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首位を快走するトヨタ。無傷の開幕11連勝で
前半戦を折り返し、独走態勢に入りつつある
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「本職」はもちろん打撃面でも「得点源」となって
いるルネサス・上野。チーム浮沈のカギを握る
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第4節でルネサスに快勝し、「首位浮上か!?」と
期待された織機。今節「まさか」の連敗を喫した
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誘電・伊藤美幸は6失点、4失点と打たれながらも
「粘り」のピッチングで2試合連続の完投勝利を挙げた
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開幕9連敗と泥沼に喘いでいた大鵬。強豪・織機を
相手に、嬉しい今シーズン初勝利を挙げ、今節連勝!
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第2節で連勝して以来、勝ち星のない戸田。チームは
元気でまとまりがあり、よく戦っているのだが……。
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後半戦へ向け、気分一新! 新たな気持ちで戦いを!!
「Stop The TOYOTA」を果たすのはどのチームか??
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トヨタ自動車、強し!
破竹の開幕11連勝で独走態勢へ!!
第43回日本女子ソフトボール1部リーグの「前半戦」を締め括る第5節が、5月29日(土)・30日(日)の両日、山口県柳井市、千葉県習志野市、富山県高岡市において開催された。
前節まで開幕9連勝を飾り、「連勝街道」を突っ走るトヨタ自動車が今節も連勝。開幕からの連勝を「11」に伸ばし、「独走態勢」に入りつつある。
前節まで開幕9連勝を飾り、勢いに乗るトヨタ自動車は、富山県高岡市・城光寺野球場を会場に開催された富山大会に登場。初日の戸田中央総合病院戦では、2回表に守備のミスから1点を失い、中盤までリードを許す試合展開となったが、「チームリーダー」伊藤幸子のレフト線へのツーベースで反撃の口火を切ると、鈴木美加、渥美万奈、ナターシャ・ワトリーの三者連続のホームランで一挙6点を挙げ、逆転。7−1で勝利を収めると、続く豊田自動織機戦も初回からエンジン全開。豊田自動織機・ケイティ・バークハートの立ち上がりを容赦なく攻め、藤野遥香のタイムリー、伊藤幸子のツーランでアッという間に3点を先制し、試合の主導権を握ると、3回表にも伊藤幸子、小野真希、鈴木美加が相次いでタイムリーを放ち、大量5点を追加、上位争いの「ライバル」との直接対決で「強さ」を見せつけ、8−0で圧勝。開幕からの連勝を「11」に伸ばし、独走態勢に入りつつある。
一方、前節で「世界一の投手」上野由岐子を攻略し、ルネサスエレクトロニクス高崎から貴重な勝ち星を挙げ、今節で「首位浮上か!?」と期待された豊田自動織機は、今節初戦の大鵬薬品戦に「まさか……」の完封負け。今シーズンの開幕から勝ち星なしの9連敗と低迷していた大鵬薬品の梅津佳奈子、小澤芙美子、井俣茉莉の小刻みな継投に翻弄され、打線が沈黙。終盤6回裏に、大鵬薬品の「主砲」山崎由利に決勝タイムリーを浴び、0−1の完封負けを喫した。続くトヨタ自動車戦では、「エース」ケイティ・バークハートを先発に立て、「必勝態勢」で臨んだが、ライズに的を絞ったトヨタ打線の鮮やかな先制攻撃に屈し、いいところなく大敗。首位浮上どころか、手痛い連敗を喫し、首位争いから大きく後退。むしろ決勝トーナメント進出がかかる「4位の座の確保」を心配しなければいけない状況になってしまった。
前節まで開幕9連敗と元気のなかった大鵬薬品は、強豪・豊田自動織機に1−0の完封勝ちを収め、嬉しい今シーズン初勝利を挙げると、続く戸田中央病院戦も壮絶な打撃戦を制し、9−7と競り勝ち、今節連勝。「最下位は決まりか!?」の澱んだ空気を一掃し、1部残留を巡る争いもさらに激化の一途を辿りそうな気配だ。
