2015.5.15
アジアに広がる
ソフトボールの「輪」
シンガポール女子代表チーム来日!
歓迎の挨拶を述べる宗宮孝生揖斐川町長
「ホスト国となる『シーゲームズ2015』ではぜひ優勝を!」と
激励する(公財)日本ソフトボール協会・煖エ清生専務理事
シンガポール女子代表チームが来日!
日本女子リーグ2部の大垣ミナモソフトボールクラブをはじめ、
岐阜県下のチームを中心にテストマッチを行い、強化に励んだ
テストマッチだけではなく、技術指導や合同練習も行い、
「ジャパニーズスタイル」の技術習得に取り組んだ
いつの日か、この交流が大きな花を咲かせ、実を結ぶことを信じて……
※取材協力・画像提供:揖斐川町、岐阜県ソフトボール協会、大垣ミナモソフトボールクラブ
去る5月8日(金)〜17日(日)、インドネシアの男女代表チームに続き、シンガポール女子代表チームが来日。岐阜県揖斐川町を拠点に強化に励んだ。
岐阜県揖斐川町は、2012年に開催された「ぎふ清流国体」ソフトボール競技・少年女子の部の会場地となったところであり、翌2013年には「ぎふ清流国体開催記念・第2回東アジアカップ」を開催する等、「ソフトボールの町」として知られている。また、毎年「春の風物詩」となっている「全国高校女子ソフトボール選抜いび川大会」を、20年近く開催を続ける等、ソフトボールが盛んで縁のある土地柄でもある。
来日直後の歓迎セレモニーでは、宗宮孝生揖斐川町長が、「アジアの大切な『仲間』であるシンガポール女子代表チームを、ここ揖斐川町に迎えることができ、大変嬉しく思っています。揖斐川町は、ソフトボールが非常に盛んな町であり、過去国体の会場地となり、国際大会の開催も経験している町でもあります。シンガポール女子代表チームの皆さんには、ここ揖斐川町でソフトボール技術の向上・研鑽に努めるとともに、日本の豊かな自然と文化に触れ、両国の親善・交流を深めていただければと願っています」と歓迎の言葉を述べた。
公益財団法人日本ソフトボール協会の専務理事でもあり、地元・岐阜県ソフトボール協会の理事長でもある煖エ清生専務理事は、「シンガポール女子代表チームは、来月、自国・シンガポールで開催される『シーゲームズ2015』(第28回東南アジア競技大会:2年に一度開催される東南アジア11カ国(タイ、ミャンマー、マレーシア、シンガポール、ラオス、ベトナム、フィリピン、インドネシア、ブルネイ、カンボジア、東ティモール)が参加し、36競技が実施されるオリンピック、アジア競技大会のような総合競技大会。ソフトボール競技には、男女とも、シンガポール、インドネシア、フィリピン、タイ、マレーシアの5カ国が参加し、6月6日(土)〜10日(水)の5日間、開催される)での優勝をめざしていると聞いています。どうかこの機会に、日本のチームと親善・交流を深めるとともに、互いの競技力向上、レベルアップに努め、自国開催での優勝という大きな『目標』が達成されることを心より祈念しております」と、「一大イベント」の開催を目前に控えたシンガポール女子代表チームを激励した。
翌9日(土)から親善・交流のテストマッチを中心に、「強化」に励み、まず岐阜女子高と対戦。翌日(10日/日)は、日本女子リーグ2部の大垣ミナモソフトボールクラブ、立命館大とテストマッチを行った。
1日オフを挟み、12日(火)は大垣ミナモソフトボールクラブの「オリンピアン」でもある伊藤良恵監督(2000年シドニーオリンピック銀メダリスト、2004年アテネオリンピック銅メダリスト)、小林良美コーチ(2000年シドニーオリンピック銀メダリスト、2004年アテネオリンピックでは「日本代表」のコーチを務める)他、選手6名による技術指導を実施。「日本の技術」を少しでも習得しようと、懸命に取り組む姿が見られた。
13日(水)は岐阜経済大、翌14日(木)は大垣ミナモソフトボールクラブと合同練習。ただ試合を行うだけではなく、「世界の頂点」に立つ日本の技術を習得し、「ジャパニーズスタイル」の練習方法を一緒に行うことで、「どうやったら上手くなれるのか」「どうやったら強くなれるのか」を、身をもって体験。「日々の練習に生かすことができれば……」と貪欲に吸収する姿勢が見られた。
15日(金)は「もう少し実戦を行い、練習の成果を試してみたい」とのシンガポール側のリクエストがあり、岐阜県ソフトボール協会と揖斐川町が対戦相手を探して奔走。その尽力により、急遽、本巣松陽高、岐阜NEXUSと試合を行えるようマッチメイク。放課後のナイトゲームで実戦経験を積み、翌16日(土)には岐阜経済大と「総仕上げ」となるテストマッチを行い、17日(日)帰国の途についた。
先に来日したインドネシア男女代表チームにしても、今回のシンガポール女子代表チームにしても、現時点では、技術的には「まだまだ」で、日本とは大きな差があると言わざるを得ない状態にある。
ただ、ソフトボールを心から楽しみ、「上手くなりたい」「強くなりたい」といった探究心、取り組む姿勢には、むしろ日本にも学ぶべきものがあり、いつの日か、こういった交流が実を結ぶ日が来るはずである。
その歩みは、今のところ決して力強いものではなく、ともすれば「忘れ去られてしまう」心配すら伴うか細く、弱いものではあるが、アジアの各国に「ソフトボールの息吹」は確かに感じられる。これをしっかりと育て、強く、たくましいものにしていくには、「日本の力」が必要なのである。
アジアの「リーダー」として、「仲間たち」の先頭に立ち、時には手を差し伸べ、背中を押してあげなければならない段階にある。その意味でも、こういった機会をもっともっと作っていかなければならないし、日本にアジアの仲間を迎えるだけではなく、日本がアジアに出向き、「本物」のソフトボールを、アジア各国の皆さんに見せ、伝え、感じてもらう機会を作ることも必要だろう。
アジアにおけるソフトボールの「普及・強化」へ……日本の果たすべき役割は非常に大きなものがあり、そのための「歩み」を決して止めてはならない。