2016.7.24
 

 

第15回世界女子選手権大会
女子TOP日本代表
「宿敵」アメリカに敗れ、準優勝……




ブロンズメダルゲームの相手は「ホスト国」カナダ



大会3連覇へ望みをつなぐためにも……勝たなければならない!



初回、先制のツーランホームランを放った「千両役者」山田恵里



2回表、カナダも1点を返し、満員のスタンドを沸かせたが……



日本はホームラン攻勢で得点を重ね、4回コールド勝ち!



ゴールドメダルゲームは「宿敵」アメリカとの再戦に!



初回、ライト・長楓]未が懸命に差し出したグラブの
わずか先をボールがすり抜けスリーランホームランに!



4回表、またしてもスリーランホームランを浴び、点差が広がる……



日本も懸命に反撃したが、なかなか得点差が詰まらない……



日本も2本のホームランを放ち、追撃したが、いずれもソロホームラン。
これがアメリカとの得点差に現れる結果となってしまった



アメリカ、宿願の「王座奪還」。日本、3連覇の夢消える……



3連覇はならなかったが堂々たる「王者の戦い」を見せた日本。
この敗戦の悔しさを「明日への糧」にしていかなければならない!



第15回世界女子選手権大会
最終日
決勝トーナメント ゴールドメダルゲーム
アメリカ戦



第15回世界女子選手権大会
最終日
決勝トーナメント ブロンズメダルゲーム
カナダ戦

 大会最終日(7月24日/日)、「第15回世界女子選手権大会」(大会公式サイトはこちら)は、最終順位を決定する「決勝トーナメント(ダブルページシステムプレイオフ/敗者復活戦を含むトーナメント)」(大会の試合方式・スケジュール等はこちら)もブロンズメダルゲーム(3位決定戦)、ゴールドメダルゲーム(優勝決定戦)を残すのみとなった。
 前日、「宿敵」アメリカに敗れ、敗者復活戦に回った日本(女子TOP日本代表)は、「チャンピオンシップラウンド」ではベネズエラに敗れる等、苦しみながらも地元の「熱い声援」を力に替え、勝ち上がってきたカナダと対戦した。

●「決勝トーナメント」(ダブルページシステムプレイオフ)
【ブロンズメダルゲーム/3位決定戦】
  1 2 3 4
カナダ 0 1 0 0 1
女子TOP日本代表 3 3 3 2x 11
※大会規程により4回得点差コールド
バッテリー:◯藤田倭(4回)−佐藤みなみ
長打: 〔本塁打〕山田恵里、市口侑果、渥美万奈、山本優
〔二塁打〕長楓]未、坂元令奈

 日本の先発は藤田倭。いきなり先頭打者に安打を許し、送りバントで得点圏に走者を進められたものの、落ち着いて後続を断ち、まずは無難に試合をスタートさせた。

 大幅に打順を組み替え、この試合に臨んだ日本は、その裏、1番・洲鎌夏子が四球を選び、出塁。ワイルドピッチで二塁へ進み、2番・河野美里の送りバントで三塁へ進塁。ここでこの試合3番に入った「千両役者」山田恵里が先制のツーランホームラン。チームに「元気」と「勇気」をもたらす強烈な「先制パンチ」を浴びせ、2点を先制。さらに4番・山本優がレフト前ヒットで出塁。二死後、6番・長楓]未がタイムリーツーベースを放ち、この回3点を先制。打順の大幅な組み替えが当たり、鮮やかな先制攻撃を見せた。

 これで勢いに乗った日本は、1点を返されて迎えた2回裏、代打・市口侑果のレフト前ヒットを口火に、3安打に相手守備の乱れを絡めて3点を追加。3回裏には、8番・市口侑果、9番・渥美万奈の二者連続のホームランで3点を加え、4回裏には、4番・山本優の「特大」のソロホームランで10点目。さらに二死二・三塁から9番・渥美万奈が4回コールド勝ちに必要な10点差となる11点目のタイムリーを放ち、11−1で4回コールド勝ち。「宿敵」アメリカが待ち受けるゴールドメダルゲーム(優勝決定戦)へ駒を進めた。

第15回世界女子選手権大会
決勝トーナメント ブロンズメダルゲーム(カナダ戦)
スターティングラインナップ
打順 守備位置 選手名 背番号 所属
1 1B 洲鎌 夏子 19 豊田自動織機
2 LF 河野 美里 9 太陽誘電
3 CF 山田 恵理 11 日立
4 3B 山本 優 5 ビックカメラ高崎
5 藤田 倭 16 太陽誘電
6 RF 長普@望未 1 トヨタ自動車
7 2B 坂元 令奈 6 トヨタ自動車
8 DP 山崎 早紀 8 トヨタ自動車
9 SS 渥美 万奈 12 トヨタ自動車
FP C 佐藤みなみ 26 太陽誘電

