2015.4.7
 

 

女子U19日本代表
第1次国内強化合宿を実施!




「大会連覇」を狙う女子U19日本代表が
有住隆ヘッドコーチの下、本格的に始動!



合宿初日は、選手個々のポジションの適性や
コンディショニング等の把握に時間が割かれた



環境的な変化もあり、コンディション的には難しい時期の
合宿実施にも関わらず、選手たちは軽快な動きを見せた


合宿2日目からは日本リーグ、大学の強豪を相手に
「実戦」主体の強化スケジュールが組まれた


強豪相手のテストマッチでも「互角」の戦いを見せた


繰り返される「実戦」の中で、収穫と課題が浮き彫りとなった


個々の力を「チーム」として結集できるか否かがカギとなる


4日間の合宿を経て、徐々に「チーム」となっていった

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 去る4月2日(木)〜5日(日)、女子U19日本代表第1次国内強化合宿が、山梨県甲府市・山梨学院大「砂田ツインソフトボール場」で実施された。
 この合宿には、昨年11月1日(土)〜3日(月・祝)の3日間、静岡県伊豆市で行われた選手選考会を経て、選び抜かれた「代表選手」17名が参加。初めて「チーム」として招集され、8月9日(日)〜15日(土)、アメリカ・オクラホマシティで開催される「第11回世界女子ジュニア選手権大会」へ向け、「最初の一歩」を踏み出した。

 当初、この女子U19日本代表チームは、選手選考会後、「第5回アジア女子ジュニア選手権大会」へエントリーすることが予定されていたが、開催国側の都合で大会開催そのものがキャンセルされてしまった。
 その後、年明け早々の1月26日(月)に開催されたSCA(アジアソフトボール連盟)理事会で、場所をタイ・チャイヤプームに移し、3月16日(月)〜20日(金)の日程で、いったんは「中止」の決定が下された「第5回アジア女子ジュニア選手権大会」を開催することを急遽決定。
 公益財団法人日本ソフトボール協会もギリギリまで女子U19日本代表の参加を模索したものの、あまりに急な大会の開催と準備期間の短さから大会派遣を断念。代わって、昨年のインカレ(全日本大学女子選手権大会)でベスト4に進出した4チーム(優勝・東京国際大、準優勝・日本体育大、第3位・園田学園女子大、東京富士大)から選手選考を行い、17名の選手を選出。インカレ優勝監督である三科真澄氏(東京国際大)をヘッドコーチに据え、チームを編成し、大会に臨み、見事2大会連続4回目の優勝を飾ったことは記憶に新しい(大会の詳報は、すでに公益財団法人日本ソフトボール協会オフィシャルホームページに掲載済み。そちらをご参照ください。 大会結果・詳報はこちら)。

 選手たちは4月2日(木)の午後、山梨県甲府市の山梨学院大「砂田ツインソフトボール場」に集合。この日は選手個々のポジションの適性を把握するため、シートノックでは、何度も守備位置を入れ替え、個々の能力・適性がチェックされ、「チーム」としてのフォーメーションの確立や守備における約束事、役割分担の確認が入念に行われた。

 翌日からは、女子リーグ2部の靜甲、女子リーグ1部のNECプラットフォームズ、山梨学院大とテストマッチを行うなど、「実戦」主体のスケジュールが組まれ、チームの強化が進められた。
 4月3日(金)は、女子リーグ2部の靜甲とダブルヘッダー。初戦こそ、ベテラン・鈴木麻美の巧みな投球術に翻弄され、0−1で敗れたものの、2試合目はすぐに修正。初回に、鮮やかな先制攻撃で3点を奪うと、6−1で靜甲を圧倒し、この「チーム」としての初勝利を挙げた。
 この日は、朝から雨模様とみるや、試合開始時間を早め、昼食もそこそこにダブルヘッダーの2試合目を行い、試合終盤に雨に降られたものの、順調に予定された2試合を消化。山梨学院大の全面的な協力・バックアップもあり、その素晴らしい施設を惜しみなく開放。雨が強まる中、雨天練習場をお借りし、入念に打ち込みを行うことができた。

 翌4日(土)は、女子リーグ1部に昇格したNECプラットフォームズとダブルヘッダー。初戦は4−6で競り負けたものの、2試合目は逆に5−4と競り勝ち、「1部」のチームとも互角に渡り合ってみせた。
 特に、2試合目の終盤、日本の「お家芸」でもある「足」を絡めた攻撃で、試合をひっくり返した場面は圧巻。機動力を駆使した攻めを得意とするNECプラットフォームズのお株を奪う攻撃は、「世界」の舞台で戦う、大きな手応えであり、足掛かりとなった。