前節まで通算7勝2敗で豊田自動織機と同率2位のルネサスエレクトロニクス高崎は、山口県柳井市・ビジコム柳井スタジアムを会場に開催された山口大会に登場。今節初戦の佐川急便戦では蔭山遥香のヒットエンドランで挙げた1点を、メラニー・ローチ、上野由岐子の投手リレーで守り切り、1−0で勝利を収めると、続くデンソー戦は「世界一の投手」上野由岐子がデンソー打線を寄せつけず、毎回の7三振を奪う力投。打線も山本優のホームランなどで2点を奪い、「エース」の力投を援護。派手さはないが確実に白星を積み重ね、今節も連勝。通算9勝2敗で単独2位となった。
2年ぶりの決勝トーナメント進出をめざすデンソーは、初戦の伊予銀行戦は初回から打線が爆発。東美幸、松本尚子のホームランなどで大量5点を先制すると、3回表にも連打で2点を加え、7回表には新崎涼子の満塁ホームランが飛び出し、ダメ押しの4点を追加。11−0で大勝し、ルネサスエレクトロニクス高崎との一戦に臨んだが、この試合では、「世界一の投手」上野由岐子に完全に抑え込まれ、0−2の完封負け。今節1勝1敗で星を伸ばせず、通算6勝5敗で同率5位。なかなか「決勝トーナメント進出圏内」に入ることができずにいる。
千葉県習志野市・秋津野球場を会場に開催された千葉大会には、第4節終了時点で通算6勝3敗の4位につける日立ソフトウェアが登場。初戦のシオノギ製薬戦では、持ち前の「強力打線」が威力を発揮。大量11点を挙げ、藤原麻起子、瀬川絵美の投手リレーでシオノギ製薬打線を完封。11−0で大勝したが、続く太陽誘電戦は、4回表に「エース」藤原麻起子が太陽誘電打線につかまり、一挙5点を失う苦しい試合展開。4回裏に押し出しで1点を返し、5回裏に「主砲」馬渕智子が追撃のツーラン。6回裏にも西山麗のタイムリーで1点を返し、1点差に詰め寄ったが、7回表には4回途中から好投していた左腕・山中しほが守備の乱れから満塁のピンチを招き、2点タイムリーを浴び、万事休す。4−7で敗れ、今節1勝1敗と星を伸ばせず、通算7勝4敗の4位と順位は変わらず。今後の展開を考えれば、下位チームとの対戦となる今節は、連勝で「貯金」を増やしておきたいところだったが……。
この第5節で前半戦を終了したが、結果が示す通り、トヨタ自動車の「強さ」「チーム力の充実」ばかりが目立つ前半戦であった。モニカ・アボット、ナターシャ・ワトリーと投打に「現役アメリカ代表」の実力者を配し、チームの「核」になる選手がいることは、もちろん強みだが、チームの「精神的支柱」であり、文字通り「チームリーダー」としてチームを引っ張る伊藤幸子の存在が大きい。チーム一の大ベテランが常にユニフォームを真っ黒にしながらプレーする姿には心を打たれる。また、昨年の日本リーグ、全日本総合選手権で、ほぼ手中に収めていた「優勝」を逃した悔しさも、今シーズンの「強さ」につながっている。今のところ、首位を快走するトヨタ自動車に「死角」は見当たらない。
破竹の勢いで快進撃を続けるトヨタ自動車を止めるのは、どのチームか。決勝トーナメント導入以来、初の「3連覇」を狙う「王者」ルネサスエレクトロニクス高崎か? 攻守に豊富なタレントを抱える豊田自動織機、日立ソフトウェアの「逆襲」があるのか?? あるいは、第5節の大鵬薬品のように、突然「覚醒」し、首位争い・上位争いをかき回す、「台風の目」となるようなチームが出現するのか??? どちらにしても「Stop The TOYOTA」が、各チームの後半戦の「合言葉」になりそうだ。
後半戦のスタートとなる第6節は、9月4日(土)・5日(日)の両日、愛知県豊田市・岩手県住田町・北海道函館市の3会場で開催される。
■第5節終了時、全チーム成績
1位 |
トヨタ自動車 |
11勝0敗 |
2位 |
ルネサスエレクトロニクス高崎 |
9勝2敗 |
3位 |
豊田自動織機 |
8勝3敗 |
4位 |
日立ソフトウェア |
7勝4敗 |
5位 |
デンソー |
6勝5敗 |
〃 |
佐川急便 |
6勝5敗 |
7位 |
太陽誘電 |
5勝6敗 |
〃 |
Honda |
5勝6敗 |
9位 |
伊予銀行 |
3勝8敗 |
10位 |
シオノギ製薬 |
2勝9敗 |
〃 |
戸田中央総合病院 |
2勝9敗 |
〃 |
大鵬薬品 |
2勝9敗 |
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