2012.11.13
 

 

第45回日本女子ソフトボールリーグ1部決勝トーナメント

トヨタ自動車、前人未到の3連覇を達成!

女子1部決勝トーナメントが
京都府京都市わかさスタジアム京都で開催され、
大勢の観客が詰めかけ、「最後の決戦」に声援を送った

決勝トーナメント1位・2位戦
ルネサスエレクトロニクス高崎が森さやかの本塁打で
1位・トヨタ自動車を破り、一足先に決勝進出を決めた

決勝トーナメント3位・4位戦
豊田自動織機がデンソーを下し、準決勝進出!

決勝トーナメント3位・4位戦
デンソー躍進の「立役者」となったジョーダン・テーラー。
この試合でも好投、豊田自動織機を1点に抑えたが……

大会第2日
準決勝が開始されたが、雨のため中止・順延。
決勝トーナメント19年目で初の出来事となった

【準決勝】豊田自動織機 vs トヨタ自動車
4回裏、トヨタ自動車が長楓]未の本塁打で先制!

【決勝】ルネサスエレクトロニクス高崎 vs トヨタ自動車
ルネサスエレクトロニクス高崎の「エース」上野由岐子。
この試合も何度もピンチを切り抜け、力投したが……

【決勝】ルネサスエレクトロニクス高崎 vs トヨタ自動車
延長10回にもつれ込んだ死闘は、トヨタ自動車・渥美万奈が
ヒットエンドランを決め、トヨタ自動車がサヨナラ勝ちを収めた

トヨタ自動車・福田五志監督、歓喜の胴上げ!

トヨタ自動車、前人未踏の「3連覇」達成!


 
 

 「第45回日本女子ソフトボールリーグ1部決勝トーナメント」が、11月10日(土)〜12日(月)の3日間(当初予定では、10日(土)・11日(日)の両日の開催予定ではあったが、大会2日目が雨のため、中止・順延。予備日の12日(月)を使っての日程消化となった)、京都府京都市・わかさスタジアム京都で開催された。
 日本女子ソフトボールリーグの「クライマックス」を飾る決勝トーナメントは、女子リーグ1部の上位4チーム、20勝2敗で1位のトヨタ自動車。17勝5敗で2位のルネサスエレクトロニクス高崎。同じく17勝5敗ながら最終戦のルネサスエレクトロニクス高崎との直接対決に敗れ、3位となったデンソー。13勝9敗で4位に滑り込んだ豊田自動織機。以上の4チームが「最後の決戦」に臨んだ。


■第1日(11月10日/土)

ルネサスエレクトロニクス高崎(リーグ戦2位) 1−0 トヨタ自動車(リーグ戦1位)

 リーグ戦1位と2位の対戦。勝てば決勝進出が決まる大事な一戦だけに、トヨタ自動車がモニカ・アボット、ルネサスエレクトロニクス高崎が上野由岐子、両チームとも「エース」を先発に立て、「必勝」を期した。
 ルネサスエレクトロニクス高崎の先発・上野由岐子は三者凡退の滑り出しを見せたが、トヨタ自動車・モニカ・アボットは2番・市口侑果に内野安打を許し、3番・大久保美紗のファーストゴロで走者を得点圏に走者を進められ、4番・峰幸代も四球で歩かせ、二死一・二塁といきなり走者を背負う立ち上がり。しかし、何とか5番・岩渕有美を三振に斬って取り、初回のピンチを無失点で切り抜けた。(岩渕有美はこの打席、ツーボール・ツーストライクからの5球目、インコースの厳しいボールをフルスイングし、ファウルボールとなったときに手首を痛め、この打席は、そのまま打席に入ったものの、結局、空振り三振。守備にはつくことができず、途中交代を余儀なくされた)。
 その後は、トヨタ自動車・モニカ・アボット、ルネサスエレクトロニクス高崎・上野由岐子両エースが一歩も譲らぬ投げ合いを展開。「世界最高レベル」の力と技を駆使して相手打者を打ち取り、凡打の山を築いた。
 試合が動いたのは4回裏、ルネサスエレクトロニクス高崎は、二死走者なしから、この試合、スタメン6番に起用されたDP・森さやかが、ワンボール・ツーストライクから2球ファウルで粘った後の6球目をとらえ、左中間スタンドへ運ぶ先制のソロホームラン。「意外性」と「思い切りの良さ」を買われ、スタメンに抜擢された森さやかが、その「思い切りの良さ」を生かして、勝負を決める一発を放ち、貴重な1点を先取した。
 1点を追うトヨタ自動車も必死の反撃を試みるが、2回表に三塁まで走者を進めた他は、チャンスらしいチャンスを作ることができず、5回以降は三者凡退の繰り返し。一人の走者も出すことができず、わずか2安打・10三振を奪われ、完封負けを喫した。


