2013.9.20
 

 

第59回全日本総合男子ソフトボール選手権大会


日本リーグ、実業団、クラブ、大学を含めた
全国の強豪32チームが群馬県前橋市に集結!



台風が過ぎ去った後の最終日は
絶好の「ソフトボール日和」となった



今大会では、インターネットを用いた
Ustream(ライブ)中継を実施!



エース・木原道哲の力投も光り、
投・打にバランスの取れた戦いをみせたトヨタ自動車



東日本リーグで首位を走るホンダエンジニアリングを破るなど
健闘した甲斐ソフトボールクラブ



地元・群馬の「熱い声援」に応え、
全日本実業団選手権「3連覇」の実力をみせた高崎市役所



「クラブチャンピオン」でもある大阪桃次郎は、
今大会でも自慢の強力打線が力を発揮した

台風18号の接近による悪天候のため、無念の途中打ち切り
大会は4チーム入賞で終了

 

 第59回全日本総合男子ソフトボール選手権大会が、9月14日(土)〜17日(火)の4日間(当初の予定では9月14日(土)〜16日(月)の3日間開催の予定であったが、15日(日)・16日(月)が台風接近による悪天候のため、中止。予備日/17日(火)に順延となったが、全試合の実施が不可能となったため、今回は準々決勝までの実施で大会を途中打ち切りとし、4チームが入賞となった)、群馬県前橋市・前橋市民球場、産業人スポーツセンター、下増田運動場を会場に開催された。

 大会には、昨年優勝の平林金属(岡山)と準優勝の高知パシフィックウェーブ(高知)をはじめ、リーグ推薦7チーム、全国各都道府県・各ブロックの厳しい予選を勝ち抜いた23チームによる総勢32チームが出場。熱戦が繰り広げられた。

 初日(14日/土)の注目カード、トヨタ自動車(愛知)対平林金属(岡山)の一戦では、トヨタ自動車の先発・木原道哲が立ち上がりに平林金属・松田光にソロホームランを許しながら、被安打3、奪三振8と好投。4番・山本淳のタイムリーなどで延長8回タイブレーカーにおよぶ熱戦を制し、大会3連覇を狙った「王者」を3−1で撃破するなど、“国内最高峰”の大会にふさわしく、各チームの激しい戦いが見られた。

 大会2日目(15日/日)と3日目(16日/月)は、関係者の祈りもむなしく、低速で接近する台風18号の影響による悪天候のため、2日間ともに中止……。大会本部の協議の結果、残る2回戦、準々決勝、準決勝、決勝15試合の内、2回戦と準々決勝の12試合を予備日(17日/火)に行い、勝ち残った4つのチームを入賞とすることが決まった。

 台風の過ぎ去った予備日(17日/火)は、秋の訪れを感じさせる、透き通るような青空の下、地元・群馬県ソフトボール協会、前橋市ソフトボール協会スタッフによる準備・グラウンド整備のおかげで定刻通りにプレーボールを迎えることができた。

 また、今大会のA球場(前橋市民球場)では、公益財団法人日本ソフトボール協会・動画配信プロジェクト(同協会・竹島正隆理事を委員長とする)が、2回戦2試合、準々決勝1試合の計3試合を、地元協会スタッフとともにUstreamを通じたライブ配信(インターネット生中継)を行った。(中継映像の録画はこちら(http://www.ustream.tv/channel/softball2013-mensnationalchamp)のページの「過去の番組」からご覧いただけます。)
 A球場(前橋市民球場)の2回戦・原巽ジャガーズ(埼玉)対中京大学(愛知)戦では、中京大学のエース・深津悠平が原巽ジャガーズ打線をわずか1安打に抑え込み、11三振を奪う力投。打線も10安打で7得点を奪い、中京大学が7−0のコールド勝ちを収めた。
 一方、同じく2回戦・ホンダエンジニアリング(栃木)対甲斐ソフトボールクラブ(山梨)戦では、序盤にホンダエンジニアリングが1点を先制し、その後も走者を出すものの、甲斐ソフトボールクラブのエース・雨宮智也に散発3安打と抑え込まれ、追加点を奪えず……。1点を追う甲斐ソフトボールクラブは6回裏、二死から4番・志村佳貴がセンターオーバーのソロホームランを放ち、同点とすると、続く7回裏にも、二死一・二塁のチャンスで1番・中込裕貴がフルカウントからレフト前タイムリーを放ち、サヨナラ勝ちで準々決勝進出を決めた。
 A球場の準々決勝・中京大学(愛知)対甲斐ソフトボールクラブ(山梨)戦では、2回戦のホンダエンジニアリング(栃木)戦でサヨナラ勝ちを収め、勢いに乗る甲斐ソフトボールクラブが初回に2点を先制すると、中京大学も負けじと3回表に2点を返し、同点。両チーム一歩もゆずらぬ試合展開となった。迎えた6回裏、甲斐ソフトボールクラブは一死一・三塁のチャンスを作り、5番・松田行央、7番・望月勝利のタイムリーで3点を勝ち越し。対する中京大学も、7回表に二死一塁から3番・平岩裕基がツーランを放ち、最後まで粘りを見せたが、反撃もここまで……。甲斐ソフトボールクラブが5−4で激闘を制し、入賞を決めた。

