日本、満塁ホームラン一発に沈む!
 王者・アメリカの「意地」に屈す!!
 (2011.12.18)






 12月17日(土)、南アフリカ・ケープタウンで開催されている「第9回世界女子ジュニア選手権大会」(大会オフィシャルサイトはこちら 予選リーグ戦績表・決勝トーナメント結果はこちら 女子U19日本代表選手名簿はこちら)第11日、大会最終日を迎え、日本はブロンズメダルゲーム(3位決定戦)で台湾を12−3の6回コールドで破り、敗者復活戦を勝ち上がってきたアメリカとファイナルで再戦した。

■大会第11日(12月17日/土)

・決勝トーナメント・ファイナル

  1 2 3 4 5 6 7
日  本 0 0 0 0 0 1 0 1
アメリカ 0 0 0 4 0 0 4
  〔バッテリー〕●中村友佳(3回1/3)・北岡志帆(2回2/3)−宇野有加里

 前日のセミファイナルでアメリカを9−0のコールドで破り、一足先にファイナル進出を決めている日本は、ブロンズメダルゲーム(3位決定戦)で台湾を12−3の6回コールドで破り、敗者復活戦を勝ち上がってきたアメリカと「再戦」することになった。

 今大会、渡辺和久ヘッドコーチの方針で、常に先攻、「先手必勝」をチーム戦術とする日本は、初回、1番・市口侑果がレフト線にヒット性の当たりを放ち、「得意の先制攻撃のチャンス到来か!?」と思われたが、レフトがこれを地面すれすれでダイビングキャッチ。この当たりが落ちていれば、市口侑果の足を考えれば、ツーベースあるいはスリーベースの可能性もあっただけに、日本にとっては「アンラッキー」なプレーであり、アメリカにとっては、日本得意の「先制攻撃」を止めるビッグプレーとなった。
 アメリカ守備陣は、続く2番・山城みなのセカンド後方への当たりも、セカンドとライトが激突しながらアウトにするなど、気迫溢れるプレーを展開。前日、屈辱のコールド負けを喫した「手負いの王者」が、そのプライドを取り戻すべく、ワンプレー・ワンプレーに高い集中力を見せ、身体を張った入魂のプレーで日本の「先制攻撃」を止め、今大会ずっと続いていた「日本の流れ」を力技で断ち切ってみせた。

 日本の先発は中村友佳。緩急自在のピッチングがアメリカに一番通用するのではないかと考えられ、この「世界一」の座をかけた試合の先発という大役を任された。その立ち上がり、セカンドフライ、ショートゴロ、レフトファウルフライと三者凡退に切って取り、まずは順調な滑り出しを見せた。

 日本は2回表、一死から5番・鈴木鮎美のレフト前ヒット、6番・斎藤優華のバントヒットで一・二塁の先制のチャンスをつかみ、7番・松木瑛里の打席で投球がワンバンドとなり、キャッチャーがはじくのを見て、二塁走者・鈴木鮎美が三塁を狙ってスタート。うまく回り込み、完全にセーフのタイミングではあったが、勢い余ってわずかにオーバーラン。タッチアウトとなり、先制のチャンスを逃した。

 アメリカはその裏、サードゴロエラー、送りバント、センター前ヒットで一死一・三塁のチャンスを作ったが、後続がサードフライ、レフトファウルフライ。こちらも先制のチャンスに「あと一本」が出ず、先取点を奪うことはできなかった。

 3回も両チームともに得点はなく、迎えた4回裏、アメリカは4番打者、5番打者が完全に詰まらされながら、力でレフト前に運び、無死一・二塁。送りバントで二・三塁とチャンスを広げ、次打者の四球で満塁とすると、8番・Tarango Cheyanneが「四球の後の初球を狙え」のセオリー通り、甘く入った初球を逃さず、レフトスタンドに叩き込む満塁ホームラン。アメリカが4点を先制した。

 日本は6回表、相手守備の乱れから1点を返したものの、力でグイグイ押してくるアメリカの先発・Haeger Laurenの力投の前に、前日まで猛威を振るってきた日本打線が本来のバッティングができず、5安打散発。得意の集中打が最後まで出ることなく、ほぼ間違いないと思われた「世界一」の座を手放し、アメリカの連覇を許してしまった。

 日本のチーム打率4割1分2厘・二塁打28・三塁打5・本塁打6・総得点83(ジンバブエ戦の不戦勝7−0は除く)の攻撃力は、アメリカのチーム打率4割2分1厘・二塁打19・三塁打2・本塁打9・総得点86とまったく遜色なく、今大会でこの2チームが「ズバ抜けた存在」であったことを物語っている。
 その「2強」が初めて対決し、日本が9−0の5回コールド勝ちを収めたときには、最終日を待たずに雌雄は決し、日本の「優勝」を誰もが確信し、疑うことはなかった。

