2016.7.16
 

 

第15回世界女子選手権大会
女子TOP日本代表、薄氷の勝利!
ベネズエラに大苦戦も逆転サヨナラ勝ち!!




いよいよ「第15回世界女子選手権大会」の初戦を迎えた



日本の初戦の相手はベネズエラ。すでにフランス戦に勝利しており、
日本に勝つと予選リーグPOOL・Aの1位通過が決定する



日本の先発は藤田倭。立ち上がりから快調に飛ばしていたが……



ベネズエラはチーム初ヒットが先制のホームランとなり、有利に試合を展開



先制し、意気上がるベネズエラ。「王者」日本を最後まで苦しめた



最終回、逆転サヨナラに沸く日本。最後は「王者」の意地と底力を見せた



苦しみながらも劇的なサヨナラで初戦を勝利で飾った日本。
世界選手権3連覇へ向け、チームの結束はさらに高まった



第15回世界女子選手権大会
予選リーグPOOL・A第1戦(ベネズエラ戦)

 大会2日目(7月16日/土)を迎えた「第15回世界女子選手権大会」(大会公式サイトはこちら)は、この日もPOOL・A〜Hに分かれ、予選リーグを実施(大会の試合方式・スケジュール等はこちら)。予選リーグPOOL・Aの日本(女子TOP日本代表)は、POOL・B〜Hには各4チームが振り分けられたのに比べ、POOL・Aは日本、ベネズエラ、フランスの3チームのみと1チーム少ないこともあって、大会初日は試合がなく、この日ようやく「初戦」を迎えることになった。

●予選リーグ1stステージ
【予選リーグ第1戦】
  1 2 3 4 5 6 7
ベネズエラ 0 0 1 0 0 0 0 1
女子TOP日本代表 0 0 0 0 0 0 2x 2
バッテリー:藤田倭(4回)、◯濱村ゆかり(3回)ー佐藤みなみ、我妻悠香

 日本の予選リーグ第1戦の相手はベネズエラ。ベネズエラは前日、フランスを相手に7−0の6回コールド勝ちを収め、すでに1勝を挙げており、この日本戦に勝てば、予選リーグPOOL・Aの「1位通過」が決まる。一方の日本は「初戦」でありながら、この試合に負けると2位以下が決まってしまうという状況下にあり、今後の行く末を左右する「大事な一戦」となった。

 日本の先発は藤田倭。「世界のエース」上野由岐子を欠くチームにあって「エース」としての働きが期待される右腕が「大事な一戦」の先発を託された。
 藤田倭はその立ち上がり、先頭打者をファーストゴロに打ち取ると、後続を連続三振に斬って取り、まずは快調な滑り出しを見せた。

 先取点のほしい日本はその裏、「切り込み隊長」1番・山本優がセンター前にクリーンヒット。2番・市口侑果が確実に送り、得点圏に走者を進めると、二死後、4番・山田恵里、5番・長楓]未の連続四球で満塁。ここでチャンスに「無類の強さ」を発揮する6番・坂元令奈を打席に迎えたが、いつもの勝負強さが見られないまま、ファーストフライに打ち取られ、先制のチャンスを逃した。
 日本は続く2回裏にも、この回先頭の7番・又吉薫がセンター前ヒットで出塁。8番・洲鎌夏子のセカンドゴロの間に一塁走者が二塁へ進塁。二死後、1番・山本優が四球を選び、一・二塁としたが、2番・市口侑果がセカンドゴロに倒れ、またしても先制のチャンスを逃してしまった。

 逆にベネズエラは初回、2回表と三者凡退に抑えられ、3回表も簡単に二死となり、日本の先発・藤田倭の快調なピッチングばかりが目立つ展開であったが……「好事魔多し」。9番・Lozadaをツーストライクと追い込みながら、ファウルで粘られた末に右中間スタンドに運ばれ、「一振り」で先取点を奪われてしまった。

 1点を追う日本はその裏、こちらも二死走者なしから5番・長楓]未がセンター前ヒットを放ち、出塁。すかさず盗塁を成功させ、二死ながら得点圏に走者を進めると、6番・坂元令奈も四球を選び、一・二塁。7番・又吉薫の打席でワンボール・ワンストライクとなったところで投手交代。先発右腕・Ramirezに代え、左腕・Ybarraを投入し、又吉薫をレフトフライに打ち取り、ピンチを脱した。

 追加点のほしいベネズエラは4回表、死球と2本の安打で二死満塁と日本の先発・藤田倭を攻め立てたが、ここは藤田倭が踏ん張り、後続を三振に斬って取り、追加点を許さず、打線の援護を待った。

 日本は4回裏にも、一死から9番・佐藤みなみがセンター前ヒットを放ち、出塁したが、代走・川畑瞳が盗塁失敗。その直後に1番・山本優がレフトフェンスギリギリのところへホームラン性の大飛球を放ったが、これも好捕され、無得点。どうにも攻撃のリズム、歯車が噛み合わず、1点が遠い……。

 日本は5回表から先発・藤田倭に代え、「期待の若手」濱村ゆかりを投入。キャッチャーも我妻悠香に代え、懸命に試合の流れを変えようと試みる。その濱村ゆかりは5回表のベネズエラの攻撃を得点圏に走者を背負いながらも無得点に抑え、追加点を許さない。

 試合の流れを引き寄せたい日本はその裏、一死から3番・河野美里が四球で出塁。二死後、長楓]未が三遊間を破るヒットを放ち、一・二塁と攻め立て、「チャンスに強い頼れるキャプテン」6番・坂元令奈を打席に迎え、火の出るような当たりを放ったが……ショート真正面。どうしても得点を挙げることができない。

