2015.7.9
 

 

2015カナダカップ
(カナディアンオープン)
女子日本代表TAP−A(U24A)
大会5連覇へ向け、快調に4連勝!




女子日本代表TAP−Aは予選リーグ第3戦で
リバーシティー・ホーネッツと対戦



試合はTAP−A打線が爆発!12安打・17得点の猛攻を見せた



リバーシティー・ホーネッツ戦のTAP−Aの先発は平原かすみ。
大量点に守られていながら3回4失点のピリッとしない投球内容


TAP−Aはこの日もダブルヘッダー
予選リーグ第4戦の相手はメキシコ


序盤はメキシコに食い下がられる場面もあったが……
終わってみれば10安打・11点を奪い、6回コールド勝ち!

※画像・動画提供、取材協力
・公益財団法人日本ソフトボール協会理事・選手強化副本部長、女子日本代表TAP−Aチームリーダー・矢端信介氏
・女子日本代表TAP−Aサポートスタッフ(マネージャー)伊藤幸子氏
・女子日本代表TAP−A通訳 生原都氏

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 カナダ・サレーで開催されている「2015カナダカップ」(カナディアンオープン)(※大会オフィシャルサイトはこちら※大会結果速報はこちら※大会スケジュールはこちら)に出場している女子日本代表TAP−A(U24A)は、ダブルヘッダーとなった予選リーグ第1戦・第2戦に連勝。大会「5連覇」の偉業達成へ向け、順調なスタートを切り、この日(7月8日(水)/大会5日目。女子日本代表TAP−A(U24A)はUSAワールドカップ出場の関係から大会4日目から参戦)もダブルヘッダー。まずリバーシティー・ホーネッツと対戦した。

・大会第5日/7月8日(水)
《予選リーグ第3戦》
  1 2 3
リバーシティー・ホーネッツ 0 1 3 4
女子日本代表TAP−A 4 13 x 17
※大会規程により3回得点差コールド
バッテリー:○平原かすみ − 山澤葵
長打: 〔本塁打〕山下りら、江口未来子
〔三塁打〕山下りら、長楓]未A、塚本智名
〔二塁打〕市口侑果、山本絵梨奈、山澤葵

 前日に続き、ダブルヘッダーとなったTAP−Aは、まずリバーシティー・ホーネッツと対戦。初回、トップバッターの市口侑果が安打を放つと、これに相手の守備の乱れが絡み、無死二塁。さらにワイルドピッチで三塁へ進み、2番・山下リラのタイムリースリーベースで1点を先制。再びワイルドピッチで三塁走者が生還し、2点目を挙げ、走者はなくなったが、3番・江口未来子がソロホームランを放ち、3点目。一死後、5番・長楓]未の三塁打、6番・大工谷真波の四球で一・三塁とし、7番・塚本智名のタイムリーでこの回4点を挙げた。
 続く2回裏には、2番・山下りらの満塁ホームランを含む長短7安打を集中。これに相手投手の制球難や守備の乱れも絡み、この回13得点を挙げる猛攻。12安打で17得点を奪う一方的な試合展開となった。

 しかし、TAP−Aの先発・平原かすみが大差のゲームとなって集中力を欠いたか、2回表にソロホームランを浴び、3回表には守備のミスも絡んだこともり、2安打・3失点。結局、3イニングを投げ、被安打3・失点4のピリッとしない投球内容。大差で勝利を収めたものの、大味な試合展開に終始し、得るものの少ない試合となってしまった。

《予選リーグ第4戦》
  1 2 3 4 5 6
メキシコ 1 0 1 0 2 0 4
女子日本代表TAP−A 2 0 1 7 0 1x 11
※大会規程により6回得点差コールド
バッテリー:〇濱村ゆかり、中野花菜 − 我妻悠香
長打:〔本塁打〕長楓]未〔三塁打〕我妻悠香〔二塁打〕山下りら

 TAP−Aの先発は濱村ゆかり。その立ち上がり、先頭打者にいきなり安打を許すと、送りバント、内野ゴロの間に三塁まで進塁。4番打者にタイムリーを浴び、先取点を与えてしまった。

 1点を追うTAP−Aはその裏、すぐに反撃。1番・市口侑果が四球を選び、出塁。次打者のショートゴロの間に二塁へ進み、3番・古澤春菜も四球で歩き、一・二塁。ここで「驚異の二刀流」4番・DPに入った藤田倭がタイムリーを放ち、同点。なお一死二・三塁のチャンスが続き、5番・長楓]未のセカンドゴロの間に三塁走者が生還。すぐに試合をひっくり返した。

 しかし、TAP−Aの先発・濱村ゆかりが3回表にも、1番打者に三塁打を浴び、無死三塁のピンチを招くと、一死後、3番打者に同点のタイムリーヒットを許し、リードしたのも束の間、試合を振り出しに戻してしまった。

 同点に追いつかれたTAP−Aはその裏、この回先頭の2番・山下りらが二塁打を放ち、チャンスメイク。3番・古澤春菜が確実に送り、一死三塁とし、4番・藤田倭がセンターへ犠牲フライを打ち上げ、三塁走者を迎え入れ、1点を勝ち越した。
 再びリードを奪ったTAP−Aは4回裏、5番・長楓]未のツーランホームランを含む5本の長短打を集中し、大量7点を追加。8点差にリードを広げ、このまま5回コールドかと思われた。

