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今年も「球春」を告げる全国審判員・
記録員中央研修会が開催された
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「何かを変えなければ!」と
愛知県協会・徳田会長
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「いつでも、どこでも、誰でも」
同じ判定をと鎌田審判委員長
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昨年の大会を総括する
末廣記録委員長
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激しく降る雪にも負けず
実技研修を決行!!
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記録の部の研修は、改訂された
「スコアリングマニュアル」の研修に
重点が置かれ、時間が割かれた
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「ソフトボールを『スポーツ文化』として
根付かせよう!」と三宅総務委員長
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この中央研修会を主管した愛知県
協会の理事長であり、日本協会の
技術委員長でもある中須賀弘正氏
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「球春」の訪れを告げる恒例の審判員・記録員中央研修会が開催された。この中央研修会には、全国各都道府県支部の審判委員長・記録委員長またはそれに準ずる「指導的役割」を担う130名余りが参加。2010年度のルール改正点をはじめ、それに伴う審判員・記録員の実務的な変更点を中心に研修を行った。全国有数のチーム登録数、審判員・記録員登録数を誇る愛知県において2年連続で実施された中央研修会。2年目を迎え、その手厚く、ツボを心得たサポートは、効率的かつ効果的な研修の実現に一役買っていた。
なお、研修内容の詳細は、(財)日本ソフトボール協会機関誌「JSAソフトボール」に掲載される予定である(第317号/平成22年4月号掲載予定)。
研修会初日(5日/金)、まず(財)日本ソフトボール協会・入角亨副会長が挨拶に立ち、「ここに集う皆さんは全国各ブロック・各都道府県の指導的役割を担う審判員・記録員の皆さんである。皆さんには、ここで研修した内容を漏らすことなく、各ブロック・都道府県支部に正確に伝達するという大きな責任と使命がある。皆さんの果たすべき役割は非常に大きなものがある」と、この研修会の意義を強調すると同時に、「残念ながらソフトボール競技のオリンピック競技復帰はならなかった。これまで『オリンピックで金メダル獲得が期待できる競技』として、JOC((財)日本オリンピック委員会)等から潤沢な強化費・補助金が交付されていたが、もはやそれも期待できず、財政的には非常に厳しい局面を迎えると言わざるを得ない。各ブロック・各都道府県で指導的な役割を担う皆さんには、審判・記録といった枠組みの中に留まるのではなく、一人ひとりが『経営者的感覚』を持ち、この中央研修会をはじめ、各種事業の徹底したコストダウンと効率化に取り組んでもらいたい」と、研修生を叱咤激励した。
これに続き、愛知県ソフトボール協会・徳田寛会長が、「この研修会の愛知県での開催も2年目を迎える。この研修会をより実りあるものとできるよう愛知県協会の総力を挙げて、皆さんをお迎えしたい」との歓迎の言葉を述べ、「北京オリンピックで金メダルを獲得し、一気に盛り上がったソフトボール人気も徐々に一段落しはじめた感がある。オリンピック競技から除外されたことで、このまま尻すぼみに終わるようなことがあってはならない。スタンドを満員の観客で埋め、各種メディアがトップニュースでソフトボールのことを伝えるような状況を創り出したい。そのためには何かを変えていかなければ……。チーム・選手たちとともに、審判員・記録員の皆さんと力を合わせ、ソフトボールという競技を盛りあげていけるよう努力したい」と、ソフトボールのさらなる普及・発展への思いを熱く語った。
