女子日本代表、アメリカに敗れ、
 準優勝に終わる……

(2011.7.26)  

カナダカップに続き、U.S.A.ワールドカップに参戦!

「日の丸」の重みを胸に……
「日本代表」の戦いがはじまる!

予選リーグ初戦のカナダ戦は乱打戦となった

「世界一の強打者」と呼ばれたクリストル・ブストス選手が
予選リーグ・日本対アメリカの試合に先立ち、始球式を行った

アメリカ戦に敗れ、自力での決勝進出の可能性が断たれ、
厳しい状況に追い込まれる場面も……すべてが「経験」だ

初めて日本代表に選出された選手も多い。「世界の舞台」で
「世界の強豪」と戦うことで、何物にも代え難い経験を積んだ

一連の強化事業を終え、大きな「収穫」といくつかの「課題」を
持ち帰った女子日本代表。次なる戦いはアジア女子選手権だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

  去る7月21日(木)〜25日(月)、アメリカ・オクラホマシティーで開催された「2011 U.S.A.ワールドカップ(World Cup of Softball Y)」に出場した女子日本代表は、決勝まで駒を進めたものの、「宿敵」アメリカに敗れ、準優勝に終わった。大会結果はこちら

 今大会には、ホスト国のアメリカをはじめ、日本、カナダ、オーストラリア、イギリス、チェコの各国代表チームが参加。まず参加6チームでシングルラウンドロビン方式(1回戦総当たりのリーグ戦)による予選リーグを行い、その成績によって、予選1位対予選2位、予選3位対予選4位、予選5位対予選6位が対戦し、最終順位を決定する試合方式で覇が競われた。

 予選リーグ初戦、女子日本代表(大会参加選手はこちら)は、カナダと対戦。先発・平原かすみ(東京女子体育大)が初回からカナダ打線につかまり、いきなりの長短打で1点を失うと、早くも藤原麻起子(日立ソフトウェア)を投入。代わった藤原もタイムリーを浴び、2点を先制される苦しい試合展開となった。
 しかし、日本もすぐに反撃。その直後の2回表、永吉理恵(デンソー)のレフト前ヒットを足掛かりに二死二塁の反撃機をつかみ、峰幸代(ルネサスエレクトロニクス高崎)のレフト前へのタイムリーで1点を返し、3回表には、大久保美紗(ルネサスエレクトロニクス高崎)、古田真輝(豊田自動織機)の長短打と山本優(ルネサスエレクトロニクス高崎)のタイムリーに相手守備の乱れが絡み、3点を挙げ、逆転。4回表にも、鈴木美加(トヨタ自動車)の安打からチャンスをつかみ、パスボールで1点を追加。5−2と3点のリードを奪い、このまま日本ペースで試合が進むと思われた。
 それでも試合は落ち着かず、4回裏、カナダが3本の長短打を集め、5−5の同点。7回表に日本が1点を勝ち越し、今度こそ「勝負あった」と思われたが、その裏、カナダが起死回生の同点ホームランを放つという一進一退の攻防が続き、6―6の同点のまま、試合は延長タイブレーカーへともつれ込んだ。
 日本は8回表、タイブレーカーの走者を手堅く犠打で三塁へ進めると、「切り込み隊長」山田恵里が右中間へ勝ち越しツーラン。その後、代打・林佑季(日立ソフトウェア)、古田真輝(豊田自動織機)の長短打でさらに1点を加え、この回3点を奪い、粘るカナダを振り切り、9−6で勝利を飾った。

 大会2日目、オーストラリア戦は、前日とは対照的に息詰まる投手戦となり、両チーム無得点のまま、延長タイブレーカーに突入。
 先発・染谷美佳(デンソー)が緩急自在のピッチングと絶妙なコーナーワークでオーストラリア打線を翻弄。散発3安打に抑え込む力投を見せれば、打線もようやくこれに応え、山本優(ルネサスエレクトロニクス高崎)が、延長8回、二死二・三塁から劇的なサヨナラスリーラン。打った瞬間それと分かる完璧な当たりが左中間スタンドに飛び込み、今大会2勝目を挙げた。

