2012.4.24
 

 

第45回日本女子ソフトボール1部リーグ第1節

王者・トヨタ自動車、開幕3連勝!
早くも単独首位に立つ!!

王者・トヨタ自動車が無傷の開幕3連勝!

戸田中央総合病院が今シーズン初勝利を挙げた
Hondaは開幕3連敗の苦しいスタートとなった

開幕前から下馬評の高かった太陽誘電。
上位争いの「ライバル」に快勝し、2勝1敗

地元で今シーズン初勝利を挙げたシオノギ製薬。
とにかく元気でハツラツとしたプレーが印象的!

佐川急便は2勝1敗と白星先行。今年こそ……
上位進出を狙う。積極的な戦いを期待したい!

1勝2敗と黒星先行の豊田自動織機。今シーズン
新加入のダニエル・ローリーの出来がカギを握る

太陽誘電戦で2打席連続本塁打を放った山田恵里。
ソフトウェアの「主砲」として気を吐いているが……
 
 

 第45回日本女子ソフトボール1部リーグ第1節が、4月21日(土)・20日(日)の両日、富山県射水市・兵庫県尼崎市・佐賀県嬉野市の3会場で開催された。

 今節は、全国的に悪天候となる予報もあり、開催が危ぶまれたが、各開催地の関係者の願いが天に通じたのか、あるいはソフトボールファンの「熱い」想いが悪天候を吹き飛ばしたのか、とにかく予定された全試合を無事終了することができた。

 先週の京都府京都市・わかさスタジアム京都での開幕節での結果を受け、初戦を勝利で飾ったチームはさらに連勝を伸ばそうと意気込み、初戦を落としたチームは早くその敗戦を取り戻そうと気合を入れ直し、それぞれの思惑を持って臨んだ第1節であった。

 今シーズン、決勝トーナメント制が導入されて以来、「初」となる3連覇を狙う「王者」トヨタ自動車は富山県射水市での「富山大会」に登場。開幕節で「ライバル」ルネサスエレクトロニクス高崎を延長タイブレーカーの末に破った勢いそのままに、今節も快調に連勝。
 今節初戦の戸田中央総合病院戦は、戸田中央総合病院がエース・李Lの登板を回避したこともあり、先発の田家由里を立ち上がりから攻め、開幕節でルネサスエレクトロニクス高崎・上野由岐子と「名勝負」を演じ、サヨナラヒットを放ったナターシャ・ワトリーがいきなり二遊間を破るヒットで出塁すると、2番・鈴木美加が手堅く送り、走者を得点圏へ進め、昨シーズンの日本リーグ「二冠王」長楓]未が一・二塁間を破るタイムリー。「若き天才打者」の先制打で試合の主導権を握ると、2回裏には1番・ナターシャ・ワトリーが満塁本塁打を放ち、早くも大量5点をリード。序盤で試合を決めてしまった。
 守っては、先発・山根佐由里、上村さつきとつなぐ投手リレーで戸田中央総合病院打線を完封。8−0で大勝し、今シーズン2勝目を挙げた。
 続くデンソー戦は、デンソーのルーキー・近藤光を打ちあぐね、5回途中まで無得点に抑えられ、代わったジョーダン・テーラーからも得点を奪えず、両チーム無得点のまま、延長タイブレーカーに突入。延長9回表、渥美万奈の犠牲フライ、「頼れるキャプテン」渡邉華月のタイムリーで2点を挙げ、粘るデンソーを振り切り、2−0の完封勝利。開幕からの連勝を「3」に伸ばし、早くも単独首位に立った。
 一方、この試合に敗れたデンソーは2勝1敗。今節初戦のHonda戦では、永吉理恵、メーガン・ウィギンズの本塁打を含む11安打・11得点と打線が爆発。11−1と大勝し、「王者」トヨタ自動車に挑んだ。女子U16日本代表に選ばれ、2009ユースワールドカップで「世界一」を経験した「ルーキー」左腕・近藤光が、トヨタ自動車を5回途中まで無得点に抑え、新外国人選手・ジョーダン・テーラーも好投。延長タイブレーカーにもつれ込む熱戦を演じたが、トヨタ自動車の「絶対的エース」モニカ・アボットを最後まで崩せず、完封負け。試合前から思い描いていたプラン通り、延長タイブレーカーに持ち込んだものの、8回裏の一死二・三塁の絶好機も連続三振で無得点。9回表も得点できず、今シーズン初黒星を喫した。
 今節初戦を落とした戸田中央総合病院は、Honda戦に温存していたエース・李Lを投入。初回に1点を失ったものの、2回以降はわずか1安打に抑える力投を見せれば、打線もこれに応え、3回裏に、ルーキー・村井美保の二塁打を足場に柳井春菜のタイムリーで同点に追いつき、7回裏、二死二・三塁の一打サヨナラのチャンスをつかむと、代打・萩原瑠美が劇的なサヨナラ安打。これまた「ルーキー」が大仕事をやってのけ、嬉しい今シーズン初勝利を挙げ、通算成績を1勝2敗とした。
 一方、この試合を落したHondaは開幕3連敗。開幕節、2点をリードしながら延長戦の末に逆転負けを喫したのが響いたか、今節初戦で大敗すると、2戦目は初回に先制しながら追いつかれ、最後はサヨナラ負け。試合内容は決して悪くないのだが、3連敗のスタートとなってしまった。