この後、研修会は本格的な研修に入り、まず、(財)日本ソフトボール協会・鎌田惠雄審判委員長、末廣善紀記録委員長、中須賀弘正技術委員長が、それぞれの立場から平成21年度の大会を振り返り、反省点・今後の課題などを総括した。
ここから審判・記録それぞれに分かれての研修に入り、審判委員会では「全国どこでも、どんな大会であっても、誰が審判員を務めても、同じ基本動作で、統一された判定基準の下で競技が行えるように」をモットーに、まずはルールの改正、競技者必携の修正点などを一項目ごとに丁寧に確認。漏れなく正確な伝達が行えるようにと、前年とその改正点や内容を改正項目ごとに比較しながら改正の趣旨・内容等を確認。ルールの解釈・適用に対する統一見解が示され、入念な確認作業が行われた。
2日目の実技研修は、東浦町営北部グラウンドに場所を移して行われ、厳しい寒さと時折激しい降雪にも見舞われながら、研修を決行。「全国どこでも、どんな大会であっても、誰が審判員を務めても、同じ基本動作で、統一された判定基準の下で競技が行えるように」の方針に沿って、基本動作の確認や投球判定、不正投球の判定基準、ローテーションなどの実技研修が行われた。ここでは、中須賀弘正技術委員長が「競技者」あるいは「チーム」の立場から意見・見解を述べ、研修に協力。現場の意見に耳を傾けながら、より実戦的で効果的な研修を行っていた。また、本年度から導入された「6人制審判」(従来の4人制審判に「外野審(右翼審・左翼審)を加えたもの」について、熱心な研修が行われた。
最終日には、ルール改正や競技者必携の改訂に伴う質疑応答、DVDを利用しての正しい投球動作・不正投球の判定基準についての再確認が行われ、ルール改正点やその適用について、もう一度全体で確認。続いて、現役時代には男子日本代表の「エース」として活躍し、世界男子選手権に4回出場。数々の国内タイトルを手にし、一時代を築いた選手時代、新島学園高校男子ソフトボール部の監督としてインターハイ、国体等で全国制覇を何度も成し遂げた指導者としての輝かしい経歴を持つ(財)日本ソフトボール協会・三宅 豊総務委員長が「選手・指導者から見た審判員」と題した講演を行い、最後に鎌田惠雄審判委員長が本研修会を総括。各ブロック・各都道府県における伝達のポイント等の最終確認を行い、全日程を終了した。
記録委員会では、2006年2月の初版発行以来、大幅に内容を改訂し、出版された「スコアリングマニュアル」の第2刷が披露され、その改訂内容をしっかりと研修。特に、ISF(国際ソフトボール連盟)に合わせて大改訂を行った「自責点」の項目では、「自責点の復活」についての研修に多くの時間が割かれ、様々なケースについて、「自責点の扱いはどうなるか」「どのように記帳したらよいか」が、改訂された「スコアリングマニュアル」をテキストとして研修が進められた。
また、統一記号の「打順」「進塁」の際の記号が、従来の「漢数字」から「算用数字」に改められたこともあり、それに伴いスコアカードの様式も変更され、この確認にも時間が割かれた。「自責点」の項目のような内容の変更ではなく、変更内容そのものは決して難しいものではないが、長年書き慣れた「習性」を変えていくことは容易なことではない。スムーズに、よどみなく、しかも正確な記帳が行えるよう真剣かつ熱心な研修が繰り返されていた。
研修会を締めくくる審判の部での三宅 豊総務委員長の講演の中でも強調されていたが、ソフトボールは一人ではできない。選手がいて、チームができて、対戦するチームがあって、審判員がいて、記録員がいて、大会・試合運営に携わる人がいて、観客がいて、初めて『ソフトボール』が成り立つ。だからこそ、『互いを尊重する』ことが必要である。対戦相手であっても『敵』ではない。同じソフトボールを愛する『仲間』なのだから……。試合のときは全力をぶつけ合っても、試合が終われば、同じソフトボールを愛する『仲間』なのである。
ソフトボールを成立させるには、多くの『仲間』の助けが必要であり、この競技をさらに盛り上げていくには、それぞれの立場を尊重し、認め合い、ともに高め合っていけるような関係を築いていく必要がある。そして、それぞれの立場でソフトボールを心から楽しむことができたとき、ソフトボールは一つの「スポーツ文化」として根付いていくことだろう。選手・チーム・審判員・記録員・運営スタッフ・観客……それらが手に手を取り合って、このソフトボールという競技を一緒になって創り上げ、より楽しく、面白いものとするために努力していかなければならない。
新たなソフトボールシーズンの幕開けは、もうすぐそこである。 |