選手交代
2回裏 山崎 早紀OUT→市口 侑果(ビックカメラ高崎)IN ※代打
4回裏 藤田 倭OUT→又吉 薫(Honda)IN ※代打



【ゴールドメダルゲーム/優勝決定戦】
  1 2 3 4 5 6 7
アメリカ 4 0 0 3 0 0 0 7
女子TOP日本代表 1 0 0 1 1 0 0 3
バッテリー:●濱村ゆかり(3回1/3)、藤田倭(3回2/3)−我妻悠香、佐藤みなみ
長打: 〔本塁打〕坂元令奈、河野美里
〔二塁打〕山本優

 日本の先発は「期待の若手」濱村ゆかり。その立ち上がり、簡単に二死を取ったものの、3番・Jazmyn Jacksonが右中間を破るツーベースヒット。4番・Valerie Ariotoが四球で歩き、一・二塁とした後、5番・Alison Aguilarにセンター前にはじき返され、1点を失うと、6番・Michelle Moultrieがライト頭上に高々と舞い上がる打球を打ち上げると、懸命に背走し、フェンスによじ登ってグラブを差し出した長楓]未の右手のわずか先をボールがすり抜け、ライトのフェンスを越え、大きな追加点となるスリーランホームランとなってしまった。

 しかし、日本は怯まない。これまで「苦手」としてきたアメリカの先発・Allyson Cardaを攻め、1番・洲鎌夏子が四球を選び、出塁。続く2番・河野美里のセカンドゴロの間に一塁走者が二塁へ進塁し、3番・山田恵里がライト前にタイムリー。「勝負はまだまだこれから!」とチームを鼓舞するタイムリーを放ち、1点を返した。

 日本は2回裏にも、一死から7番・市口侑果がレフト前ヒットを放ち、出塁。ここでアメリカベンチが早くも動き、2番手・Jessica Mooreを投入。8番・渥美万奈が三振に倒れ、二死となったものの、代打・又吉薫の四球で一・二塁とチャンスを広げ、今大会の「ラッキーガール」1番・洲鎌夏子がセンター前にはじき返すと、二塁走者が一気に本塁突入。しかし、これは間一髪アウトとなり、無得点に終わった。この1点が入っていれば、試合の流れが変わっていたかもしれないが……。

 追加点のほしいアメリカは4回表、2本の安打で一死一・二塁と攻め立て、1番・Haylie McCleneyが勝負を決めるスリーランホームラン。先発・濱村ゆかりをKOし、7−1と大きくリードを広げた。
 日本はここで代わった2番手・藤田倭が力投。後続を連続三振に斬って取り、守備から攻撃のリズムを作ると、その裏、この回先頭の6番・坂元令奈がレフトスタンドへ豪快なソロホームラン。チームを引っ張る「キャプテン」の「意地の一発」で1点を返すと、5回裏には、この回から代わったJaclyn Trainaから2番・河野美里が「特大」の一発をライトスタンドに叩き込み、3点目。二死後、4番・山本優が左中間を深々と破るツーベースを放ち、相手守備陣の連係プレーが乱れる間に三塁まで進み、5番・長楓]未も四球で歩き、一・三塁。反撃の機運が高まり、6番・坂元令奈のセカンドゴロをはじき、三塁走者が生還か……と思われたが、キャプテン・坂元令奈の「執念」の一塁ヘッドスライディングも及ばず、間一髪アウト。日本は攻め込みながらも、なかなか得点差を詰めることができない。

 試合は7−3でアメリカがリードしたまま、最終回へ……。まず藤田倭がアメリカ打線を三者三振に斬って取り、その裏の「反撃」を待った。
 しかし、2番・河野美里がライトフライ。3番・山田恵里がファーストゴロに倒れ、早くもツーアウト。「最後の打者」4番・山本優のバットが空を切り、その瞬間、日本の「3連覇」の夢が潰えた。

 アメリカが強かった……とは思わない。「エース」上野由岐子抜きでも十分に「勝機」はあった。ただ、アメリカを完全に凌駕するところまで行っていなかったことは事実であり、どこに最終的な「ターゲット」を置き、どのような準備をするか……という点において、アメリカが勝っていた。用意周到に「勝利へのプラン」を構築し、より具体的に、より明確に、「打倒・日本」の絵図が描けていた。