 最終日(5日/日)は、今回の合宿を受け入れてくれた山梨学院大との対戦。山梨学院大は、この合宿期間中、「ホスト」として、万全の体制でチームを受け入れ、至れり尽くせりの対応でチームを迎えながらも、その間、女子U19日本代表チームをしっかりと観察・分析。智将・清水正監督のもと、女子U19日本代表に本来の力を発揮させないまま、5−0の完封勝利を飾った。

 今回の合宿を視察した公益財団法人日本ソフトボール協会・矢端信介選手強化副本部長は、「まだまだ『日本代表』としての自覚が足りない。勝敗はともかく、0−5と完敗しながら、笑顔を見せ、談笑しているようでは『世界』の舞台で戦う資格はない」と選手団を一喝。厳しく叱責する場面も見られた。
 矢端信介選手強化副本部長は、「潜在能力は高く、将来性豊かな選手たちだからこそ、あえて厳しい注文を出した。特に、この世代の選手たちは、2020年東京オリンピックを見据えた『ターゲットエイジ』にあたる選手たち。だからこそ、より高い意識を持ち、自分自身を磨いていかなければならない。『世界の舞台』で戦うことの厳しさは、本大会で実体験として身をもって知ることになるとは思うが、その貴重な機会を漫然と過ごしてしまうことなく、神経を張り巡らし、アンテナを高く掲げ、世界のレベルがどんなものであるか、そこで通用する選手となるためには何が必要か、貪欲に吸収し、成長していく姿勢を求めたい」と、高い能力を有し、オリンピック種目に「復活」した際には、ターゲットエイジとなる選手たちだけに、要求するレベルも、より高度なものとなっているようだ。

 今回、女子U19日本代表を率いる有住隆ヘッドコーチは、「選手たちが高い潜在能力を持っていることは間違いない。ただし、『日本代表』としての自覚という面では、まだまだだし、準備不足の選手も見られた。高校を卒業し、大学へ進学、あるいは日本リーグのチームに進む選手たちは、環境も変わり、コンディションの調整・維持が非常に難しい時期でもある。また、ゴムボールからイエローボール(革ボール)に変わることを考えると、『競技性』の違いは大きなものがあり、ある意味ではまったく違った競技を行うのと同じぐらいの差異があるといえるだろう。それだけ激変する環境の中で実施した合宿であるということを考えれば、その環境の変化にはうまく対応できていたと思うし、リーグチームを相手にしても互角の戦いができたということは、それだけ能力のある、適応力の高い選手たちであることを証明している」と手応えを感じた様子。その上で、「リーグのチーム、あるいは大学では、『1年生』であり、チーム事情によっては、これだけ能力のある、素質のある選手たちといっても、簡単には出場機会を得られない可能性もある。実戦でしか養うことのできない『試合勘』の部分では不安材料もある。また、ほとんどの選手が各チームの『主力選手』であったことを考えると、どこまでチームのために自己犠牲を厭わず、『フォアザチーム』に徹することができるか、あるいはチームにおける役割分担を理解し、つなぎや送りといった部分をこなしていくことができるか、といった課題もある」と、今後のチーム作りに向けた課題も口にした。最後に、「今回、『ディフェンディングチャンピオン』として、連覇に挑むことになるが、その力、可能性は十分に有したチームであると感じている。しかし、どれだけ個々の能力が高くても、『チーム』としてまとまり、その力を結集することができなければ、勝つことはできない。また、国際大会では、『日本の常識』が通用しないところもある。例えば、今回のテストマッチでも、相手がリーグや大学の強豪であり、バッテリーの配球も無難に大ケガをしないように『安全策』のアウトコース主体の組み立てに終始している部分があった。しかし、相手がパワーがあり、リーチの長い外国人選手であると想定した場合、これは必ずしも『安全策』とはならず、踏み込んで、狙われてしまえば、ちょうど『打ちごろ』のボールとなってしまうこともある。そういった国際大会特有のストライクゾーンや対戦相手の特徴を十分に理解して戦い、それに適応することができないと、どれだけ力があっても本来の力を出し切ることのできないまま、終わってしまう可能性もある」と、自ら「男子日本代表」として「世界の舞台」で戦った現役時代の経験や、各カテゴリーのコーチとして国際大会を戦ってきた実体験をひもときながら、「世界のレベル」と「国際大会特有の戦い方」についても理解させ、適応させていく必要があることを力説した。

