2016.6.12
 

 

女子大学日本代表
1点に泣く……
決勝で中国に敗れ、準優勝




決勝を前に、入念な準備を施す選手たち



決勝は、今大会3度目の対戦となる中国との顔合わせとなった



今大会初めてリードを許し、追いかける展開となったが……



1点が遠く……。ただ、ここが「ゴール」ではなく、すべての「はじまり」である

 大会最終日、大会は決勝を残すのみとなり、予選リーグから決勝トーナメントまでの4試合を「全勝」で駆け抜け、一足先に決勝に駒を進めていた女子大学日本代表と、その女子大学日本代表に決勝トーナメントの初戦で敗れ、敗者復活戦に回り、予選リーグ3位・4位戦の勝者・チャイニーズ・タイペイとの延長10回に及ぶ「死闘」を4−3で制した中国が決勝で対戦。今大会3度目の対戦となる女子大学日本代表と中国の顔合わせで決勝が行われた。

・大会第4日(最終日)/6月12日(日)
《決勝トーナメント 決勝》
  1 2 3 4 5 6 7
女子大学日本代表 0 0 0 0 0 0 0 0
中      国 1 0 0 0 0 0 x 1
バッテリー:●江渡祐希−深沢未花

 女子大学日本代表の先発は、今大会の予選リーグ第1戦の中国戦、前日の決勝トーナメント初戦の中国戦と、二度にわたり中国戦の先発を任され、ここまで「無失点」と相性の良い江渡祐希に優勝を決める一戦の「先発」が託され、それを受ける「女房役」のキャッチャーも、普段から同じ大学(東京富士大)でバッテリーを組んでいる深沢未花がスタメンに起用され、試合がはじまった。

 その立ち上がり、先頭打者に左中間を破るツーベースヒットを浴びると、次打者の送りバントをピッチャーが処理し、一塁へ送球すると、ベースカバーに入ったセカンドがこれを後逸。その間に二塁走者が一気にホームを踏み、思わぬ形で中国が先制点を挙げた。

 今大会、初めてリードを許す試合展開となった女子大学日本代表は、2回裏、相手守備の乱れから先頭打者が出塁し、送りバントで得点圏に走者を進めたものの、後続なく無得点。4回裏にも、8番・石川恭子のショートへの内野安打、パスボール、内野ゴロで一死三塁の同点のチャンスを作り、ここで今大会大当たりの1番・吉田彩夏が打席に入った。その2球目、ヒットエンドランを仕掛けたが、これが空振りとなり、飛び出した三塁走者がタッチアウト。同点に追いつくチャンスを逃してしまった。
 女子大学日本代表は7回裏、最後の攻撃も三者凡退に終わり、ゲームセット。1点が遠く、0−1の完封負けを喫し、優勝を逃した。

 女子大学日本代表としては3度目、「日本代表」としては「5連覇」となる優勝を逃したのは、もちろん残念なことである。しかし、「勝負」である以上、どんなチームも永遠に勝ち続けることはできないし、「常勝」も「連覇」もいつかは途切れるときがくるのである。
 これは、北京オリンピックで金メダルを獲得し、世界選手権「連覇」を継続中の女子TOP日本代表にとっても、決して「他人事」ではない。勝ち続けているということが、「次も勝てる」という保証にはならないのだということを肝に刻んでおく必要がある。
 「頂点」にあるということは、常に「目標」にされ、「ターゲット」にされるということでもある。それだけに、もう一度強化の在り方、めざすべきところをしっかりと確認しておく必要があるだろう。

 また、今大会を戦った大学のカテゴリーの選手たちには、この大会で優勝すること、それが「ゴール」ではないのだということを、改めて認識してほしいと思う。若く、将来性豊かな大学のカテゴリーの選手たちにとって、この大会は単なる「通過点」に過ぎず、この経験を「次」に「将来」につなげていってくれればそれでいいのである。
 もちろん「負けた」という事実から目を背けてはいけない。今までのチームが成し得たことが、今回のチームにはできなかった。これは事実である。その「原因」や「理由」は徹底的に分析し、今、ここから「その差」を埋める努力をはじめていかなければならない。

