12月16日(金)、南アフリカ・ケープタウンで開催されている「第9回世界女子ジュニア選手権大会」(大会オフィシャルサイトはこちら 大会スケジュールはこちら 女子U19日本代表選手名簿はこちら)第10日、決勝トーナメントも2日目に入り、まず前日の3位・4位戦の勝者と1位・2位戦の敗者が対戦する試合が、第1試合、第2試合に組まれ、ニュージーランド対オーストラリアの対戦は7−0でオーストラリアが勝ち上がり、台湾対カナダの対戦は2−1で台湾が競り勝ち、第4試合でオーストラリアと台湾が、ブロンズメダルゲーム(3位決定戦)進出をかけ、対戦することになった。
日本は、この日の第3試合でアメリカと対戦。ゴールドメダルゲーム(ファイナル)進出をかけ、激突。試合は予想外の展開となった。
■大会第10日(12月16日/金)
・決勝トーナメント・セミファイナル
|
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
計 |
日 本 |
2 |
0 |
1 |
4 |
2 |
9 |
アメリカ |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
※大会規定により5回得点差コールド
|
〔バッテリー〕○平原かすみ(4回1/3)・北岡志帆(2/3)−宇野有加里
〔三塁打〕長楓]未
〔二塁打〕長楓]未A、山根すずか |
先攻の日本は初回、2番・山城みながセンター前にクリーンヒット。この試合、打順を入れ替え、3番に入った「日本リーグ二冠王」長楓]未がレフト線へツーベースを放ち、一死二・三塁とチャンスを広げた。ここで、長楓]未と打順を入れ替え、「4番」に座った宇野有加里が初球を狙い、レフト前にタイムリー。ショートのグラブをかすめながら、「頼れるキャプテン」宇野有加里の「気迫」が打球に乗り移ったかのように、そのグラブをはじき、日本に先制点をもたらした。さらに一・三塁とチャンスが続き、5番・鈴木鮎美のところでツーストライクと追い込まれながらヒットエンドランを敢行。これは空振り三振に終わり、最悪の三振ゲッツーかと思われたが、三塁走者・長楓]未が判断よく本塁へ突入。アメリカのランダウンプレーの一瞬の隙を突き、巧みにタッチをかわしてホームイン。日本得意の「先制攻撃」で初回に2点を先制した。
日本の先発は、平原かすみ。すでに「日本代表」を経験している右腕に、この「大一番」の先発を託した。
その立ち上がり、先頭打者に四球を与え、犠打で一死二塁といきなり得点圏に走者を進められたが、後続をセンターフライ、レフトフライに打ち取り、何とか初回を無失点で乗り切ると、2回裏は連続三振とショートフライで三者凡退。徐々に本来の調子を取り戻していった。
追加点のほしい日本は3回表、この回先頭の3番・長楓]未がレフトオーバーのスリーベースを放ち、チャンスメイク。続く4番・宇野有加里のところで、渡辺和久ヘッドコーチが、試合前から「これしかない」とイメージしていたスクイズを敢行。完全にアメリカバッテリーの意表を突き、スクイズ成功。三塁走者を迎え入れ、大きな大きな追加点を挙げた。
日本は4回表にも、1番・市口侑果、2番・山城みなの連打で一死満塁のチャンスをつかみ、3番・長楓]未がライトオーバーのタイムリーツーベース。二者を迎え入れ、なお一死二・三塁と攻め立て、4番・宇野有加里のサードゴロの間に三塁走者が生還。さらに5番・鈴木鮎美にもタイムリーが飛び出し、この回一挙4点を追加。
5回表には、一死から山根すずかがレフトオーバーのツーベースで出塁すると、次打者の内野ゴロの間に三進し、1番・市口侑果のセンター前タイムリーで1点を追加。さらに2番・山城みなのピッチャー強襲安打で一・二塁と再びチャンスを作り、ワイルドピッチで二・三塁。3番・長楓]未のショートゴロがエラーを誘い、1点を追加。完全にアメリカの息の根を止めてしまった。