豊田自動織機(リーグ戦4位) 1−0 デンソー(リーグ戦3位)


 続く第2試合も、デンソー・ジョーダン・テーラー、豊田自動織機・ダニエル・ローリーの投げ合いとなり、序盤は両チーム無得点のまま、試合が進み、この試合も「1点勝負」となりそうな緊迫した試合展開となった。
 先手を取ったのは豊田自動織機。3回裏、この回先頭の7番・メーガン・ウィリスがライト前ヒットを放つと、すかさず代走・神田結美を送り、8番・熏竝′獅フバントが内野安打となり、無死一・二塁。9番・吉良真利菜が手堅く送り、二・三塁とチャンスを広げ、1番・白井沙織がしぶとく一・二塁間を破り、待望の先取点を挙げた。
一方、デンソーは豊田自動織機・先発のダニエル・ローリーの気迫溢れるピッチングの前に5回までノーヒット。6回表、「切り込み隊長」1番・増山由梨が三遊間を破るチーム初安打を放ち、一死後、3番・永吉理恵のセカンド内野安打で一・二塁としたが、頼みの4番、5番が凡退。本塁が遠く、最終回も三者凡退に打ち取られ、完封負け。この決勝トーナメントでは、レギュラーシーズンの「躍進」を再現することはできなかった。
 デンソーは今シーズン、森澤隆行監督を迎え、「新体制」の下、アグレッシブな試合展開で「旋風」を巻き起こし、2008年以来となる4年ぶりの決勝トーナメント進出を果たした。また、送りバントを用いず、強攻策で一・三塁のシチュエーションを作る試合展開、常に次の塁を狙う積極的な走塁で勝ち星を重ねてきた。この試合でも、1点をリードされた5回表、6回表とノーアウトの走者を出したが、送りバントの素振りも見せず、強攻策。結局、無得点に終わり、完封負けを喫した。チームとしての「信念」「方針」を貫いたとも言えるが、わずか2安打と明らかに「振れていない」このような試合展開でも、いつもと同じようにただ打たせるだけでは「無策」に終わった感は否めない。さらには、トヨタ自動車・モニカ・アボット、ルネサスエレクトロニクス高崎・上野由岐子、豊田自動織機・ダニエル・ローリーといったアメリカ、日本、カナダの各国の「エース」であり、世界有数の好投手を相手にしたときに、果たしてそのスタイルが通用するのか、「まず1点」を取りに行くような試合運びも必要となるのかは思案のしどころで 世界最高レベルの投手たちを相手に、それを真っ向から打ち崩すようなスケールの大きなチームに成長するのか、あるいは、対戦相手のレベルに応じて臨機応変な戦い方ができるようなバランスの良いチームをめざすのか、デンソーの今後のチーム作り、戦い方に注目したいところだ。
 少なくとも、この一戦に関しては、19年連続で決勝トーナメントに駒を進めてきた豊田自動織機に、「大事な一戦」における戦い方では、「一日の長」があり、勝利への執念、勝負へのこだわり、といった面でも豊田自動織機が上回っていたように感じる。デンソーには、どこかに決勝トーナメント進出で目標達成、今シーズンはこれで満足といった雰囲気・印象があった。


■第2日(11月11日/日)

 この日は、ルネサスエレクトロニクス高崎に敗れ、敗者復活戦に回ったトヨタ自動車とデンソーを下して勝ち上がった豊田自動織機の一戦でスタートしたが、試合開始直前から激しい雨となり、予定通り試合を開始したものの、4回表終了時点で試合続行不可能と判断され、予備日(11月12日/月)に順延された。


■第3日・予備日(11月12日/月)

