2013.11.30
 

 



いよいよ大会最終日
大勢の観客が会場に詰めかける




3位決定戦では中国が地元・台湾を2−1で撃破
日本が待つ決勝へ進出!




日本、無敗のまま、完全優勝へ!
いざ、決勝の舞台に臨む




日本の先発投手は
前日の1位・2位戦に続き、エース・上野由岐子




初回に日本が1点を先制したが……
2回表に同点に追いつかれ、6回表、ついに逆転を許す




日本、中国にまさかの逆転負け
今大会唯一の黒星が痛い一敗となり、準優勝に終わった




来年8月の世界選手権に向けて
今後も女子日本代表の「強化」は続く!





めざすは世界選手権「連覇」!
この“負け”を糧に、さらなるチームの飛躍を期待したい



●女子日本代表レポート
第14回世界女子ソフトボール選手権大会アジア地区予選(台湾・高雄)
 

日本、決勝でまさかの逆転負け……
中国に敗れ、準優勝に終わる




決勝トーナメント(決勝戦)


 第14回世界女子ソフトボール選手権大会アジア地区予選最終日、昨日、決勝トーナメント1位・2位戦で中国を破った日本は、この日、決勝で待ち受ける形となり、3位決定戦(台湾対中国)の勝者と優勝をかけて対戦することになった。

11月29日(金)/決勝トーナメント(決勝戦)
  1 2 3 4 5 6 7
中   国 0 1 0 0 0 1 0 2
日   本 1 0 0 0 0 0 0 1
日本:●上野由岐子(7回)−峰幸代
長打:[二塁打]山田恵里B、河野美里

 決勝の相手は、3位決定戦で地元・台湾に2−1で競り勝ち、敗者復活戦を勝ち上がってきた中国。今大会実に3度目の対戦となった。

 日本の先発投手は、決勝トーナメント1位・2位戦に続いてエース・上野由岐子。昨日5回を投げ、中国打線をわずか2安打に封じ込めた「絶対的エース」を、宇津木麗華ヘッドコーチは迷わずこの決勝でも先発させ、必勝を期した。その上野由岐子は初回、先頭打者をショートゴロに打ち取った後、続く2番打者にサードへの内野安打、3番打者にレフト前ヒットを許し、一死一・二塁といきなり得点圏に走者を背負ったが、ここから落ち着いたピッチングで後続を二者連続の内野ゴロに打ち取り、ピンチを脱した。

 ピンチを凌いだその裏、日本は先頭の山田恵里が左中間へのツーベースヒットで出塁。すかさず2番・西山麗が送りバントを成功させ、三塁に進めると、3番・河野美里がレフトへキッチリと犠牲フライを打ち上げ、1点を先制。この試合も日本が先制点を奪い、楽勝ペースかと思われた。

 しかし、2回表に中国も反撃。この回先頭の6番打者が強烈なピッチャー返しで出塁すると、次打者の送りバントが二塁封殺され、走者が入れ替わった後、8番打者の鋭い当たりがファーストを強襲。これをはじく間に一・三塁とされ、次打者は三振に打ち取り、二死となったが、ここで1番打者が上野由岐子の速球に振り負けず、右中間へ鮮やかなタイムリーヒットを放ち、同点。試合を振り出しに戻した。

 3回以降は両チームともにチャンスを作るものの、決定打がなく無得点。日本は4回裏、この回先頭の3番・河野美里がレフトへツーベースヒットを放ち、出塁。二死後、6番・大久保美紗の内野安打、四球で満塁のチャンスを得たが、このチャンスに8番・永吉理恵がセンターフライに倒れ、勝ち越しならず。5回裏にも、1番・山田恵里の右中間を破るツーベース、2番・西山麗のバントヒット、盗塁で一死二・三塁と攻め立てたが、3番・河野美里が三振に倒れ、ツーアウト。さらに続く4番・坂元令奈が四球で歩き、再び満塁となった後、5番・市口侑果がセカンドへ痛烈な当たりを放ったが、これがセカンド真正面。ツキにも見放されたか、どうしても得点を挙げることができない。

