第45回日本女子ソフトボール1部リーグ第9節が、10月13日(土)・14日(日)の両日、栃木県大田原市・神奈川県横浜市・大分県大分市の3会場で開催された。
栃木県大田原市で開催された大田原大会には、開幕から無傷の18連勝で首位を独走し、すでに1位での決勝トーナメント進出を決めているトヨタ自動車、前節(第8節)で佐川急便、Hondaに「まさか」の連敗を喫し、13勝5敗の3位に後退したルネサスエレクトロニクス高崎が登場。
今節初戦でその両チームの「直接対決」が実現し、トヨタ自動車・モニカ・アボット、ルネサスエレクトロニクス高崎・上野由岐子の両エースが登板。「世界最高レベル」の投げ合いを演じ、6回までモニカ・アボットが10三振を奪う力投を見せれば、上野由岐子も負けじと11三振を奪う完璧なピッチングで対抗。試合はこのまま延長タイブレーカーにもつれ込むかと思われたが、ルネサスエレクトロニクス高崎が7回裏、一死走者なしから峰幸代が劇的なサヨナラホームラン!「エース」の力投に応え、その「女房役」が勝負を決めるサヨナラホームランを放ち、トヨタ自動車の開幕からの連勝を「18」で止め、今シーズン初黒星をつけた。
また、第7節から5連勝と波に乗るHondaは、地元の大声援にも後押しされ、まず初日の日立マクセル戦の先発に金尾和美を立て、2回表に無死満塁から武藤理恵の犠飛で幸先よく先制するも、その裏、日立マクセルの小林朝子にソロ本塁打を浴び、1−1の振り出しに戻され、さらには4回裏にも田中梢子にソロホームランを打たれ、リードを許してしまった。しかし、Hondaは諦めることなく、虎視眈々と逆転のチャンスを窺っていた5回表、この回先頭の島崎望がレフト前ヒットで出塁し、逆転の狼煙を挙げると、相手守備の乱れもあり、二死二・三塁と攻め立て、この一打同点のチャンスに芝阜b梨が初球をとらえ左中間を破るツーベースで二者を迎え入れ、一気に逆転。守っては、先発の金尾和美が2回裏と4回裏に本塁打を浴び、2点を失ったものの、味方打線の援護もあり、気持ちを切り替え集中。7回裏のツーアウトまで得点を許さず、あと一人となったところで稲元紗貴に継投。最後は空振り三振を奪い、3−2の逆転勝ち。今節は勢いだけではなく、粘り強さも見せ、2日目の「王者」トヨタ自動車戦にも果敢に挑み、初回、トヨタ自動車の「絶対的エース」モニカ・アボットを攻め、二死一塁からローラン・ラッピン、村上由里子の長短打で2点を先制。その後も終始先手を取る試合展開で有利に試合を進め、7回表に3−3の同点に追いつかれたものの、延長タイブレーカーに入った8回裏、「チームリーダー」平林真由子のサヨナラタイムリーで4−3と競り勝ち、地元で連勝を「7」に伸ばし、通算11勝9敗の5位に躍進。数字的には厳しいものの、決勝トーナメント進出の望みを最終節につなぎ、「大逆転」での4位滑り込みが現実味を帯びてきた。
今節、「まさか」の連敗を喫したトヨタ自動車は通算18勝2敗。首位の座は揺るがず、1位での決勝トーナメントもすでに確定させてはいるが、「絶対的エース」モニカ・アボットを投入しての連敗は、決勝トーナメントでの「決戦」に不安の影を残すものとなってしまった。
そのトヨタ自動車との「直接対決」を制し、「意地」を見せたルネサスエレクトロニクス高崎は今節連勝で通算15勝5敗。最終節のデンソー戦に「2位通過」を賭けることになった。
日立マクセルは今節も連敗。通算4勝16敗の11位と低迷している。特に後半戦は、第6節の大鵬薬品戦にサヨナラ勝ちして以来、勝ち星がない。第7節から7連敗と元気がないだけに、最終節で「意地」を見せてほしいものである。
神奈川県横浜市で開催された横浜大会には、4位争いを激しく演じる豊田自動織機と日立ソフトウェアが登場。
