去る1月19日(日)〜24日(金)、NTS優秀選手による台湾遠征(NTS優秀選手台湾遠征参加者名簿はこちら)を実施。台湾・南投で開催された「2014年 中日青少女子壘球交流賽」に出場し、圧倒的な強さで優勝を飾った。
この遠征は、昨年11月14日(木)〜17日(日)、静岡県伊豆市において開催された「平成25年度全国女子ジュニア育成中央研修会」(NTS)で選出された優秀選手17名を派遣するもので、日本・台湾の相互派遣方式で行われており、今回で4回目の実施となる。
「全国女子ジュニア育成中央研修会」(NTS)は、JOC(公益財団法人日本オリンピック委員会)が策定した「JOCゴールドプラン(国際競技力向上戦略)に基づく施策「一貫指導システム(競技者育成プログラム)」の一つとして実施されているもので、全国9ブロック(北海道、東北、関東、北信越、東海、近畿、中国、四国、九州)から選抜された54名(各ブロック6名ずつが参加)に、公益財団法人日本ソフトボール協会選手強化本部推薦の6名を加えた計60名の選手が参加。毎年11月に実施されている。
また、「優秀選手の発掘・育成」をさらに具体的なものとし、発展させていきたいという公益財団法人日本ソフトボール協会の意向のもと、この研修会で発掘された優秀選手17名による選抜チームを編成。年明け早々に台湾遠征を行い、夏頃には台湾チームが日本を訪問する「相互派遣方式」での交流が「恒例」となっている。
日本選手団は、1月19日(日)に羽田空港を出発。台湾・台北(松山)国際空港へと向かい、そこからバスに乗り換え、約3時間。「2014年 中日青少女子壘球交流賽」の開催地である南投へと移動した。
移動のバスの中、翌日(20日/月)午前中と入念なミーティングの時間を持ち、今回の台湾遠征の位置づけや意義、NTS優秀選手が置かれた立場などが、しっかりと「教育」され、「日本を代表する選手」としての自覚と責任が促された。
午後からは、「2014年 中日青少女子壘球交流賽試合」の試合会場となる埔里國中のグラウンドで練習。長時間にわたる移動で疲れた身体をほぐし、ストレスを発散。入念なウォーミングアップの後、キャッチボール、トスバッティング、シートノック、シートバッティングを行い、翌日からの試合に備え、汗を流した。
翌21日(火)、いよいよ「2014年 中日青少女子壘球交流賽」が開幕! 日本は初戦の五福國中との対戦に臨み、初回、1番・藤本麗がセーフティーバントで相手守備陣を揺さぶりをかけ、2番・亀田栞里も内野安打で続き、3番・松本怜奈の鋭い当たりのショートゴロがエラーを誘い、2点を先取。さらに5番・中溝優生の三塁打等でこの回一挙5点を挙げた。
しかし、五福國中もその裏、すぐに反撃。日本の先発・八木里菜に長打3本を浴びせ、2点を返し、試合は打撃戦の様相を呈してきた。
日本は2回表、6番・小嶋雛乃のセンターフェンスオーバーの本塁打等で5点を挙げ、五福國中を突き放すと、3回表に1点、4回表にも4点を奪い、大きくリードを広げた。
守っては、先発・八木里菜が初回こそ、思い切りが良く、パワーのある五福國中打線につかまったが、2回以降は巧みにチェンジアップを交えた緩急自在のピッチングで五福國中打線を翻弄。最後はリリーフした辰巳舞衣が1イニングをピシャリと締め、15−2の4回コールドで初戦を飾った。
ダブルヘッダーとなったこの日、続いて「台湾No.1」の呼び声高い埔里國中と対戦。先攻の日本は初回、この試合、4番に起用された須藤志歩がレフト前に先制のタイムリー。このまま日本ペースで試合が進むかと思われた。
日本の先発・中山日菜子はその裏、簡単に二死を取ったものの、4番打者、5番打者に連打を浴び、同点。試合は振り出しに戻ってしまった。
日本は2回表、5番・中溝優生の左中間フェンスオーバーのツーラン等で3点を追加。3回表に4点、4回表にも3点を加え、一方的な試合展開となった。
日本の先発・中山日菜子は、2回以降は落ち着きを取り戻し、安定したピッチングを見せ、2回裏、3回裏を無得点に封じ、最後は勝股美咲へとつなぎ、11−1の4回コールド勝ち。圧倒的な強さで初日連勝を飾った。
大会2日目(22日/水)、この日はまず予選リーグ最終戦となる通霄國中と対戦した。試合前、奥村誠ヘッドコーチは選手全員を集め、「君たちはこの世代で『世界最強』のメンバー。君たちの目標は、この目の前の試合に勝つことではない。『世界最強』『世界チャンピオン』として、どんなプレーを見せ、どう戦うのか、誰もがそこに注目している。君たちには『チャンピオン』としての立ち居振る舞いが求められている。台湾の中学生が君たちに憧れ、目標となるようなプレーを、試合を、見せなければならない」と、選手たちに檄を飛ばし、「台湾チームのバッティングは確かに良いが、失点しているようでは話にならない。目標は『完全試合』で勝つこと……と言いたいところだけど(笑)、今日は失点をしないことを目標にしよう」と、具体的な目標を設定し、「負けたら罰ゲーム!」と選手たちを送り出した。
「無失点」を目標としたこの試合、先発・小嶋雛乃がその立ち上がりいきなり連打を浴びたが、守備陣の好守もあり、無失点で切り抜けると、好調の打線は初回からエンジン全開。この試合も4番に起用された須藤志歩が男子顔負けの飛距離でライトスタンドに叩き込む超特大の本塁打を放つ等、11安打10得点の猛攻で10−0の4回コールド勝ち。
日本はこれで予選リーグを3戦全勝の1位で通過。ソフトボール独特の「ページシステム」(敗者復活戦を含むトーナメント)で行われる決勝トーナメントへ駒を進めることになった。
決勝トーナメント初戦の相手は、予選リーグ2位の埔里國中。今大会猛威を振るう好調な日本打線の勢いは止まらず、10安打・17得点の猛攻。17−0の3回コールド勝ちで一足先に決勝進出を決めた。
大会最終日(23日/木)、一足先に決勝進出を決めていた日本は、敗者復活戦を勝ち上がってきた埔里國中と今大会3度目の対戦。
先攻の日本は初回、あっさり2点を先制したが、その裏、埔里國中が「意地」の反撃。日本の先発・勝股美咲の立ち上がりをとらえ、安打、パスボール等で無死二・三塁と攻め立てると、二死後、5番打者がセンター前にはじき返し、同点に追いついた。
しかし、好調を持続する日本打線はそれでも止まらない。山根葉奈、須藤志歩がフェンスオーバーの本塁打を放つなど、7本の長打を含む12安打・13得点と打線が爆発!
