第41回 日本女子ソフトボール1部リーグ決勝トーナメント     (2008.11.10)


ルネサス高崎が3年ぶりに王座を奪還!

「リーグチャンピオン」の座をかけた、
熱戦が繰り広げられた

初の決勝トーナメント出場を
果たしたデンソーだったが……
 豊田自動織機の前に敗北

王者の意地を見せた豊田自動織機が決勝に進出

リーグ戦2位で決勝トーナメントに臨んだ
日立ソフトウェアは、無念の連敗

決勝戦、先制のソロ本塁打を放った
ルネサス高崎・三科真澄

ルネサス高崎、歓喜の瞬間!
エース・上野由岐子は決勝で
ノーヒット・ノーランを達成した

豊田自動織機・ミッシェル・スミスは
16年間の現役生活にピリオド

‘96年のアトランタ、‘00年のシドニーオリンピックで
2大会連続の金メダルを獲得
        アメリカの「至宝」は最後まで全力プレーを見せた

「Back Softball」実現に向けて……
!本当の戦いはこれからだ

ルネサス高崎、3年ぶりの王座奪還!

 第41回日日本女子ソフトボールリーグ1部リーグ決勝トーナメントが、11月8日(土)・9日(日)の2日間にわたり、京都府京都市・西京極野球場において開催され、ルネサス高崎が3年ぶりに王座を奪還。「頂点」に返り咲いた。
 決勝トーナメントには、今シーズンの日本女子1部リーグ、リーグ戦上位4チーム(1位・ルネサス高崎、2位・日立ソフトウェア、3位・デンソー、4位・豊田自動織機)が出場。試合は、ページシステム(敗者復活戦を含むトーナメント)によって行われ、「リーグチャンピオン」の座をかけた熱戦が繰り広げられた。
 大会は、まず初日の第1試合にデンソー(リーグ戦3位)と豊田自動織機(リーグ戦4位)が対戦。試合は、デンソー・増淵まり子、織機・ミッシェル・スミスの先発で開始された。
 デンソーは2回表、二死一・二塁のチャンスに9番・松本尚子の右前タイムリーで先制。試合の流れをつかむかと思われたが、リーグ「3連覇」を狙う織機が3回裏に反撃。二死二・三塁から4番・小森の右越2点タイムリーで逆転に成功した。
 1点を追うデンソーは5回表、2本の安打などでチャンスを作ると、打席には4番・東美幸。自らの失策がきっかけとなった3回裏の失点の「汚名返上」を誓う主将が、意地のスリーランを叩き込み再逆転。逆に2点のリードを奪った。
 しかし、迎えた6回裏、再び試合が動く。織機はデンソーの2番手・染谷美佳を攻め、6番・クリスティン・リベラのソロ本塁打で1点差に詰め寄ると、さらに安打、失策などで二死二・三塁とし、2番・本田小百合の2点タイムリーでこの回一挙3点を挙げ、逆転に成功。王者の“意地”ともいえる土壇場での勝負強さを発揮し、逆転勝利を飾った。
 2試合目には、今シーズンリーグ戦を20勝2敗と文句なしの1位で終えたルネサス高崎が登場。同じく今シーズン好調な戦いぶりを見せた日立ソフトウェア(リーグ戦2位)と対戦した。
 ソフトウェアは2回表、北京オリンピック日本代表の主砲でもある4番・馬渕智子がルネサス・上野由岐子の自慢の速球を鋭く振り抜き、先制の左越ソロ本塁打。試合はこの後、先発・藤原麻起子がコーナーを丁寧に突いた、テンポの良いピッチングでルネサスに得点を許さず、1−0とソフトウェアリードのまま、終盤を迎えた。
 反撃に出たいルネサスは5回裏、一死一・二塁から3番・岩渕有美の右前タイムリーでついに同点に追いつくと、なおも二死二塁から4番・峰幸代のタイムリーでこの回2点目を挙げ、逆転。これが決勝点となり、ルネサスがまず決勝進出を決めた。
