去る4月3日(水)〜5日(金)の3日間、神奈川県横浜市において女子U19日本代表が第1次国内強化合宿を実施。来る7月1日(月)〜7日(日)、カナダ・ブランプトンで開催が予定されている「第10回世界女子ジュニア選手権大会」に向け、強化に励んだ。
今回実施された第1次国内強化合宿では、昨年11月1日(木)〜3日(土)の3日間、静岡県伊豆市の天城ドームおよび野球場を会場に実施された「平成24年度女子U19日本代表選考会」を経て、選び抜かれた代表17名を招集。日本体育大学(東京)と計4試合のテストマッチを実施するなど、3日間(初日は雨天のため、室内練習にて調整)にわたり、実戦主体の本格的な強化に取り組んだ。
合宿初日、現地・神奈川県横浜市に入った女子U19日本代表は、早速宿泊先のホテルにて、選手・スタッフの顔合わせ、ミーティングを行い、今回のチームの目標や強化方針を確認。ミーティングでは、チームの指揮を執る宗方貞徳ヘッドコーチ(厚木商業高)が、まず「このチームで必ず王座を奪還し、世界一になる!」と、力強い決意表明を行うと、「女子U19日本代表として“日の丸”を胸に戦う以上、君たちは“本物のプライド”を持たなければならない。“本物のプライド”とは何か。それは、日本を代表するチーム、また選手として、自惚れや妥協、わがままを一切排除することである。それぞれが常に高い意識を持ち、優勝し、世界一になるという目標に向かって一心不乱に突き進んでほしい」と、選手たちへ“宗方イズム”を注入。また、「これからは“世界一になる”という目標に向かって、このチームで一丸となり、戦っていかなければならない。まず、私から君たちに強く求めたいことは、何事も“必ずその目標を達成させるんだ!”という強い信念を持ち、行動するということ。『優勝できればいいな……、世界一になりたいな……』程度の願望では、世界一になることなどできはしない。日頃から常に、『優勝する!世界一になる!』と、信じ続け、真に自らを追い込み、心・技・体ともに鍛え上げ、最後まで戦い抜いた者だけが、頂点に立つことができる。はじめにも話した通り、今回我々が戦う世界ジュニア選手権で優勝し、世界一になるためには、一人ひとりがいかに自惚れや妥協、わがままを排除し、レベルアップを図れるかが重要になる。日本代表として“本物のプライド”を持ち、極限の戦いに勝てる集団になろう」と、チームの強化方針も語られ、選手・スタッフ全員の意思統一が図られた。
この日は、翌日から実施されるテストマッチに備え、グラウンドで汗を流す予定であったが、あいにくの雨天により、室内練習へスケジュールを変更。野手はキャッチボール、トスバッティング、ノックで身体をほぐし、投手陣はキャッチャーを座らせ、個々にボールの球威や変化球の切れ、コントロールを入念に確認。宗方貞徳ヘッドコーチ、松本修志コーチ(三国高)、鈴木由香コーチ兼総務(日立)らコーチングスタッフも、選手一人ひとりの能力の特性やコンディションを細かくチェックした。
夕食後のミーティングでは、宗方貞徳ヘッドコーチが翌日の日本体育大学との実戦に向けて、選手起用やチームとしての戦い方について意思統一を図り、選手全員に「世界選手権では、この17名で最後まで戦い抜かなければならない。大会期間中は、ケガや体調不良といった突発的なアクシデントも十分に考えられる。想定外の状況に立たされても、チーム全員でカバーし合えるよう、一人最低2ポジションはこなしてもらいたい。誰をどこのポジションに置き、どのような役割を与えるかは、選考会時のプレー、明日からの実戦を通し、評価した上で、我々コーチングスタッフが判断していく。状況に応じた細かな指示にも対応できるよう、それぞれが臨機応変に対応してほしい」と、選手起用について構想が語られると、「バッテリーへの指示、アドバイスについては、鈴木由香コーチ兼総務にすべて任せる。守備ではどのポジジョンで起用されても、まずは1つずつ確実にアウトを増やすこと。内・外野の連係を含め、まだ呼吸が合わない部分もあると思うが、当たり前のプレーを当たり前にこなしてほしい。攻撃では、足を絡めた攻めはもちろんのこと、走者が三塁に進めば、ヒットエンドラン、スクイズを積極的に仕掛けていく。いつ、どのタイミングでサインが出されても、全員が確実に成功できるよう、準備してもらいたい」と、チームとしての戦い方が入念に確認された。
