第43回 日本女子ソフトボール1部リーグ第5節
     

(2010.5.31) 

 

首位を快走するトヨタ。無傷の開幕11連勝で
前半戦を折り返し、独走態勢に入りつつある

「本職」はもちろん打撃面でも「得点源」となって
いるルネサス・上野。チーム浮沈のカギを握る

第4節でルネサスに快勝し、「首位浮上か!?」と
期待された織機。今節「まさか」の連敗を喫した

誘電・伊藤美幸は6失点、4失点と打たれながらも
「粘り」のピッチングで2試合連続の完投勝利を挙げた

開幕9連敗と泥沼に喘いでいた大鵬。強豪・織機を
相手に、嬉しい今シーズン初勝利を挙げ、今節連勝!

第2節で連勝して以来、勝ち星のない戸田。チームは
元気でまとまりがあり、よく戦っているのだが……。

後半戦へ向け、気分一新! 新たな気持ちで戦いを!!
「Stop The TOYOTA」を果たすのはどのチームか??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トヨタ自動車、強し!
破竹の開幕11連勝で独走態勢へ!!

 第43回日本女子ソフトボール1部リーグの「前半戦」を締め括る第5節が、5月29日(土)・30日(日)の両日、山口県柳井市、千葉県習志野市、富山県高岡市において開催された。
 前節まで開幕9連勝を飾り、「連勝街道」を突っ走るトヨタ自動車が今節も連勝。開幕からの連勝を「11」に伸ばし、「独走態勢」に入りつつある。

 前節まで開幕9連勝を飾り、勢いに乗るトヨタ自動車は、富山県高岡市・城光寺野球場を会場に開催された富山大会に登場。初日の戸田中央総合病院戦では、2回表に守備のミスから1点を失い、中盤までリードを許す試合展開となったが、「チームリーダー」伊藤幸子のレフト線へのツーベースで反撃の口火を切ると、鈴木美加、渥美万奈、ナターシャ・ワトリーの三者連続のホームランで一挙6点を挙げ、逆転。7−1で勝利を収めると、続く豊田自動織機戦も初回からエンジン全開。豊田自動織機・ケイティ・バークハートの立ち上がりを容赦なく攻め、藤野遥香のタイムリー、伊藤幸子のツーランでアッという間に3点を先制し、試合の主導権を握ると、3回表にも伊藤幸子、小野真希、鈴木美加が相次いでタイムリーを放ち、大量5点を追加、上位争いの「ライバル」との直接対決で「強さ」を見せつけ、8−0で圧勝。開幕からの連勝を「11」に伸ばし、独走態勢に入りつつある。
 一方、前節で「世界一の投手」上野由岐子を攻略し、ルネサスエレクトロニクス高崎から貴重な勝ち星を挙げ、今節で「首位浮上か!?」と期待された豊田自動織機は、今節初戦の大鵬薬品戦に「まさか……」の完封負け。今シーズンの開幕から勝ち星なしの9連敗と低迷していた大鵬薬品の梅津佳奈子、小澤芙美子、井俣茉莉の小刻みな継投に翻弄され、打線が沈黙。終盤6回裏に、大鵬薬品の「主砲」山崎由利に決勝タイムリーを浴び、0−1の完封負けを喫した。続くトヨタ自動車戦では、「エース」ケイティ・バークハートを先発に立て、「必勝態勢」で臨んだが、ライズに的を絞ったトヨタ打線の鮮やかな先制攻撃に屈し、いいところなく大敗。首位浮上どころか、手痛い連敗を喫し、首位争いから大きく後退。むしろ決勝トーナメント進出がかかる「4位の座の確保」を心配しなければいけない状況になってしまった。
 前節まで開幕9連敗と元気のなかった大鵬薬品は、強豪・豊田自動織機に1−0の完封勝ちを収め、嬉しい今シーズン初勝利を挙げると、続く戸田中央病院戦も壮絶な打撃戦を制し、9−7と競り勝ち、今節連勝。「最下位は決まりか!?」の澱んだ空気を一掃し、1部残留を巡る争いもさらに激化の一途を辿りそうな気配だ。