 大会2日目は、まず初日の1位・2位戦で敗れた日立ソフトウェアと、3位・4位戦で勝利した豊田自動織機が決勝進出をかけ、対戦した。
初日の逆転勝利で勢い乗る織機は2回裏、ソフトウェア先発・藤原麻起子を攻め、2点を先制。守っては、先発・ミッシェル・スミスがチームを奮い立たせる「気迫」の力投で試合を有利に進めると、4回裏にも、7番・田中幹子、8番・白井沙織の連続タイムリーで2点を追加。今シーズン好調な戦いぶりで決勝トーナメントまで勝ち進んできたソフトウェアに、王者の「底力」を見せつけ、決勝で待ち構えるルネサス高崎との決勝戦へ駒を進めた。
 決勝戦では、「世界一の投手」上野由岐子を擁し、今シーズン快進撃を見せたルネサス高崎と、リーグ「3連覇」を狙う豊田自動織機が激突。
 試合は、今年北京オリンピックで金メダルを獲得したルネサス・上野由岐子と、過去にアメリカ代表として‘96年のアトランタ、‘00年のシドニーオリンピックで2大会連続の金メダルを獲得した織機・ミッシェル・スミスが、互いの“意地とプライド”をかけた投げ合いを展開。両チーム無得点のまま試合は終盤を迎えた。
 ルネサスは5回表、二死から1番・三科真澄が左中間にソロホームランを叩き込み、ついに均衡を破ると、なおも二つの四球と安打で二死満塁と攻め立て、5番・西舘果里の走者一掃の左越タイムリーで3点を追加。この回一挙4点を挙げる集中打で、ここまで力投を続けてきた織機・ミッシェル・スミスをとうとうマウンドから引きずりおろした。完全に試合の流れをつかんだルネサスは、7回表にも代わった織機・宮本直美から3点を奪い、計7点を奪う猛攻で圧勝。
 守っては、「世界一の投手」上野由岐子がその名の通り貫録のピッチングを見せ、自慢の速球を主体に、ライズ・ドロップ・チェンジアップを巧みに織り交ぜた投球術で織機打線に最後まで的を絞らせず、今シーズン最後の大一番を見事ノーヒット・ノーラン(投球数83・三振6・内野ゴロ9・内野飛4、外野飛2、四球1)で締めくくった。
 ルネサス高崎は3年ぶり7度目の日本リーグ優勝。4月から開幕したリーグ戦の勢いそのままに、文句なしの「王座奪還」を果たした。
この決勝トーナメントでも優勝の原動力になったのは、やはり“エース・上野由岐子”。試合後の会見では、「来年はもちろん日本リーグの連覇を狙いますし、全日本総合選手権の7連覇にも挑戦したいです」と力強くコメントするなど、今後もソフトボールに情熱を注いでいくことを明らかにした。
 また、織機・ミッシェル・スミスが今シーズンを最後に16年間の現役生活にピリオド。‘96年のアトランタオリンピック、‘00年のシドニーオリンピックで王者・アメリカの大黒柱として2大会連続の金メダルを獲得し、日本ソフトボールのレベルアップにも貢献してきた至宝が、大観衆の拍手に見送られながら、一つの時代に幕を下ろした。
 今シーズン、北京オリンピックでの悲願の金メダル獲得にはじまった、空前のソフトボール人気。その道を切り開いた日本代表選手たちの活躍、また、上野由岐子という「真のスター」の出現は、ソフトボールを愛する多くの人々の夢をつないでいくための“大きな希望”となった。時代の流れの中で必ず繰り返される世代交代。今年は、日本ソフトボールリーグにとっても転機の時期であったといえるだろう。
 しかし、この“挑戦”はまだまだはじまったばかり……。 この人気がいつまでも続いていく保証はない。「ソフトボールの真の魅力」を伝える。何よりも選手たちには、たくさんの人々にそれを伝えていかなければならない使命がある。「Back Softball」実現に向けて、本当の戦いはこれからである!