第45回日本女子ソフトボール1部リーグ第2節が、5月12日(土)・13日(日)の両日、神奈川県茅ケ崎市・岐阜県揖斐川町・愛知県豊田市の3会場で開催された。
結果は、決勝トーナメント制導入以来、まだどのチームも成し遂げたことのない「前人未到の3連覇」を狙うトヨタ自動車が今節も連勝。開幕からの連勝を「5」に伸ばし、これを追うルネサスエレクトロニクス高崎、デンソーら2位グループが星を潰しあったこともあり、早くも1敗のチームがなくなり、「独走態勢」に入りつつある。
今シーズン、決勝トーナメント制が導入されて以来、「初」となる3連覇を狙う「王者」トヨタ自動車は、地元・豊田市で開催された「豊田大会」に登場。今節初戦の大鵬薬品戦は、初回に1点を失う苦しい試合展開。1点を失い、なお無死二・三塁というピンチに「絶対的エース」モニカ・アボットが「スクランブル」で緊急登板。佐々木瞳に四球を与え、無死満塁という絶体絶命のピンチを招きながら、後続を三振、三振、ショートゴロに打ち取り、ピンチを脱出。これで試合の流れが変わったか、その裏、すぐに反撃。「核弾頭」ナターシャ・ワトリーが四球で出塁すると、すかさず盗塁。得点圏に走者を進め、「若き天才打者」長楓]未が右中間スタンドに弾丸ライナーで突き刺す逆転ツーラン。アッという間に試合をひっくり返し、渥美万奈のタイムリーでさらに1点を追加。この回3点を挙げ、逆にリードを奪うと、5回裏には、馬渕朝子が代打満塁ホームランをライトスタンドに叩き込み、終わってみれば7−1の大勝。
続く、太陽誘電戦も日本代表入りした「期待の若手」藤田倭の力投に手を焼きながらも終盤6回裏、二死走者なしから小野真希がレフト前ヒットを放ち、代打・山崎早紀がレフトスタンドへ決勝ツーラン。福田五志監督の采配がズバリ的中し、この日も「絶対的エース」モニカ・アボットが13奪三振の力投。必死に食い下がる太陽誘電打線の前に立ちはだかり、見事な完封勝利を挙げ、開幕からの連勝を「5」に伸ばした。
開幕節のデンソー戦こそ落としたものの、第1節に連勝し、このまま勢いに乗るかと思われた太陽誘電は、今節初戦でここまで開幕3連敗と未だ勝ち星のないHondaと対戦。自慢の「二枚看板」藤田倭、森真里奈が島崎望、平林真由子に一発を浴び、1−6の大敗。勢いをつけて王者・トヨタ自動車に挑むプランは崩れたが、トヨタ自動車戦では日本代表・藤田倭が強気のピッチングでモニカ・アボットを相手に互角の投手戦を展開。山路典子監督も上位打線に右打者を揃え、「切り込み隊長」河野美里を4番に据える「新打線」でモニカ・アボット攻略を試みたが、4回表の二死一・二塁、6回表の二死満塁で「あと一本」が出ず、惜しい試合を落とし、まさかの今節連敗。通算2勝3敗と黒星先行となってしまった。
逆に、ここまで開幕3連敗と苦しんでいたHondaが、太陽誘電戦で試合中盤まで1−1の互角の試合展開から、5回裏に島崎望のスリーランで勝ち越すと、6回裏には、平林真由子が太陽誘電の息の根を止めるツーランを放ち、6−1で快勝。今シーズン初勝利を挙げると、続く大鵬薬品戦も初回に鮮やかな先制攻撃を見せ、「リードオフマン」平林真由子の一・二塁間を鋭く破るクリーンヒットを口火に、村上由里子のタイムリーで2点を先制。結局、安打はこの2本のみと2回以降は大鵬薬品・江本奈穂を攻めあぐねたが、先発・金尾和美が毎回のように走者を背負いながらも粘り強いピッチングで凌ぎ、終盤6回表、佐藤光紗にソロ本塁打を浴びはしたものの、1失点の完投勝利。1点差で逃げ切り、今節連勝。開幕3連敗の後、連勝で通算成績を2勝3敗まで戻してきた。
