2015.10.7
 

 

第70回国民体育大会(2015紀の国わかやま国体)

男女4種別で熱戦を展開
愛知・愛媛が男女総合、福岡が女子総合優勝!




第70回国民体育大会(2015紀の国わかやま国体)
ソフトボール競技が開催され、熱戦が繰り広げられた



地元・和歌山県勢も男女4種別で
「頂点」をめざし、果敢にチャレンジ!



和歌山は成年女子が福井を破り、1回戦突破!
しかし、その他3種別は残念ながら初戦敗退となった



成年男子は、デンソー、豊田自動織機、トヨタ自動車の
メンバーで編成された愛知が5年ぶり11回目の優勝



成年女子は、日本女子1部リーグ・日立の
単独チームである神奈川が「連覇」達成!



少年男子は、延長8回タイブレーカーにもつれ込む熱戦の末、
愛媛が歓喜のサヨナラ勝ちを飾り、初優勝



少年女子は、エース・田内愛絵里を柱に
「チーム一丸」となった岡山が初の栄冠を手にした



来年の「国体」の舞台は岩手へ!
そこでまた「新たな歴史の一頁」が刻まれることになる



2015紀の国 わかやま国体 第70回国民体育大会 ソフトボール競技ダイジェスト

 第70回国民体育大会(2015紀の国わかやま国体)ソフトボール競技が、去る10月3日(土)〜5日(月)の3日間にわたり、和歌山県紀の川市(成年男子)(成年女子)(少年男子)・橋本市(少年女子)の2市を会場に開催された。

 大会期間中は好天にも恵まれ、多くの観客が詰めかける中、その大声援に応えるかのように熱戦を展開。結果は、成年男子で優勝、成年女子で第3位の成績を収めた愛知と、成年女子で第3位、少年男子で優勝を飾った愛媛が天皇杯得点となる男女総合優勝を分け合う形となり、皇后杯得点となる女子総合優勝には、成年女子で第5位、少年女子で準優勝の成績を収めた福岡が輝いた。

 また、活躍が期待された地元・和歌山は、成年女子が1回戦を突破したものの、その他3種別ではすべて初戦敗退。駆け付けた観客の大声援を受け、懸命の戦いを見せたが、残念ながら上位進出を果たすことはできなかった。

 各種別の戦いに目を向けると、和歌山県紀ノ川市/貴志川スポーツ公園野球場・ソフトボール場において開催された成年男子は、日本男子東日本リーグに所属するデンソー、豊田自動織機、トヨタ自動車のメンバーで編成された愛知が5年ぶり11回目の優勝。

 準々決勝から登場した愛知は、初戦で全日本総合選手権チャンピオン・高崎市役所のメンバーを主体とした群馬を5−2で破った福岡と対戦。試合は2−2の同点のまま最終回へと入る手に汗握る接戦となったが、迎えた7回裏、二死二塁から「監督兼選手」としてチームを引っ張る3番・江口真史が試合を決めるセンター前タイムリーを放ち、劇的なサヨナラ勝ち。この勝利でチーム全体に弾みをつけると、準々決勝・栃木戦では「日本代表」として今夏の世界選手権でも「エース格の働き」を見せた先発・岡阜囀lが投打に活躍。先制した後の3回裏に1点を失い、一時試合を振り出しに戻されたが、迎えた4回表、自ら左中間へソロホームランを叩き込み、勝ち越しに成功。6回表にも一死一・三塁のチャンスで貴重な追加点となるレフト前タイムリーを放ち、そのまま3−1で勝利。決勝に駒を進めた。決勝では、準々決勝・兵庫戦に7−1で快勝、準決勝・京都戦も4−3と競り勝ち、勢いに乗る熊本と激突。2回表に「準決勝のヒーロー」7番・岡阜囀lのレフト線へのタイムリーで1点を先制し、7回表には5番・川崎智秋の特大ソロホームランで貴重な2点目を追加。守っては、木原道哲、山脇佑也の投手リレーで熊本打線をわずか1安打に抑え込み、「貫録」の完封勝ちで5年ぶりの頂点へと登り詰めた。

 和歌山県紀ノ川市/粉河運動場において開催された成年女子は、日本女子1部リーグに所属する日立の単独チームである神奈川が、同じく日本女子1部リーグに所属し、ビックカメラ高崎・太陽誘電の混成チームである群馬と昨年に続き決勝で対戦。チームを引っ張るキャプテン・山田恵里の先制タイムリーなどで3−1と勝利を飾り、2年連続9回目の優勝を成し遂げた。