 今回の合宿の『ホスト』役を務め、2007年の「第8回世界女子ジュニア選手権大会」で強化担当兼コーチとして、矢端信介選手強化副本部長がヘッドコーチを務めたチームでともに戦い、昨年の「第3回東アジアカップ」では女子大学日本代表のヘッドコーチとしてチームを率い、各国の「代表チーム」を相手に見事優勝を飾った経験を持つ山梨学院大・清水正監督は、「選手個々の能力の高さは間違いない。今回も十分に『優勝』を、『連覇』を、狙えるチームだと思う。ただ、能力の高い選手を集めただけでは『チーム』とはいえないし、どんな相手であっても『戦い方』というものがある。日本リーグのトップレベルのチームを相手に互角の戦いを演じながら、大学生に完敗を喫したという、この『事実』をどうとらえるか。これがまさに『戦い方』であり、ここに日本が『世界』で戦うためのヒントがある。体格、パワーに勝る外国人選手を相手に『真っ向勝負』を挑んだのでは、どうしても分が悪い。いかに相手の良いところを出させることなく、こちらが『得意』とする戦いのフィールドに誘い込むことができるか、そのあたりに『世界の舞台』で戦うためのヒントがある」と、自らの経験をもとに語った。その上で、「もっともっと大学をいい意味で利用し、活用してもらいたいと思う。ウチもそうだし、他にも施設・設備が整い、『日本代表』の強化合宿や、アジアジュニアやアジア大学といった国際大会を受け入れ、運営できる人員・環境は用意できると思う。各カテゴリーの『日本代表』の練習や試合を間近で見て、肌で感じることで、自分たちが『めざすべき場所』がより明確になり、学生たちの刺激にもなる。また、アジアの大会を開催することができれば、アジア全体のソフトボールのレベルアップや国際交流につながり、より一層の普及・強化への道筋ができるのではないかと思う」と、日本代表の強化やアジア全体のソフトボールの普及・発展についても言及した。

 昨年11月に17名の代表選手が選出され、今回の合宿で「チーム」としての「第一歩」を踏み出した選手たち。前回大会に続く「連覇」を期待されるとともに、2020年東京オリンピックで野球・ソフトボールが「復活」した暁には、その「主力」となることが期待される「ターゲットエイジ」の選手たちでもある。
 この後、7月16日(木)〜19日(日)、女子リーグ1部・日立の協力を得て、その「ホームタウン」である神奈川県横浜市戸塚区で「第2次国内強化合宿」を行い、8月9日(日)〜15日(土)、アメリカ・オクラホマシティで開催される「第11回世界女子ジュニア選手権大会」に臨むことになる。



平成27年度 女子U19日本代表選手
選手 *ポジション別五十音順
No. 守備 氏名 支部 所属
1 投手 中村 美樹 埼玉 戸田中央総合病院
2 原 奈々 兵庫 園田学園女子大学
3 廣瀬 夏季 北海道 とわの森三愛高校
4 福井 遥香 栃木 Honda
5 山田 蓮 東京 日本体育大学
6 捕手 古平 綾香 埼玉 戸田中央総合病院
7 坂本 結愛 埼玉 戸田中央総合病院
8 内野手 石川 恭子 兵庫 園田学園女子大学
9 兼平 真咲 愛知 デンソー
10 竹中 真海 東京 日本体育大学
11 中西 舞衣 香川 高松南高校
12 那須 千春 神奈川 日立
13 本間 睦 東京 日本体育大学
14 屋禰 未奈 兵庫 園田学園女子大学
15 外野手 有吉 茜 岡山 IPU環太平洋大学
16 石野 江里佳 群馬 ビックカメラ高崎
17 櫻岡 春香 東京 東京女子体育大学

コーチングスタッフ
No. 役職 氏名 支部 所属
1 ヘッドコーチ 有住 隆 山形 上山明新館高校
2 アシスタントコーチ 佐藤 洋介 千葉 千葉経済大学附属高校
3 アシスタントコーチ兼総務 藤本 索子 福岡 三潴高校
4 トレーナー 高松 久美子 愛知 豊田自動織機