第10回アジア女子選手権大会
  (兼第13回世界女子選手権大会アジア地区予選)
 〔大会第7日(9月27日)−決勝トーナメント〕


(2011.9.27)  

日本、無敗のまま「完全優勝」
第13回世界女子選手権大会への出場権獲得!

ファイナルの相手は、敗者復活戦を
勝ち上がったホスト国・台湾

日本は満を持してエース・上野由岐子が先発

4回表、7番・鈴木美加のタイムリーで2点を先制

さらに8番・永吉理恵のタイムリーで1点を追加
この回大きな3点を奪った!

日本は3人の投手をつなぐ
「余裕の投手リレー」で台湾に圧勝

日本、歓喜の胴上げ
宇津木麗華ヘッドコーチの身体が宙に舞う

決勝トーナメント初日は苦しんだが、
ファイナルでは再び「圧倒的な強さ」を見せた

この優勝を次への「ステップ」に……
日本代表の強化は続く!

アジアのソフトボールの
さらなる「普及・発展」を願い、
ファイナルを戦った台湾チームとともに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本、ファイナルで台湾に圧勝!
無敗のまま「完全優勝」を飾る!!





●決勝トーナメント・ゴールドメダルゲーム(ファイナル/決勝)
  1 2 3 4 5 6  
日 本 0 0 0 3 0 6 大会規定により
6回得点差
コールド
 
9
台 湾 0 0

0

0

0

0

0
(日)〇上野(4回)・藤原(1回)・染谷(1回)−峰(4回)・谷川(2回)
〔本塁打〕山田 〔二塁打〕山本

 大会最終日、昨日の決勝トーナメント初戦、セミファイナルに連勝し、ゴールドメダルゲーム(ファイナル/決勝)進出を決めた日本は、ブロンズメダルゲーム(3位決定戦)で中国に3−2の劇的なサヨナラ勝ちを収め、敗者復活戦を勝ち抜いてきたホスト国・台湾と優勝をかけ、再戦した。

 昨日の2試合では自らのミスもあり、なかなか満足のいく試合運びができず、苦しい戦いを強いられた日本。しかし、この日は選手たちの顔つきもガラリと変わり、まさに「気合い」が違う戦いを見せた。

 日本の先発投手は、エース・上野由岐子。初回、台湾の攻撃をセカンドゴロ、二者連続三振に切って取り、上々のスタートを見せると、打線も0−0で迎えた4回表、二死から5番・蔭山遥香がしぶとく三遊間深くへ転がし、相手守備の乱れを誘い、出塁。6番・山本優のライトオーバーのエンタイトルツーベースで二死二・三塁の先制のチャンスを作ると、ここで7番・鈴木美加が持ち味の「思い切りの良いスイング」でセンター前にはじき返し、一気に二者が生還。さらに、二死一塁からすかさず盗塁を成功させ、相手にプレッシャーをかけると、続く8番・永吉理恵のライト前タイムリーで大きな3点目を追加し、試合の流れをつかんだ。
 この日すでに2試合を戦い、トリプルヘッダーとなった台湾は、この3点で完全に意気消沈。地元の大声援に後押しされ、ここまで敗者復活戦を勝ち上がってきたが、さすがにこのファイナルでは連戦の「疲れ」を隠せず、昨日の対戦とは打って変わり、次第に勢いを失っていった。
 逆に勢いに乗る日本は、6回表にもこの回先頭の5番・蔭山遥香がセンター前ヒット。この打球を相手中堅手が後逸する間に二塁を陥れると、6番・山本優のバントヒットで無死一・三塁とチャンスを広げ、7番・鈴木美加の打席で一塁走者・山本優が盗塁。相手捕手の二塁への送球が逸れる間に三塁走者・蔭山遥香が本塁へ還り、4点目を追加。さらに7番・鈴木美加が四球で無死一・二塁のチャンスが続き、8番・永吉理恵の絶妙なセーフティーバントが相手守備の乱れを誘い、5点目。その後も、無死二・三塁から代打・古田真輝の三遊間を破るタイムリーで1点を追加すると、最後は1番・山田恵里が無死二・三塁から「とどめ」のスリーランホームラン。この回一挙6点を奪う猛攻で試合を決めた。