 試合はベネズエラが1点をリードしたまま、最終回を迎え、日本は先発でFPに入っていた藤田倭をDP・市口侑果の打席で再出場させ、打席に立たせると、「驚異の二刀流」藤田倭の「オーラ」に怖気づいたか、四球を与えてしまう。
 ここで日本はDP・市口侑果を再出場させ、一塁走者に「代走」を送ると、3番・河野美里のファーストゴロの間に二塁へ進み、一死二塁。4番・山田恵里を打席に迎え、当然歩かせるかと思いきや、ベネズエラベンチは「勝負」を選択。この時点で「勝負あった」の感はあったが、山田恵里は前進守備を敷くサードの守備位置をあざ笑うかのように「芸術的」な流し打ちで強襲ヒットを放ち、二塁走者が一気に還り、同点。続く5番・長楓]未のセカンドゴロを、同点に追いつかれ、浮足立ったベネズエラ守備陣がダブルプレーを焦り、二塁へ悪送球。一塁走者・山田恵里が俊足を飛ばして一気にホームを踏み、苦しみながらも「世界王者」の意地と底力を見せつけ、劇的な逆転サヨナラで「3連覇」へ向け、第一歩を踏み出した。

 それにしても苦しい試合だった。大会初日に試合がなく、ただでさえ独特の緊張感があり、難しい大会の「初戦」が、今大会で初めて採用された試合方式上、予選リーグPOOL・Aの1位通過をかけての試合となったこともあって予想外の苦戦を強いられた。
 押しに押しながら「決定打」を奪えず、再三のチャンスを逃し、完璧に抑えていたはずの相手の初ヒットがホームランとなり、逆に先制を許す試合展開。相手には「スーパープレー」が飛び出し、いい当たりをすれば正面を突く……。完全に「負けパターン」の試合だった。
 それでも……「勝った」という「事実」が何より大きい。負けてしまえば、「3連覇」へのすべてのプランが狂ってしまうところだったが、ギリギリのところで踏み止まり、土壇場で試合をひっくり返す「底力」を見せてくれた。

 この「1勝」がもしかすると今大会の「ターニングポイント」となる「1勝」となるかもしれない……。

第15回世界女子選手権大会
予選リーグPOOL・A 第1戦(ベネズエラ戦) スターティングラインナップ
打順 守備位置 選手名 背番号 所属
1 3B 山本 優 5 ビックカメラ高崎
2 DP 市口 侑果 4 ビックカメラ高崎
3 LF 河野 美里 9 太陽誘電
4 CF 山田 恵理 11 日立
5 RF 長普@望未 1 トヨタ自動車
6 2B 坂元 令奈 6 トヨタ自動車
7 SS 又吉 薫 21 Honda
8 1B 洲鎌夏子 19 豊田自動織機
9 佐藤みなみ 26 太陽誘電
FP 藤田 倭 16 太陽誘電

選手交代
4回裏 佐藤みなみOUT→川畑瞳(デンソー)IN ※代走
5回表 藤田倭OUT→濱村ゆかり(ビックカメラ高崎)IN ※投手交代
川畑瞳OUT→我妻悠香(ビックカメラ高崎)IN ※捕手の守備に入る
7回裏 市口侑果OUT→藤田倭(太陽誘電)IN ※FPで再出場し、DPの打撃を兼務
藤田倭OUT→市口侑果(ビックカメラ高崎)IN ※DPとして再出場し、代走




第15回世界女子ソフトボール選手権大会出場選手
選手(※ポジション別五十音順)
No. 守備 氏名 支部 所属名 選手紹介映像
1 投手 濱村 ゆかり 群馬 ビックカメラ高崎
2 平原 かすみ 愛知 トヨタ自動車
3 藤田 倭 群馬 太陽誘電
4 山根 佐由里 愛知 トヨタ自動車
5 捕手 我妻 悠香 群馬 ビックカメラ高崎
6 佐藤 みなみ 群馬 太陽誘電
7 内野手 渥美 万奈 愛知 トヨタ自動車
8 市口 侑果 群馬 ビックカメラ高崎
9 川畑 瞳 愛知 デンソー
10
(主将)
坂元 令奈 愛知 トヨタ自動車
11 洲鎌 夏子 愛知 豊田自動織機
12 又吉 薫 栃木 Honda
13 山本 優 群馬 ビックカメラ高崎
14 外野手
(副将)
河野 美里 群馬 太陽誘電
15 長普@望未 愛知 トヨタ自動車
16 山崎 早紀 愛知 トヨタ自動車
17 山田 恵里 神奈川 日立

【コーチングスタッフ】
No. 役職 氏名 支部 所属名
1 チームリーダー 矢端 信介 (公財)日本ソフトボール協会
選手強化副本部長
2 ヘッドコーチ 福田 五志 愛知 トヨタ自動車
3 アシスタントコーチ 木田 京子 兵庫 園田学園女子大学
4 アシスタントコーチ 染谷 美佳 愛知 デンソー
5 トレーナー 金城 充知   スポラックス
6 トレーナー 井上 章平 愛知 トヨタ自動車
7 マネージャー 渡部 せい子 愛知 トヨタ自動車




準決勝・決勝は「BSジャパン」で!!
【放送概要】
番組名:「第15回 世界女子ソフトボール選手権」
放送局:BSジャパン(BS7チャンネル=全国無料放送)

放送日時: 7月24日(日) 午後2時〜午後4時 準決勝(または敗者復活最終戦)
7月25日(月) 昼0時56分〜午後2時56分 決勝(または3位決定戦)
解説:馬渕 智子(北京五輪日本代表)
実況:森田 京之介(テレビ東京アナウンサー)