2015.4.8
 

 

アジアにおける
ソフトボールのさらなる
普及・強化をめざして……
インドネシア代表チームが来日!




インドネシア男子代表チームが来日!

  昨年末、シンガポールで開催された「第14回世界男子選手権大会アジア地区予選」では、スタッフ・選手総出でクリニックを行った



3月の「第5回アジア女子ジュニア選手権大会」でも日本選手団・団長の宇津木妙子氏が参加国の選手を集め、「熱血指導」



インドネシア男子代表チームは、まず大学男子ソフトボール界の「名門」にして「強豪」日本体育大と6試合のテストマッチを行った



試合だけでなく、「ジャパニーズスタイル」での合同練習を行う等積極的に交流。ソフトボールのさらなる普及・発展につなげたい!



インドネシア男子代表チームは、東京理科大・野田キャンパスで開催された「第17回千葉オープン・チャレンジカップ」にも参加



大会を視察する竹島正隆常務理事(左)と井之上哲夫理事。
アジアにおけるソフトボール競技の普及・強化に取り組む



インドネシア男子代表チームは、関東近郊の強豪大学チームを相手に、予選ブロック・決勝ブロックとも全勝。見事優勝を飾った



アジアの「仲間」たちとともに……
手を携え、進んでいかなければならない!



※画像・資料提供:日本体育大、東京理科大、千葉県ソフトボール協会


インドネシア男子代表チーム来日

 去る3月18日(水)〜27日(金)、インドネシア男子代表チームが来日。大学男子ソフトボール界の名門・日本体育大、東京理科大を転戦し、両国の親善・交流を深めるとともに、互いのレベルアップにつなげようとテストマッチや合同練習を実施した。
 これは公益財団法人日本ソフトボール協会が推し進めている「アジアにおけるソフトボールの普及・強化」の一環として実現したもので、昨年末にシンガポールで開催された「第14回世界男子選手権大会アジア地区予選」の際にも、チームスタッフ・選手総出で参加国にソフトボールクリニックを実施。
 3月16日(月)〜20日(金)、タイで開催された「第5回アジア女子ジュニア選手権大会」でも、日本選手団の宇津木妙子団長(ISF/国際ソフトボール連盟アジア地区副会長、SCA/アジアソフトボール連盟第1副会長、公益財団法人日本ソフトボール協会副会長)が陣頭指揮を執り、率先してソフトボールクリニックを実施するなど、両大会に参加し、圧倒的な強さで優勝を飾る傍ら、「アジア全体のソフトボールのレベルアップを図り、ソフトボール競技を盛り上げ、さらなる普及・発展につなげていこう」との方針のもと、積極的な普及活動を展開している。

 今回のインドネシア男子代表チームの来日も、その趣旨に則ったものであり、3月18日(水)、成田空港に到着すると、まず大学男子ソフトボール界の名門・日本体育大の胸を借り、テストマッチと合同練習を実施。
 さすがに日本の「トップレベル」にある日本体育大とは「力の差」があり、1−10、2−5、1−8、0−1、0−8、0−9と大差で敗れる試合が多く、1勝も挙げることはできなかったが、試合以外にも「ジャパニーズスタイル」の練習を一緒に行うなど、この機会に少しでも「日本の良さ」「日本の強さ」を学び、貪欲に吸収しようという意欲的な姿勢が感じられた。

 3月22日(日)には、日本体育大で合同練習を終えた後、千葉県野田市の東京理科大・野田キャンパスへ移動。翌日、東京理科大とのテストマッチと合同練習を行った後、翌24日からは、東京理科大・野田キャンパスで開催された「第17回千葉オープン・チャレンジカップ・ソフトボールフェスティバル」に参加。より多くの試合を経験したいとのインドネシアチームの意向・提案もあり、A・B2チームを編成し、大会に出場することになった。
 大会には、関東学生連盟所属の千葉大、東京理科大、文教大、茨城大、都留文科大、東京都大学連盟所属の学習院大、国士舘大、専修大、東京学芸大に、北海道・東北地区から東北大が参加。インドネシアA・Bを含めた12チームにより、熱戦が繰り広げられた。
 この大会は、千葉県協会の「審判員研修会」を兼ねて開催されていることもあり、千葉県協会の理事長であり、公益財団法人日本ソフトボール協会理事でもある井之上哲夫氏や「第14回世界男子選手権大会アジア地区予選」で日本選手団の団長を務めた竹島正隆常務理事、選手強化本部長でもある三宅豊常務理事らが視察に訪れるなど、「アジア重視」の協会方針、アジアにおけるさらなる普及・強化への「強い思い」が感じられた。