 B球場(産業人スポーツセンター第1球場)の2回戦では、中京学院大学(岐阜)が今年の全日本クラブ選手権大会の王者・大阪桃次郎(大阪)に挑んだが、初回から大阪桃次郎の「一発攻勢」にあい、いきなりの3失点……。エース・片岡涼もそこから何とか立ち直り、味方の援護を待ったが、3回表、9番・山下治のライトオーバーのソロホームランで1点を返すのが精一杯。大阪桃次郎が「日本リーグ勢」の実力を見せ、準々決勝進出を決めた。
 同じく2回戦・高知パシフィックウェーブ(高知)対岐阜エコデンSC(岐阜)戦では、高知パシフィックウェーブが初回から着実に得点を重ね、4番・小野洋平のソロホームランを含む12安打で7点を奪うなど、打線が爆発。守っては、先発した立石壮平と4回裏からリリーフした高橋速水がそれぞれ好投し、岐阜エコデンSC打線を完封。7−0の5回コールドで圧勝した。
 準々決勝・大阪桃次郎(大阪)と高知パシフィックウェーブ(高知)の一戦は、高知パシフィックウェーブが2回表に7番・中西健太と8番・田中省次の連続ツーベースで1点を先制。しかし、3回裏、大阪桃次郎は一死二塁から9番・植田貴也のスリーベースと1番・猪股要の犠牲フライで2点を挙げ、逆転に成功。4回裏に2点を追加した後、5回表に高知パシフィックウェーブに3点を返され、同点に追いつかれたが、その裏、1番・猪股要のレフトへのソロホームランと、3番・中村健二のセンター前タイムリーで2点を奪い、勝ち越し。「勝利への執念」をみせ、6−4で接戦をモノにし、入賞を決めた。

 C球場(産業人スポーツセンター第3球場)で行われた2回戦では、東日本リーグで上位を争うデンソー(愛知)とトヨタ自動車(愛知)が激突。デンソー・山脇佑也、トヨタ自動車・木原道哲、「両エース」の投げ合いで試合は両チーム無得点のまま、終盤に突入。迎えた6回裏、トヨタ自動車は死球、敵失で無死二・三塁のチャンスを作ると、ここで1番・久保猛司が2点タイムリーツーベースを放ち、先制。7回表、デンソーも一死から6番・植松洋介のスリーベースを足場に、7番・清水洸佑の犠牲フライで1点を返したが、トヨタ自動車がそのまま逃げ切り、準々決勝に駒を進めた。
 同じく2回戦・三菱自動車水島(岡山)対三菱電機熊本(熊本)戦は、2点を追いかける三菱電機熊本が土壇場の7回裏、1番・木下正貴の左中間を破るタイムリースリーベースで2点を挙げ、同点に追いつくと、続く2番・江藤芳一のライトへの犠牲フライで三塁走者が生還し、逆転サヨナラ勝ち。準々決勝進出を決めた。
 トヨタ自動車(愛知)と三菱電機熊本(熊本)の戦いとなった準々決勝は、三菱電機熊本が序盤に2−1とリードを奪ったが、3回表、トヨタ自動車が2番・西森雄のツーランホームランで逆転に成功。6回表には8番・興津俊之のダメ押しとなるツーランも飛び出し、トヨタ自動車が5−2で勝利を収め、入賞を決めた。

 D球場(下増田運動場B球場)の2回戦・旭化成(宮崎)対ウエダバッファロー(広島)戦では、旭化成が4番・米良孝太、1番・川田直諒のツーランなど、11安打12得点の猛攻で12−0(4回コールド勝ち)とウエダバッファローを一蹴。
 同じく2回戦・日新製鋼(広島)対高崎市役所(群馬)戦では、2点をリードされた高崎市役所が5回裏、9番・瀧本和正の同点ホームランで試合をふりだしに戻すと、この後、両チーム1点ずつを追加し、延長タイブレーカーに突入。迎えた8回表、6番・小田澤直紀がライトオーバーのスリーベースを放ち、4−3のサヨナラ勝ちで準々決勝進出を決めた。
 旭化成・金丸昭太、高崎市役所・照井賢吾、「両エース」の投げ合いとなった準々決勝は、5回裏に動き、高崎市役所が一死一・二塁から、9番・小田澤正紀の二遊間を破るタイムリーで待望の1点を先制。守っては、エース・照井賢吾が「快投」を見せ、ノーヒットノーラン達成。駆け付けた地元の応援団の声援に応え、入賞を果たした。

 数十年に一度という規模の台風上陸により、2日間の中止を余儀なくされ、苦渋の決断の末に、“大会途中打ち切り”となってしまった今大会。まさに「無念……」としか言いようがないが、日本リーグに所属するチームをはじめ、実業団、クラブ、大学生、それぞれが、観る者にソフトボールの「迫力」、「スピード」、「おもしろさ」、「奥深さ」を伝えてくれた。今回は、トヨタ自動車(愛知)、甲斐ソフトボールクラブ(山梨)、高崎市役所(群馬)、大阪桃次郎(大阪)の4チームの入賞で幕を閉じる形となったが、「男子ソフトボール」の醍醐味でもある、“ダイナミックなプレー”はやはり健在である。来年もまた、「男子ソフトボール」の魅力あふれる熱戦を期待したい!