2014.9.23
 

 

第60回 全日本総合男子ソフトボール選手権大会


全国の実業団・クラブ・大学が
「真の日本一」の座をかけて熱戦を展開!



【準決勝】 ホンダエンジニアリング vs トヨタ自動車
両チームが一歩も譲らず、1−1のまま終盤に突入



迎えた6回裏、トヨタ自動車の6番・濱口寿二が
レフトへ完璧な当たりのツーランを叩き込み、熱戦に終止符



【準決勝】 Neo長崎 vs 旭化成
Neo長崎が初回に先制攻撃を仕掛け、2点を奪う!



Neo長崎の先発・森勇紀は11奪三振の力投。
好調の旭化成打線を「力」で抑え込んだ



【決勝】 トヨタ自動車 vs Neo長崎
1点を追うNeo長崎が4回裏に一挙4点を奪取!
(画像はリードを広げる2点タイムリーを放った6番・徳永雄)



今大会、全試合を「一人」で投げ抜いたトヨタ自動車のエース・木原道哲。この決勝でも力投を見せたが……

  Neo長崎が6−3でトヨタ自動車を破り、「頂点」へ

  地元国体の開催を前に、大きな弾みをつけたNeo長崎。
この勢いに乗り、「最高のシーズン」とすることができるか!?

Neo長崎(長崎)、初の栄冠に輝く!

 第60回全日本総合男子ソフトボール選手権大会が、9月20日(土)〜22日(月)の3日間にわたり、愛知県刈谷市/刈谷球場他において開催された。

 昨年の第59回大会は、台風の影響で2日間の中止を余儀なくされ、無念の途中打ち切り。準決勝に残った4チームが「入賞」という形で幕を閉じる非常に残念な終わり方となってしまったが、今年は天候にも恵まれ、順調に日程が進行された。

 大会には、昨年の日本男子ソフトボールリーグ決勝トーナメントに進出した8チーム(ホンダエンジニアリング(栃木)、デンソー(愛知)、トヨタ自動車(愛知)、岐阜エコデンSC(岐阜)、大阪桃次郎(大阪)、ダイワアクト(佐賀)、Neo長崎(長崎)、平林金属(岡山))がリーグ推薦、昨年入賞を果たした甲斐S.B.C(山梨)、高崎市役所(群馬)が前年度推薦として出場。その他、全国9ブロックの厳しい予選を勝ち抜いた計22チームが、文字通り「日本の頂点」をめざし、連日熱戦を繰り広げた。


 大会初日/9月20日(土)は、1回戦16試合が行われ、中国ブロック代表のウエダバッファロー(広島)が、リーグ推薦として出場したデンソーを3−2で破る大金星。初回にデンソーの先発・岡阜囀lから早々と1点を先制すると、5回表に2点を失い、逆転を許したその裏、今度はリリーフした山脇佑也を攻め、一死から7番・篠原一母のセンターオーバーのソロホームランで同点。続く6回裏にも、二死から4番・嘉屋徳英、5番・奥山寛の長短打で勝ち越しの1点を奪い、接戦に勝利。日本リーグの強豪を見事に撃破する果敢な戦いぶりを見せた。また、関東ブロック代表の原巽ジャガーズ(埼玉)も、日本男子西日本リーグに所属する旭化成(宮崎)を相手に、7回表まで4−2とリードを奪う大健闘。勝利を目前にした7回裏、一死二・三塁から2番・上杉大輝に逆転サヨナラスリーランを浴び、こちらは大金星とはいかなかったものの、会場を大いに沸かせる好ゲームを繰り広げた。

 大会2日目/9月21日(日)は、2回戦・準々決勝の12試合が行われ、中京大学(愛知)と神戸学院大学(兵庫)の大学勢が日本リーグ勢に挑戦。中京大学はホンダエンジニアリング、神戸学院大学はトヨタ自動車と2回戦で激突したが、それぞれ2−5、1−5で敗れ、ともに「番狂わせ」を起こすことはできず、残念ながら上位進出を果たすことはできなかった。準々決勝に入ると、やはり日本リーグ勢が「実力」を発揮し、上位を独占。Neo長崎が、1回戦でデンソーを破り、勢いに乗るウエダバッファローを3−1で退けると、その他の試合はすべて日本リーグに所属するチーム同士の対戦となり、大阪桃次郎に12−1(5回コールド)で圧勝した旭化成、ダイワアクトに延長9回タイブレーカーの末4−3で競り勝ったホンダエンジニアリング、平林金属を相手に1−0の完封勝利を飾ったトヨタ自動車の4チームが、準決勝に駒を進めた。

 大会最終日/9月22日(月)は、刈谷球場において準決勝・決勝が行われ、まず準決勝でホンダエンジニアリングとトヨタ自動車、Neo長崎と旭化成が決勝進出をかけて対戦。準決勝・第1試合、ホンダエンジニアリング対トヨタ自動車は、2回に両チームが1点ずつを取り合い、その後は互いに一歩も譲らぬ見応えのある攻防を展開。1−1の同点のまま迎えた終盤6回裏、トヨタ自動車はこの回先頭の5番・江口真史が四球を選び、出塁すると、続く6番・濱口寿二が粘ってフルカウントにした後の8球目を完璧にとらえ、レフトへ豪快なツーランホームラン。この「一発」が決勝点となり、トヨタ自動車がホンダエンジニアリングに3−1で勝利。一足先に決勝進出を決めた。

