2013.7.23

 

 

2013カナダカップ(カナディアンオープン)


女子日本代表、3連覇!
東アジアカップ、USAワールドカップに続き、カナダカップ(カナディアンオープン)も制す!



女子日本代表、大会3連覇を達成!



予選リーグは1勝4敗の最下位に終わった……



若い投手陣は「厳しい現実」を突きつけられ、貴重な経験を積んだ



予選リーグ最下位に終わっても、しっかりと
気持ちを切り替え、決勝トーナメントへ臨んだ



決勝トーナメントへ入ると、「エース」が満を持して登板!



世界の強豪を撃破! 大会3連覇の偉業達成!!



「エース」上野の存在は大きいが、それに頼ってばかりでは……。「次なるスター」の発掘・育成が急務であることを忘れはならない



東アジアカップ、USAワールドカップ、カナダカップと3大会連続優勝を飾った! 歓喜の中、オリンピック競技復帰もPR!!

※写真撮影・提供:ミズノ株式会社 塚原弘珠
 
 去る7月16日(火)〜22日(月)、カナダ・サレーで開催されていたカナダカップ(カナディアンオープン/大会のオフィシャルサイトはこちら)に出場していた女子日本代表(大会出場メンバーはこちら)が、東アジアカップ、USAワールドカップに続き、3大会連続での「優勝」を飾った。(カナダカップ[カナディアンオープン]予選リーグ、決勝トーナメントの試合結果はこちら

 7月4日(木)〜7日(日)、岐阜県揖斐川町で開催された「ぎふ清流国体開催記念第2回東アジアカップ女子ソフトボール大会」を4戦全勝で優勝した女子日本代表は、その足でアメリカ・オクラホマシティへと渡り、「第8回USAワールドカップ」(大会正式名称:General Tire World Cup of Softball VIII)に出場。7月1日(月)〜7日(日)、カナダ・ブランプトンで開催された「第10回世界女子ジュニア選手権大会」に出場し、見事3大会ぶり5度目の「世界一」を勝ち獲った女子U19日本代表から岡村奈々、小薗美希、中野花菜、青木千春、我妻悠香のバッテリー5名が合流。昨年、42年ぶりの世界選手権優勝を勝ち獲った宇津木麗華、ルーシー・カサレスの「名コンビ」の巧みな選手起用もあり、予選リーグでカナダに敗れる「波乱」はあったものの、3勝1敗の1位で予選リーグを通過すると、決勝では、「エース」上野由岐子を温存したまま、「宿敵」アメリカを破り、2005年以来となる優勝を勝ち獲った。

 しかし、このカナダカップ(カナディアンオープン)では、連戦の疲れ、積極的な若手起用もあり、予選リーグでは「まさか……」の最下位に終わった。
 まず初戦のベネズエラ戦では着々と得点を挙げ、6回表まで6−2とリードしながら、若い投手陣がこのリードを守り切れず、6回裏に満塁本塁打を含む4長短打を浴び、6失点。6−8の大逆転負けを喫したことで、歯車が狂いはじめた。

 続くアメリカ戦も、先発・小薗美希が立ち上がりからアメリカの「強力打線」につかまり、3連打を浴び、一死も取れないまま、先取点を許すなど、初回にいきなり4失点。その後もアメリカの猛打を止められず、先発・小薗美希、2番手・岡村奈々が11安打・10失点と打ち込まれ、打線が3点を返したものの、焼け石に水。3−10で屈辱の6回コールド負けを喫した。

 こうなると若手投手陣はパニック状態。第3戦のカリフォルニアA’s戦も、2回表に7番・永吉理恵のタイムリーで先取点をもらいながら、先発・岡村奈々がその裏、4四死球を与え、押し出しで同点。さらに四死球で走者をためてタイムリーを浴びるという悪循環が続き、簡単に逆転を許すと、先発・岡村奈々は3回で5安打・5失点の大乱調。2番手・小薗美希も6安打を浴び、3失点と悪い流れを止められず、2試合続けての6回コールド負け。これまでの快進撃が嘘のような「まさか……」の3連敗を喫した。

 予選リーグ第4戦、ホスト国・カナダとの対戦でも、先発・中野花菜が2回表に3点を失い、「またか……」という雰囲気になりかけたが、打線の援護もあり、8−3の逆転勝ち。ようやく今大会初勝利を挙げた。