開幕節であわや完全試合という状況から劇的なサヨナラホームランで勝利を飾った大鵬薬品は、第1節に続き、今節も連敗。王者・トヨタ自動車戦では初回に先手を取り、ジャイアントキリングの雰囲気もあったが、「絶対的エース」モニカ・アボットが登板すると、意気消沈。あっさり逆転負けを喫し、続くHonda戦も先発・江本奈穂が2安打に抑える力投を見せ、相手を上回る6安打を放ちながら、得点は佐藤光紗の本塁打による1点のみ。投打の歯車が噛み合わず、4連敗と苦しい戦いが続いている。
岐阜県揖斐川町で開催された「岐阜大会」には、王者・トヨタ自動車を追走するルネサスエレクトロニクス高崎、デンソーが登場。
ルネサスエレクトロニクス高崎は、今節初戦の戸田中央総合病院戦でエース・上野由岐子の先発を回避。山下絢を先発に立てたが、2回裏、この試合スタメン・キャッチャーに起用された佐藤瑶に先制のソロホームランを浴び、3回表にすぐに同点に追いついたものの、その裏、リリーフした黒川春華も内田千恵美に勝ち越しのタイムリースリーベースを浴び、再びリードを許すと、3回途中からリリーフした戸田中央総合病院のエース・李Lに10三振を奪われるなど、追加点を奪えず、1−2の惜敗。痛い星を落とした。
続くデンソー戦は、エース・上野由岐子を先発に立て、打線も初回からこれを援護。デンソーのルーキー・近藤光を容赦なく攻め、初回に中野久美のタイムリーで先制すると、2回表には制球の乱れにつけ込み、足を絡めた攻撃でソツなく2点を追加。4回表にも大久保美紗、岩渕有美のタイムリーで2点を加え、7回表には代打・宇野有加里の安打と森さやかの右中間へのスリーベースでダメ押しの1点を追加。6−2で勝利を収め、辛うじて白星先行の3勝2敗とした。
デンソーは今節初戦の日立マクセル戦で、篠田美穂のツーランで先制され、2点のリードを許す試合展開となりながら、3回表に永吉理恵のツーベースなどで2点を挙げて同点に追いつき、5回表に江口未来子のツーベースと代打・中岡理美のセンター前へのタイムリーで1点を勝ち越し。6回表に増山由梨の左中間へのタイムリースリーベースで1点を加え、終盤で2点のリードを奪い、勝負を決めたかに見えた。
しかし、ジョーダン・テーラーが6回裏に4本の長短打を浴び、同点。延長タイブレーカーにもつれ込む熱戦となったが、8回表にデンソーが相手守備の乱れで勝ち越し。日立マクセルもその裏、二死二塁から和田祐美がライト前ヒットを放ち、「同点か……」と思われたが、ライト・江口未来子の好返球で本塁寸前タッチアウト。シーソーゲームを制し、苦しみながらも勝利を飾った。
この勢いでルネサスエレクトロニクス高崎戦も……と期待されたが、先発のルーキー・近藤光が立ち上がりからつかまり、序盤から失点。その後、1点差に詰め寄る場面もあったが2−6の敗戦。通算成績3勝2敗はもちろん悪くない数字だが、特に今節は、ルネサスエレクトロニクス高崎が初戦の戸田中央総合病院戦を落していただけに、直接対決で叩くことができれば、混戦状態から一歩抜け出し、上位争いのライバルチームを蹴落とす絶好のチャンスだったのだが……。
今節初戦のルネサスエレクトロニクス高崎に競り勝った戸田中央総合病院は、続く日立マクセル戦でもエース・李Lが力投。日立マクセル・呂偉との中国代表同士の投げ合いを制し、小野奈津子に一発を浴びたものの、2−1で辛勝。今節連勝で通算成績を3勝2敗とし、混戦模様の上位争いに割り込む勢いだ。