また、この女子U19日本代表の「先輩」でもある鈴木由香コーチ兼総務(鈴木由香コーチ兼総務は、自身も女子U19日本代表の一員として1999年の第6回世界女子ジュニア選手権大会に出場し、「世界一」を勝ち獲った経歴を持つ)からは、「いよいよ、今日から本格的に女子U19日本代表が始動した。チームの目標は、もちろん7月の世界ジュニア選手権で優勝し、世界一になること。だが、君たちのソフトボール人生において、この大会で優勝し、世界一になることだけがすべてではないことを、必ず心に留めておいてもらいたい。自分たちのユニフォームやジャージの胸、そして背中に刻まれた“JAPAN”の文字、“日の丸”は、選ばれた人間しか身につけることができない。U19のカテゴリーにおいて、君たちは日本を代表するトップレベルの選手。日本代表選手になった以上は、自分の夢や目標を追いかけるだけではなく、自分たちが“今後のソフトボール界を引っ張り、支えていくんだ!”という強い気持ちを持って、ソフトボールに打ち込んでほしい。今日から、一人ひとりが『日本代表選手』として周囲から注目される存在になる。日本代表選手は、たくさんの人から期待され、その期待や勝つことへのプレッシャーを背負って戦うことはもちろんのこと、これから日本代表をめざす子どもたちの“良きお手本”にならなければならない。これまで先輩たちが築いてくれた日本代表の伝統を、次の世代に伝え、守っていけるように、明日からしっかりと行動していこう」と、自らの経験を踏まえた「思い」が選手たちに伝えられ、チームの士気が高められた。
合宿2日目、3日目は、日本体育大学と計4試合のテストマッチを実施。2日目は、3−1、1−1の1勝1分と善戦する場面も見られたが、3日目は、「本気モード」となった日本体育大学の前に苦戦を強いられ、0−1、1−4と連敗。今回の強化合宿で実施された計4試合のテストマッチでは、内容的にまだまだ「世界のトップレベル」で戦える手応えをつかんだとは言い難く、1勝2敗1分という結果に終わった。
試合を終え、宗方貞徳ヘッドコーチは、「まだまだ攻撃、守備の形ができておらず、チームは未完成。選手間の意思疎通、コミュニケーションも不十分で、まだチームが一つになれていない。試合では、力の拮抗した相手との戦いになるほど、当然ミスは許されないし、一つのプレーが大きく勝敗を左右する。世界選手権のようなトップレベルの戦いで勝利を得るためには、相手の隙をいかに見逃さず、突いていけるかがカギになってくる。女子日本代表が昨年の世界選手権で、最後にスクイズを決め、アメリカを破ったように、世界の強豪との戦いは、“紙一重のせめぎ合い”になるだろう。アメリカのように、球速110km/hを超える速球で押しまくるような投手から、長打や連打で得点を重ねるのは難しい。だとすれば、たとえ豪快なホームランや綺麗なタイムリーヒットではなくても、貪欲に、泥臭く1点を奪いにいかなければならない。ボールに食らいつくような捨て身のヒットエンドラン、スクイズは絶対に必要。このチームには、まだまだ勝利への執念、気迫が足りない」と、選手たちに檄を飛ばした。