まず、豊田自動織機が決勝トーナメント進出へわずかな望みをつなぐ戸田中央総合病院と対戦。豊田自動織機・ダニエル・ローリー、戸田中央総合病院・李Lの両エースが息詰まる投手戦を展開し、両チーム無得点のまま、延長タイブレーカーにもつれ込む熱戦となり、8回表、豊田自動織機が二死満塁から国吉早乃花が押し出しの四球を選び、1点を勝ち越し。この1点をダニエル・ローリーが鬼気迫るピッチングで守り切り、2安打12奪三振の好投で11勝目を飾った。一方、戸田中央総合病院は翌日のシオノギ製薬戦で最終回に鶴澤眞緒と佐藤瑶が2者連続のソロ本塁打を放ち、逆転勝ちを収めたものの、今節痛い11敗目を喫し、決勝トーナメント進出の可能性は完全に消滅した。
続く日立ソフトウェア対シオノギ製薬戦では、ここ数年、シーズン終盤の順位争いでは絶対的な「勝負強さ」を見せてきた日立ソフトウェアが、シオノギ製薬のエース・安福智に「ホーム」横浜でまさかの完封負け。3回表に三宅美咲がソロホームランを放ち、先制したシオノギ製薬に今シーズン2勝目を献上するという「番狂わせ」が起こった。
日立ソフトウェアは翌日の豊田自動織機との直接対決でも、初回に四球、犠打、ワイルドピッチで一死三塁とし、二死後、濱本静代のレフト前タイムリーで先制しながら、2回表に同点に追いつかれ、3回表、6回表にも相次いで失点し、1−4の逆転負け。最終節を待たずして、決勝トーナメント進出の可能性が消えた(最終節残り2試合を連勝し、現在4位の豊田自動織機が連敗し、同率に並んでも豊田自動織機との直接対決に連敗しているため、リーグ規定により、豊田自動織機の順位が上となる)。
一方、今節連勝の豊田自動織機は、通算成績を12勝8敗とし、4位の座をキープ。「王者」トヨタ自動車との対戦を残してはいるが、同率に並ぶ可能性のあるHonda、日立ソフトウェアには、直接対決での得失点差、勝敗で有利な立場にあり、19年連続の決勝トーナメント進出へ大きく前進した。
大分県大分市で開催された大分大会には、2位につけるデンソーが登場。今節初戦の佐川急便戦にメーガン・ウィギンズ、永吉理恵の本塁打などで5−1と快勝。
続く太陽誘電戦も、2回表、河野美里にスリーランを浴び、太陽誘電に先手を許す展開となりながら、3回裏、松本尚子、増山由梨、中岡理美、永吉理恵の怒涛の4連打でアッという間に同点に追いつき、二死後、狩野香寿美のツーランで勝ち越し。この回大量5点を奪い、一気に試合をひっくり返した。守っては、4回表に1点を返され、1点差に詰め寄られると、「エース」ジョーダン・テーラーを投入。再び太陽誘電に傾きかけた試合の流れを断ち切ると、その裏、今シーズンの「成長株」中岡理美が勝負を決めるスリーランホームラン。8−5で打ち勝ち、今節連勝。通算成績を16勝4敗まで伸ばし、2位の座を守った。
太陽誘電は今節、大鵬薬品に0−1、デンソーに5−8と連敗したため、9勝11敗の7位に後退。この他、大分大会では大鵬薬品と延長の末、中村歩のサヨナラ満塁ホームランで勝利を収めた佐川急便が、今節1勝1敗で太陽誘電、戸田総合中央病院と並ぶ7位につけ、太陽誘電を破った大鵬薬品は、今節1勝1敗で変わらず10位となった。
最終節となる第10節は、10月20日(土)・21日(日)の両日、静岡県裾野市・山梨県甲府市・福岡県北九州市の3会場で開催される予定である。
第45回 日本女子ソフトボール1部リーグ 第9節終了時点 全チーム成績 |
順位 |
チーム名 |
勝 |
敗 |
1位 |
トヨタ自動車 |
18 |
2 |
2位 |
デンソー |
16 |
4 |
3位 |
ルネサスエレクトロニクス高崎 |
15 |
5 |
4位 |
豊田自動織機 |
12 |
8 |
5位 |
Honda |
11 |
9 |
6位 |
日立ソフトウェア |
10 |
10 |
7位 |
太陽誘電 |
9 |
11 |
〃 |
佐川急便 |
9 |
11 |
〃 |
戸田中央総合病院 |
9 |
11 |
10位 |
大鵬薬品 |
5 |
15 |
11位 |
日立マクセル |
4 |
16 |
12位 |
シオノギ製薬 |
2 |
18 |
※同率の場合には、前年の順位が上位のチームから順に表記しています。
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