第5回アジア女子ジュニア選手権大会(予選リーグ戦績表、決勝トーナメント結果、各試合イニングスコアはこちら)5日目、大会もいよいよ最終日を迎え、前日までに4位〜7位が決定(決勝トーナメント3位・4位戦でタイに敗れたシンガポールの4位が確定。5位〜7位は予選リーグ5位のインドネシア、6位のマレーシア、7位のインドの3チームでシングルラウンドロビン(1回戦総当たり)方式のリーグ戦を行い、2勝を挙げたマレーシアが5位に順位を上げ、1勝1敗のインドネシアが6位、0勝2敗のインドが7位となった)。
最終日は、ブロンズメダルゲーム(3位決定戦)とゴールドメダルゲーム(決勝)の2試合が行われ、まずチャイニーズ・タイペイに敗れ、敗者復活戦に回った日本と3位・4位戦を勝ち上がったホスト国・タイが、ゴールドメダルゲームで待ち受けるチャイニーズ・タイペイへの「挑戦権」をかけ、激突した。
・大会最終日(3月20日(金))
〈決勝トーナメント/ブロンズメダルゲーム〉
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|
1 |
2 |
3 |
計 |
日 本 |
4 |
1 |
15 |
20 |
タ イ |
0 |
0 |
0 |
0 |
※大会規程により3回得点差コールド |
日本: |
〔バッテリー〕○萩尾美華子・池信里奈−深沢未花・佐藤梨菜 |
長打: |
〔三塁打〕長谷川ゆりか
〔二塁打〕加藤愛夢、永友遥A、佐藤梨菜、東野美咲、長谷川ゆりか
|
前日、チャイニーズ・タイペイに敗れ、敗者復活戦に回った日本は、ホスト国・タイと対戦。連日35℃を超える猛暑の中、すでに4日間で7試合を戦い、この日も優勝するにはダブルヘッダーを戦い抜くしかないという過酷なスケジュールに挑む選手たちに、各カテゴリーの男女の日本代表選手たちを支え続けてきた「必勝食」であり、「ソウルフード」である総務担当の藤井まり子氏お手製の「おにぎり」が振る舞われ、選手たちも元気百倍! エネルギーを充填し、試合に臨んだ。
先攻の日本は初回、「切り込み隊長」1番・加藤愛夢がいきなりツーベースを放ってチームを勢いづけると、2番・硲早希のバントが内野安打となり、無死一・三塁とチャンスを広げ、パスボールで労せずして先取点を挙げ、続く3番・長谷川ゆりかのタイムリースリーベース、ワイルドピッチで2点を追加。さらに4番・深沢未花のセンター前ヒット、ワイルドピッチ、内野ゴロで再び一死三塁のチャンスを作り、6番・西村佳夏にもタイムリーが飛び出し、この回4点を挙げ、試合の主導権を握った。
勢いに乗る日本は、続く2回表にも一死から9番・永友遥のツーベースからチャンスをつかみ、二死後、2番・硲早希のタイムリーで1点を追加。3回表には、長打4本を含む12安打を集中。大量15点を挙げ、タイを圧倒した。
守っては、先発・萩尾美華子が2イニングを1安打に抑え、池信里奈にバトンを渡すと、最後は三者凡退でピシャリと締め、20−0の3回コールドでゴールドメダルゲームへと駒を進めた。
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
計 |
日 本 |
3 |
2 |
0 |
0 |
0 |
0 |
7 |
12 |
チャイニーズ・タイペイ |
1 |
1 |
0 |
2 |
0 |
0 |
0 |
4 |
日本: |
〔バッテリー〕○濱地沙歩・千葉咲実−深沢未花 |
長打: |
〔三塁打〕深沢未花、加藤愛夢
〔二塁打〕西村佳夏
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前日、最終回の逆転負けで敗者復活戦に回り、タイを破り勝ち上がってきた日本と、「優勝候補」日本を破り、一足先にゴールドメダルゲーム進出を決め、待ち受けていたチャイニーズ・タイペイの今大会3度目の対戦は、「リベンジ」に燃える日本が鮮やかな先制攻撃を見せた。
先攻の日本は初回、「切り込み隊長」加藤愛夢がセンター前ヒットを放ち、猛攻の口火を切ると、2番・硲早希が確実に送り、一死二塁。得点圏に走者を進め、3番・長谷川ゆりかがセンター前に先制のタイムリーを放ち、大事な一戦の先取点が日本にもたらされた。勢いづいた日本は、4番・深沢未花のタイムリースリーベース、5番・東野美咲のライト前へのタイムリーでこの回3点を挙げ、「3連覇」へ向け、大きく前進した。
日本は続く2回表にも、9番・永友遥、1番・加藤愛夢、2番・硲早希の3連続長短打で2点を追加。終盤7回表には、この回先頭の3番・長谷川ゆりかがセンター前ヒットで出塁。送りバント、四球で一死一・二塁とし、6番・西村佳夏が右中間を破るタイムリーツーベースを放ち、1点を追加。なお一死二・三塁のチャンスが続き、7番・福井彩菜の四球で満塁とし、二死後、9番・永友遥がライト前へタイムリー。二者を迎え入れ、リードを広げると、これで精も根も尽き果てたか、チャイニーズ・タイペイ投手陣が制球を乱し、連続四球、ワイルドピッチ等で1点を追加。さらに3番・長谷川ゆりかにもダメ押しのタイムリーが飛び出し、この回大量7点を加え、粘るチャイニーズ・タイペイの息の根を止めた。