ミーティング後は、実戦で浮き彫となった課題に取り組もうと、攻撃面では、引き続き日本体育大学の協力を得て、実戦形式でのケースバッティングを行い、走者一塁の状況から、チャンスを広げ、得点を奪う攻撃パターンを繰り返し練習。送りバントやセーフティーバント、スラップ、バスターを状況によって使い分け、相手の守備を崩し、1点を取りにいく攻めが徹底された。守備面では、松本修志コーチを中心に、実戦でミスの目立った内・外野のカットプレーや連係を入念に確認。走者に次の塁を簡単に奪われないよう、また、ピンチを最小限に食い止めるよう、日本の「お家芸」ともいわれる守備の精度が高められた。
女子U19日本代表は、今後6月25日(火)〜27日(木)の3日間、群馬県高崎市において第2次国内強化合宿を実施。日本女子ソフトボール1部リーグに在籍する地元・ルネサスエレクトロニクス高崎、太陽誘電の胸を借り、再びテストマッチを行い、大会本番に向けて強化を進める予定である。
来る「第10回世界女子ジュニア選手権大会」に向けて、いよいよ本格的に始動した女子U19日本代表。女子U19日本代表は、この世界女子ジュニア選手権で過去4回の優勝を飾るなど、輝かしい実績を残し続けているカテゴリーである。今大会では、アメリカが大会史上初の「3連覇」に挑み、日本はその阻止を狙う「チャレンジャー」の立場。今回のチームが、カナダ・ブランプトンの地で、世界の強豪を相手にどのような戦いを繰り広げてくれるのか、期待は大きい。
今回の第1次国内強化合宿を見る限りでは、正直なところ、まだまだ攻撃、守備ともに「世界一を狙うチーム」として、未完成な部分は否めない。しかし、U19のカテゴリーの場合は、それぞれの選手が今後より高いレベルで揉まれていくことで、短期間でも“大化け”する可能性が十分にある。
これからの日本ソフトボール界を担っていく「若き選手」たち。世界の舞台で戦うことに、恐れることなど何もない。臆することなく、挑め!世界へ!!
平成25年度女子U19日本代表チーム 第1次国内強化合宿 参加者名簿
選手 (ポジション別五十音順) |
人数 |
ポジション |
氏名 |
支部 |
所属 |
1 |
投手 |
岡村 奈々 |
東京 |
日本体育大学 |
2 |
投手 |
常盤 紫文 |
東京 |
早稲田大学 |
3 |
投手 |
中野 花菜 |
群馬 |
ルネサスエレクトロニクス高崎 |
4 |
投手 |
小薗 美希 |
神奈川 |
日立 |
5 |
捕手 |
青木 千春 |
群馬 |
太陽誘電 |
6 |
捕手 |
我妻 悠香 |
群馬 |
ルネサスエレクトロニクス高崎 |
7 |
内野手 |
榎本 千波 |
埼玉 |
城西大学 |
8 |
内野手 |
奥田 茉優希 |
神奈川 |
日立 |
9 |
内野手 |
染矢 紗姫 |
京都 |
日立マクセル |
10 |
内野手/投手 |
内藤 実穂 |
群馬 |
ルネサスエレクトロニクス高崎 |
11 |
内野手 |
楢嵜 伶奈 |
群馬 |
ルネサスエレクトロニクス高崎 |
12 |
内野手 |
松本 風香 |
東京 |
日本体育大学 |
13 |
内野手 |
山下 りら |
愛知 |
トヨタ自動車 |
14 |
外野手 |
青柳 優那 |
山梨 |
山梨学院大学 |
15 |
外野手 |
田中 麻美 |
愛知 |
トヨタ自動車 |
16 |
外野手/捕手 |
平川 穂波 |
愛知 |
中京大学 |
17 |
外野手 |
山口 唯 |
神奈川 |
厚木商業高校 |
スタッフ |
人数 |
役職 |
氏名 |
支部 |
所属 |
1 |
ヘッドコーチ |
宗方 貞徳 |
神奈川 |
厚木商業高校 |
2 |
コーチ |
松本 修志 |
福井 |
三国高校 |
3 |
コーチ兼総務 |
鈴木 由香 |
神奈川 |
日立 |
4 |
トレーナー |
末弘 美保 |
|
月ノ浦整骨院 |
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