 準決勝・第2試合、Neo長崎対旭化成の一戦は、先攻のNeo長崎が初回、1番・田慎吾のライト前ヒットと敵失、3番・永山大志のバントヒットで無死満塁のチャンスを作り、4番・平山靖はサードゴロに倒れたかと思われたが、この打球を処理した三塁手が瞬時の判断でそのままサードベースを踏み、本塁へ送球。打球と三塁走者の位置を見極め、本塁タッチプレーのゲッツーを狙うという機転を利かせた選択に出たが、これが裏目に出て本塁クロスプレーは間一髪セーフ。幸運にも1点を先制すると、さらに、5番・津本大貴の送りバントで二死二・三塁のチャンスが続き、今度は6番・徳永雄のショートへの当たりが内野安打となる間に2点目を追加。Neo長崎が初回の「先制攻撃」で流れをつかみ、有利に試合を進めた。投げては、エース・森勇紀が今大会好調を維持する旭化成打線を散発4安打に抑える力投。持ち味でもある「切れ味鋭いドロップ」を主体に11三振を奪い、最後まで得点を許さず、2−0の完封勝利で決勝に駒を進めた。

 決勝では、34年ぶり3度目の優勝をめざすトヨタ自動車と初優勝を狙うNeo長崎が激突。先攻のトヨタ自動車が初回、Neo長崎の先発・大串泰生の立ち上がりを攻め、1番・久保猛司、2番・西森雄の連打などで一死二・三塁のチャンスを作ると、ワイルドピッチの間に労せずして1点を先制。試合の流れをつかんだかと思われた。

 しかし、Neo長崎もこのまま黙ってはいない。1点をリードされたまま迎えた4回裏、この回先頭の1番・田慎吾が二遊間を破るヒットで出塁。一死後、3番・永山大志のピッチャー前に叩きつける内野安打で一・二塁のチャンスを作り、4番・平山靖のショート横を抜けるタイムリーでまず同点に追いつくと、なおも二・三塁と攻め立て、5番・津本大貴のセカンドゴロが相手守備の乱れを誘い、逆転に成功。勢いに乗るNeo長崎は、この後も6番・徳永雄のセンター前への2点タイムリーで追加点を挙げ、この回一挙4点を奪い、逆にリードを広げた。Neo長崎はその後、先発の大串泰生が6回表に二者連続のソロホームランを浴び、一時1点差に詰め寄られたものの、その裏、トヨタ自動車・木原道哲の制球の乱れに乗じて一死一・二塁のチャンスを作り、6番・徳永雄が再びセンター前へリードを広げるタイムリー。さらに、続く7番・楠本圭のセンターへの犠牲フライでダメ押しの6点目を追加し、優勝をグッとたぐり寄せた。

 守っては、6回途中から先発・大串泰生をリリーフしたエース・森勇紀が最後の力をふり絞り、渾身のピッチングを展開。トヨタ自動車打線をパーフェクトに抑え、このリードを守り抜き、歓喜の初優勝に花を添えた。

 初優勝に輝いたNeo長崎は、来月(10月)に開催の迫った地元国体(長崎がんばらんば国体)に向けて、大きな弾みとなる「栄冠」を手に入れた。“地元国体での優勝!”をチームの最大の目標として掲げ、キャプテン・田慎吾、エース・森勇紀を中心に、ベテラン・中堅・若手と個々の顔ぶれも年々充実。選手層はより一層厚みを増している。特に今年は、弟分でもある大村工業高校が、春の全国高校選抜、夏のインターハイを圧倒的な強さで制し、見事「春・夏連覇」を達成。国体では、少年男子・成年男子の「ダブル優勝」も大いに期待されているだけに、チームの意気込み、気合いの入れようは、やはりこれまでと比べものにならない。地元・長崎県民の期待を一身に背負うNeo長崎。今回の全日本総合選手権同様に、期待された大舞台でしっかりと「結果」を残し、「ソフトボール王国・長崎」の名を全国にとどろかすことができるか……!その戦いぶりに大きな注目が集まる。

 一方、34年ぶりの優勝を逃したトヨタ自動車。若き左腕・木原道哲を柱に、今大会では平林金属、ホンダエンジニアリングといった「優勝候補」を次々と撃破。惜しくも決勝で敗れはしたが、今後につながる戦いを見せたといっていいだろう。今大会、すべての試合で先発・完投したエース・木原道哲が、この経験を糧にどこまで成長することができるか。打線も“イキのいい若手”として売り出し中の田中慎太郎や戸塚健斗など、将来を担う「若い力」の台頭がチーム躍進のカギを握っているといっても過言ではなく、まだまだ「可能性」を秘めたチームであることは間違いない。今回「あと一歩」及ばなかった頂点へと登り詰めるために……。今後は、さらに強く、たくましい姿へと生まれ変わった戦いを期待したいものである。