守っては、勝股美咲、中山日菜子、八木里菜とつなぐ投手リレーで2回以降は得点を許さず、13−2の5回コールドで埔里國中を破り、優勝を飾った。
今回も圧倒的な強さで優勝を飾った日本。しかし、奥村誠ヘッドコーチの言葉にあったように、今回の目的・目標は、「目の前の試合に勝つこと」ではない。「世代最強」のこの逸材たちに国際舞台を経験させ、「世界の舞台」で戦うための「ファーストステップ」とし、いつか「世界チャンピオン」となるために、そこに至る道をしっかりと歩ませることである。
その意味では、今回の遠征は、踏み出した「最初の一歩」であり、将来の日本のソフトボールを背負って立つ「金の卵」たちにとっては単なる「通過点」に過ぎない。
しかし、いかに将来性に溢れ、素質と才能に恵まれていても、それが将来を約束することにはならない。磨き方を間違えれば、その素質は開花することはなく、持てる才能は浪費してしまう。ジュニア世代で「天才」と呼ばれながら、最後までその力を発揮することなく、選手生命を終えてしまうケースも少なくはない。
だからこそ、この「逸材」たちの行く末をしっかりと見守り、導き、育てていかなくてはならない。その「使命」が私たちにはあり、それを守り、導いていくことこそが、ソフトボールの「未来」を創ることにほかならない。
【2014年 中日青少女子壘球交流賽 日本戦試合結果】
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1 |
2 |
3 |
4 |
計 |
日 本 |
5 |
5 |
1 |
4 |
15 |
五福國中 |
2 |
0 |
0 |
0 |
2 |
※大会規程により4回得点差コールド |
バッテリー: |
○八木里菜(3回)・辰巳舞衣(1回)−國井瞳・佐竹紫乃 |
長打:
|
〔本塁打〕小嶋雛乃
〔三塁打〕中溝優生、藤本麗 〔二塁打〕國井瞳 |
|
1 |
2 |
3 |
4 |
計 |
日 本 |
1 |
3 |
4 |
3 |
11 |
埔里國中 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
※大会規程により4回得点差コールド |
バッテリー: |
○中山日菜子(3回)・勝股美咲(1回)−國井瞳・佐竹紫乃 |
長打:
|
〔本塁打〕中溝優生 〔二塁打〕亀田栞里 |
|
1 |
2 |
3 |
4 |
計 |
通霄國中 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
日 本 |
5 |
2 |
2 |
1x |
10 |
※大会規程により4回得点差コールド |
バッテリー: |
○小嶋雛乃(3回)・八木里菜(1回)−佐竹紫乃・國井瞳 |
長打:
|
〔本塁打〕須藤志歩
〔二塁打〕西川沙希、佐竹紫乃、三原千空、宮本実侑 |
※日本、3戦全勝の1位で予選リーグを通過。 |
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1 |
2 |
3 |
計 |
日 本 |
2 |
11 |
4 |
17 |
埔里國中 |
0 |
0 |
0 |
0 |
※大会規程により3回得点差コールド |
バッテリー: |
○辰巳舞衣(3回)−佐竹紫乃 |
長打:
|
〔本塁打〕山根葉奈 〔三塁打〕佐竹紫乃、藤本麗
〔二塁打〕松本怜奈、小嶋雛乃 |
※日本、決勝進出
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・大会3日目(1月23日/木) |
決勝トーナメント 決勝 |
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
計 |
日 本 |
2 |
3 |
2 |
4 |
2 |
13 |
埔里國中 |
2 |
0 |
0 |
0 |
0 |
2 |
※大会規程により5回得点差コールド |
バッテリー: |
○勝股美咲(3回)・中山日菜子(1回)・八木里菜(1回)−國井瞳・佐竹紫乃
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長打:
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〔本塁打〕山根葉奈、須藤志歩
〔三塁打〕山根葉奈、松本怜奈 〔二塁打〕松本怜奈、辰巳美咲 |
※日本、優勝
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