 大会初日(24日/火)、予選Aブロックに振り分けられたインドネシアAチームは、東北大に21−2で大勝。続く文教大との対戦も10−1で勝利を収め、Aブロック1位で決勝ブロックへと駒を進めた。
 一方、予選Bブロックに出場したインドネシアBチームは、初戦で「ホストチーム」東京理科大と対戦。3−3の同点のまま、決着がつかず、抽選の結果、東京理科大の抽選勝ちとなり、3位決定戦へと回り、茨城大に14−4と大勝。Bブロック3位で決勝ブロックへ進むことになった。

 大会最終日(25日/水)、インドネシアAチームは、A・B・C各ブロックの1位チームが集まる第Tブロックで、まず予選Bブロック1位で勝ち上がってきた東京学芸大と対戦。12−4で快勝すると、決勝では予選Cブロック1位の学習院大を8−1で撃破。見事優勝を飾った。
 インドネシアBチームは、第Uブロックの初戦で予選Aブロック3位の国士舘大と対戦。惜しくも3−5で敗れ、3位決定戦に回り、予選Cブロック2位の千葉大に6−2で快勝し、第Uブロック3位で大会を終えた。

 インドネシア男子代表チームは、2009年の「第12回世界男子選手権大会」、2012年の「第13回世界男子選手権大会」と2大会連続でアジア地区第3代表として本大会に出場。日本、フィリピンに続く、「第3の勢力」ではあるものの、本大会では2大会連続で予選リーグ7戦全敗の最下位に終わっており、まだ本大会での勝利がない。
 ただ、ここ数年は積極的に日本との交流を行い、レベルアップを図っており、昨年末の「第14回世界選手権大会アジア地区予選」では、予選リーグでフィリピンを破るなど、徐々にその成果を発揮しつつある。

 日本にとっても、このところアジアでは「敵なし」「一人勝ち」の状態が続いているが、世界選手権本大会では、2000年の第10回大会で「王者」ニュージーランドと死闘を演じ、ファイナリスト(決勝進出・準優勝)となり、延長の末敗れ、限りなく「世界一」に近づいたのを最後に、その後は3大会連続で「5位の壁」を越えられずにいる。
 こういった現状を打破していくためには、やはり身近に競い合っていくような「ライバル」が必要で、日本と対等に戦える相手があってこそ、アジア全体のソフトボールのレベルアップやソフトボール競技全体の盛り上がりが生まれるはずである。

 また、チームだけでなく、審判や記録の分野でも、「日本にぜひアジアの審判長、記録長をやってほしい」というSCA(アジアソフトボール連盟)の要請・要望もあり、英語が堪能で、コミュニケーション能力の高い審判員、記録員を養成しようという機運も生まれている。
 特に、記録委員会からは、「日本からアジアの、ひいては世界の、記帳方法の『統一規格』を発信し、記録員の国際資格を創設したい」との意欲的な声が聞こえてくる。

 アジア各国からの指導者派遣要請はひきもきらず(現在は日本人を狙った国際テロが多発していることもあり、派遣は見合わせている)、インドネシアは女子の代表チームも4月下旬から5月上旬(4月27日/月に来日。5月7日(木)帰国予定)にかけて来日することが決まっており、山梨、埼玉、東京を転戦。関東学生春季リーグに参戦する計画も進められている。
 さらには、シンガポール女子代表チームの来日についても調整が進められており、シーゲームズ(東南アジア競技大会)に宇津木妙子副会長が出向いての、ソフトボールクリニックの実施が計画されるなど、活発な動きを見せている。

 2020年東京オリンピックでの野球・ソフトボールの実施種目を入りが現実味を帯び、オリンピック競技として「復活」するためにはもちろんのこと、さらにその先を見据えれば、アジアにおけるソフトボールのさらなる普及・発展を進めていかなければならないのは、「自明の理」である。
 また、オリンピック競技に「復活」することは、ソフトボール競技にとって大きな「起爆剤」となることは間違いないが、それがすべての問題を解消してくれる「魔法の薬」「特効薬」ではないことも認識しなければならない。
 なすべきことを地道にしっかりと。積み重ねたものがやがては実りを迎える。オリンピック競技から「除外」されるという稀有な経験をした競技団体だからこそ、その悲哀を嫌というほど味わった身だからこそ、オリンピック競技であることの大切さや重要性がわかるはずである。二度とその「悲劇」を繰り返さないためにも、しっかりと大地に根を張った、多少の風雨にはびくともしない丈夫な幹を育てるべく、真摯な取り組みを続けていくことを忘れてはならない。