第12回世界女子ソフトボール選手権大会(ベネズエラ・カラカス)
 大会第4日

(2010.6.27)  

日本、4連勝へ向け、発進!

日本の先発・山根はキューバ打線を
わずか3安打に抑える力投を見せた

2回裏、スタメン起用に応え、松本が
先取点につながる貴重な一打を放つ!

相手守備の乱れを突き、一塁走者・河野が
一気にホームイン。この1点が勝負を決めた

キューバの投手の速球に押され、
3安打・1得点と打線が振るわず

投手陣は3試合連続の完封勝利と好調。
いよいよカナダとの「決戦」に挑む!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本、3試合連続の完封勝ち!
4連勝で「首位決戦」へ!!

 大会4日目、日本はアマチュア野球で長い間、「世界一」の座に君臨し、野球の「強国」として知られるキューバと対戦。ベースボール型のスポーツのバックボーンを持ち、その他の競技でも身体能力の高さでは定評のある国だけに、決して侮れない相手である。

〔予選リーグ第4戦/キューバ戦〕

  1 2 3 4 5 6 7
キューバ 0 0 0 0 0 0 0 0
日  本 0 1 0

0

0 0 x 1

○山根(7回)−谷川(7回)
〔二塁打〕松本



 
日本の先発は山根佐由里。今大会の2試合目、台湾戦で好投した染谷美佳の後を受け、最終回を締めくくったのに続き、2試合目の登板であり、初の先発マウンドとなった。
 また、この試合では今大会ここまでの3試合、巧みなリードで投手陣を引っ張ってきた峰幸代に代わり、谷川まきを起用し、それだけではなく、チームの「キャプテン」であり、「守備の要」でもある松岡恵美を外し、松本尚子をショートのポジションでスターティングメンバーに起用した。

 「好調なチームはいじるな」という言葉がある通り、現在3連勝と波に乗るチームの状況を考えれば、あえてスターティングメンバーを変える必要はないようにも思えたが……。結果的には、この起用が「当たる」ことになる。

 日本の先発・山根佐由里は、先頭打者に死球を与えたものの、2番打者を5−4−3のダブルプレーに打ち取り、相手の「チャンスの芽」を摘み取ると、次打者をショートフライに打ち取り、まずは無難に試合をスタートさせた。

 日本はその裏、1番・狩野亜由美が四球で出塁。2番・西山麗が手堅く送る「いつものパターン」で先制機を迎えたが、3番・山田恵里がレフトフライ、4番・馬渕智子がショートゴロに倒れ、先制のチャンスを逃した。
 しかし、続く2回裏、この回先頭の5番・坂元令奈が四球で出塁。6番・河野美里の痛烈なサードゴロは相手三塁手に捌かれ、二塁フォースアウトとなったが、一塁走者が入れ替わった後、この試合スタメンに起用された松本尚子が左中間にツーベース。この打球の処理を焦ったか、レフトがファンブルする間に、一塁走者・河野美里が俊足を飛ばして一気にホームイン。先取点を挙げた。
 日本は3回裏にも、1番・狩野亜由美がショートゴロを転がすと、足の速さを意識しすぎたか、痛い失策。続く2番・西山麗は相手守備陣の極端なバントシフトを嘲笑うかのように強攻策。三遊間を鋭く破り、無死一・二塁とチャンスを広げた。しかし、期待の3番・山田恵里、4番・馬渕智子、5番・坂元令奈が凡退。走者を進めることすらできず、無得点に終わった。

 「ピンチの後にチャンスあり」「チャンスの後にピンチあり」の言葉ではないが、このチャンスを逃した日本に、3回までノーヒットに抑えられていたキューバが猛攻を仕掛ける。4回表、この回先頭の1番打者が死球で出塁すると、2番打者がライト前へ。一塁走者は一気に三塁を狙ったが、ライト・狩野亜由美の好返球で三塁タッチアウト。「世界一」を誇る日本の守備が、またしてもピンチを救い、次打者にライト前にポテンヒットを打たれ、一死一・二塁となったところで突然のスコール。嵐のような猛烈な雨に見舞われ、一瞬にしてスタジアムは水浸しとなってしまった。

 約3時間の中断の後、試合は再開。長い中断で集中力が途切れ、気合いの入らぬまま、試合に入ることが心配されたが、そこは「歴戦の勇者」たち。むしろその中断の間に冷静さを取り戻し、相手の打線の「中核」である4番、5番を山根佐由里が連続三振に切って取り、この試合最大のピンチを脱した。

 その後は両チームともチャンスらしいチャンスもないまま、試合終了。日本は先発・山根佐由里のキューバ打線をわずか3安打に抑える力投で最少得点差を守り切り、1−0の完封勝ち。連勝を「4」に伸ばし、予選リーグPOOL・Aの「最大の山場」となるカナダとの「首位決戦」を迎えることになった。

 今大会、攻守に好調な峰幸代に代えて起用した谷川まきが、先発・山根佐由里の持ち味を生かした好リードを見せれば、「キャプテン」であり、「守備の要」である松岡恵美に代わって起用された松本尚子は唯一の得点につながる貴重な安打を放つなど、これぞ斎藤春香ヘッドコーチの「真骨頂」ともいうべき選手起用を見せた。
 どの選手が起用されても、何ら変わることのない戦い方ができるという点で、このチームらしい試合であったともいえるが、やはり3安打で得点1という結果は物足りない。特に3回裏の無死一・二塁でクリーンアップトリオとはいえ、「走者を進めよう」という意識すら感じられぬまま、サードゴロ、レフトフライ、サードゴロで凡退に終わった攻撃がこの試合のポイントではなかったか。特に、「チームリーダー」である山田恵里が、例えノーサインであってもバントで送る、セーフティーバントを仕掛ける、あるいは最低でもセカンドゴロを転がし、次の打者にチャンスを広げてつないでいれば、局面は大きく変わっていたと思う。もちろん、チームの「顔」であり、自他ともに認める中心打者である以上、「自分で決める」バッティングを選択することが悪いとは思わないが、それでも少なくとも「一・二塁間に強い打球」「最悪でもセカンドゴロ。あわよくば一・二塁間を抜く」という意識が頭のどこかにあったなら、ああいった結果にはならなかったのではないだろうか。

 全体としても、キューバの先発投手の110q/hに迫ろうかというスピードボールに詰まらされ、ほどよく荒れるコントロールに的が絞り切れなかった打線、攻撃面には若干の不安が残る。明日の「首位決戦」の相手・カナダのエースであるダニエル・ローリーの球速は今日のキューバと同レベルにあり、さらに切れ味鋭い変化球も持っている。それをどう攻略するか、投手陣が予想以上の頑張りを見せているだけに、打線の奮起が「勝負の鍵」となりそうな気配だ。


■予選リーグ第4戦/キューバ戦スターティングラインアップ


1番・ライト     狩野亜由美(豊田自動織機)
2番・セカンド    西山  麗(日立ソフトウェア)
3番・センター    山田 恵里(日立ソフトウェア)
4番・DP      馬渕 智子(日立ソフトウェア)
5番・サード     坂元 令奈(トヨタ自動車)
6番・レフト     河野 美里(太陽誘電)
7番・キャッチャー  谷川 まき(太陽誘電)
8番・ショート    松本 尚子(デンソー)
9番・ファースト   濱本 静代(日立ソフトウェア)
FP/ピッチャー    山根佐由里(トヨタ自動車)

▽選手交代
6回表 西山OUT→溝江 香澄(日立ソフトウェア)IN ※セカンドの守備に入る


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