 ただ、これで2020年東京オリンピックへ向けた「夢の舞台」への道が閉ざされてしまったわけでは決してない。現時点で強化の中枢にあるのは「日本リーグ」に所属している選手たちであるかもしれないが、「夢の舞台」へと続く「ルート」は一つではないはずである。「日本リーグ」の選手であることが、そこへ続く「唯一無二のルート」であると決めつける必要はない。
 また、現状では、大学を卒業した後、日本リーグのチームでソフトボールを続け、「第一線」で活躍している選手も多数いる。「大学経由日本リーグ」が、また一つの可能性を示す「ルート」として道が拓かれつつあることも忘れてほしくない。
 「頂点」をめざす「ルート」は決して一つではなく、その歩む道も一様ではないのである。

 あるいは、「頂点」をめざすことだけが進むべき道ではないのかもしれない。選手ではなく、指導者としての道を選ぶ者、あるいは一人のソフトボール愛好者として「趣味」としてソフトボールを続ける者、まったくソフトボールとは縁のない生活を送る者、「道」はそれぞれ分かれていくだろう。
 それでも……この大会を戦ったことは、必ずや皆の糧となり、貴重な経験として「今後」に生きていくはずである。一度の敗戦で、一度の失敗で、すべての道が閉ざされてしまうわけではない。むしろ「負け」を知っているからこそ、「真の強さ」を身につけることができるのである。そう……「負けること」は、「より強くなるためのチャンス」でもあるのだ。

 優勝を逃したこと、連覇が途切れたこと……。悔しくないわけがない。悲しく情けなくもなるだろう。ただ、そこから目を逸らしてはいけない。それを真正面から受け止め、またそこから立ち上がっていく「強さ」を身につけなくてはならない。
 いつの日か……「あの日の負けがあるからこそ今がある」といえるようにしてほしい。また、そうできるか否かは、すべて「自分自身」にかかっている。

予選リーグ戦績表
チーム名 女子大学
日本代表
中 国 チャイニーズ
・タイペイ
韓 国 得点 失点 順位
女子大学日本代表 ○3 - 0 ○6 - 0 ○8 - 3 17 3 3 0 1
中   国 ●0 - 3 ○4 - 3 ○2 - 1 6 7 2 1 2
チャイニーズ
・タイペイ
●0 - 6 ●3 - 4 ●4 - 5 7 15 0 3 4
韓   国 ●3 - 8 ●1 - 2 ○5 - 4 9 14 1 2 3

決勝トーナメント組み合わせ・試合結果




平成28年度女子大学日本代表チーム
(第5回東アジアカップ女子ソフトボール大会)
選手団名簿
選手(※ポジション別五十音順)
No. 守備 氏名 支部 所属名 学年
1 投手 秋元 菜穂 東京都 東京女子体育大学 4
2 阿南 恵子 大分県 日本文理大学 2
3 江渡 祐希 東京都 東京富士大学 4
4 原 奈々 兵庫県 園田学園女子大学 3
5 捕手 平川 穂波 愛知県 中京大学 4
6 深沢 未花 東京都 東京富士大学 3
7 吉松 梨乃 東京都 日本体育大学 3
8 内野手 石川 恭子 兵庫県 園田学園女子大学 2
9 榎本 千波 埼玉県 城西大学 4
10 鎌田 優希 岡山県 IPU環太平洋大学 3
11 田井 亜加音 兵庫県 園田学園女子大学 4
12 屋禰 未奈 兵庫県 園田学園女子大学 2
13 吉田 彩夏 愛知県 東海学園大学 2
14 外野手 櫻岡 春香 東京都 東京女子体育大学 3
15 高原 侑里 宮城県 東北福祉大学 4
16 森 さくら 山梨県 山梨学院大学 4
17 八鍬 あゆみ 山梨県 山梨学院大学 2

役員・スタッフ
No. 役職 氏名 支部 所属名
1 団長 齋藤 春香 青森県 (公財)日本ソフトボール協会
2 ヘッドコーチ 二瓶 雄樹 愛知県 中京大学
3 アシスタントコーチ 東 美幸 愛知県 東海学園大学
4 アシスタントコーチ 佐藤 理恵 東京都 東京女子体育大学
5 トレーナー 光本 雅美   蓬治療所
6 帯同審判 太田 正夫 埼玉県 (公財)日本ソフトボール協会
7 通訳 斉藤 雄一   JTB