 しかし、王者・アメリカは強かだった。前日の屈辱のコールド負けの中でも、3番手で登板したHaeger Laurenの球威とライズの切れに日本打線が手を焼いたのを見逃さず、台湾とのブロンズメダルゲームでは温存。日本戦の先発に起用し、まんまと日本打線を封じることに成功した。大敗の中でも、翌日の再戦に備え、相手を分析し、対応策を講じる強かさは、やはり「王者」であり、勝ち続けてきたチームのノウハウがジュニアのカテゴリーでもしっかりと生かされていた。

 このファイナルでも、安打数では日本の5に対し、アメリカは4と、完全に日本の投手陣を攻略したわけではない。しかし、満塁でホームランという最も効率の良い点の取り方で日本の「王座奪回」を阻んだ。
 日本が負けるとしたら、まさにこのパターンしかなく、アメリカの「パワー」に飲み込まれ、ホームラン攻勢で圧倒されるというケースだけだと考えていたが、図らずもそれが「現実」となってしまったわけである。たった一球、たった一振りでアメリカは日本の「世界一」の夢を打ち砕いてみせた。

 そして……それがある意味では、ソフトボールという競技の「恐さ」であり、「奥深さ」でもある。たった一球ですべてを失い、たった一球ですべてを得る競技であるということを改めて思い知らされたのである。
 また、それまでどれだけブッチギリで勝っていたとしても、最後の1試合で勝てなければ、意味はなく、「世界一」にはなれないのだということを。
 『史上最強』といわれた今回のチームにとって、あまりにも高い代償であり、あまりにも高い授業料であるかもしれないが、こういう「悔しさ」が彼女たちをまた成長させてくれるとも思う。
 圧倒的な強さで、簡単に「世界の頂点」に登り詰めて、「こんなものか」と思うよりは、「なぜ負けたのか」「なぜ勝てなかったのか」トコトン考え抜く、今回のような機会を得たことを、むしろ喜ぶべきなのかもしれない。

 2016年には、ここ南アフリカ・ケープタウンで世界女子選手権開催の招致がされているとも聞く。今度は「U19」の限定されたカテゴリーではなく、「日本代表」として、再びこの地を訪れ、今回果たすことのできなかった「世界一」の夢を叶えてほしい。
 『史上最強』といわれたチームは、歴史に残るアメリカ戦のコールド勝ちという快挙を達成しながら、「世界一」の座を逃した。ただ、このチームが見せた圧倒的な攻撃力は、『史上最強』の名に偽りはなく、過去、日本のソフトボールで例を見ないものであった。
 その意味では、日本のソフトボールの「歴史を変えた」チームであり、この大会に出場したチームの中で、一番多くのファンを獲得し、一番大きな称賛を浴びたチームであったことだけは書き記しておきたい。優勝したアメリカより、大きな大きな拍手と歓声が、スタンディングオベーションとともに与えられた「事実」を忘れないでほしい。


決勝トーナメント・ファイナル アメリカ戦スターティングラインアップ

1番・ショート 市口 侑果(ルネサスエレクトロニクス高崎)
2番・サード 山城 みな(太陽誘電)
3番・センター 長普@望未(トヨタ自動車)
4番・キャッチャー 宇野有加里(ルネサスエレクトロニクス高崎)
5番・DP 鈴木 鮎美(トヨタ自動車)
6番・レフト 斎藤 優華(とわの森三愛高)
7番・ファースト 松木 瑛里(デンソー)
8番・セカンド 山根すずか(シオノギ製薬)
9番・ライト 小松 美樹(ルネサスエレクトロニクス高崎)
FP・ピッチャー 中村 友佳(トヨタ自動車)

※選手交代
4回裏 中村友佳OUT→北岡志帆(豊田自動織機)IN ※投手交代
6回表 山根すずかOUT→熏竝′氏i豊田自動織機)IN ※代打
6回裏 熏竝′三UT→山根すずか(シオノギ製薬)IN ※再出場
7回裏 山根すずかOUT→岡村奈々(小倉商業高)IN ※代打

「世界一」へ! あと1勝!!

初回、1番・市口侑果の当たりがヒットになっていたら
試合の流れは、またまったく「別のモノ」になっていた!?

4回裏、アメリカが満塁ホームランで先制!

日本も懸命の反撃を試みるが……

最後の打者、代打・岡村奈々が空振り三振。
日本の「世界一」への挑戦は終わった……

連覇を達成したアメリカ。「私たちこそ世界一!」
と天に指を突き出し、「No.1」をアピールした

試合終了後、泣き崩れる中村友佳。
この経験を次につなげてほしい

 試合内容を見れば、「事実上世界一」の声も。
最も称賛を浴びたチームであることに誇りを!