【準決勝】トヨタ自動車 3−1 豊田自動織機

 豊田自動織機・ダニエル・ローリー、トヨタ自動車・モニカ・アボットの先発ではじまったこの試合、序盤は両エースが力投し、息詰まる投手戦を展開した。
 試合が動いたのは4回裏、トヨタ自動車はこの回先頭の3番・長楓]未が初球を狙い、ライトスタンドへライナーで突き刺す、ソロホームラン。待望の先取点を挙げ、試合の均衡を破ると、4番・藤野遥香のセンター前ヒット、敵失で無死一・二塁とし、次打者の内野ゴロの間にそれぞれ進塁。二・三塁とチャンスを広げ、7番・馬渕朝子がヒットエンドランを決め、貴重な2点目。さらに8番・小野真希にもレフト前へのタイムリーが飛び出し、この回3点を挙げ、有利に試合を進めた。
 一方、豊田自動織機は、その直後の5回表、6番・メーガン・ウィリスがレフトスタンドへ反撃のソロホームランを放ち、1点を返したが、その後はトヨタ自動車・モニカ・アボットにノーヒットに抑えられ、万事休す。
 トヨタ自動車が決勝トーナメント制が導入されて以来、まだどのチームも成し遂げたことのない前人未到の3連覇へ向け、「執念」の決勝進出を決めた


【決勝】トヨタ自動車 1−0 ルネサスエレクトロニクス高崎


 このところ、日本リーグ、全日本大会ともに「決勝」といえば、このカード。常にこの両チームの対戦となる「頂上決戦」は、これもいつもの通り、ルネサスエレクトロニクス高崎・上野由岐子、トヨタ自動車・モニカ・アボット両エースが息詰まる投手戦を展開した。
 先攻のルネサスエレクトロニクス高崎は初回、2番・関友希央が、一塁手が投手のすぐ横に構え、ライトが一塁ベースカバーに入り、ライトには誰もいないという「関シフト」をかいくぐり、ショート内野安打で出塁。3番・大久保美紗のセカンドゴロがエラーを誘い、4番・峰幸代がストレートのフォアボール。一死満塁の絶好の先制機を迎えた。
 ここで打席には手首の故障を押して出場した5番・岩渕有美が入り、その3球目、ヒットエンドランを敢行。しかし、空振りに終わり、スタートを切っていた三塁走者がタッチアウト。結局、岩渕有美は見送り三振に終わり、絶好の先制のチャンスを逃した。
 一方、トヨタ自動車は2回裏、敵失でノーアウトの走者を出すと、5番・坂元令奈がセンター前に運び、チャンスを広げたかに見えたが、一塁走者が三塁を欲張り、タッチアウト。走塁ミスでチャンスを潰し、続く3回裏にも、9番・渡邉華月、1番・ナターシャ・ワトリーの連打で一死一・二塁としたが、後続が連続三振。チャンスを生かせず、両チーム無得点のまま、延長タイブレーカーに突入した。
 延長8回表、延長9回表とルネサスエレクトロニクス高崎は最初の打者が走者を進められず、二死三塁とするものの、無得点。トヨタ自動車も8回裏の無死三塁、9回裏の無死満塁と「一打サヨナラ」のチャンスを迎えたが、あと一本が出ず、ルネサスエレクトロニクス高崎・上野由岐子の力投の前に後続を断たれ、どうしても得点することができない。
 迎えた10回表、ルネサスエレクトロニクス高崎は、3番・大久保美紗の四球で無死一・二塁とし、4番・峰幸代の内野ゴロで一塁走者が二塁で封殺されたが、一塁走者がすかさず盗塁。二・三塁とし、5番・岩渕有美の4球目にヒットエンドランを敢行したが、またしても失敗。空振りで三塁走者が三・本間で狭殺され、チャンスを潰した。
 トヨタ自動車はその裏、ワイルドピッチで無死三塁とし、5番・坂元令奈が四球を選び、一・三塁。すかさず盗塁し、二・三塁と攻め立て、6番・渥美万奈がワンボール・ワンストライクからの3球目、ヒットエンドランを成功させ、三塁走者が生還。ここまでトヨタ自動車に立ちはだかってきた「世界を制した鉄腕」上野由岐子から、ついに1点をもぎ取り、歓喜のサヨナラ。3時間11分にわたる「死闘」に決着をつけ、前人未到の3連覇を達成した。


■第45回日本女子ソフトボール1部リーグ 決勝トーナメント
開催地:京都府京都市・わかさスタジアム京都
期 日:平成24年11月10日(土)〜12日(月) ※雨天のため1日順延