 準々決勝から登場した神奈川は、初戦で地元・和歌山と対戦。日本女子1部リーグ・太陽誘電でプレーする先発・森真里奈に対し、初回、二死から3番・山田恵里のライトへのソロホームランで先制点を挙げると、3回表には再び3番・山田恵里のレフト前タイムリー、5番・那須千春のスリーランホームランなど6本の長短打で一挙5点を追加。1点を返された後の終盤6回表にも、2番手・池田美樹から1番・林佑季のタイムリーでダメ押しの7点目を奪い、「圧勝」で準決勝へ進出。準決勝・愛媛戦は一転、激しい打撃戦となり、6−6の同点のまま延長タイブレーカーへもつれ込む展開となったが、迎えた8回表、一死二・三塁から1番・林佑季の決勝スリーランホームランで熱戦に終止符を打ち、2年連続の決勝進出を決めた。昨年と同じ顔合わせとなった群馬との決勝では、満を持して先発登板した上野由岐子から、3回表、1番・山田恵里の一・二塁間を破るタイムリー、2番・田邊奈那の犠牲フライで貴重な2点を先制。1点を返された後の4回表にも、一死から連打を浴びせて一・三塁と再び上野由岐子を攻め立てると、ここで代わった藤田倭に対し、7番・松岡くるみがサードゴロ。この間に三塁走者が本塁へ還り、大きな3点目を追加。このリードを山中しほ、小薗美希の投手リレーで守り抜き、見事「連覇」を果たした。

 同じく和歌山県紀ノ川市/粉河運動場において開催された少年男子は、愛媛が初優勝。1回戦で地元・和歌山に5−1と快勝すると、準々決勝・静岡戦でも4回表に一度試合をひっくり返されながら、終盤の「逆転劇」により、4−2で勝利。準決勝では和田卓、角谷俊亮の投手陣が大阪打線を見事に抑え込み、1−0の完封勝利で決勝進出を決めた。決勝では、1回戦の福岡戦で「完全試合」を達成するなど「大会屈指の好投手」と呼び声高いエース・長井風雅を柱に、準決勝で「優勝候補の大本命」長崎を延長9回タイブレーカーの末、2−1で撃破した広島と対戦。序盤、中盤と互いに点を取り合い、2−2の同点のまま、試合は延長タイブレーカーへと突入。迎えた8回裏、一死三塁から3番・松本侑大のショート内野安打の間に三塁走者が生還し、歓喜のサヨナラ勝ちを収め、初の栄冠を手にした。

 和歌山県橋本市/南馬場緑地広場において開催された少年女子は、岡山が初優勝。準々決勝から登場した岡山は、初戦の愛知戦でエース・田内愛絵里が好投を見せ、3−0の完封勝利を収めると、準決勝・北海道戦では「U19日本代表」として今夏の世界ジュニア選手権にも出場した「好投手」廣瀬夏季を相手に、3回表、相手守備の乱れとフィルダースチョイスで幸運な2点を先制。その裏1点を返されたものの、このリードを田内愛絵里が粘り強いピッチングで守り抜き、2−1と接戦を制して決勝へ進出。決勝では、1回戦で佐賀に3−0、準々決勝で地元・和歌山に4−0、準決勝で大阪に1−0とここまで無失点で勝ち上がってきた福岡と対戦した。「息詰まる投手戦」が予想された決勝は、岡山が2回表に7番・南方麻留実のタイムリーツーベース、4回表に相手守備の乱れ、6回表に5番・近藤温紀のタイムリーで1点ずつを挙げ、福岡のエース・山田玲菜から3得点。守っては、ここまで2試合を投げ抜いてきた田内愛絵里が5安打されながらも、福岡の反撃を1点に凌ぎ、3試合連続の完投勝利。初の頂点へ登り詰めた。

 また、今回の国体でも、成年女子の部の2日目、試合終了後に紀の川市粉河運動場で、宇津木妙子氏(公益財団法人日本ソフトボール協会副会長・国際委員長/シドニーオリンピック、アテネオリンピック女子日本代表ヘッドコーチ)を講師に、伊藤幸子氏(北京オリンピック金メダリスト)、峰幸代氏(北京オリンピック金メダリスト)、和歌山県成年女子チームがアシスタントとなり、地元の小・中学生を対象に「ソフトボール教室」を実施。

 「ソフトボール教室」では、宇津木妙子氏が女子日本代表ヘッドコーチ時代と変わらぬ率先垂範、陣頭指揮に立つ「熱血指導」でウォーミングアップから直々に指導。子どもたちと一緒になってグラウンドを駆け回った。技術指導では、宇津木妙子氏がキャッチボールの指導から、基本中の基本を伝授し、守備・打撃については伊藤幸子氏、峰幸代氏が中心となって技術指導。最後は宇津木妙子氏の「代名詞」でもある「速射砲ノック」の洗礼を受け、子どもたちだけではなく、その場に居合わせた指導者たちにも容赦のないノックの雨が浴びせられ、汗と泥にまみれながら無心でボールを追いかける姿に、子どもたちが歓声を上げる一幕もあった。

 男女4種別が3日間にわたり熱戦を繰り広げ、今回は愛知・愛媛の男女総合優勝、福岡の女子総合優勝という結果で幕を閉じた第70回国民体育大会(ソフトボール競技)。開催地の行政や関係者の苦労はもちろんのこと、大会を「盛り上げ」、「成功させる」ために、この国体の開催にあたっては、長年たくさんの人々が思いを込め、力を注ぎ、準備を進めている。来年は岩手へと「国体」の舞台が移される。そこでまた、新たな歴史の一頁が刻まれ、人々の記憶に残る大会となることを切に願いたい。