第53回全日本総合男子選手権大会
 西日本シロアリ(鹿児島)、初優勝を飾る!


日本一の座をかけ、熱戦が展開された

デンソーがNeoを振り切り、決勝進出

3位に終わった大阪ツヅキグローバル

2回表、デンソーが川田のタイムリーで先手を取ったが……

畠、執念の一打でシロアリが逆転!

西日本シロアリ、「日本一」の歓喜の胴上げ











 

 9月22日(土)〜24日(月)の3日間にわたり、島根県松江市で「第53回全日本総合男子選手権大会」が開催された。
 大会には、前年度の優勝・準優勝、日本男子リーグ決勝トーナメントに進出した東西リーグの上位各4チームの推薦出場チームに加え、全国各地区の厳しい予選を勝ち上った総勢32チームが参加。日本リーグ勢をはじめとする全国の強豪が一堂に会し、文字通り「日本一」の座をかけ、熱戦を繰り広げた。
 大会初日(22日)は1回戦16試合が行われ、第1試合から大会3連覇を狙う高知パシフィックウェーブ(高知)がKOA(長野)に1−2で敗れるという大波乱があった。また、日本代表の好投手・飯田邦彦を擁し、全日本実業団男子選手権大会準優勝の日新製鋼(広島)と次期日本代表入りが囁かれるエース・諸見里俊を中心に全日本大学男子選手権大会を制した国士舘大(東京)の対戦は、国士舘大が初回に死球と2つのパスボールなどでノーヒットで先制。その後は飯田が被安打2・奪三振10、諸見里が被安打3・奪三振9と一歩も譲らぬ投手戦を展開したが、この1点が決勝点となり、1回戦屈指の好カードは国士舘大が制した。
 大会2日目(23日)は2回戦8試合と準々決勝4試合が行われた。
 1回戦こそ苦戦したものの、2回戦は9−0、準々決勝は5−0と、安定した試合運びを見せるデンソー(愛知)。
 2回戦の旭化成(宮崎)戦で終盤まで3点をリードされながら、2本の本塁打で逆転し、準々決勝では日本リーグ勢以外で唯一ベスト8に残った山崎クラブ(兵庫)を7−0で破ったNeo長崎(長崎)。
 1回戦・2回戦は完封、準々決勝ではトヨタ自動車に日本代表の主砲・枦山竜児、監督兼任でチームを引っ張る永吉慎一の効果的な一発攻勢で下した西日本シロアリ(鹿児島)。
 準々決勝で東日本リーグの覇者・ホンダエンジニアリング(栃木)と激突。東西のリーグの覇者同士の対戦を5−3でモノにした大阪ツヅキグローバル(大阪)。以上の4チームがベスト4進出を果たした。
 大会最終日(24日)は準決勝・決勝の3試合が行われた。
 準決勝、デンソー対Neo長崎の対戦は、デンソー・村里和貴、Neo長崎・森勇紀が息詰まる投手戦を展開。両チーム無得点のまま、延長タイブレーカーにもつれ込む熱戦は、延長8回表、デンソーがパスボールで待望の先取点を挙げた。その裏、Neo長崎もタイブレーカーの走者を三盗させる「奇襲攻撃」で無死三塁のチャンスをつかんだが、デンソー・村里の力投の前に三振、ピッチャーゴロ、ショートフライと後続を断たれ、あと一歩およばず準決勝で力尽きた。
 もう一方のゾーンは、西日本リーグ1位・2位の対戦となり、リーグでは最終日最終試合で逆転され、優勝を逃した西日本シロアリが大阪ツヅキグローバルに雪辱。7−0の5回コールドで快勝し、決勝へ駒を進めた。
 決勝は3度目の優勝を狙うデンソーと悲願の初優勝に燃える西日本シロアリとの対戦となり、2回表にデンソーが一死二塁から7番・川田寛明がしぶとく二遊間を破り、先制。このままエース・村里の力投で逃げ切るかと思われたが、4回裏にシロアリが反撃。1番・西尾健作のエンタイトルツーベースと2番・横山拓のセンターオーバーのタイムリースリーベースで同点に追いつき、3番・永吉慎一が四球を選び、無死一・三塁。一気に試合の流れを引き寄せたいところだったが、4番・枦山竜児が三塁線へ痛烈な当たりを放ったが、サード・渡辺友和がこれを好捕。盗塁を狙ってスタートを切っていた一塁走者はまったく戻れず、一瞬にしてダブルプレイ。二死三塁となり、日本代表では女房役であり、キャプテンでもある5番・山崎泰稔との勝負を避け、敬遠の四球で歩かせ、6番・畠久人との勝負を選択。計算通り畠をセカンドゴロに打ち取り、ピンチを脱した。1−1の同点で迎えた6回裏、シロアリはこの回先頭の2番・横山が四球で出塁。3番・永吉が手堅く送り、4番・枦山のレフトフライで二死二塁となると、5番・山崎を再び敬遠。またしても畠との勝負を選んだ。しかし、目の前で二度の敬遠に燃えた6番・畠がフェンス直撃のスリーベースを放ち、2点を勝ち越し。畠の「意地の一打」で試合をひっくり返すと、このリードを先発のベテラン・小谷良朋の力投で守り切り、悲願の初優勝を飾った。
 昨年の日本男子リーグ決勝トーナメントを制し、初の「頂点」を極めた西日本シロアリが、今年はこの全日本総合も制した。西日本リーグでは「あと一勝」ができず、逆転優勝を許してはいるが、西尾、横山、枦山、山崎と日本代表4人を打線の核に置き、それに監督兼任でチームを引っ張る元日本代表の永吉が絡む打線は強力にして隙がない。そして、今大会では若い畠が「代表選手の力だけではない」とばかりに執念の決勝打を放った。
 投手陣では34歳のベテラン・小谷が今大会も5試合・30イニングを投げ抜き、5勝を挙げ、防御率0.93・奪三振38の力投。優勝に大きく貢献した。
 惜しくも準優勝に終わったデンソーもエース・村里が5試合・32イニングを投げ、防御率1.31・奪三振50と獅子奮迅の働き。打線でも3番・植松洋介が打率4割1分7厘、4番・中村和也も3割8厘と気を吐いたが、得点力では日本代表をズラリと並べる西日本シロアリの打線にやや分があった。
 このまま「西日本シロアリの黄金時代」が到来するのか、あるいは他のチームがストップをかけるのか……。来月20日・21日には男子リーグ決勝トーナメントが愛知県豊田市で開催される。そこではこの決勝の顔合わせがいきなり初戦で組まれている。「真の日本一」「リアルチャンピオン」をめざす戦いはまだまだこの先も続いていく。