 兵庫県尼崎市で開催された「尼崎大会」では、太陽誘電が連勝を飾った。今節初戦のシオノギ製薬戦を「若手二枚看板」森真里奈、藤田倭の投手リレーで3−1と快勝し、今シーズン初勝利。続く日立ソフトウェア戦では、今シーズン初登板となる山口憲子の立ち上がりを攻め、2回表、「切り込み隊長」河野美里の右中間へのスリーランなどで大量5点を先制。先発・山口憲子をノックアウトすると、4回表、代わった山中しほからも岡本由香のタイムリーで1点を追加。さらに7回表には新人・高橋知子から山本晴香がダメ押しのタイムリーを放ち、「日本代表」藤田倭が3本の本塁打を浴びながらも完投。7−4で勝利を収め、今節連勝。上位を争うと見られる日立ソフトウェアとの直接対決も制し、通算成績を2勝1敗とした。
 一方、日立ソフトウェアは、今節初戦の大鵬薬品戦で、期待の左腕・山中しほが完封勝利。3−0で今シーズン初勝利を挙げたが、翌日の太陽誘電戦では「主砲」山田恵里が2打席連続本塁打、女子U19日本代表にも選出された粟倉陽香の嬉しい日本リーグ初本塁打がありながら、この本塁打以外はわずか2安打と派手な攻撃の割につながりを欠き、上位争いの「ライバル」太陽誘電に痛い1敗を喫し、通算1勝2敗。黒星先行の苦しい立ち上がりとなった。
 開幕節、惜しくも逆転負けを喫したシオノギ製薬は、今節初戦は、太陽誘電に1−3で敗れたものの、三宅美咲が「意地」の一発。これが次戦につながったか、続く大鵬薬品戦では初回から打線が爆発し、三宅美咲が2試合連続の本塁打を放てば、山根すずか、鹿出千奈美にも本塁打が飛び出し、本塁打3本、三塁打1本、二塁打5本と長打攻勢で大鵬薬品を圧倒。地元の熱い声援に応え、10−0で大勝し、嬉しい今シーズン初勝利を挙げた。
 開幕戦で6回までパーフェクトに抑えられながら、チーム初安打がサヨナラホームランという劇的勝利を飾った大鵬薬品は、その勢いに乗りたいところだったが、今節は2試合連続の完封負け。打線の奮起が今後の巻き返しの「カギ」となりそうだ。

 佐賀県嬉野市で開催された「佐賀大会」では、ルネサスエレクトロニクス高崎が連勝。今節初戦の佐川急便戦では、最終回に1イニングで9得点を挙げたかと思えば、その裏、6点を返されるという信じられないような展開で12−8と今シーズン初勝利を収めると、翌日の豊田自動織機戦では、「エース」上野由岐子がいきなり先頭打者本塁打を浴びるまさかの試合展開。5回表にキャプテン・黒川春華が登板すると、これで試合の流れが変わったのか、その裏、ルネサスエレクトロニクス高崎が反撃。ここまで好投していたダニエル・ローリーから3四球を選び、大久保美紗のセンターへの犠牲フライ、パスボールで2点を挙げ、逆転に成功。6回裏には、岩渕有美、中野久美の連打でダニエル・ローリーをマウンドから引きずり降ろし、代わった栗田美穂から市口侑果のセンター前への2点タイムリー、関友希央の内野安打などで3点を追加。豊田自動織機を突き放し、5−2の逆転勝ち。通算成績を2勝1敗とした。
 一方、開幕節で見事な逆転サヨナラ勝ちを演じた豊田自動織機は、今節連敗。初戦の日立マクセル戦で「日本代表」栗田美穂が序盤につかまり、3失点。続くルネサスエレクトロニクス高崎戦でも狩野亜由美の先頭打者本塁打で先取点を奪いながら守り切れず逆転負け。1勝2敗と黒星が先行する形となってしまった。
 開幕節、しぶとい試合運びで延長タイブレーカーの末に逆転勝利を飾った日立マクセルは、今節初戦の豊田自動織機戦をエース・呂偉の力投で3−1と快勝。決勝トーナメント進出の「常連」を破ったことで、一気に上位戦線に割り込んでくるかと思われたが、今節最終戦の佐川急便戦を3−6で落とし、開幕3連勝はならず、2勝1敗。昨シーズン、エース・呂偉を上回る5勝を挙げる活躍を見せた西村瑞紀の調子が上がってこないのが気がかりなところだ。
 その日立マクセルに今シーズン初黒星をつけた佐川急便も2勝1敗。開幕戦をサヨナラ勝ちし、毎年、優勝争いを演じる強豪・ルネサスエレクトロニクス高崎戦に臨んだが、終盤まで互角の試合を展開しながら最終回に1イニング9失点。その裏、6点を返し、食い下がったが、敗れたとはいえ、8得点。最終戦の日立マクセル戦でも6得点と課題だった「得点力不足」解消の兆しが見えるのは明るい材料。今シーズンこそ「上位進出」を果たしてもらいたいところだ。

 第2節を前に、早くも全勝チームは「王者」トヨタ自動車のみと混戦模様の展開となっている。ここから抜け出すのはどのチームか!? ストップ・ザ・トヨタを果たすチームはあるのか??
 第2節は、5月12日(土)・13日(日)の両日、神奈川県茅ケ崎市・岐阜県揖斐川町・愛知県豊田市の3会場で開催される予定である。

第45回 日本女子ソフトボール1部リーグ 第1節終了時点 全チーム成績
順位 チーム名
1位 トヨタ自動車 3 0
2位 ルネサスエレクトロニクス高崎 2 1
太陽誘電 2 1
デンソー 2 1
日立マクセル 2 1
佐川急便 2 1
7位 豊田自動織機 1 2
日立ソフトウェア 1 2
シオノギ製薬 1 2
大鵬薬品 1 2
戸田中央総合病院 1 2
12位 Honda 0 3

※同率の場合には、前年の順位が上位のチームから順に表記しています。