第4回アジア女子ジュニアソフトボール選手権大会
 兼第9回世界女子ジュニアソフトボール選手権大会
 アジア地区予選代表選手選考会を実施!                     



 (2009.11.13) 


 去る11月2日(月)〜4日(水)の3日間、静岡県伊豆市の天城ドームおよび野球場を会場に、「平成21年度 女子U19日本代表チーム選手選考会(第4回アジア女子ジュニアソフトボール選手権大会兼第9回世界女子ジュニアソフトボール選手権大会アジア地区予選代表選手選考会)」が実施された。
 この選考会は、12月13日(日)〜16日(水)、マレーシア・クアラルンプールで開催が予定されている「第4回アジア女子ジュニアソフトボール選手権大会兼第9回世界女子ジュニアソフトボール選手権大会アジア地区予選」に派遣する女子U19日本代表選手を選考するもので、全国各都道府県支部協会から推薦された99名が参加。3日間の厳しい選考を経て、代表選手15名が決定した。代表選手名簿はこちら

 選考会初日、まずは選手たち全員の「走力」がチェックされ、塁間のタイム計測、二塁から本塁までのタイム計測を実施。その後、基本的な肩の強さ、スローイングの能力を測定するために「遠投」を行い、個々の能力・資質がチェックされた。
 さらに、投手、捕手、野手に分かれての選考となり、投手は各選手が有する球種・変化球を自己申告の上、スピードガンで投球を計測。また、その球種ごとの切れや変化をチェックすると同時に、いかに自在にコントロールできるかも選考基準となった。
 捕手は、その投球を確実に捕球できるかというキャッチングの基本的な技術がチェックされ、二塁への盗塁の際のスローイングのタイム計測なども行われた。
 野手は、「第一希望」のポジションでのシートノックが行われ、基本的な捕球・送球の技術、打球への反応、守備範囲の広さなどがチェックされた。
 最後に、ロングティーを行い、各選手の基本的なスイング、ボールのとらえ方、打球の速さ、飛距離などから、各選手が有するバッティングの基本技術・基礎能力がチェックされた。

 選考会2日目は、午前中、第2希望のポジションでのノックを行い、今回の選考対象となる大会(第4回アジア女子ジュニアソフトボール選手権大会兼第9回世界女子ジュニアソフトボール選手権大会アジア地区予選)のベンチ入りの人数が「15名」と限られた中で、複数のポジションをこなすユーティリティ性があるかどうかも選考の対象とされた。
 その後、ピッチングマシンなどを利用してフリーバッティング。国際大会を想定したスピード、あるいは変化球にどう対応するか、その適応力やバッティングテクニックが確認された。
 午後からは、99名の選手を4つのチームに分け、試合形式での選考に入り、実際の試合の中で、どんなピッチングができるか、あるいはそれをどう打ち、どう守るかなどが厳しくチェックされた。

 選考最終日も完全な「実戦形式」の中で、選手個々の技術・能力を総合的に判断。3日間の選考会を締めくくり、15名の代表選手が決定した。

 (財)日本ソフトボール協会・入角 亨選手強化本部長は、今回の選考に関し、「まずは第4回アジア女子ジュニアソフトボール選手権大会での優勝、2011年に開催される第9回世界女子ジュニアソフトボール選手権大会の出場権の獲得(上位3チームに第9回世界女子ジュニアソフトボール選手権大会の出場権が与えられる)を目標として、現時点で『ベスト』の人選を行った。2011年の本大会には、年齢制限で出場できない選手が大多数を占めることになるが、まずはアジアで勝ち、世界選手権の出場権を確実に勝ち取るために、『勝つため』のチームを作り、本大会へのチーム作りについては、アジアを制し、本大会への出場権を手にした上で改めて考えていきたい」と、選手選考の基準、チーム作りへの基本的な考え方を語った。

 コーチングスタッフも決定し、インターハイ、高校選抜、国体などで数々のタイトルを獲得してきた名将・渡辺和久氏((財)日本ソフトボール協会選手強化本部会・女子ジュニア強化委員/木更津総合高)がヘッドコーチに就任。今夏のユースワールドカップで「世界一」を勝ち取った女子U16日本代表のコーチを務めた有住 隆氏(上山明新館高)が再びコーチとして渡辺和久ヘッドコーチの「右腕」となり、小室留美枝氏(藤村女子高)が総務兼マネージャーとして、これをサポート。女子日本代表をはじめ数々のカテゴリーでトレーナーを務めてきた大石益代氏((財)日本ソフトボール協会)も加わり、盤石の体制で大会に臨むことになる。

 チームを率いる渡辺和久ヘッドコーチは、「当初、選考会への参加人数を50〜60人程度と予想していたので、100名近い選考は正直大変で……(笑)。時間的な制約・会場等の都合も考慮して、実戦的な選考を主体にスケジュールを組み、とにかく人数が多くても、一人ひとりの選手をしっかりと見ることができるよう、25名ずつ4チームに分けて紅白戦を行い、実戦の中で参加選手全員をしっかりとチェックすることができたと自負している。投手の登板順、打順などは公平を期すためにくじ引きで決定するなど、選考に偏りができないような工夫も行った」と選考の経緯を語り、選考基準については、「とにかくまずはアジアでぶっちぎりで勝てるような、現時点での『ベスト』の布陣を選び抜いた。日本のソフトボールは、北京オリンピックの金メダル、ワールドゲームズ、U16ユースワールドカップの優勝と『金メダル以外は考えられない』という状況下にある。それだけにアジア予選では、万が一にも出場権を逃すようなことがあってはならないし、圧倒的な強さで優勝を飾ることができるよう、『最強のチーム』で大会に臨みたいと思っている」と語った。その一方で、「結果的には、日本リーグ勢主体のチーム編成の中に、高校2年生が3人食い込み、この選手たちが2011年の本大会の主軸となり、世界を制したU16日本代表の選手たちとうまく融合を図り、本大会でも優勝を狙えるチームができると期待しているし、その意味では非常にバランスの取れた理想的なチームになったと思う」と語り、「参加選手のレベルが非常に高く、その意味では嬉しい悲鳴というか、多くの選手の中から15名に絞り込む作業は非常に苦しいものがあった。ただ、今回の選考から漏れた選手の中からも、将来の日本代表選手が生まれたり、本大会に臨むための選考会で早くも頭角を現してくるような選手がいる可能性もある。それくらい選手個々のレベルは高く、非常に難しい選考だった」と、選ぶ側の苦悩も吐露した。