日立マクセルは、今節2試合とも1点差で敗れ、連敗。試合内容は悪くないだけに、2勝3敗と黒星先行とはいえ、まだまだチャンスはある。次節以降の巻き返しに期待したいところだ。
神奈川県茅ケ崎市で開催された「茅ケ崎大会」では、地元・日立ソフトウェアと豊田自動織機が連勝。第1節まで、ともに1勝2敗とやや出遅れた感のあった両チームだが、豊田自動織機は今節初戦の佐川急便戦を中森菜摘、本田小百合のタイムリーなどで4点を挙げ、ダニエル・ローリー、栗田美穂の投手リレーで4−2と快勝。シオノギ製薬戦では、ダニエル・ローリーが被安打1・奪三振11の2−0の完封勝利。ダニエル・ローリーは前日の佐川急便戦でも先発し、5回を投げ、10奪三振・無失点の好投を見せており、いよいよ「本領発揮」といったところか。チームも通算成績3勝2敗と巻き返してきた。
日立ソフトウェアも、地元の熱い声援にも後押しされ、初戦のシオノギ製薬戦を濱本静代、山田恵里の連続本塁打などで7−0と大勝。佐川急便戦でも打線が爆発し、初回に濱本静代のタイムリーツーベースで猛攻の口火を切ると、眞鍋幸維にも走者一掃のスリーベースが飛び出し、大量5点を先制。その後も「主砲」山田恵里のタイムリー、粟倉陽香のダメ押しツーランなどで着々と加点。8−0で佐川急便を圧倒し、今節連勝。地元でしっかりと立て直しに成功し、白星先行の3勝2敗と持ち直した。
決勝トーナメント進出の「常連」である豊田自動織機、日立ソフトウェアが巻き返しのきっかけをつかんだ一方、佐川急便、シオノギ製薬は連敗。佐川急便は第1節最終戦で日立マクセルの開幕3連勝を阻止し、上位争いに踏み止まったかに見えたが、今節は痛い連敗。黒星先行の2勝3敗となってしまった。このままズルズルと後退することだけは避けたいところだ。
シオノギ製薬は1勝4敗。今節初戦の日立ソフトウェア戦では投手陣が打ち込まれ、続く豊田自動織機戦では打線が沈黙。完封負けを喫した。昨シーズン、最多試合登板、最多イニングを投げ抜いている「タフネス」安福智がつかまってしまうと勝機は薄い。大黒柱・安福智がどこまで踏ん張れるか、また、それを打線がいかに援護するか、このあたりが今後の巻き返しのカギとなりそうだ。
前人未到の3連覇をめざす王者・トヨタ自動車が開幕5連勝。早くも独走態勢に入りそうな気配だが、2位以下は大混戦。ここからどこが抜け出すか、目の離せない展開となっている。
第3節は、5月19日(土)・20日(日)の両日、栃木県宇都宮市・群馬県前橋市・愛知県刈谷市の3会場で開催される予定である。
第45回 日本女子ソフトボール1部リーグ 第2節終了時点 全チーム成績 |
順位 |
チーム名 |
勝 |
敗 |
1位 |
トヨタ自動車 |
5 |
0 |
2位 |
ルネサスエレクトロニクス高崎 |
3 |
2 |
〃 |
豊田自動織機 |
3 |
2 |
〃 |
日立ソフトウェア |
3 |
2 |
〃 |
デンソー |
3 |
2 |
〃 |
戸田中央総合病院 |
3 |
2 |
7位 |
太陽誘電 |
2 |
3 |
〃 |
Honda |
2 |
3 |
〃 |
日立マクセル |
2 |
3 |
〃 |
佐川急便 |
2 |
3 |
11位 |
シオノギ製薬 |
1 |
4 |
〃 |
大鵬薬品 |
1 |
4 |
※同率の場合には、前年の順位が上位のチームから順に表記しています。 |