日本の先発・濱地沙歩は3本の長打を含む8安打を浴び、初回に1点、2回裏に1点、4回裏にも2点を失う苦しいピッチング。それでも打線も援護もあり、何とか粘って試合を作り、5回裏から千葉咲実につなぐと、その千葉咲実が被安打1の力投。最後までチャイニーズ・タイペイ打線に得点を許さず、12−4で逃げ切り、3大会連続4度目の優勝を飾った。
5日間で実に9試合、高温多湿の東南アジアの地で、連日35℃を超える猛暑の中で過酷なスケジュールを戦い抜き、辿り着いた「アジアの王座」。大会直前に急遽編成され、準備期間もなく大会に臨んだ「急造チーム」「寄せ集めチーム」が、「日本代表」として誇り高く戦い、一度はチャイニーズ・タイペイに敗れ、窮地に追い込まれはしたものの、「諦めない心」で栄冠を手にし、連綿と続く日本の女子ソフトボールの「栄光の歴史」にまた新たな一頁を加えてくれた。
また、ただ「強く」「勝つ」だけでなく、ハードスケジュールの試合の合間を縫ってチームリーダーの宇津木妙子氏(公益財団法人日本ソフトボール協会副会長)が、ソフトボールクリニックを実施する等、アジアにおけるソフトボールの普及とレベルアップという「大命題」にもしっかりと取り組んでくれた。
一時は、あまりに急な大会の開催に、女子U19日本代表の招集・大会参加が見送られ、準備期間の短さからも「大会の出場を辞退しては……」といったネガティブな意見もあったが、アジアのソフトボールを愛する「仲間」たちが、今大会で無心にボールを追う姿、ソフトボールクリニックでひたむきに学ぼうとする姿勢、ソフトボールを心から楽しんでいる無邪気な笑顔を見ると、やはり日本の大会参加には大きな意義があったと言えるだろう。また、今大会を通して、アジアにおける日本の「果たすべき役割」がより明確に見えてきた気がした。
進もう! このアジアの「仲間」たちとともに……。
アジアの「リーダー」としてソフトボールの楽しさと魅力を伝え、
この「笑顔」の輪を広げていこう!
■予選リーグ戦績表
チーム 名 |
日本 |
マレー シア |
シンガ ポール |
インド ネシア |
タイ |
チャイ ニーズ
・タイ ペイ |
インド |
勝数 |
敗数 |
得点 |
失点 |
順位 |
日本 |
☆ |
○20-0 |
○10-0 |
○10-0 |
○20-0 |
○5-4 |
○33-0 |
6 |
0 |
98 |
4 |
1 |
マレー シア |
●0-20 |
☆ |
●4-5 |
●7-8 |
○11-2 |
●0-12 |
○15-0 |
2 |
4 |
37 |
47 |
6 |
シンガ ポール |
●0-10 |
○5-4 |
☆ |
○4-3 |
●7-8 |
●0-15 |
○3-1 |
3 |
3 |
19 |
41 |
4 |
インド ネシア |
●0-10 |
○8-7 |
●3-4 |
☆ |
●13-16 |
●0-15 |
○9-0 |
2 |
4 |
33 |
52 |
5 |
タイ |
●0-20 |
●2-11 |
○8-7 |
○16-13 |
☆ |
●1-15 |
○14-1 |
3 |
3 |
41 |
67 |
3 |
チャイ ニーズ ・タイ ペイ |
●4-5 |
○12-0 |
○15-0 |
○15-0 |
○15-1 |
☆ |
○21-1 |
5 |
1 |
82 |
7 |
2 |
インド |
●0-33 |
●0-15 |
●1-3 |
●0-9 |
●1-14 |
●1-21 |
☆ |
0 |
6 |
3 |
95 |
7 |
※3位・4位、5位・6位の順位決定は、同率で並ぶチーム同士の直接対決の勝敗により決定。
第5回アジア女子ジュニアソフトボール選手権大会
選手団名簿 |
選手 *ポジション別五十音順 |
No. |
守備 |
氏名 |
支部 |
所属 |
1 |
投手 |
池信 里奈 |
埼玉 |
東京国際大学 |
2 |
〃 |
千葉 咲実 |
東京 |
東京富士大学 |
3 |
〃 |
萩尾 美華子 |
兵庫 |
園田学園女子大学 |
4 |
〃 |
濱地 沙歩 |
兵庫 |
園田学園女子大学 |
5 |
捕手 |
深沢 未花 |
東京 |
東京富士大学 |
6 |
〃 |
佐藤 梨菜 |
埼玉 |
東京国際大学 |
7 |
内野手 |
福井 彩菜 |
東京 |
日本体育大学 |
8 |
〃 |
波多 和佳 |
埼玉 |
東京国際大学 |
9 |
〃 |
風間 萌子 |
埼玉 |
東京国際大学 |
10 |
〃 |
永友 遥 |
東京 |
日本体育大学 |
11 |
〃 |
長谷川 ゆりか |
東京 |
東京富士大学 |
12 |
〃 |
硲 早希 |
埼玉 |
東京国際大学 |
13 |
〃 |
加藤 愛夢 |
兵庫 |
園田学園女子大学 |
14 |
外野手 |
大林 侑愛 |
東京 |
日本体育大学 |
15 |
〃 |
西村 佳夏 |
東京 |
日本体育大学 |
16 |
〃 |
東野 美咲 |
東京 |
日本体育大学 |
17 |
〃 |
原 さゆり |
埼玉 |
東京国際大学 |
役員・コーチングスタッフ
No. |
役職 |
氏名 |
支部 |
所属 |
1 |
チームリーダー |
宇津木 妙子 |
|
(公財)日本ソフトボール協会 |
2 |
ヘッドコーチ |
三科 真澄 |
埼玉 |
東京国際大学 |
3 |
トレーナー |
大石 益代 |
|
(公財)日本ソフトボール協会 |
4 |
総務 |
藤井 まり子 |
|
(公財)日本ソフトボール協会 |
|