を十分に発揮した投球内容でリリーフの栗田美穂にバトンを渡すと、栗田美穂も負けじと力投。2イニングを一人の走者も許さぬパーフェクトピッチング。4三振を奪い、イギリス打線につけ入る隙を与えず、完全に抑え込んだ。
投手陣の力投に打線も応え、4回裏には、4番・峰幸代のタイムリーツーベースで1点を追加。5回裏には、途中出場の9番・相馬満利が7点目となるタイムリーをレフト前に放ち、7−0で5回コールド勝ちを決めた。
日本はこれで予選リーグ6勝0敗。最終戦を待たずに予選リーグ・セクションB1位通過を決めた。世界選手権「8連覇」の偉業達成に燃える「宿敵」アメリカが圧倒的な強さを見せているのに比べ、日本は「格下」相手にも苦戦が続き、打線も調子が下り坂と不安材料ばかりにも見える。
しかし、今回のチームは、最初から「対アメリカ」に照準を絞り、決勝トーナメントでの戦いを見据えた上で準備を積み重ねている。アメリカのように他を圧倒するようなパワーや派手な攻撃はないが、攻守両面でのバランス、特に機動力では日本に分があり、しかも「エース」上野由岐子という「切り札」を持っている点にも大きな違いがある。加えて、染谷美佳もまったく違った投球スタイルで安定感抜群のピッチングを続けており、アメリカの強力打線を沈黙させる可能性は十分にある。
決勝トーナメントに入ってからが「本当の勝負」である。42年ぶりの「世界選手権優勝」、打倒・アメリカ、アメリカの8連覇を阻止しての「王座奪還」へ……戦いはいよいよクライマックスを迎える。
第13回世界女子選手権大会 第6日
予選リーグ第5戦 イタリア戦スターティングラインアップ |
打順 |
守備 |
選手名 |
所属 |
1 |
9 |
河野 美里 |
太陽誘電 |
2 |
6 |
西山 麗 |
日立ソフトウェア |
3 |
7 |
藤野 遥香 |
トヨタ自動車 |
4 |
8 |
山田 恵里 |
日立ソフトウェア |
5 |
DP |
峰 幸代 |
ルネサスエレクトロニクス高崎 |
6 |
5 |
坂元 令奈 |
トヨタ自動車 |
7 |
3 |
古田 真輝 |
豊田自動織機 |
8 |
4 |
鈴木 美加 |
トヨタ自動車 |
9 |
2 |
渡邉 華月 |
トヨタ自動車 |
FP |
P |
藤田 倭 |
太陽誘電 |
※選手交代 |
イニング |
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3回表 |
代走 |
藤野OUT→相馬満利(日本体育大)IN |
〃 |
〃 |
峰OUT→関友希央(ルネサスエレクトロニクス高崎)IN |
3回裏 |
再出場 |
相馬OUT→藤野遥香(トヨタ自動車)IN |
4回裏 |
投手交代 |
藤田OUT→染谷美佳(デンソー)IN |
予選リーグ第6戦 イギリス戦スターティングラインアップ |
打順 |
守備 |
選手名 |
所属 |
1 |
8 |
山田 恵里 |
日立ソフトウェア |
2 |
DP |
関 友希央 |
ルネサスエレクトロニクス高崎 |
3 |
9 |
河野 美里 |
太陽誘電 |
4 |
2 |
峰 幸代 |
ルネサスエレクトロニクス高崎 |
5 |
4 |
鈴木 美加 |
トヨタ自動車 |
6 |
5 |
坂元 令奈 |
トヨタ自動車 |
7 |
7 |
岩渕 有美 |
ルネサスエレクトロニクス高崎 |
8 |
3 |
古田 真輝 |
豊田自動織機 |
9 |
6 |
西山 麗 |
日立ソフトウェア |
FP |
P |
染谷 美佳 |
デンソー |
※選手交代 |
イニング |
|
4回表 |
投手交代 |
染谷OUT→栗田美穂(豊田自動織機)IN |
5回表 |
守備交代 |
西山OUT→相馬満利(日本体育大)IN |
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