その裏、アメリカもコールド負けだけは避けたいと、必死の反撃を試みたが、先発・平原かすみから北岡志帆につなぐ、日本の投手リレーの前にわずか1安打で完封負け。屈辱の5回コールド負けを喫し、敗者復活戦に回ることになった。
日本は「会心」の試合運びで、「前回王者」を相手にせず、12安打と打ちまくり、9−0の5回コールド勝ち。2大会ぶり5度目の「世界一」に王手をかけた。
渡辺和久ヘッドコーチの打順組み換えや選手起用がズバリと当たり、選手もそれに応え、アメリカにコールド勝ちという「歴史的な勝利」を手にした。
3番に起用された「日本リーグの二冠王」長楓]未が、その実力をアメリカとの「大一番」で見せつけ、「4番」に座った「主砲」宇野有加里にスクイズを命じ、それをしっかりと成功させるなど、まさに打つ手打つ手がズバリ的中。
予選リーグ大活躍の熏竝′獅発熱で欠くというアクシデントも、代わって入った山根すずかがその穴を埋めて余りある大活躍。派手さこそないが、堅実な守備で支え、打撃面でも随所で長打を放つなど、ピンチをチャンスに変える活躍を見せている。
また、熏竝′獅フ欠場によって、5番・DPで起用された鈴木鮎美も勝負どころで快打を連発。勝負強いところを見せ、日本の快進撃に大きく貢献している。
「史上最強」の女子U19日本代表の看板に偽りはなく、圧倒的な強さで2大会ぶりの「王座奪還」「世界一」に王手をかけた。
ただ、前回王者・アメリカも傷ついたプライドをこのままにしておくようなチームではない。明日はまた、必ずやチームを立て直し、アメリカの名にかけて逆襲を試みてくるはずである。
第4試合では、予選リーグで唯一日本と接戦を演じた台湾が、カナダに続き、オーストラリアも撃破。延長タイブレーカーにもつれ込む熱戦を3−2で制し、ブロンズメダルゲーム進出を決め、3位以上を確定させた。
日本の相手は、明日、12時から行われるアメリカ対台湾のブロンズメダルゲームの結果次第ということになる。だが、どこが相手だろうが問題はない。今の日本がその持てる力を発揮することさえできれば、どこにも負けることなどありはしないのだから。
ここまで他を圧倒して「頂点」に登りつめたチームは過去にない。しかし、明日のゴールドメダルゲーム(ファイナル)を勝たなければ、まだ「世界一」ではないのだ。それまでどんな素晴らしいソフトボールを展開し、他を圧倒していようと、明日の試合に勝って初めて「世界一」を名乗れるのだ。「強い」から「勝つ」のではない。「勝つ」から「強い」のだ。
明日もまた、ソフトボールの魅力・楽しさ・面白さをすべて表現するようなソフトボールを展開し、「世界の頂点」に立ってくれることを期待したい。また、それができる選手たちであり、チームであることを信じている。
決勝トーナメント・セミファイナル アメリカ戦スターティングラインアップ
1番・ショート |
市口 侑果(ルネサスエレクトロニクス高崎) |
2番・サード |
山城 みな(太陽誘電) |
3番・センター |
長普@望未(トヨタ自動車) |
4番・キャッチャー |
宇野有加里(ルネサスエレクトロニクス高崎) |
5番・DP |
鈴木 鮎美(トヨタ自動車) |
6番・レフト |
斎藤 優華(とわの森三愛高) |
7番・ファースト |
松木 瑛里(デンソー) |
8番・セカンド |
山根すずか(シオノギ製薬) |
9番・ライト |
小松 美樹(ルネサスエレクトロニクス高崎) |
FP・ピッチャー |
平原かすみ(東京女子体育大) |
※選手交代
4回裏 DPの鈴木鮎美がレフト・斎藤優華の守備を兼ね、守備位置をライトに変更。ライトの小松美樹がレフトへ。斎藤優華はOPO(打撃専門選手)となる
5回表 山根すずかOUT→熏竝′氏i豊田自動織機)IN ※代走
5回裏 熏竝′三UT→山根すずか(シオノギ製薬)IN ※再出場
〃 平原かすみOUT→北岡志帆(豊田自動織機)IN ※投手交代 |