第59回全日本総合女子ソフトボール選手権大会
 
ルネサス高崎(群馬)、激戦を制し5連覇の偉業達成!


ルネサス高崎が「5連覇」の偉業を達成

大会「初優勝」を狙ったレオパレス21だったが…

豊田自動織機はルネサス高崎を
追い詰めるも、無念の逆転負け

日立ソフトウェアも、持ち前の
強力打線での反撃およばず

エース・上野の「気迫」がチームを奮い立たせた!
 去る9月21日(金)〜23日(日)の3日間、大分県竹田市において第59回全日本総合女子選手権大会が開催され、ルネサス高崎(群馬)が大会「5連覇」の偉業を達成した。大会には、女子リーグ1部から12チームが推薦で出場。予選を勝ち抜いたチームでは、女子リーグ2部所属が10チーム。大学チームが8チーム。クラブチーム2チームと、全国から32チームの強豪が出場。女子ソフトボール「真の日本一」の栄冠をめざした、激しい熱戦が連日繰り広げられた。
 今大会は、ルネサス高崎(群馬)の大会「5連覇」が注目される中、先月8月に開催された全日本大学選手権大会で優勝を飾った、園田学園女子大(兵庫)などの大学チーム勢。また、何とか女子リーグ1部チームを撃破し、番狂わせを起こしたい女子リーグ2部チーム。女子リーグ1部で現在単独首位をひた走り、今シーズン好調を維持しているレオパレス21(東京)など、それぞれのチームがトーナメント戦(一発勝負)の中での総力戦を展開した。
 結果ベスト4には、優勝候補の一番手「世界一の投手」上野を擁するルネサス高崎が、初戦の福岡大(福岡)に11−0の5回コールド勝ちで圧勝し、いきなりエンジン全開。続くトヨタ自動車(愛知)、佐川急便(京都)戦では、エース・上野の豪腕がうなり、相手打者を全く寄せ付けない圧巻のピッチング。その実力をまざまざと見せつけ「2試合連続完全試合」といった驚異的な記録を達成。貫禄の戦いぶりで順当に勝ち上がった。
 この他には、豊田自動織機(愛知)が2回戦の太陽誘電(群馬)との息詰まる接戦を、3番・リベラの2本の本塁打などで制すと、続く戸田中央総合病院(埼玉)戦でもスミス・江本の安定した投手リレーで4−0と完封。また、山田・馬渕といった女子日本代表の主砲を揃える日立ソフトウェア(神奈川)は一回戦の東海理化(愛知)戦で、先発・藤原が「完全試合」を達成するなど、投打がうまく噛み合い、準決勝進出。女子リーグ1部での好調ぶりを発揮し、「初優勝」を狙うレオパレス21(東京)も初戦の島根三洋電機(島根)戦に1−0と苦戦したものの、この後は本来の実力通り、危なげなくベスト4に駒を進めた。
 女子リーグ1部勢同士の戦いとなった準決勝では、ルネサス高崎、豊田自動織機、日立ソフトウェア、レオパレス21がそれぞれ決勝進出を賭け激突。ルネサス高崎対豊田自動織機戦では、「5連覇」を狙うルネサス高崎がいきなり劣勢に立たされる。2回表に豊田自動織機の5番・小森、6番・スミスに、エース・上野が連続長短打を許し、先制点を奪われる展開。しかし、ルネサス高崎は、4回裏に一死二・三塁とチャンスを作り、ここで5番・乾がスクイズ。これに相手守備の悪送球も絡み、二塁走者も一気に生還。ワンチャンスを確実にモノにしたルネサスが、このまま豊田自動織機を振り切り、「5連覇」へ王手をかけた。
 一方、日立ソフトウェア対レオパレス21戦では、両チームが激しい打撃戦を展開。1−2と1点を追うレオパレス21が、5回表に3番・佐藤の2点タイムリーツーベース、1番・河野の犠牲フライで3点を挙げ逆転。6回表にも、7番・ティッカムのツーランが飛び出すなど、終盤の集中打で勝利し、決勝進出を決めた。
 決勝戦は、ルネサス高崎対レオパレス21。当初から「優勝候補」と目されていたチーム同士の対戦となり、ルネサス高崎はここまで3連投のエース・上野が先発。レオパレス21は先発に秋元を立て、試合がスタートされた。
 試合はルネサス高崎・上野、レオパレス21・秋元が互いに一歩も譲らず、白熱の投手戦。0−0のまま、終盤5回に突入した。
 ルネサス高崎は5回裏、今大会打撃好調の5番・乾が中前安打で出塁。6番・中野の三塁ゴロで走者が入れ替わるが、暴投で中野は二塁へ進塁。ここで続く7番・国吉がしぶとく中前にはじき返し、二塁走者・中野が生還。「待望」の先制点を挙げた。4連投となったエース・上野は、疲れを見せるどころか回を重ねるにつれ、己を奮い立たせるかのような気迫溢れるピッチング。持ち前の速球、ライズ・ドロップに加え、大きな腕の振りから繰り出されるチェンジアップを巧みに投げ分けるなど、決して「速さ」だけではなく「技術」、「コントロール」といった面でも、相手打者を手玉に取る「格の違い」を見せつけ、堂々の完封勝利。最後はマウンド中央にルネサス高崎ナインの歓喜の渦が巻き起こり、見事大会「5連覇」の偉業を成し遂げた。
 一方、レオパレス21は初回に1番・河野がいきなり左中間ツーベースで出塁。犠打で一死・三塁とした後、3番・佐藤の4球目にエンドランを仕掛けるが、佐藤のバットが空を切り、走者・河野も三塁間で挟まれ失敗。この後も少ない安打数ながら得点のチャンスを作るが、結局ワンチャンスを生かせず、上野攻略はならなかった。
 チームを信じ、己を信じ、最後まで「エースの姿」をマウンドで見せ続けたルネサス高崎・上野。今大会その「エースの姿」、「勝負に対する気迫」が辛い局面でチーム全体を奮い立たせた。まさにチームの結束力、それが生み出す驚異的なパワーを改めて感じさせられた大会であった。