 守っては、先発したエース・上野由岐子が4回裏に二死満塁のピンチを迎えたが、そのピンチにも決して動じず、要所を締める「貫録のピッチング」で切り抜け、被安打3、6奪三振の好投を見せると、5回裏を藤原麻起子、6回裏を染谷美佳がキッチリと抑える「余裕の投手リレー」で完封勝利。9−0(6回コールド)で台湾に圧勝し、予選リーグから無敗のまま、頂点へと駆け上り、文字通り「完全優勝」を成し遂げた。

 今大会、日本は予選リーグではまさに「圧倒的な強さ」で6連勝を飾り、各対戦国との明らかな「実力の差」を見せつけた。しかし、決勝トーナメントでの戦いでは、このファイナルこそ9−0と圧勝したが、初戦、セミファイナルと2戦続けて1−0の辛勝。連戦の疲れや、試合のスコア云々というよりも、チーム全体が所々で集中力を欠き、相手のリズムに合わせ、本来のスタイル、戦う姿勢を見失ってしまう「弱さ」「脆さ」を露呈してしまった。その点については、大いに反省が必要で、世界選手権へ向け、修正を迫られる課題であることは間違いない。また、選手自らがもっと考え、工夫し、試合の流れや状況を読みながら、どうすれば相手を崩せるか、どうすれば自分たちの流れに引き寄せられるか、個々の選手がチームの中での役割を認識した上で、もっと積極的にプレーすることが必要なのではないだろうか。いったん悪い流れに陥ると、その流れのまま試合が進んでしまうことが多く、膠着状態を打開するような「本当の意味での強さ」や逆境でこそ力を発揮するような「たくましさ」を身につけていかないと、1970年以来の世界選手権優勝、「打倒・アメリカ」を果たしての王座奪還を実現することは難しいと言わざるを得ない。
 今回は、それぞれの選手が国内での戦いを終え、休むことなく大会に出場。さすがに連戦の「疲れ」もあったことだろう。また、「勝って当たり前」と言われる中で、実際に結果を残し、勝ち続けていくことはそう容易なことではないかもしれない。しかし、この日本代表は「世界の頂点」をめざすチーム。いかなる状況においても、その目標に向かう姿勢が変わることはあってはならない。今回のアジア女子選手権での優勝を次への「ステップ」にするとともに、今後も日本代表のさらなる強化に期待していきたい。彼女たちなら再び世界一の座を勝ち取ってくれる……。そう、強く信じて!


■決勝トーナメント・ゴールドメダルゲーム(ファイナル)/台湾戦スターティングラインアップ

1番・センター 山田 恵里(日立ソフトウェア)
2番・ライト 河野 美里(太陽誘電)
3番・DP 藤野 遥香(トヨタ自動車)
4番・キャッチャー 峰  幸代(ルネサスエレクトロニクス高崎)
5番・ショート 蔭山 遥香(ルネサスエレクトロニクス高崎)
6番・サード 山本  優(ルネサスエレクトロニクス高崎)
7番・セカンド 鈴木 美加(トヨタ自動車)
8番・レフト 永吉 理恵(デンソー)
9番・ファースト 大久保美紗(ルネサスエレクトロニクス高崎)
FP・ピッチャー 上野由岐子(ルネサスエレクトロニクス高崎)

▽選手交代
5回表 峰  幸代OUT → 谷川 まき(太陽誘電)IN
    ※代打で入り、そのまま捕手の守備へ
5回裏 上野由岐子OUT → 藤原麻起子(日立ソフトウェア)IN ※投手交代
6回表 大久保美紗OUT → 古田 真輝(豐田自動織機)IN ※代打
    藤野 遥香OUT → 松本 尚子(デンソー)IN ※代打
6回裏 藤原麻起子OUT → 染谷 美佳(デンソー)IN ※投手交代
古田 真輝OUT → 大久保美紗IN
    ※再出場し、再びファーストの守備に入る

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