去る11月1日(木)〜3日(土)の3日間、静岡県伊豆市の天城ドームおよび野球場を会場に、「平成24年度 女子U19日本代表チーム選手選考会(兼第10回世界女子ジュニアソフトボール選手権大会代表選手選考会)が実施された。
この選考会は、来年7月1日(月)〜7日(日)、カナダ・ブランプトンで開催が予定されている「第10回世界女子ジュニアソフトボール選手権大会」に派遣する女子U19日本代表選手を選考するもので、全国各都道府県支部協会から推薦された67名が参加。3日間の厳しい選考を経て、代表選手17名が決定した。
選考会初日、まずは選手たちの基本的な能力の測定が行われ、塁間のタイム計測、二塁から本塁までのタイム計測が行われ、「走力」がチェックされ、その後、「遠投」で基本的な肩の強さ、スローイングの能力を測定。
さらに、投手、捕手、野手に分かれての選考となり、投手は各選手が有する球種・変化球を自己申告の上、スピードガンで投球を計測。また、その球種ごとの切れや変化をチェックすると同時に、いかに自在にコントロールできるかも選考基準となった。
捕手は、その投球を確実に捕球できるかというキャッチングの基本的な技術がチェックされ、二塁への盗塁の際のスローイングのタイム計測等も行われた。
野手は、「第一希望」のポジションでのシートノックが行われ、基本的な捕球・送球の技術、打球への反応、守備範囲の広さなどがチェックされた。
最後に、野手は「第二希望」のポジションでのノックが行われ、複数のポジションをこなすユーティリティ性があるかどうかも選考の対象とされた。世界選手権では、国内の大会と違い、「17名」の限られたベンチ入り人数で一週間にわたる長丁場の大会を、体格・体力に勝る諸外国の選手・チームを相手に戦い抜かなければならない。また、思うように言葉が通じず、食事や生活習慣の異なる他国に長く滞在し、大会を戦うコンディションを保つことは決して容易なことではない。そう考えると、ケガや病気といった突発的な状況が発生する可能性も考慮し、誰かが抜けても、それを補うことができるような「備え」も必要になる。
選考会2日目は、午前中、ロングティー、フリーバッティング、シートバッティングといったバッティング中心の選考メニューが組まれた。
ロングティー、フリーバッティングでは、基本的なスイング、ミートの的確さ、スイングスピード、打球を遠くまで飛ばす能力等がチェックされ、シートバッティングでは、個々が持つバッティングの基本技術を実際の投手との対戦の中で、どのように生かすことができるかが問われる選考内容となり、ロングティー、フリーバッティングが個々の持つ「基本的能力」「基本的技術」を問う選考であり、シートバッティングはその「応用編」で、選手個々が有する能力を、より実戦に近い形の中でどのように使い分け、適応し、発揮することができるかが問われる選考内容となっていた。
午後からは、67名の選手を4つのチームに分け、試合形式での選考に入り、実際の試合の中で、どんなピッチングができるか、あるいはそれをどう打ち、どう守るかなどが厳しくチェックされた。
実際の試合の中で起こる様々な状況に対し、その状況を的確に判断し、それに応じたプレーを行うことができるか。試合展開、イニング、アウトカウント、走者の有無、刻々と変わっていく状況の中で「ベスト」の判断、状況に応じた技術の使い分け、適切なプレーの選択ができるか否かが厳しくチェックされた。
選考最終日も完全な「実戦形式」の中で、選手個々の技術・能力を総合的に判断。3日間の選考会を締めくくり、17名の代表選手が決定した。
女子U19日本代表は、1981年の第1回大会(カナダ・エドモントン)を皮切りに、1991年の第4回大会(オーストラリア・アデレード)、1999年の第6回大会(台湾・台北)、2003年の第7回大会(中国・南京)と過去4回の「世界一」を経験するなど、輝かしい実績を残し続けているカテゴリーである。2007年の第8回大会(オランダ・エンスヘーデ)では、史上初の3連覇こそ成らなかったが、準優勝という成績を残している。
前回大会(第9回大会/南アフリカ・ケープタウン)では、予選リーグを無敗のまま、駆け抜け、決勝トーナメントでもセミファイナルでアメリカ相手にコールド勝ちを収める等、強さを見せたが、ファイナルで敗者復活戦を勝ち上がってきたアメリカに敗戦。準優勝に終わっている。
今回のチームを率いるヘッドコーチには、高校女子ソフトボール界の「名門」にして、「強豪」であり続ける神奈川県立厚木商業高の宗方貞徳監督が就任。インターハイ連覇を達成する等、輝かしい戦歴を持つ「闘将」が世界の舞台に挑む。
それをサポートするコーチ陣は、福井県立三国高監督の松本修志氏と神奈川県立厚木商業高コーチの鈴木由香氏が務める。特に、コーチ兼総務の鈴木由香氏は、女子U19日本代表の一員として1999年の第6回世界女子ジュニア選手権大会に出場し、「世界一」を勝ち獲った経歴を持つ。
このスタッフに率いられた選手たちが、「世界の舞台」でどんな輝きを見せてくれるか、興味は尽きない。今回は、アメリカが大会史上初の「3連覇」に挑み、日本はその阻止を狙う「チャレンジャー」の立場となる。来年7月、カナダ・ブランプトンの地で、アメリカの大会史上初の「3連覇」を阻み、「王座奪還」を果たすことを期待したい。
■平成24年度 女子U19日本代表選手名簿
第10回世界女子ジュニア選手権大会出場選手名簿
▽選手
NO |
守備 |
氏名 |
所属 |
支部 |
1 |
投手 |
中野花菜 |
ルネサスエレクトロニクス高崎 |
群馬 |
2 |
投手 |
常盤紫文 |
木更津総合高 |
千葉 |
3 |
投手 |
平田美希 |
厚木商業高 |
神奈川 |
4 |
投手 |
岡村奈々 |
小倉商業高 |
福岡 |
5 |
捕手 |
青木千春 |
高崎健康福祉大学高崎高 |
群馬 |
6 |
捕手 |
我妻悠香 |
星野高 |
埼玉 |
7 |
内野手/投手 |
内藤実穂 |
佐賀女子短大付属佐賀女子高 |
佐賀 |
8 |
内野手 |
山下りら |
創志学園高 |
岡山 |
9 |
内野手 |
染矢紗姫 |
創志学園高 |
岡山 |
10 |
内野手 |
松本風香 |
伊奈学園総合高 |
埼玉 |
11 |
内野手 |
榎本千波 |
花咲徳栄高 |
埼玉 |
12 |
内野手 |
奥田茉優希 |
東海学園高 |
愛知 |
13 |
内野手 |
楢嵜伶奈 |
佐賀女子短大付属佐賀女子高 |
佐賀 |
14 |
外野手/捕手 |
平川穂波 |
とわの森三愛高 |
北海道 |
15 |
外野手 |
山口唯 |
厚木商業高 |
神奈川 |
16 |
外野手 |
田中麻美 |
多治見西高 |
岐阜 |
17 |
外野手 |
青柳優那 |
厚木商業高 |
神奈川 |
▽スタッフ
NO |
役職 |
氏名 |
所属 |
支部 |
1 |
ヘッドコーチ |
宗方貞徳 |
厚木商業高 |
神奈川 |
2 |
コーチ |
松本修志 |
三国高 |
福井 |
3 |
コーチ兼総務 |
鈴木由香 |
厚木商業高 |
神奈川 |
|