 女子U19日本代表は、1981年の第1回大会(カナダ・エドモントン)を皮切りに、1991年の第4回大会(オーストラリア・アデレード)、1999年の第6回大会(台湾・台北)、2003年の第7回大会(中国・南京)と過去4回の「世界一」を経験するなど、輝かしい実績を残し続けているカテゴリーである。前回大会(2007年・第8回大会/オランダ・エンスヘーデ)でも、史上初の3連覇こそ成らなかったが、準優勝という成績を残している。
 また、このカテゴリーで「世界一」を経験したメンバーが、女子日本代表の「主力選手」に成長し、チームの屋台骨を支える存在となり、北京オリンピックで金メダルを勝ち取る「原動力」となったことは記憶に新しい。

 「世界一の投手」上野由岐子(ルネサステクノロジ高崎事業所)をはじめ、三科真澄(ルネサステクノロジ高崎事業所)、佐藤理恵(当時・レオパレス21/現・東京女子体育大コーチ)は、1999年の第6回大会優勝メンバーであり、狩野亜由美(豊田自動織機)は2003年の第7回大会の優勝メンバー。また、峰幸代(ルネサステクノロジ高崎事業所)は2007年の第8回大会でキャプテンを務め、「不動の4番」として活躍。その活躍・実績が認められ、女子日本代表に引き上げられ、北京オリンピックの金メダリストにまで登り詰めた。

 残念ながら、「Back Softball」の願い虚しく、2012年のロンドンオリンピック、2016年のリオデジャネイロオリンピックでは、ソフトボール競技はオリンピック競技から除外されたままで、「オリンピック競技復帰」は早くても2020年以降になってしまったが、そんな状況にあっても、過去に例を見ないほどの人数がこの選考会に集まり、「日本代表」への熱い想いを見せてくれたことは嬉しい限りである。ソフトボールを愛する多くの人々の「熱い想い」を受け止め、応えていくために……今こそ「新たな一歩」を踏み出していかなくてはならない。


■平成21年度 女子U19日本代表選手第4回アジア女子ジュニアソフトボール選手権大会 (兼第9回世界女子ジュニアソフトボール選手権大会アジア地区予選) 出場選手

  背番号 守 備 氏 名 支部 所属名
1 1 投手 山根佐由里 東京 レオパレス21
2 11 投手 松村 綾菜 東京 レオパレス21
3 12 投手 藤田  倭 群馬 太陽誘電
4 13 投手 五味 彩華 宮城 東北福祉大学
5 2 捕手 谷口 敏子 東京 レオパレス21
6 15 捕手 宇野有加里 千葉 木更津総合高校
7 3 内野手 松木 瑛里 熊本 県立八代東高校
8 4 内野手 金澤 杏奈 群馬 ルネサステクノロジ
9 5 内野手 原野 愛美 東京 東京女子体育大学
10 6 内野手 呉屋 知紀 鹿児島 神村学園高等部
11 10 内野手 手塚沙也花 神奈川 日立ソフトウェア
12 14 内野手 市口 侑果 千葉 木更津総合高校
13 7 外野手 杉浦  舞 神奈川 日立ソフトウェア
14 8 外野手 江口未来子 愛知 デンソー
15 9 外野手 中村 早紀 埼玉 星野高校

コーチ・スタッフ

  役職 氏名 支部 所属
1 団 長 末廣 善紀   (財)日本ソフトボール協会
常務理事
1 ヘッドコーチ 渡辺 和久 千葉 木更津総合高校
2 コーチ 有住 隆 山形 上山明新館高校
3 マネージャー 小室 留美枝 東京 藤村女子高校
4 ドクター 未定    
5 トレーナー 大石 益代   (財)日本ソフトボール協会
6 帯同審判員 武田 信作   (財)日本ソフトボール協会


選考会初日、まずは参加者全員の「計測」が行われた

女子日本代表の山根佐由里(レオパレス21)も
参加するなど、ハイレベルな選考会となった

99名もの選手が「女子U19日本代表」をめざし、
持てる力のすべてを発揮し、懸命にプレーした

大会にエントリーできるのは、わずか15名とあって
走・攻・守、すべてのバランスが求められ、複数の
ポジションをこなせるユーティリティー性が求められた

現時点での「ベストチーム」「最強チーム」を編成
するために、選考委員の厳しい視線が注がれた

参加人数、時間的な制約や会場等の都合も
考慮し、実戦主体の選考スケジュールとなった

選手一人ひとりのプレーに熱い視線を注ぐ、
渡辺ヘッドコーチ(右)、有住コーチ(左)
見据える先は……「アジア制覇!」
そして、その先にある「世界一!!」