 大会3日目、日本は連勝のいい流れで「宿敵」アメリカとの対戦を迎え、先発・藤原麻起子(日立ソフトウェア)が初回に2本の長打を浴び、1点を失ったものの、その裏、山田恵里(日立ソフトウェア)が四球を選び、2つの内野ゴロの間に三塁へ進塁すると、ワイルドピッチで労せずして同点。2回裏にも、この回先頭の林佑季(日立ソフトウェア)の何でもないセンターフライを落球し、無死二塁。次打者の内野ゴロの間に三塁へ進むと、峰幸代(ルネサスエレクトロニクス高崎)がキッチリとヒットエンドランを決め、ノーヒットで逆転に成功した。
 このまま、カナダカップから続く、「いい流れ」が続くかと思われたが、先発・藤原麻起子(日立ソフトウェア)が5回表につかまり、死球、盗塁、四球で一死一・二塁のピンチを招き、ライト前タイムリーを浴び、同点に追いつかれたところで、日本はこのところ国際大会では絶対的な安定感を誇る染谷美佳(デンソー)を投入。ここでアメリカに傾いた試合の流れを断ち切ろうとしたが、最初の打者を三振に打ち取り、二死としたものの、次打者に左中間を破られ、逆転を許し、続く6回表には満塁本塁打を含む5失点と打ち込まれ、万事休す。
 日本も6回裏、渡邉華月(トヨタ自動車)のタイムリーで2点を返すなど、最後まで諦めずに食い下がったが、4−8と大敗。この時点で、日本、アメリカ、カナダが1敗で並び、同率で並ぶ3チームの直接対決の成績はいずれも1勝1敗(日本はカナダに勝ち、アメリカに敗れ、アメリカは日本に勝ち、カナダに敗れ、カナダはアメリカに勝ち、日本に敗れている)。直接対決における失点がアメリカ8、カナダ13、日本17となり、日本の自力での決勝進出の可能性が消えるという「緊急事態」となった。

 予選リーグ最終日となる大会4日目、日本はイギリスに13−6、チェコに9−0と2試合連続のコールド勝ち。通算成績を4勝1敗とし、予選リーグを終了。同率で並ぶアメリカ、カナダの試合結果を待った。
 まずアメリカがイギリスに10−0と大勝。日本と同じく4勝1敗で予選リーグを終え、前述の失点差の関係で、アメリカの予選リーグ1位通過が確定した。
 一方、カナダは予選リーグ最終戦のオーストラリア戦に勝てば、自力で決勝進出が決まるところだったが、オーストラリアに3−8と大敗。決勝進出どころか、予選リーグ4位に転落。日本の2位が確定し、決勝進出が決まった。

 「宿敵」アメリカとの再戦となった決勝は、先発・藤原麻起子(日立ソフトウェア)が生命線のはずのコントロールが定まらず、2番打者から4連続四球で押し出し。さらにレフトへの犠牲フライで1点を失い、この回2点を先制された。3回裏には、4番打者、5番打者に長短打を浴び、1点を追加され、5回裏には、今シーズン・デンソーでプレーしているメーガン・ランゲンフェルドのタイムリーでさらに1点を追加。6回裏には、二死一塁からリリーフした平原かすみが2球連続でイリーガルピッチを取られ、ピンチを広げてしまい、挙げ句の果てにツーランを浴び、決定的な2点を奪われてしまった。
 日本は5回表、山本優(ルネサスエレクトロニクス高崎)の四球とエラー、盗塁などで無死二・三塁の反撃機をつかみ、永吉理恵(デンソー)のショートゴロの間に三塁走者が生還。まず1点を返すと、続く6回表には、この回先頭の山田恵里(日立ソフトウェア)の安打、犠打で一死二塁とし、古田真輝(豊田自動織機)のセカンドゴロがエラーを誘い、2点目。最終回にも代打・林佑季(日立ソフトウェア)の安打、峰幸代(ルネサスエレクトロニクス高崎)の四球などで二死一・二塁とし、山田恵里(日立ソフトウェア)のレフトへの当たりの処理を誤る間に二者生還。2点差まで追い上げ、なお二死三塁と攻め立てたが、最後の打者・大久保美紗(ルネサスエレクトロニクス高崎)の意表を突くセーフティーバントがピッチャーへの小フライとなり、万事休す。後半の追い上げも及ばず、カナダカップに続く、優勝はならなかった。