 東京ドームに3万人超の観客を集めた「日米対抗ソフトボール2016」、この世界選手権の直前に行われた「USAワールドカップ」と、「宿敵」アメリカとの「連戦」が続き、その中でアメリカは5人の投手の中で、誰が日本に通用するかをセレクションでもするかのように冷静に見極めていった。
 一方、日本は「エース」の戦線離脱という緊急事態の中で、藤田倭、濱村ゆかりをフル回転させるしかない状況に陥り、あまりにもこの二人の投手をアメリカに見せ過ぎてしまった。特に、若い濱村ゆかりに関しては、当初手を焼いていたものの、「球種の少なさ」という現時点での「弱点」を見抜き、しっかりと分析・対策を立てていた。

 ただ、日本にとっても敗れたとはいえ、十分に収穫はあった。藤田倭、濱村ゆかりの「次世代」を担う二人の投手が、「世界の舞台」の「真剣勝負」を経験し、大きな成長を感じさせたくれたからである。もちろん、まだまだ課題もあるかもしれないが、その課題すら、いつもなら「世界のエース」の陰に隠れ、最後は頼り、見つけることすら見つけることができずにいたかもしれいない。
 打線も、特にゴールドメダルゲームのアメリカ戦で、初回に4点ものビハインドを背負いながら、誰一人、下を向くことなく、攻め続けた「姿勢」は称賛に値する。その「姿勢」こそが「明日につながる」ものであり、あれだけのリードを奪いながら、アメリカは心のどこかで「恐怖」を感じていたのではなりだろうか。
 また、点差ほどの「差」はなく、試合展開によってはどちらに転んでもおかしくない試合であったし、点差を感じさせない「面白い」試合でもあった。

 どちらにしても、今大会での戦いを精査し、課題を洗い出し、今後の強化へつなげていかなくてはならない。「勝負」である以上、負けることもある。ただ、この「負け」をどう受け止め、どう今後へつなげていくかが大事である。
 その意味でも、今大会での戦いを正確に・精密に評価・分析し、「明日の勝利のため」にとつなげていかなければならない。

第15回世界女子選手権大会
決勝トーナメント ゴールドメダルゲーム(アメリカ戦)
スターティングラインナップ
打順 守備位置 選手名 背番号 所属
1 1B 洲鎌 夏子 19 豊田自動織機
2 LF 河野 美里 9 太陽誘電
3 CF 山田 恵理 11 日立
4 3B 山本 優 5 ビックカメラ高崎
5 RF 長普@望未 1 トヨタ自動車
6 2B 坂元 令奈 6 トヨタ自動車
7 DP 市口 侑果 4 ビックカメラ高崎
8 SS 渥美 万奈 12 トヨタ自動車
9 我妻 悠香 25 ビックカメラ高崎
FP 濱村ゆかり 15 ビックカメラ高崎

選手交代
2回裏 我妻 悠香OUT→又吉 薫(Honda)IN ※代打
3回表 又吉 薫OUT→我妻 悠香(ビックカメラ高崎)IN
※キャッチャーの守備に再出場
4回表 濱村ゆかりOUT→藤田 倭(太陽誘電)IN ※投手交代
4回表 我妻 悠香OUT→佐藤みなみ(太陽誘電)IN ※キャッチャーの守備に入る




第15回世界女子ソフトボール選手権大会出場選手
選手(※ポジション別五十音順)
No. 守備 氏名 支部 所属名 選手紹介映像
1 投手 濱村 ゆかり 群馬 ビックカメラ高崎
2 平原 かすみ 愛知 トヨタ自動車
3 藤田 倭 群馬 太陽誘電
4 山根 佐由里 愛知 トヨタ自動車
5 捕手 我妻 悠香 群馬 ビックカメラ高崎
6 佐藤 みなみ 群馬 太陽誘電
7 内野手 渥美 万奈 愛知 トヨタ自動車
8 市口 侑果 群馬 ビックカメラ高崎
9 川畑 瞳 愛知 デンソー
10
(主将)
坂元 令奈 愛知 トヨタ自動車
11 洲鎌 夏子 愛知 豊田自動織機
12 又吉 薫 栃木 Honda
13 山本 優 群馬 ビックカメラ高崎
14 外野手
(副将)
河野 美里 群馬 太陽誘電
15 長普@望未 愛知 トヨタ自動車
16 山崎 早紀 愛知 トヨタ自動車
17 山田 恵里 神奈川 日立

【コーチングスタッフ】
No. 役職 氏名 支部 所属名
1 チームリーダー 矢端 信介 (公財)日本ソフトボール協会
選手強化副本部長
2 ヘッドコーチ 福田 五志 愛知 トヨタ自動車
3 アシスタントコーチ 木田 京子 兵庫 園田学園女子大学
4 アシスタントコーチ 染谷 美佳 愛知 デンソー
5 トレーナー 金城 充知   スポラックス
6 トレーナー 井上 章平 愛知 トヨタ自動車
7 マネージャー 渡部 せい子 愛知 トヨタ自動車