第10回世界女子ジュニア選手権大会(7月1日(月)〜7日(日)/カナダ・ブランプトン 大会オフィシャルホームページはこちら http://www.jwwc2013.com/)最終日、昨日の決勝トーナメント・セミファイナル(アメリカ戦)に敗れた日本は、この日まずブロンズメダルゲーム(3位決定戦)に回り、ファイナルで待ち受けるアメリカへの挑戦権をかけてオーストラリアと対戦することになった。
7月7日(日)/決勝トーナメント・ブロンズメダルゲーム(3位決定戦) |
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
計 |
オーストラリア |
0 |
0 |
2 |
0 |
0 |
2 |
日 本 |
3 |
4 |
0 |
2 |
x |
9 |
※大会規定により5回得点差コールド 日本:中野花菜(2回)、○岡村奈々(3回)ー我妻悠香 |
長打:[本塁打]山下りら [三塁打]奥田茉優希 [二塁打]染矢紗姫 |
昨日のセミファイナル(アメリカ戦)に敗れたことで、ここから先の戦いは負ければその時点で終わりとなる日本。この試合ではもちろん「エース」中野花菜を先発に立て、必勝を期した。その中野花菜は初回、オーストラリア打線に対して、先頭打者をいきなり三振に取ると、ここから連続四球、イリーガルピッチで二・三塁のピンチを背負ったが、続く相手の4番、5番打者を落ち着いたピッチングで抑え、立ち上がりのピンチを脱した。
日本はその裏、一死から2番・榎本千波がピッチャー前に絶妙にころがす技ありのバントヒットで出塁。3番・奥田茉優希も内野ゴロで生き、一・二塁のチャンスを作ると、二死後、5番・内藤実穂の「気迫」でセンターへはじき返すタイムリーで1点を先制。さらに二死一・三塁とチャンスが続き、6番・染谷紗姫のレフトオーバーのツーベースで二者が生還。この回大きな3点を奪った。勢いに乗った日本打線は2回裏にも攻撃の手を緩めず、無死満塁から1番・山下りらの一・二塁間を破るタイムリー、相手守備の乱れで4点を追加。3回表に2点を返されはしたが、4回裏にも1番・山下りらのレフトへのソロホームラン、4番・青木千春のライトへの犠牲フライで2点を追加。序盤から終始オーストラリアの投手陣を打ち込み、計9点を奪い、得点差を5回コールド勝ちが成立する7点差に広げた。
守っては、中野花菜、岡村奈々の投手リレーで4回以降オーストラリアに追加点を許さず、9−2の5回コールド勝ち。「難敵」を見事に撃破し、ファイナルで待ち受ける王者・アメリカと「世界一」の座をかけ、再戦することになった。
7月7日(日)/決勝トーナメント・ファイナル(ゴールドメダルゲーム) |
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
計 |
日 本 |
0 |
0 |
0 |
0 |
4 |
0 |
4 |
アメリカ |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
※悪天候のため6回コールドゲーム 日本:○中野花菜(6回)ー我妻悠香 |
長打:[本塁打]青木千春 |
ブロンズメダルゲーム(3位決定戦)でオーストラリアに9−2の5回コールド勝ちを収め、ファイナル進出を果たした日本は、待ち受ける王者・アメリカと再び激突。試合は、日本の「エース」中野花菜、昨日のセミファイナルで完封したアメリカの左腕・Cheridan Hawkinsが互いに一歩も譲らぬ投げ合いを展開し、0−0のまま終盤に突入した。
迎えた5回表、日本はこの回先頭の9番・松本風香がセカンド頭上を越えるヒットで出塁。1番・山下りらのサード前にころがしたセーフティーバントが内野安打となり、無死一・二塁とチャンスを広げると、2番・榎本千波もセカンドへプッシュバント気味にころがし、二・三塁。ここで「頼れるキャプテン」3番・奥田茉優希が、昨日散々手を焼いたCheridan Hawkinsのライズをしっかりと叩き、ピッチャーの足元を抜けるタイムリー。ヒットエンドランでスタートを切っていた三塁走者、二塁走者も一気に還り、ついに待望の先取点を挙げた。日本はさらにこの後も一死二塁のチャンスが続き、4番・青木千春がセンターへ特大のツーランホームランを叩き込み、大きな2点を追加。王者・アメリカを黙らせる見事な集中打でこの回一挙4点を奪い、「優勝」をグッと引き寄せた。
