2012.10.1
 

 

第45回日本女子ソフトボール1部リーグ第8節

トヨタ自動車、開幕から無傷の18連勝で首位独走!

高崎大会では、佐川急便がルネサスエレクトロニクス
高崎に逆転勝ちするなど、「波乱の展開」が相次いだ

Hondaの「遅れてきた新戦力」モーガン・メロー。
Honda後半戦の「救世主的存在」となっている

高崎大会ではUstreamを利用した
インターネットライブ配信を実施!

トヨタ自動車は開幕から無傷の18連勝! 2節を残し、
1位での決勝トーナメント進出が決定。3連覇へGo!!

10勝8敗で同率4位の日立ソフトウェア。
残り4試合、負けられない戦いが続く……

地元・戸田で2勝1敗と勝ち越した戸田中央総合病院

今節、3連勝の デンソーは単独2位に躍り出た!

豊田自動織機はデンソー戦に敗れ、10勝8敗の同率4位。
国吉早乃花の本塁打で一度は同点に追いついたが……

戸田大会
日立 ソフトウェアvsトヨタ自動車

 
 
 

 第45回日本女子ソフトボール1部リーグ第8節が、9月28日(金)〜30日(日)の3日間(愛知県刈谷市・刈谷大会のみ、大会2日目/30日(日)の第2試合・豊田自動織機対デンソー戦が予備日(10月1日/月)に順延された)、群馬県高崎市、埼玉県戸田市、愛知県刈谷市の3会場で開催された。

 結果は、快調に首位を走り、決勝トーナメント制が導入されて以来、初の「3連覇」をめざすトヨタ自動車が今節も3連勝。開幕からの連勝を「18」に伸ばし、第9節・第10節を待たずに1位が確定(2位・デンソーがすでに4敗しており、そのデンソーとの直接対決にトヨタ自動車が連勝しているため、残り4試合をトヨタ自動車が全敗し、デンソーが全勝したとしても、リーグ規定により、トヨタ自動車の順位が上となる)。決勝トーナメント進出を決めた。
 一方、前節(第7節)まで12勝3敗で2位につけていたルネサスエレクトロニクス高崎は今節1勝2敗と星を伸ばせず、通算13勝5敗で3位に転落した。
 同じく11勝4敗で3位につけていたデンソーは今節3連勝。ルネサスエレクトロニクス高崎を抜き、単独2位に躍進した。
 4位には10勝8敗の豊田自動織機、日立ソフトウェアが並び、さらに9勝9敗の太陽誘電、Hondaが追う展開となっている。

 群馬県高崎市・高崎市城南野球場で開催された「高崎大会」には、高崎市に本拠地を置くルネサスエレクトロニクス高崎、太陽誘電が登場。
 先の全日本総合女子選手権大会で「宿敵」トヨタ自動車を破り、「2連覇」を達成したルネサスエレクトロニクス高崎は、今節初戦の佐川急便戦にエース・上野由岐子を温存。期待の大型ルーキー・中野花菜を先発に立てたが、先取点をもらいながら、2回表にすぐに同点に追いつかれ、降板。キャプテン・黒川春華につなぐ投手リレーに出たが、一度は市口侑果のタイムリーで勝ち越しながら、終盤6回表、松下友里のタイムリーで再び同点。7回表、二死満塁からステーシー・ポーターのタイムリーで逆に2点のリードを許すと、その裏、大久保美紗のソロ本塁打で1点差に詰め寄ったものの、3−4で惜敗。
 続くHonda戦には、満を持してエース・上野由岐子を先発に立て、必勝を期したが、今度は打線が沈黙。Hondaの「遅れてきた新戦力」モーガン・メローの前に無得点に抑え込まれ、試合は延長タイブレーカーへともつれ込んだ。Hondaは延長8回表、一死三塁から代打・加藤恵理がスクイズを決め、1点を勝ち越し。その裏、ルネサスエレクトロニクス高崎も一死三塁から市口侑果の浅いセンターフライで三塁走者・小松美樹がタッチアップから本塁を狙ったが、本塁寸前タッチアウト。0−1で敗れ、「まさか……」の連敗を喫した。
 今節最終戦は、太陽誘電との「上州対決」を制し、3連敗は免れたが、通算13勝5敗。決勝トーナメントで有利に戦うことができる(敗者復活戦へ回る権利を有する)2位の座からも滑り落ち、3位に転落した。

 2007年以来の決勝トーナメント進出をめざす太陽誘電は、今節初戦のHonda戦を2−3で落とし、続く佐川急便戦は5−4で勝利を収めたものの、最終戦のルネサスエレクトロニクス高崎戦も1−4と完敗。今節1勝2敗で通算9勝9敗の同率6位に後退。決勝トーナメント進出に「赤信号」が灯る結果となった。