 6月末の第1次国内強化合宿を皮切りに、カナダカップ、ワールドカップと続いた女子日本代表の強化スケジュールも、ここで一区切りとなり、次は9月21日(水)〜27日(火)、台湾・南投で開催される第10回アジア女子選手権(兼第13回世界女子選手権アジア地区予選)での優勝、世界選手権出場権獲得が「当面の目標」となる。
 この一連の強化事業の中で得た「収穫」と「課題」をしっかりと把握・分析した上で、アジア女子選手権に臨み、「当面の目標」のクリアはもちろんのこと、「最終目標」である世界選手権優勝へ向け、さらなる強化へと結びつけていくことこそが必要になる。
 カナダカップ、ワールドカップという「世界の強豪」との戦いの中で、宇津木麗華ヘッドコーチのもと、選手個々の能力把握が進められ、国際大会・海外遠征への適応力・対応力が見極められた。また、選手自身も「世界の舞台」で通用するもの・しないもの、手応えをつかんだ選手もいれば、あるいは修正の必要性を感じた選手もいることだろう。
 また、長期にわたる強化合宿・海外遠征の中で、宇津木麗華ヘッドコーチが思い描くソフトボール、チーム作りの方向性なども徐々に浸透し、選手個々が「チーム」の中でどのような役割を担い、個々の力をどのように生かしていけばよいかが明確になってきたはずだ。
 9月のアジア女子選手権では、さらに成長した女子日本代表の姿が見られることだろう。そして……「世界選手権制覇」へ向け、確かな手応えが感じられ、世界選手権「本番」につながるような戦いを見せてくれることを期待したい。

 

2011 U.S.A.ワールドカップ 日本戦イニングスコア

7月21日(木) 予選リーグ第1戦

  1 2 3 4 5 6 7 8
日本 0 1 3 1 0 0 1 3 9
カナダ 2 0 0 3 0 0 1 0 6
バッテリー:平原(1/3)・○藤原(7回1/3)─峰・渡邉
長打:〔本塁打〕山田〔二塁打〕古田、林

■7月22日(金) 予選リーグ第2戦

  1 2 3 4 5 6 7 8
オーストラリア 0 0 0 0 0 0 0 0 0
日本 0 0 0 0 0 0 0 3x 3
バッテリー:○染谷(8回)─峰
長打:〔本塁打〕山本

■7月23日(土) 予選リーグ第3戦

  1 2 3 4 5 6 7
アメリカ 1 0 0 0 2 5 0 8
日本 1 1 0 0 0 2 0 4
バッテリー:●藤原(4回1/3)・染谷(1回1/3)・藤原(1回1/3)─峰
長打:

■7月24日(日) 予選リーグ第4戦

  1 2 3 4 5 6
イギリス 2 0 1 0 2 1 6
日本 4 2 2 2 0 3x 13
バッテリー:○平原(6回)─渡邉
長打:〔本塁打〕山本、蔭山〔二塁打〕大橋、山田
※大会規定により6回得点差コールド

 予選リーグ第5戦

  1 2 3 4 5
チェコ 0 0 0 0 0 0
日本 4 0 4 1 9
バッテリー:○染谷(5回)─渡邉
長打:〔三塁打〕溝江、山本〔二塁打〕山田、溝江、岩渕、林、渡邉
※大会規定により6回得点差コールド
※日本は予選リーグ4勝1敗の2位で決勝進出

■7月25日(月) 最終順位決定戦(1位・2位戦/決勝)

  1 2 3 4 5 6 7
日本 0 0 0 0 1 1 2 4
アメリカ 2 0 1 0 1 2 6
バッテリー:●藤原(5回2/3)・平原(1/3)─渡邉・峰
長打: