2013.9.17
 

 

第65回全日本総合女子ソフトボール選手権大会


トヨタ自動車が王座奪還!
3年ぶり3度目の優勝に輝く!!



「国内最高峰」の戦いを一目見ようと
会場には連日たくさんの観客が詰めかけた



【準決勝】 太陽誘電 vs ルネサスエレクトロニクス高崎
ルネサスエレクトロニクス高崎が、
延長8回タイブレーカーにおよぶ熱戦を制す!



太陽誘電も土壇場の7回表に1点を挙げて追いつくなど、
最後まで粘り強く戦ったが……



【準決勝】 トヨタ自動車 vs 豊田自動織機
トヨタ自動車が小野真希のツーランで先手を奪い、快勝!



現役アメリカ代表でもある「新戦力」
ケイラニ・リケッツを先発させた豊田自動織機
まさかの「一発」に泣いた……



【決勝】 ルネサスエレクトロニクス高崎 vs トヨタ自動車
「16度目」の頂点を狙ったルネサスエレクトロニクス高崎
しかし、2回裏、守備の乱れで大きな2点を奪われる

  「宿命の対決」に燃えた、トヨタ自動車・モニカ・アボット
1点を返されはしたが、最後まで気迫溢れるピッチングを展開した

  今後も、トヨタ、ルネサスの「頂上決戦」は続く!
“新たなチーム”の台頭にも期待したい!!

昨年の雪辱を果たし、
トヨタ自動車(愛知)が3年ぶり3度目の優勝!




第65回 全日本総合女子選手権大会
決勝戦ダイジェスト

 

 去る9月14日(土)〜16日(月/祝)の3日間、「第65回全日本総合女子ソフトボール選手権大会」が、長崎県時津町・長与町/とぎつ海と緑の運動公園・長与総合公園運動公園広場 他において開催され、トヨタ自動車(愛知)が昨年の雪辱を果たし、3年ぶり3度目の優勝に輝いた。

 大会には、昨年優勝のルネサスエレクトロニクス高崎(群馬)、準優勝のトヨタ自動車(愛知)をはじめ、日本女子1部リーグから推薦出場10チーム(昨年優勝のルネサスエレクトロニクス高崎、準優勝のトヨタ自動車を除いた10チーム)、全国各都道府県・各ブロックの厳しい予選を勝ち抜いた19チーム、開催地枠として地元1チームを加えた総勢32チームが出場。文字通り「日本の頂点」をめざして熱戦が繰り広げられた。

 昨年の覇者であり、今大会16度目の優勝を狙うルネサスエレクトロニクス高崎(群馬)は、まず1回戦の武庫川女子大学(兵庫)戦に2−0の完封勝利を飾ると、2回戦のデンソー(愛知)戦でも、7番・大工谷真波、6番・中野久美のタイムリーなどで4−1の快勝。準々決勝の園田学園女子大学(兵庫)戦では、園田学園女子大学(兵庫)のエース・泉礼花を打ちあぐね、0−0のまま延長タイブレーカーにもつれ込む苦戦を強いられたが、8回表、一死三塁から3番・大久保美紗のショートゴロの間に1点を先制。さらに、続く4番・峰幸代にセンターオーバーのソロホームランが飛び出し、試合を決める2点目を追加。苦しみながらも2−0で勝利を飾り、準決勝へと駒を進めた。

 一方、昨年の雪辱を誓い、今大会3年ぶりの「頂点」を狙うトヨタ自動車(愛知)は、1回戦、2回戦と「絶対的エース」モニカ・アボットを温存する余裕の試合運び。1回戦の東京国際大学(埼玉)戦に、4番・鈴木美加のツーランホームランなどで8−1の5回コールド勝ちを収めると、2回戦の大垣ミナモソフトボールクラブ(岐阜)戦でも打線が爆発。7番・小野真希の満塁ホームラン、6番・知久幸未のツーランホームランを含む計16安打を浴びせ、12−3の5回コールド勝ち。準々決勝の日立(神奈川)戦では、満を持して「絶対的エース」モニカ・アボットを先発させ、そのモニカ・アボットが被安打1、奪三振14の快投。打線も4番・鈴木美加が今大会2本目となる先制のソロホームランを放つなど、好調を維持し、4−0の快勝で危なげなく準決勝進出を決めた。

 この他、今大会では昨年3位の豊田自動織機(愛知)が、現役アメリカ代表でもある「新戦力」ケイラニ・リケッツの力投もあり、4年連続のベスト4進出。一方、同じく昨年3位のHonda(栃木)は、1回戦の大垣ミナモソフトボールクラブ(岐阜)戦に、延長8回タイブレーカーにおよぶ接戦の末、3−4で敗れ、初戦敗退となった。また、今回惜しくもベスト4進出とはいかなかったものの、大学勢として園田学園女子大学(兵庫)、日本体育大学(東京)の2チームがベスト8入り。園田学園女子大学(兵庫)は、「インカレ2連覇」の実績を持つエース・泉礼花を中心に、投・打にバランスの取れた戦いぶりを見せ、2回戦では、日本女子2部リーグに所属するCLUB北九州(福岡)を4−1で撃破。準々決勝でも、王者・ルネサスエレクトロニクス高崎(群馬)に果敢に挑み、0−0のまま延長タイブレーカーに持ち込む息詰まる熱戦を展開。惜しくも0−2で敗れ、準決勝進出はならなかったが、日本リーグの“常勝チーム”を相手に堂々たる戦いぶりを見せた。日本体育大学(東京)も、今年7月に開催された第10回世界女子ジュニア選手権大会(カナダ・ブランプトン)の優勝メンバーでもある岡村奈々を今大会ではフル回転させ、大学生らしい溌剌とした戦いを展開。こちらも1回戦で日本女子2部リーグに所属する大和電機工業(長野)を相手に、3−0の完封勝利を飾り、好スタートを切ると、2回戦では今年のインカレ王者・中京大学(愛知)と激突。先発・岡村奈々が被安打1、奪三振7の好投を見せれば、打線も10安打で7点を奪うなど爆発し、7−0の6回コールド勝ち。準々決勝で太陽誘電(群馬)に1−6で敗れ、第46回大会以来となる19年ぶりのベスト4進出はならなかったが、大学勢として健闘を見せた。

 ベスト4には、ルネサスエレクトロニクス高崎(群馬)、太陽誘電(群馬)、豊田自動織機(愛知)、トヨタ自動車(愛知)と、今年も“日本女子1部リーグ勢”が勝ち残り、最終日、「日本一」の座をかけて対戦。

 準決勝・太陽誘電(群馬)対ルネサスエレクトロニクス高崎(群馬)戦は、3回裏、ルネサスエレクトロニクス高崎が二死一・三塁から4番・峰幸代のライト前タイムリーで先制点を奪ったが、太陽誘電も土壇場の7回表、一死三塁のチャンスで5番・岡本由香がヒットエンドランを成功させ、1−1の同点。試合は1−1のまま延長タイブレーカーへともつれ込んだ。8回表を無失点で凌いだルネサスエレクトロニクス高崎は、その裏、この回先頭の2番・大久保美紗が故意四球で歩かされ、無死一・二塁。さらに送りバントで手堅く送り、一死二・三塁とチャンスを広げると、続く4番・峰幸代の打席で「お返し!」とばかりにヒットエンドランを敢行。峰幸代が体勢を崩しながらもこれをキッチリと転がし、三塁走者が本塁生還。「常勝・ルネサス」の代名詞でもある“勝利への執念”を見せ、2−1で接戦をモノにし、16度目の優勝へ王手をかけた。

 もう一方の準決勝・トヨタ自動車(愛知)対豊田自動織機(愛知)戦は、トヨタ自動車が2回表、無死三塁から7番・小野真希の右中間へのツーランホームランで2点を先制。強烈な「先制パンチ」を浴びせると、終盤6回表にも、一死一塁から代打・山崎早紀の右中間を破るタイムリーツーベースで大きな3点目を追加。豊田自動織機の「強力な助っ人」ケイラニ・リケッツの攻略に見事成功し、投げては、「絶対的エース」モニカ・アボットが相変わらずの快投。持ち味の“力で押すピッチング”で豊田自動織機打線を相手にせず、被安打2、奪三振17と圧巻の内容で完封勝利。3−0で快勝し、5年連続の決勝進出を決めた。

 決勝では、今や日本女子ソフトボール界「宿命の対決」と呼ばれるルネサスエレクトロニクス高崎(群馬)、トヨタ自動車(愛知)の両者が、3年連続で激突。ルネサスエレクトロニクス高崎・上野由岐子、トヨタ自動車・モニカ・アボット「両エース」の先発で試合がスタートした。試合が動いたのは2回裏、トヨタ自動車は二死から7番・小野真希がレフト前ヒットで出塁。続く8番・渥美万奈が四球を選び、一・二塁のチャンスを作ると、9番・渡邉華月が放った当たりは、ふらふらっと空高く舞い上がり、センターへ。打球が上がった瞬間「センターフライか!?」と思われたが、この打球が上空の強い風で左中間へと流され、目測を誤ったセンターが落球。二死でスタートを切っていた二塁走者、一塁走者がこの間に一気に本塁へ還り、大きな2点を先制した。「宿敵・トヨタ」との対戦に燃えるルネサスエレクトロニクス高崎も5回表、一死一塁から8番・岩渕有美の左中間を切り裂くタイムリーツーベースで1点を返し、なおも一死二塁と一打同点のチャンスが続いたが、このチャンスに代打・関友希央、1番・山本優が続けて倒れ、同点ならず。王者の意地を見せ、完封は免れたものの、反撃はここまでだった。トヨタ自動車・モニカ・アボットは、その後、6回表、7回表をパーフェクトピッチング。7回表は、5番・森さやか、6番・中野久美、7番・大工谷真波を“自慢の速球”で三者三振に切って取り、終わってみればこの試合も奪三振10の好投。トヨタ自動車が昨年の雪辱を果たし、3年ぶり3度目の優勝に輝いた。

 トヨタ自動車(愛知)の3年ぶり3度目の優勝で幕を閉じた第65回全日本総合女子ソフトボール選手権大会。今回の決勝でも、今や日本女子ソフトボール界「宿命の対決」と呼ばれるトヨタ自動車、ルネサスエレクトロニクス高崎が激突し、この全日本総合「決勝の顔合わせ」としては、3年連続の同一カードとなった。トヨタ自動車にはモニカ・アボット、ルネサスエレクトロニクス高崎には上野由岐子と、両チームにはともに世界を代表する「絶対的なエース」が存在する。ここ数年、日本女子1部リーグを含め、「国内最強」を争う戦いの決勝と言えば、すっかり“両者の一騎打ち”という傾向が強まってきた。モニカ・アボットを擁するトヨタ自動車、上野由岐子を擁するルネサスエレクトロニクス高崎。世界一とも評される「絶対的な柱」を擁する両チームは確かに強い。しかし、今後の日本のソフトボールのレベルアップを考えれば、この両チームに肉薄し、ときに優勝をさらっていくような「新たな存在」、「新たなスター」がもっと出てこなければならないとも感じる。トヨタ自動車とルネサスエレクトロニクス高崎。現時点を見れば、日本女子1部リーグを含め、両者の「頂上決戦」は続いていくだろう。今後の両チームの戦いにますます期待すると同時に、ソフトボール界に何か“新たな風”を吹き込んでくれるチームの出現も期待したいところである。