守っては、先発した「エース」中野花菜が、アメリカの強力打線に対し、内・外角のコースを丁寧に突くコントロールと巧みなチェンジアップで得点を許さず、9三振を奪う力投。試合は6回表、日本の攻撃中(一死後、2番・榎本千波の打席)に突然の大雨に見舞われ、約3時間の中断。一時的な雨の上がりを待って、一度は試合再開にこぎつけたが、再び降り出した強い雨の影響で試合続行が不可能となり、大会本部、また両チームとの協議の結果、悪天候のため6回コールドゲームとなることが決定。この瞬間、4−0でリードしていた日本の優勝が決まった。
昨日のセミファイナルでの完封負けから一夜。この日、日本は攻守に見違えるほどの戦いぶりを見せた。一度目のアメリカとの対戦で、浮き彫りとなったチームの課題に対し、試合前の調整から宗方貞徳ヘッドコーチが「同じミス」を繰り返さないよう、入念な準備を行い、チームを目覚めさせた。日本の“お家芸”ともいわれる守備では、内・外野ともにアメリカ打線の強く、速い打球に対して、手先でさばきがちになっていた守備陣の意識を変え、打球の正面にしっかりと入り、一つひとつ確実にさばくことを徹底。攻撃では、右打者、左打者ともにホームベースいっぱいにかぶさり、それぞれインコースを消しながら、アウトコースの球をしっかりと踏み込み、狙い打ちしていくという戦法を徹底させた。また、日本得意の小技、機動力を積極的に絡めてアメリカ守備陣を慌てさせ、ボクシングの“ボディーブロー”のように、序盤からアメリカにプレッシャーをかけ続けた。まさに「日本のソフトボール」のスタイル、そう、「ジャパニーズスタイル」を最後まで貫き、勝利を勝ち取った試合内容であったといえるだろう。
カナダ・ブランプトンの地で『最高の笑顔』を咲かせた女子U19日本代表。今は心からこの優勝に拍手を贈りたい。そして今後は、このかけがえのない経験を未来につなげ、選手たち一人ひとりが、日本のソフトボール界を引っ張り、担っていく存在になってくれることを期待している。彼女たちの「ソフトボール」はここからがスタート。次は女子日本代表となり、再び「世界一」になるという夢を叶えてほしい。2020年、ソフトボールのオリンピック競技復帰が実現すれば、その「主役」は間違いなく、彼女たちである。
第10回世界女子ジュニア選手権大会 第7日 決勝トーナメント(ブロンズメダルゲーム)
オーストラリア戦 スターティングラインアップ |
打順 |
守備位置 |
選手名 |
所属 |
UN |
1 |
LF |
山下りら |
トヨタ自動車 |
13 |
2 |
CF |
榎本千波 |
城西大 |
1 |
3 |
SS |
奥田茉優希 |
日立 |
21 |
4 |
1B |
青木千春 |
太陽誘電 |
22 |
5 |
DP |
内藤実穂 |
ルネサスエレクトロニクス高崎 |
10 |
6 |
3B |
染矢紗姫 |
日立マクセル |
24 |
7 |
RF |
平川穂波 |
中京大 |
14 |
8 |
C |
我妻悠香 |
ルネサスエレクトロニクス高崎 |
25 |
9 |
2B |
松本風香 |
日本体育大 |
29 |
FP |
P |
中野花菜 |
ルネサスエレクトロニクス高崎 |
18 |
※選手交代 |
3回表 |
投手交代 |
中野OUT→岡村奈々(日本体育大)IN |
第10回世界女子ジュニア選手権大会 第7日
決勝トーナメント(ゴールドメダルゲーム)
アメリカ戦 スターティングラインアップ |
打順 |
守備位置 |
選手名 |
所属 |
UN |
1 |
LF |
山下りら |
トヨタ自動車 |
13 |
2 |
CF |
榎本千波 |
城西大 |
1 |
3 |
SS |
奥田茉優希 |
日立 |
21 |
4 |
1B |
青木千春 |
太陽誘電 |
22 |
5 |
DP |
内藤実穂 |
ルネサスエレクトロニクス高崎 |
10 |
6 |
3B |
染矢紗姫 |
日立マクセル |
24 |
7 |
RF |
平川穂波 |
中京大 |
14 |
8 |
C |
我妻悠香 |
ルネサスエレクトロニクス高崎 |
25 |
9 |
2B |
松本風香 |
日本体育大 |
29 |
FP |
P |
中野花菜 |
ルネサスエレクトロニクス高崎 |
18 |
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