2014.11.11
 

 

2014日韓ジュニアスポーツ交流事業(受入)を実施




今年は岡山県で開催された日韓ジュニアスポーツ交流受入事業。関係者の協力によりスムーズな進行で行われた


記念品の贈呈が両国で行われた。友好親善とともに互いに切磋琢磨する関係を!



歓迎会では、気の知れた両国の選手たちが仲良く食事

  受け入れ先となった創志学園高等学校。試合では全力で韓国女子ジュニア代表とぶつかった



9日は、あいにくの雨で試合ができなかったものの、合同練習をすることで試合以上の交流を深めることができた



今回の交流で「何か」をつかんだ韓国女子ジュニア代表。レベルアップを図り、世界の「トップ」をめざすチームへ!



最後は日韓混合チームで紅白戦。言葉は通じずとも、ソフトボールを通じて思いは伝わる!



いつの日か世界の大舞台で「頂点」を争う日が来ることを願って



日韓女子ジュニアスポーツ交流事業(受入) 岡山県岡山市


 去る平成26年11月7日(金)〜11日(火)の5日間、「日韓ジュニアスポーツ交流事業(受入)」が岡山県岡山市で実施された。
 この「日韓ジュニアスポーツ交流事業」は2001年から数えて今年で14回目。アジア近隣諸国とのスポーツ交流を促進し、両国の友好親善と競技力向上を目的に、「相互受入方式」で実施されており、今年8月にまず3月に行われた全国高校選抜女子大会で準優勝した創志学園高等学校がまず、韓国・仁川を訪問。韓国女子U19代表チームとの親善交流試合のみならず、「第17回アジア競技大会」ソフトボール競技の開催を直前に控えた時期での訪問だったこともあり、その強化の一環として韓国代表チームとの対戦が実現。「胸を借りるつもり」で対戦したところ、「無欲の勝利」か、韓国代表チームを相手に「大金星」を挙げた。
 また、「第17回アジア競技大会」ソフトボール競技のメインスタジアムとなった「ソンドLNGスタジアム」を見学する機会を得るなど、貴重な経験を積み、実り多い事業となった。
 今回は、その日本チームの訪問を受け、韓国女子U19代表チームが来日。創志学園高等学校の所在地である岡山県岡山市を訪問し、受入事業を行った。

 「地元」での受入事業実施とあって、岡山県協会、受け入れ先の創志学園高等学校をはじめ、平林金属、IPU環太平洋大学といった岡山県下の実業団、大学の「強豪チーム」が全面的に支援・協力。各チームの専用グラウンドを試合会場として提供するなど、協力体制が整っていたこともあり、予定された事業をスムーズに進行させることができた。

 今回、来日した韓国女子U19代表チームは、まず8日(土)に創志学園高等学校と対戦。全国でも有数の「強豪校」の「ホーム」での対戦とあって、2−17と大敗を喫したものの、次戦の倉敷中央高等学校(岡山)戦は10−5で勝利し、初日は1勝1敗という結果となった。
 この日の夜には、「歓迎夕食会」が開かれ、日韓両国の選手たちが夕食をともにし、言葉は通じないながらも懸命にコミュニケーションを図り、身振り手振りを交え、ときにはゼスチュアで互いの意思を伝え合い、ソフトボールのことはもちろん、普段の生活などについても、どうやって会話を成り立たせているのか、「???」というシーンがありながらも、グラウンド外の交流を深めた。
 また、この会の「ホスト役」である創志学園高等学校が、「出し物」を用意。K−POPアイドルのダンスなどが披露され、会場は大いに盛り上がった。

 翌9日(日)は、深夜から降り出した雨の影響で試合を行うことができず、急遽スケジュールを変更。創志学園高等学校の体育館を借り、この日対戦予定だった鳥取城北高等学校(鳥取)の選手らと3チームで合同練習。残念ながら悪天候には勝てず、試合を行うことはできなかったものの、合同練習の機会を得たことで、ある意味では試合を行う以上に互いのコミュニケーションを図ることができた。
 試合となると、どうしても「勝ち負け」があり、試合をする以上、親善交流試合といっても、そこにこだわらざるを得ない部分もある。この日は、合同練習となり、勝敗に一喜一憂する必要もなく、同じ練習メニューをこなし、ともに汗を流したことで、互いの距離が一気に縮まったように見えた。
 また、3チームで昼食をともにするなど、練習以外でも交流を深め、「普通の高校生同士」として、かけがえのないひとときを過ごした。

 10日(月)には、創志学園高等学校と再び対戦。韓国女子U19代表チームは、またしても、1−15で敗れる結果となった。その後、日韓両国の選手をシャッフル、合同チームを編成し、紅白戦を行った。グラウンド上にカタコトの英語や、もはやどこの国の言葉かわからないような不思議な言語が飛び交い、それでも伝わらないとなれば、身振り手振りを交え、全身を使って懸命に自らの考えや思いを表現しようとする姿はとても微笑ましく、言葉の違い、民族の違い、文化・生活習慣の違いを、「ソフトボール」という競技を一つの媒介としながら、心を通わせ、プレーする姿に、この「日韓ジュニアスポーツ交流事業」の「真の意義」を見た気がした。
 もちろん、言葉が通じないのは不自由極まりない。同じ日本人なら、すぐに伝わること、すぐに理解できることが、なかなか上手く伝わらない。ただ……もどかしく、歯がゆい思いにはなっても、まったく伝わらない、理解できない、わけではない。言葉は通じなくても、真剣な思いは、相手を思う気持ちは、確実に伝わり、おぼろげながらにでも理解することができる。互いに四苦八苦、悪戦苦闘しながらも、交流を深めた選手たちからは次第に笑顔が溢れ、思い出に残る一戦となった。

 交流事業の全日程を終え、創志学園高等学校・重富めぐみキャプテンが、「今回の交流事業で強い絆を結ぶことができました。将来オリンピックで再会できることを信じています。お互いに頑張りましょう!」とエールを送れば、韓国女子U19代表チームからは、「短い時間でしたが多くのことを学ぶことができました。試合に負けてしまったことは残念ですが……。韓国に戻り、今回のことを振り返り、この経験を生かしていけるよう頑張ります!」と応え、それぞれの思いを胸に、帰途に着いた。

 今年で14回目を迎えた「日韓ジュニアスポーツ交流事業」。今後もこの事業を通じ、両国が競技力の更なる向上を図り、アジアのソフトボールを盛り上げていく力となり、いつの日か、世界の大舞台で「頂点」を争う日が来ることを期待したい。