 予選リーグ最終戦となったオーストラリア戦は、3回裏、一死から9番・河野美里が四球で出塁し、すかさず盗塁。得点圏に走者を進め、1番・林佑季がタイムリーを放ち、1点を先制。日本が先手を取った。
 先発・岡村奈々も5回まで無失点の好投を見せていたが、6回表、日本でも「お馴染み」のステーシー・ポーターに三塁打を浴び、ワイルドピッチで同点。7回表には、四球からピンチを招き、3本の長短打を浴び、2点を失い、1−3の逆転負け。予選リーグ1勝4敗の「最下位」で決勝トーナメントへ進むことになった。

 しかし、決勝トーナメントに入ると、ここまでまったく登板のなかった「エース」上野由岐子を投入。「エース」の登板で、打線にも「スイッチ」が入ったか、初戦、予選リーグ3位と健闘した唯一のクラブチーム・カリフォルニアA’sを7−0の5回コールドで一蹴。

 続く予選リーグ2位・オーストラリアとの一戦も、「エース」上野由岐子が連投。この試合も完璧なピッチングを見せ、7−0の6回コールド勝ち。ダブルヘッダーとなったこの日、2試合11イニングを投げ、ノーヒット、18奪三振の快投。打線も「エース」の力投に呼応するかのように2試合計24安打を放ち、14得点。予選リーグとはまったく「別のチーム」に生まれ変わったかのような危なげのない試合運びで勝ち上がった。

 準決勝では、予選リーグから全勝で勝ち上がってきた「宿敵」アメリカと対戦。「エース」上野由岐子が、この試合も安定感抜群のピッチングを見せ、試合の「リズム」を作ると、両チーム無得点で迎えた5回裏、日本は9番・市口侑果のピッチャーゴロが相手エラーを誘い、一死二塁のチャンスを作り、1番・河野美里が故意四球で歩かされ、一・二塁。2番・西山麗も四球を選び、満塁と攻め立て、3番・林佑季、4番・峰幸代の連続タイムリーで3点を奪い、5番・大久保美紗の死球で再び満塁。6番・国吉早乃花のショートゴロで一塁走者が二塁フォースアウトになる間に三塁走者が生還し、4点目を挙げ、さらに7番・永吉理恵にも「ダメ押し」となるタイムリーが飛び出し、5点目。この回大量5点を奪い、試合を決めてしまった。
 守っては、「エース」上野由岐子がアメリカの強力打線をわずか2安打に抑え込み、10三振を奪う力投。アメリカ打線につけ入る隙を与えず、一足先に決勝進出を決めた。

 決勝の相手は、「宿敵」アメリカとの再戦が予想されたが、敗者復活戦に回ったアメリカが、同じく敗者復活戦を勝ち上がってきたオーストラリアに、延長8回タイブレーカーの末、1−2で敗れたため、オーストラリアと優勝をかけ、戦うことになった。
 日本の先発は「エース」上野由岐子。決勝トーナメントに入り、3試合連続の完封勝利、投球回数18、被安打2、奪三振28と「絶好調」の「エース」が、この試合でも「快投」を見せた。
 立ち上がり、二死から連打を浴び、一・二塁のピンチを招いたが、後続を空振り三振に斬って取ると、その後は1本の安打も許さず、快調なピッチングでオーストラリア打線を無得点に封じた。
 しかし、打線がこれをなかなか援護できず、初回の二死一・二塁、2回表の二死二塁の先制のチャンスを逃すと、その後も毎回のように走者は出すものの、決定打を欠き、両チーム無得点のまま、試合は延長タイブレーカーにもつれ込んだ。
 迎えた8回表、日本はタイブレーカーの走者を犠打で三塁へ進め、7番・永吉理恵のサードゴロが相手エラーを誘い、1点を先制。8番・小野奈津子の送りバントで走者を再び得点圏に進めると、9番・市口侑果の安打に相手守備の乱れが絡み、決定的な2点目を挙げ、粘るオーストラリアを振り切り、大会3連覇を達成した。