 これとは対照的に、Hondaが「遅れてきた新戦力」モーガン・メローの日本リーグデビューからの「不敗神話」にも支えられ、前節(第7節)から破竹の5連勝。一気に勝率5割まで戻し、通算9勝9敗の同率6位に躍進した。現実的には、かなり厳しい数字が要求され、かなり展開にも恵まれないと可能性は薄いのだが、今のHondaには、このまま決勝トーナメント進出を実現させてしまうのではないか……と感じさせる「勢い」がある。とにかく、リーグ終盤、他チームからすれば最も警戒を要する「台風の目」になっていることは間違いない。

 佐川急便は今節1勝2敗の通算8勝10敗。今節、ルネサスエレクトロニクス高崎を破ったが、その後は太陽誘電、Hondaに1点差の惜敗。今節2試合に限らず、「あと一歩」で勝敗がひっくり返る試合が多く、「この1点」「この一勝」にこだわる姿勢があれば、決勝トーナメント進出圏内にいてもおかしくはないのだが……。「1部残留」ばかりにとらわれ、「下位チームさえ取りこぼさなければいい」という目標設定、チーム戦術・戦略には、物足りなさと歯がゆさを感じてしまう。

 埼玉県戸田市・戸田市北部公園野球場で開催された「戸田大会」には、首位を快走するトヨタ自動車が登場。
 トヨタ自動車は、全日本総合女子選手権大会決勝でのショッキングな敗戦を振り払うかのように、初戦の日立マクセル戦を山崎早紀の本塁打を含む11安打と打ちまくり、9−0で大勝すると、続く戸田中央総合病院戦も9−4で打ち勝ち、最終戦の日立ソフトウェア戦も2−1で競り勝ち、今節3連勝。開幕からの連勝を「18」に伸ばし、2節を残した段階で1位での決勝トーナメント進出を決めてしまった。

 前節(第7節)まで、9勝6敗の4位につけていた日立ソフトウェアは、今節初戦の戸田中央総合病院戦で2点を先制しながら、4回裏、渡辺瞳にライト線へ2点タイムリースリーベースを浴び、同点に追いつかれ、そのまま延長タイブレーカーへ。8回裏、一死満塁から再び渡辺瞳にタイムリーを浴び、2−3のサヨナラ負け。痛い星を落とすと、続く日立マクセル戦は6−4で勝利を収めたものの、最終戦のトヨタ自動車戦も逆転負け。西山麗のタイムリースリーベースで3回表に先制し、トヨタ自動車の難攻不落の「絶対的エース」モニカ・アボットから先取点を挙げ、「行ける!」と思ったのも束の間、その裏、藤野遥香のタイムリーで追いつかれ、4回裏、鈴木美加に逆転のソロホームランを浴び、1−2の逆転負け。今節1勝2敗と星を伸ばせず、通算10勝8敗で同率4位となった。

 戸田中央総合病院は、地元の熱い声援に応え、2勝1敗。初戦の日立ソフトウェア戦で鮮やかな逆転勝利を挙げ、続くトヨタ自動車戦も中盤まで互角の打ち合いを演じ、今節最終戦となった日立マクセル戦では、エース・李Lが力投。3−0の完封勝利を収め、通算8勝10敗の8位タイとなった。

 日立マクセルは、今節3連敗。前節(第7節)から5連敗と元気がない。3試合中2試合が完封負けと打線が振るわず、4点を奪った日立ソフトウェア戦も常に先手を許す苦しい試合展開。投打の歯車が噛み合わず、勝機を見出すのが難しいチーム状態にある。通算4勝14敗の10位タイ。残り2節で「意地」を見せたいところだ。