 こうなると、試合の流れは次第に中国へ傾く。6回表、上野由岐子がこの回先頭の4番打者を四球で歩かせると、内野ゴロ、三振で二死二塁となった後、代打で入った7番打者に左中間にはじき返され、痛恨の2点目を献上。ついに中国に逆転を許してしまった。

 1点を追う日本は土壇場の7回裏、この回先頭の1番・山田恵里がこの試合3本目となる意地のツーベースヒットを放ち、チャンスメイク。ここで中国はここまで好投を続けてきた王蘭(ワン・ラン)を諦め、左腕・李L(リー・チー)を投入。2番・西山麗は送りバントを失敗。ファーストへの小フライとなり、走者を送れず、3番・河野美里、4番・坂元令奈が続けて四球を選び、一死満塁と一打逆転サヨナラのチャンスを作った。しかし、代打・佐藤みなみのところでヒットエンドランを仕掛けたが、これも決まらず、結局ピッチャーフライに倒れ、ツーアウト。最後は6番・大久保美紗のバットにすべてを託したが、あえなくショートゴロに打ち取られ、万事休す。中国に2−1で逃げ切られ、まさかの逆転負けを喫した。

 日本が中国に敗れたのは、2005年のUSAワールドカップの予選リーグで敗れて以来のことであり、日本はアジア大会3大会連続の金メダル(2002年釜山、2006年ドーハ、2010年広州)、アジア選手権大会も2004年の第8回大会、2007年の第9回大会、2011年の第10回大会と3連覇を継続中で、まさに「アジアに敵なし」といった状態が続いていた。今大会も日本は予選リーグを「盤石な戦い」で全勝し、文句なしの1位通過。決勝トーナメント1位・2位戦でも、この中国相手に4−0で快勝するなど、「優勝」はまさに目前のはずだった。しかし、この決勝では度重なるチャンスをモノにすることができず、まさかの逆転負け。“勝負の怖さ”、また“勝ち続けることの難しさ”を改めて感じさせられる苦い結果となってしまった。

 今大会の最大の目的である、世界選手権への出場権は確かに手に入れた。その意味では、この一戦にさほど大きな意味はないともいえる。しかし、「アジアの盟主」として君臨し、「世界チャンピオン」として畏敬の念さえ抱いていた各国の日本に対する印象は、この敗戦を機に大きく変わるだろう。世界選手権では「私たちも日本に勝てる!」と意気込み、牙を剥いてくるはずだ。来年8月にオランダ・ハーレムで開催される本大会に向け、今回の“負け”をどれだけ「意味あるもの」とし、チームをレベルアップさせていけるかが重要になる。世界選手権「連覇」をめざして……。 女子日本代表の「真価」が問われるのはここからであり、このまま黙っているようなチームではないことを私たちは信じている。


決勝トーナメント試合結果




第14回世界女子選手権大会アジア地区予選
第5日 決勝トーナメント(決勝戦)

中国戦 スターティングラインアップ
打順 守備位置 選手名 所属 UN
1 CF 山田 恵里 日立 11
2 SS 西山 麗 日立 3
3 RF 河野 美里 太陽誘電 9
4 2B 坂元 令奈 トヨタ自動車 6
5 DP 市口 侑果 ルネサスエレクトロニクス高崎 4
6 1B 大久保 美紗 ルネサスエレクトロニクス高崎 10
7 峰 幸代 ルネサスエレクトロニクス高崎 2
8 LF 永吉 理恵 デンソー 8
9 3B 林 佑季 日立 5
FP 上野 由岐子 ルネサスエレクトロニクス高崎 17

※選手交代
3回裏 代走 林OUT→島崎 望(Honda)IN
4回表 再出場 島崎OUT→林 佑季(日立)IN
6回裏 代走 峰OUT→渥美 万奈(トヨタ自動車)IN
7回表 再出場 渥美OUT→峰 幸代(ルネサスエレクトロニクス高崎)IN
7回裏 代打 市口OUT→佐藤 みなみ(太陽誘電)IN