 前節まで通算7勝2敗で豊田自動織機と同率2位のルネサスエレクトロニクス高崎は、山口県柳井市・ビジコム柳井スタジアムを会場に開催された山口大会に登場。今節初戦の佐川急便戦では蔭山遥香のヒットエンドランで挙げた1点を、メラニー・ローチ、上野由岐子の投手リレーで守り切り、1−0で勝利を収めると、続くデンソー戦は「世界一の投手」上野由岐子がデンソー打線を寄せつけず、毎回の7三振を奪う力投。打線も山本優のホームランなどで2点を奪い、「エース」の力投を援護。派手さはないが確実に白星を積み重ね、今節も連勝。通算9勝2敗で単独2位となった。
 2年ぶりの決勝トーナメント進出をめざすデンソーは、初戦の伊予銀行戦は初回から打線が爆発。東美幸、松本尚子のホームランなどで大量5点を先制すると、3回表にも連打で2点を加え、7回表には新崎涼子の満塁ホームランが飛び出し、ダメ押しの4点を追加。11−0で大勝し、ルネサスエレクトロニクス高崎との一戦に臨んだが、この試合では、「世界一の投手」上野由岐子に完全に抑え込まれ、0−2の完封負け。今節1勝1敗で星を伸ばせず、通算6勝5敗で同率5位。なかなか「決勝トーナメント進出圏内」に入ることができずにいる。

 千葉県習志野市・秋津野球場を会場に開催された千葉大会には、第4節終了時点で通算6勝3敗の4位につける日立ソフトウェアが登場。初戦のシオノギ製薬戦では、持ち前の「強力打線」が威力を発揮。大量11点を挙げ、藤原麻起子、瀬川絵美の投手リレーでシオノギ製薬打線を完封。11−0で大勝したが、続く太陽誘電戦は、4回表に「エース」藤原麻起子が太陽誘電打線につかまり、一挙5点を失う苦しい試合展開。4回裏に押し出しで1点を返し、5回裏に「主砲」馬渕智子が追撃のツーラン。6回裏にも西山麗のタイムリーで1点を返し、1点差に詰め寄ったが、7回表には4回途中から好投していた左腕・山中しほが守備の乱れから満塁のピンチを招き、2点タイムリーを浴び、万事休す。4−7で敗れ、今節1勝1敗と星を伸ばせず、通算7勝4敗の4位と順位は変わらず。今後の展開を考えれば、下位チームとの対戦となる今節は、連勝で「貯金」を増やしておきたいところだったが……。

 この第5節で前半戦を終了したが、結果が示す通り、トヨタ自動車の「強さ」「チーム力の充実」ばかりが目立つ前半戦であった。モニカ・アボット、ナターシャ・ワトリーと投打に「現役アメリカ代表」の実力者を配し、チームの「核」になる選手がいることは、もちろん強みだが、チームの「精神的支柱」であり、文字通り「チームリーダー」としてチームを引っ張る伊藤幸子の存在が大きい。チーム一の大ベテランが常にユニフォームを真っ黒にしながらプレーする姿には心を打たれる。また、昨年の日本リーグ、全日本総合選手権で、ほぼ手中に収めていた「優勝」を逃した悔しさも、今シーズンの「強さ」につながっている。今のところ、首位を快走するトヨタ自動車に「死角」は見当たらない。
 破竹の勢いで快進撃を続けるトヨタ自動車を止めるのは、どのチームか。決勝トーナメント導入以来、初の「3連覇」を狙う「王者」ルネサスエレクトロニクス高崎か? 攻守に豊富なタレントを抱える豊田自動織機、日立ソフトウェアの「逆襲」があるのか?? あるいは、第5節の大鵬薬品のように、突然「覚醒」し、首位争い・上位争いをかき回す、「台風の目」となるようなチームが出現するのか???  どちらにしても「Stop The TOYOTA」が、各チームの後半戦の「合言葉」になりそうだ。
 後半戦のスタートとなる第6節は、9月4日(土)・5日(日)の両日、愛知県豊田市・岩手県住田町・北海道函館市の3会場で開催される。


第5節終了時、全チーム成績

1位 トヨタ自動車 11勝0敗
2位 ルネサスエレクトロニクス高崎 9勝2敗
3位 豊田自動織機 8勝3敗
4位 日立ソフトウェア 7勝4敗
5位 デンソー 6勝5敗
佐川急便 6勝5敗
7位 太陽誘電 5勝6敗
Honda 5勝6敗
9位 伊予銀行 3勝8敗
10位 シオノギ製薬 2勝9敗
戸田中央総合病院 2勝9敗
大鵬薬品 2勝9敗