 予選リーグ最下位からの優勝。そこには「エース」上野由岐子の存在があった。決勝トーナメント4試合をすべて一人で投げ抜き、4試合連続の完封勝利。4試合・26イニングを投げ、失点0・被安打4・奪三振39と完璧なピッチングを見せた。上野由岐子という「切り札」を持っていた分だけ、日本には「アドバンテージ」があったといえるだろう。
 ただ、裏を返せば、第10回世界女子ジュニア選手権で優勝し、「世界一」になったU19日本代表のメンバーも、「世代最強」ではあっても、まだまだ各国の代表を相手にするには「力不足」であることを露呈したともいえる。
 とはいえ、「世界一」となった世界ジュニア選手権での経験、そして「世界の壁」を打ちのめされた今大会と、若い世代の選手にとっては、どちらも貴重な経験であることは間違いなく、その両方を大きな「お土産」として日本へと帰り、さらなる成長につなげてほしいものである。
 日本が世界に誇る大エース・上野由岐子も、当然のことながら「永遠の存在」とはなり得ない。彼女が健在なうちに、それに続く投手を育成していかなくてはならないし、一人のピッチャーではその後継が難しいのであれば、二人、三人と国際舞台で通用する投手を発掘・育成し、「世界」に対抗していかなければならない。
 東アジアカップ、USAワールドカップ、カナダカップと「優勝」に輝いたことは、もちろん素晴らしい。昨年の世界選手権優勝を含め、日本が「世界一」であることは証明してくれた。それに続くジュニア層も「世界一」となるなど、「結果」だけを見れば、どこまでも輝かしい未来が続いているようにも見える。
 ただ、その「結果」が、今後の輝かしい未来を約束してくれているわけではない。もちろん、今後も日本が「世界一」であり続ける可能性は十分にある。また、現状では、この「結果」が示す通り、どの国よりもその可能性は高いのかもしれない。
 しかし……「エース」上野由岐子に代わる存在は未だ見つかっていない。もちろん、彼女の代わりになれる者など、そうそういないことはわかっている。10年に一人、いや100年に一人の投手である。それでも……それに代わる存在、あるいはそれに代わる戦い方を見出さない限り、今の栄華が未来永劫、続いていくことなど、「夢物語」でしかないのである。





2013カナダカップ(カナディアンオープン)試合結果

7月16日(火)/予選リーグ第1戦

  1 2 3 4 5 6 7
日   本 1 0 1 1 1 2 0 6
ベネズエラ 0 0 0 0 2 6 x 8
バッテリー:中野(4回)・岡村(2/3)・●小薗(1/3)・中野(1回)−我妻・青木・我妻

7月17日(水)/予選リーグ第2戦
  1 2 3 4 5 6
日  本 0 1 0 1 1 0 3
アメリカ 4 2 0 0 0 4x 10
※大会規程により6回得点差コールド
バッテリー:●小薗(3回)・岡村(2回1/3)−我妻

7月18日(木)/予選リーグ第3戦
  1 2 3 4 5 6
日       本 0 1 0 0 0 0 1
カリフォルニアA’s 0 3 2 1 0 2x 8
※大会規程により6回得点差コールド
バッテリー:●岡村(3回)・小薗(2回1/3)−青木・峰

7月18日(木)/予選リーグ第4戦
  1 2 3 4 5 6 7
カナダ 0 3 0 0 0 0 0 3
日 本 0 0 5 0 1 2 x 8
バッテリー:○中野(7回)−峰
長打:〔三塁打〕河野、国吉〔二塁打〕河野、峰

7月19日(金)/予選リーグ第5戦(最終戦)
  1 2 3 4 5 6 7
オーストラリア 0 0 0 0 0 1 2 3
日     本 0 0 1 0 0 0 0 1
バッテリー:●岡村(7回)−我妻
※日本、1勝4敗の6位で決勝トーナメント進出

7月20日(土)/決勝トーナメント 1回戦
  1 2 3 4 5
カリフォルニアA’s(予選3位) 0 0 0 0 0 0
日       本(予選6位) 0 6 1 0 x 7
※大会規程により5回得点差コールド
バッテリー:○上野(5回)−峰
長打:〔三塁打〕国吉〔二塁打〕林、大久保

7月20日(土)/決勝トーナメント 2回戦
  1 2 3 4 5 6
日     本 1 1 1 0 2 2 7
オーストラリア 0 0 0 0 0 0 0
※大会規程により6回得点差コールド
バッテリー:○上野(6回)−峰
長打:〔三塁打〕河野〔二塁打〕西山、大久保

7月21日(日)/決勝トーナメント 準決勝
  1 2 3 4 5 6 7
アメリカ 0 0 0 0 0 0 0 0
日  本 0 0 0 0 5 0 x 5
バッテリー:○上野(7回)−峰

7月22日(月)/決勝トーナメント 決勝
  1 2 3 4 5 6 7 8
日     本 0 0 0 0 0 0 0 2 2
オーストラリア 0 0 0 0 0 0 0 0 0
バッテリー:○上野(8回)−峰
※日本、3年連続優勝!