 愛知県刈谷市・刈谷球場で開催された「刈谷大会」には、3位につけるデンソーと19年連続決勝トーナメント進出をめざす豊田自動織機が登場。
 デンソーは今節初戦のシオノギ製薬戦、4回裏、狩野香寿美のタイムリーで先取点を挙げ、1−0で勝利を飾ると、続く大鵬薬品戦では打線が爆発。13得点と打ちまくり、13−0で大勝した。
 大会最終日、折からの台風の影響を受け、豊田自動織機戦が予備日(10月1日/月)に延期された。この試合では、「エース」ジョーダン・テーラーが満を持して登板。豊田自動織機戦・ダニエル・ローリーとの投げ合いとなった。
 デンソーは3回表、チームを引っ張る「切り込み隊長」増山由梨がセンター前ヒットで出塁すると、一死後、盗塁、捕逸で三塁へ進み、永吉理恵が先制のタイムリー。4回裏に一度は同点に追いつかれたが、6回表、ダニエル・ローリーの制球の乱れにつけ込み、二死走者なしから、2つの四球と安打で満塁とし、野木あやの死球で押し出し。1点を勝ち越すと、この動揺を見逃さず、増山由梨がセンターへ2点タイムリーを放ち、勝負を決めた。
 このリードを、ジョーダン・テーラーが守り切り、4−2で快勝。今節3連勝で14勝4敗、単独2位に躍り出るとともに、同率4位に並ぶ豊田自動織機、日立ソフトウェアが8敗目を喫したことで(デンソーが残り4試合に全敗し、8敗となったとしても、現在8敗の豊田自動織機、日立ソフトウェアは互いの直接対決を残しており、どちらか1チームしか8敗を守ることができず、他は9敗以上のチームとなるため、デンソーの決勝トーナメント進出が確定)、目標としていた2008年以来の決勝トーナメント進出が決定した。

 豊田自動織機は、今節初戦の大鵬薬品戦は、狩野亜由美の先頭打者本塁打にはじまり、白井沙織、この試合「打者」として起用されたダニエル・ローリーにも本塁打が飛び出し、先発・栗田美穂が大鵬薬品打線を完封。5−0と快勝すると、続くシオノギ製薬戦も11−3と大勝し、デンソーとの「刈谷ダービー」に挑んだ。
 この大事な一戦では、「エース」ダニエル・ローリーが鬼気迫るピッチングを見せ、先手を奪われながら、キャプテン・国吉早乃花が同点本塁打を放つなど、19年連続決勝トーナメント進出を果たしている「名門」にして「強豪」の意地を見せたが、終盤6回表、そのダニエル・ローリーの「気合」が入り過ぎたのか、突然の制球の乱れから自滅気味に決勝点を奪われると、相手の「チームリーダー」増山由梨に勝負を決めるタイムリーを許し、2−4で敗れ、通算10勝8敗。日立ソフトウェアと並び同率4位と決勝トーナメント進出「最後の椅子」を巡る争いは、最後まで予断を許さない展開が続きそうだ。

 大鵬薬品は、豊田自動織機に0−5、デンソーに0−13と2試合連続で大差の完封負け。最終戦となったシオノギ製薬戦は、エース・江本奈穂が投打に活躍。打っては、4回裏、2点タイムリーを放ち、投げてはシオノギ製薬打線に最後まで得点を許さず、完封勝ち。2−0で勝利を収め、通算4勝14敗とした。

 シオノギ製薬は今節も元気なく3連敗。第2節から勝ち星がなく、15連敗。泥沼から抜け出す光明は見えない。残り2節・4試合、「関西の老舗」伝統あるチームとして、「意地」を見せてもらいたいものである。

 リーグもいよいよクライマックス。トヨタ自動車、デンソー、ルネサスエレクトロニクス高崎(残り4試合を全敗しても、現在8敗の豊田自動織機、日立ソフトウェアは互いの直接対決を残しており、どちらか1チームしか8敗を守ることができず、9敗で並んだ場合には、両チームとの直接対決で連勝しているルネサスエレクトロニクス高崎が4位以下になることはなく、同様に現在9敗の太陽誘電、Hondaが残り4試合に全勝し、9敗で並んだ場合にも、太陽誘電は直接対決で連敗しており、Hondaは直接対決の勝敗は1勝1敗ながら、得失点差で上回ることができず、ルネサスエレクトロニクス高崎が4位以下になることはない)の決勝トーナメント進出が決まったが、決勝トーナメントを有利に戦える2位争いの行方、そして決勝トーナメント進出「最後の椅子」を手にするのはどこか、最後まで目の離せない激戦が続きそうだ。

 第9節は、10月13日(土)・14日(日)の両日、栃木県大田原市、神奈川県横浜市、大分県大分市で開催される予定である。


第45回 日本女子ソフトボール1部リーグ 第8節終了時点 全チーム成績
順位 チーム名
1位 トヨタ自動車 18 0
2位 デンソー 14 4
3位 ルネサスエレクトロニクス高崎 13 5
4位 豊田自動織機 10 8
日立ソフトウェア 10 8
6位 太陽誘電 9 9
Honda 9 9
8位 佐川急便 8 10
戸田中央総合病院 8 10
10位 日立マクセル 4 14
大鵬薬品 4 14
12位 シオノギ製薬 1 17

※同率の場合には、前年の順位が上位のチームから順に表記しています。