 TAP−Aは5回表から中野花菜を投入。その中野花菜が簡単にツーアウトを取った後、ソロホームランを浴び、1点を失うと、これに動揺したか、その直後にも長短打でたたみかけられ、この回2失点。6点差となってしまったことで5回コールドに必要な条件を満たせず、試合続行。その裏、TAP−Aは無得点に終わり、試合は6回へ。6回裏、一死から4番・藤田倭が安打で出塁すると、代走・丸本里佳を送り、続く5番・長楓]未の安打で一塁走者が一気に三塁へ進塁し、一・三塁。ここで代打・塚本智名がレフトへ犠牲フライを打ち上げ、三塁走者が生還。6回コールド勝ちに必要な7点差に点差を広げ、11−4で勝利を飾り、無傷の4連勝。大会5連覇へ向け、順調な歩みを刻んでいる。

 順調な結果とはうらはらに、ダブルヘッダー2試合ともコールド勝ちを収めたとはいえ、リバーシティー・ホーネッツ戦も、このメキシコ戦も4失点と失点が多い。特にこのメキシコ戦は初回に簡単に先取点を与えてしまい、試合中盤まで一進一退の攻防を演じてしまっている。最終的には実力差通りの点差になっているとはいえ、例えばこれがアメリカ相手であったら、その最初の1点が「命取り」になってしまう可能性もある。事実、USAワールドカップでのアメリカ戦2試合は、相手に先制を許し、相手に主導権を握られたまま、追いつくことなく、敗れている。プエルトリコ戦での敗戦も相手に3点を先制され、結局追いつけず2−3で敗れており、相手に先制を許すリスクの大きさを身を持って経験したはずではなかったか。
 当然のことながら、先取点を与えてしまえば、勝つにはそれ以上の得点が必要になる。互角の相手であれば、それは「致命傷」となることもあり、実力差のある相手であっても、相手に先制を許せば、苦しい試合となることは自明の理である。
 投手陣は味方打線が得点するまでは、相手に得点を与えないようなピッチングをしなければならないし、得点を挙げた直後のイニングで相手を抑え込めるかどうかでその後の試合展開も変わってくる。「日本代表」に選ばれるような選手たちであれば、「釈迦に説法」だとは思うが、この日の試合を見る限り、そんな「基本中の基本」が忘れ去られてしまっているように思える。
 また、打線も簡単に打てるような相手、黙っていても得点できるような相手であれば問題ないが、USAワールドカップでの敗戦を糧とするならば、110km/hクラスのピッチャーと対峙したときに、どう攻略するかを常に念頭に置き、対策を練る必要があり、あるいは「打てない」ときにでも何とか得点に結びつけ、勝ちを拾えるようなチームとしての「崩し」や「戦い方」、「戦術・戦略」を身につけておかなければならない。レベルが高くなり、その力が拮抗していればいるほど、「逆転勝ち」が起こり得る可能性は低くなり、どんな形であれ、得点を奪い、それを守り切るような強かさ、ソツのなさが求められるようになる。このTAP−Aの選手たちは非常に洗練されている印象を受ける反面、泥臭く、「何が何でも塁に出る」とか、「どんな手を使ってでも勝つ」といった「勝利への執念」や、1点にこだわり、1点を守り抜く、といった「勝負への厳しさ」が希薄な気がしてならない。もちろん、カッコよく、キレイに、勝てればそれに越したことない。ただ……「世界の頂点」をめざす戦いが、そんな簡単なもので終わるとは到底思えない。
 もちろん、長丁場、連戦による疲れもあるだろう。ただ……5年後、2020年東京オリンピックで「確実に」金メダルを手にしようというのであれば、このハードスケジュールもむしろ歓迎すべきもののはずである。自らを鍛え、高めていくために、「TAP−A」に選ばれ、この場に立っているはずなのだから……。



◇カナダカップ 出場選手・スタッフ
選手(※ポジション別五十音順)
NO 守備 氏名 支部 所属
1 投手 近藤 光 愛知 デンソー
2 中野 花菜 群馬 ビックカメラ高崎
3 濱村 ゆかり 群馬 ビックカメラ高崎
4 平原 かすみ 愛知 トヨタ自動車
5 藤田 倭 群馬 太陽誘電
6 捕手 我妻 悠香 群馬 ビックカメラ高崎
7 山澤 葵 愛知 デンソー
8 内野手 市口 侑果 群馬 ビックカメラ高崎
9 古澤 春菜 愛知 トヨタ自動車
10 丸本 里佳 群馬 太陽誘電
11 山下 りら 愛知 トヨタ自動車
12 山本 絵梨奈 愛知 トヨタ自動車
13 外野手 江口 未来子 愛知 デンソー
14 大工谷 真波 群馬 ビックカメラ高崎
15 塚本 智名 愛知 トヨタ自動車
16 長普@望未 愛知 トヨタ自動車
17 山崎 早紀 愛知 トヨタ自動車

コーチングスタッフ
No. 役職 氏名 支部 所属名
1 チームリーダー 矢端 信介 北海道 (公財)日本ソフトボール協会
2 ヘッドコーチ 福田 五志 愛知 トヨタ自動車
3 アシスタントコーチ 森澤 隆行 愛知 デンソー
4 アシスタントコーチ 秋元 理紗 愛媛 伊予銀行
5 トレーナー 井上 章平 愛知 トヨタ自動車
6 サポートスタッフ
(マネージャー)
伊藤 幸子 愛知 トヨタ自動車
7 通訳 生原 都 愛知 トヨタ自動車